【2024年度介護報酬改定】訪問看護の点数はどう変わった?新たな減算ルールとは

介護報酬の改定は3年ごとに行われています。

直近で行われたのは2024年上半期。高齢化の加速に伴い、医療と介護の両方を必要とする人の増加が見込まれる一方、物価高、人材不足といった課題もあるなかで、どのような改定が行われたのでしょうか?

目次
  1. 訪問看護の基本報酬
  2. 介護予防訪問看護の基本報酬
  3. 専門管理加算(新設)
  4. 初回加算(I)(新設)/初回加算(II)
  5. ターミナルケア加算
  6. 遠隔死亡診断補助加算(新設)
  7. 業務継続計画未策定事業所に対する減算
  8. 高齢者虐待防止措置未実施に対する減算
  9. 身体拘束廃止未実施に対する減算(新設)
  10. 口腔連携強化加算(新設)
  11. 緊急時訪問看護加算(I)(新設)/緊急時訪問看護加算(II)
  12. 理学療法士等による訪問看護の評価(新設)
  13. 2024年介護報酬改定における、点数以外の改定のポイント
    1. テレワークの取り扱いに関しての通達
    2. 人員配置基準における両立支援への配慮(新設)
    3. 訪問看護における24時間対応のニーズに対する即応体制の確保
    4. 「書面掲示」規制の見直し
  14. 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
  15. 特別地域加算の対象地域の見直し
  16. 訪問看護に携わるすべての事業所が、自分たちが果たすべき役割を考えることが大切

訪問看護の基本報酬

まず、訪問看護の基本報酬に関しては、訪問看護ステーションおよび病院またはクリニックの双方において点数が引き上げられています。

【訪問看護ステーションの基本報酬】

現行単位改定後単位増減
20分未満313単位314単位+1
30分未満470単位471単位+1
30分以上
1時間未満
821単位823単位+2
1時間以上
1時間30分未満
1,125単位1,128単位+3
理学療法士、
作業療法士または
言語聴覚士の場合
293単位294単位+1

【病院またはクリニックの基本報酬】

現行単位改定後単位増減
20分未満265単位266単位+1
30分未満398単位399単位+1
30分以上
1時間未満
573単位574単位+1
1時間以上
1時間30分未満
842単位844単位+2

また、訪問介護を行う事業所が地域の訪問看護事業所と連携してサービスを提供する「介護・看護連携型」に関しても微増しています。

【定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合(1か月につき)】

現行単位改定後単位増減
2,954単位2,961単位+7
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」訪問看護基本報酬

介護予防訪問看護の基本報酬

続いては、介護予防訪問看護の基本報酬についてです。

「介護予防訪問看護」とは、医師の指示に基づき、看護師などが利用者宅を訪問して、健康チェック、療養上の世話または必要な診療の補助を行うサービスのことで、要支援1、要支援2に認定された方を対象としています。

【訪問看護ステーションの基本報酬】

現行単位改定後単位増減
20分未満302単位303単位+1
30分未満450単位451単位+1
30分以上
1時間未満
792単位794単位+2
1時間以上
1時間30分未満
1,087単位1,090単位+3
理学療法士、
作業療法士または
言語聴覚士の場合
283単位284単位+1

【病院またはクリニックの基本報酬】

現行単位改定後単位増減
20分未満255単位256単位+1
30分未満381単位382単位+1
30分以上
1時間未満
552単位553単位+1
1時間以上
1時間30分未満
812単位814単位+2

参照:

専門管理加算(新設)

専門的な看護サービスを必要とする利用者に適切に対応することを目的として、新たに「専門管理加算」が創設されました。

厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、

都道府県知事に届け出た指定訪問看護事業所の緩和ケア、褥瘡ケアもしくは人工肛門ケアおよび人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師または特定行為研修を修了した看護師が、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に算定されます。

現行単位改定後単位
専門管理加算なし250単位/月
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」専門性の高い看護師による訪問看護の評価

初回加算(I)(新設)/初回加算(II)

要介護者等のより円滑な在宅移行を訪問看護サービスとして推進する観点から、看護師が退院・退所当日に初回

訪問することを評価する新たな区分が設けられました。具体的には、新規に訪問看護計画を作成して、病院や施設からの退院・退所当日に訪問看護を実施した場合、「初回加算(I)」として、350単位/月の算定が可能となるというものです。

