2024年度診療報酬改定によって、「生活習慣病管理料(II)」が新設されました。併せて、従来の「生活習慣病管理料」は「生活習慣病管理料(I)」へと刷新されています。さらに2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、療養計画書への患者の署名が不要になり、注4の加算が充実管理加算に変わるなど、算定要件が見直されました(2026年6月1日施行)。そこで今回は、「生活習慣病管理料(I)」と「生活習慣病管理料(II)」の違いと使い分け、令和8年度改定後の算定要件、療養計画書の記載例を詳しく解説していきます。
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- 生活習慣病管理料(II)が新設された背景は?
- 令和8年度(2026年度)診療報酬改定で変わったこと
- 生活習慣病管理料(I)の点数および算定要件は?
- 生活習慣病管理料(II)の点数および算定要件は?
- 「生活習慣病管理料(I)」と「生活習慣病管理料(II)」の対象患者は同じ?
- (I)と(II)の使い分け(判定表)
- 「生活習慣病管理料(I)」に包括される検査とは?
- 「生活習慣病管理料(I)」を算定した患者に対して「生活習慣病管理料(II)」を算定する場合の注意点
- 「生活習慣病管理料(I)」から「生活習慣病管理料(II)」への移行に関する注意点
- 「生活習慣病管理料(II)」はオンラインで指導管理をおこなった場合も算定できる
- 「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」ともに必要な「療養計画書」作成のポイント
- 療養計画書(別紙様式9)の記載例
- 「療養計画書」をスムーズに作成するためのコツはある?
- 「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」の概要を患者に周知させることも大切
- 参考
生活習慣病管理料(II)が新設された背景は?
2024年度診療報酬改定によって、「特定疾患療養管理料」の対象疾患から、生活習慣病である脂質異常症、高血圧症、糖尿病が削除されることとなりました。これを受けて、生活習慣病患者の管理は「生活習慣病管理料」に一本化されることとなったと同時に、従来の「生活習慣病管理料」は「生活習慣病管理料(I)」へと刷新され、「生活習慣病管理料(II)」が新設されています。
特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料(I)の違い
脂質異常症、高血圧症、糖尿病が特定疾患療養管理料の対象から外れたことで、これらの患者に「特定疾患療養管理料」を算定していた医療機関は、「生活習慣病管理料(I)」または「生活習慣病管理料(II)」への算定変更が必要となりました。3疾患はもともと旧「生活習慣病管理料」の対象疾患で、(I)と(II)は対象疾患と施設要件(200床未満)が同じため、どちらにも移行できます。
算定要件や点数に関してはこのあと後述しますが、その前に、2つの診療報酬に関しての大きな違いを解説します。具体的にどのような違いがあるかというと、特定疾患療養管理料は管理内容の要点をカルテに記載すれば算定できる一方、生活習慣病管理料は、療養計画書を作成して、その内容を患者に説明して、患者の同意を得ることが必要です(令和6年度改定の時点では患者の署名も必要でしたが、令和8年度改定で署名は不要になりました)。つまり、算定するためにかかる手間に大きな違いがあるということです。
令和8年度(2026年度)診療報酬改定で変わったこと
令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)では、生活習慣病管理料(I)(II)の点数は据え置かれましたが、算定要件と療養計画書が見直されました。主な変更点は次の通りです。
| 項目 | 令和6年度改定後 | 令和8年度改定後(2026年6月1日〜) |
|---|---|---|
| 点数 | (I)610点・660点・760点、(II)333点(情報通信機器は290点) | 変更なし |
| 療養計画書への患者の署名 | 計画書に患者の署名を受けることが算定の条件 | 療養計画書で丁寧に説明し、患者の同意を得ることが条件。様式から患者の署名欄がなくなった |
| 療養計画書の様式 | 初回用(別紙様式9)と継続用(別紙様式9の2) | 別紙様式9の1種類。「□初回 □継続」のチェック欄で使い分ける |
| 注4の加算 | 外来データ提出加算 | 充実管理加算1〜3(30点・20点・10点)。データ提出に加えて、質の高い生活習慣病管理の実績を評価 |
| 眼科・歯科との連携 | 受診を促すことが要件 | 糖尿病の患者について、眼科医療機関連携強化加算・歯科医療機関連携強化加算(各60点、患者1人につき年1回)を新設 |
| 算定日とは別の日の診療 | 規定なし | 管理料を算定した月に、別の日に生活習慣病のために診療した場合、(I)は医学管理等・検査・注射・病理診断、(II)は医学管理料等を算定できない(外来管理加算は要件に従い算定可) |
| 次回受診日 | 規定なし | 予約診療をしている医療機関は次回受診日を予約し、していない医療機関は患者と相談して次回受診日を決める |
| 血液検査((I)のみ) | 規定なし | 原則として、必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上おこなう。他院や健診の結果を参照できる場合は、その結果を診療録に記録すればよい |
| 専門医療機関への紹介 | 診療ガイドライン等を参考にする | 関連学会の紹介基準や、地域の糖尿病性腎症重症化予防の取り組みも踏まえて、適切に専門医療機関へ紹介する |
次回受診日が患者の都合で決まらない場合について、疑義解釈では、十分に相談しても日付が確定しないときも、次回の受診が必要な時期について患者に十分な指導をおこなうこととされています。また、6か月に1回以上の血液検査は、特定健康診査などの健診で受けた血液検査の結果を参照できる場合も含まれるとされています。
参照:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1 B001-3、B001-3-3
生活習慣病管理料(I)の点数および算定要件は?
「生活習慣病管理料」が「生活習慣病管理料(I)」へと刷新されたと同時に、点数も見直されました。令和8年度改定でも、次の点数は据え置かれています。
【生活習慣病管理料(I)の点数】
参照:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【外来】」生活習慣病に係る医学管理料の見直し①
【生活習慣病管理料(I)の主な算定要件(令和8年度改定後)】
(1) 許可病床数が200床未満の病院および診療所で、脂質異常症、高血圧症または糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く)に、治療計画を策定し、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒、服薬などの生活習慣に関する総合的な治療管理をおこなった場合に、月1回に限り算定する。「A000」初診料を算定した日の属する月は算定しない
(2) 療養計画書(別紙様式9またはこれに準じた様式)により丁寧に説明をおこない、患者の同意を得た場合に算定できる。交付した療養計画書の写しは診療録に添付する。療養計画書は、治療管理に必要な項目のみを記載することで差し支えない。血液検査結果を別に交付している場合、または電子カルテ情報共有サービスで共有している場合で、その旨を診療録に記載していれば、血液検査項目の記載は省略できる
(3) 外来管理加算、第1部医学管理等(「B001」の「20」糖尿病合併症管理料、同「22」がん性疼痛緩和指導管理料、同「24」外来緩和ケア管理料、同「27」糖尿病透