ただし、訪問看護の初回実施日が、退院または退所した日の“翌日以降”の場合は、従来の初回加算が「初回加算(II)」として算定されます。点数は、300単位/月です。

現行単位改定後単位
初回加算(I)なし350単位
初回加算(II)
※従来の「初回加算」
300単位300単位
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」円滑な在宅移行に向けた看護師による退院当日訪問の推進

ターミナルケア加算

ターミナルケア加算については、介護保険の訪問看護などにおけるターミナルケアの内容が医療保険におけるターミナルケアと同様であることを踏まえて、評価の見直しが行われました。ターミナルケア加算は、死亡日および死亡日前14日間以内に2日以上訪問していることなどが算定要件となっています。

現行単位改定後単位
ターミナルケア加算2,000単位2,500単位
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」訪問看護等におけるターミナルケア加算の見直し

遠隔死亡診断補助加算(新設)

離島などに居住する利用者の死亡診断について、看護師が情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合の評価のために新設された加算です。死亡診断補助を行う看護師は、情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けている必要があります。

現行単位改定後単位
遠隔死亡診断
補助加算
なし150単位
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」情報通信機器を用いた死亡診断の補助に関する評価

業務継続計画未策定事業所に対する減算

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症もしくは災害のいずれか、または両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算されることとなりました。

現行改定後
施設・居住系サービスが
業務継続計画未策定の場合
減算なし所定単位数の
100分の3に相当する単位数を減算
その他サービスが
業務継続計画未策定の場合
減算なし所定単位数の
100分の1に相当する単位数を減算
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入

高齢者虐待防止措置未実施に対する減算

高齢者虐待防止を推進する観点から、虐待の発生またはその再発を防止するための措置が講じられていない場合、基本報酬が減算されることとなりました。

現行改定後
高齢者虐待防止措置
未実施の場合
減算なし所定単位数の
100分の1に相当する単位数を減算
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入

身体拘束廃止未実施に対する減算(新設)

身体的拘束は、入所者の心身の状況から鑑みてやむを得ない理由がない限り、行ってはならないとされており、行う場合はその事由などを記録することが義務化されることとなりました。これに伴い、身体拘束廃止未実施の場合、減算されることとなっています。

現行改定後
身体拘束廃止
未実施減算
なし所定単位数の
100分の1に相当する単位数を減算
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」身体的拘束等の適正化の推進②

口腔連携強化加算(新設)

訪問看護において、職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、

事業所と歯科専門職の連携のもと、介護職員等による口腔衛生状態および口腔機能の評価の実施並びに利用者の同意のもとの歯科医療機関、および介護支援専門員への情報提供を評価するために新設されました。

現行改定後
口腔連携強化加算なし50単位(月1回まで)
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」訪問系サービスおよび短期入所系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化

緊急時訪問看護加算(I)(新設)/緊急時訪問看護加算(II)

緊急時訪問看護加算について、訪問看護などにおける 24 時間対応体制を充実する観点から、夜間対応する看護師などの勤務環境に配慮した場合を評価する新たな区分が設けられることとなりました。

現行改定後
緊急時
訪問看護加算(I)
なし・看護ステーション: 600単位/月
・病院または診療所:325単位/月
・介護看護事業所:325単位/月
緊急時
訪問看護加算(II)
・看護ステーション: 574単位/月
・病院または診療所:315単位/月
・介護看護事業所:315単位/月
・看護ステーション: 574単位/月
・病院または診療所:315単位/月
・介護看護事業所:315単位/月
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」訪問看護等における24時間対応体制の充実

理学療法士等による訪問看護の評価(新設)

理学療法士などによる訪問看護の評価の見直しが行われ、「前年度の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士による訪問回数が看護職員による訪問看護を超えている」もしくは「緊急時訪問看護加算、特別管理加算および看護体制強化加算をいずれも算定していない」のいずれかに該当する場合、減算されることになりました。

【訪問看護費】

理学療法士、
作業療法士または
言語聴覚士による訪問
緊急時訪問看護加算、
特別管理加算、
看護体制強化加算
算定している算定していない
訪問回数看護職員の訪問が
リハビリ職種同等
または上回っている
8単位減算(新設)
看護職員の訪問が
リハビリ職種以下
8単位減算(新設)8単位減算(新設)

【介護予防訪問看護費】

理学療法士、
作業療法士または
言語聴覚士による訪問
緊急時訪問看護加算、
特別管理加算、
看護体制強化加算
算定している算定していない
訪問回数看護職員の訪問が
リハビリ職種同等
または上回っている
12カ月を超えて
行う場合は5単位減算
(現行のまま)
8単位減算
(新設)※
看護職員の訪問が
リハビリ職種以下
8単位減算(新設)※8単位減算
(新設)※
※12カ月を超えて訪問を行う場合、さらに15単位減算(新設)  参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」理学療法士等による訪問看護の評価の見直し

2024年介護報酬改定における、点数以外の改定のポイント

続いては、2024年介護報酬改定における点数以外の改定のポイントを解説していきます。

テレワークの取り扱いに関しての通達

人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないことなどを前提に、取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方を示すことが求められるようになりました。

参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」テレワークの取り扱い

人員配置基準における両立支援への配慮(新設)

訪問看護の現場において、職員が治療と仕事を両立できる環境を整備して、離職防止・定着促進を図る観点から、人員配置基準が緩和されることとなりました。具体的には以下の2点が見直されました。 

1. 職員が育児・介護休業法等による育児・介護の時短勤制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける時短勤務制度等を利用する場合も、週30時間以上の勤務で常勤として扱うことを認める 

2. 職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も常勤と扱うことを認める

母性健康管理措置による
短時間勤務
育児・介護休業法による
短時間勤務制度
「治療と仕事の
両立ガイドライン」
に沿って事業者が
自主的に設ける
短時間勤務制度
「常勤」の取扱い:
週30時間以上の
勤務で常勤扱い
〇(新設)
「常勤換算」の取扱い:
週30時間以上の
勤務で常勤換算での
計算上も1(常勤)と
扱うことを認める
〇(新設)
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」人員配置基準における両立支援への配慮

訪問看護における24時間対応のニーズに対する即応体制の確保

訪問看護における24時間対応について、看護師等に速やかに連絡できる体制等、サービス提供体制が確保されている場合は、看護師等以外の職員も利用者または家族などからの電話連絡を受けられることとなりました。

確保されているべき体制の要件は以下の通りです。

ア 看護師等以外の職員が利用者またはその家族などからの電話などによる連絡および相談に対応する際のマニュアルが整備されていること

イ 緊急の訪問看護の必要性の判断を保健師または看護師が速やかに行える連絡体制および緊急の訪問看護が可能な体制が整備されていること

ウ 当該訪問看護事業所の管理者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員の勤務体制および勤務状況を明らかにすること

エ 看護師等以外の職員は、電話などにより連絡および相談を受けた際に、保健師又は看護師へ報告すること。報告を受けた保健師または看護師は、当該報告内容等を訪問看護記録書に記録すること

オ アからエまでについて、利用者および家族などに説明して同意を得ること

カ 指定訪問看護事業者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員について届け出ること

参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」訪問看護における24時間対応のニーズに対する即応体制の確保

「書面掲示」規制の見直し

事業所の運営規程の概要をはじめとする重要事項については、従来、事業所内での「書面掲示」が求められていました。

これに加えて、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、webサイト(法人のホームページなどまたは情報公表システム上)でも重要事項を掲載・公表しなければならないこととなりました。これに関しては、令和7年度から全事業所に対して義務付けられることとなります。

参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」「書面掲示」規制の見直し

特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定を適用すること

とされている地域などが、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算および中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることを明確化することが告示されました。

単位数
特別地域加算所定単位数に
15/100を乗じた単位数
中山間地域等における
小規模事業所加算
所定単位数に
10/100を乗じた単位数
中山間地域等に
移住する者への
サービス提供加算
所定単位数に
5/100を乗じた単位数
参照: 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改訂事項について」特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化

特別地域加算の対象地域の見直し

前出の特別地域加算に関して、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県および市町村から加除の必要性等を聴取したうえで見直しが行われました。

訪問看護に携わるすべての事業所が、自分たちが果たすべき役割を考えることが大切

介護報酬改定によって細かなルールが変わると、「せっかく元のルールがだいたい頭に入ってきたとこだったのに……」と憤りを感じることもあるかもしれません。

しかし、介護報酬の改定がサービスの質向上を目的に行われていることを考えると、点数の変更などにも一つひとつ意味があることがわかるはず。

それぞれの事業所が、新しいルールに則って、地域包括ケアシステムのなかで重要な役割を果たすためにはどうすればいいかを考えることで、少子高齢化時代をみんなで乗り切っていきましょう!

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無床クリニック向け 在宅向け

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オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 CLIUS(クリアス )

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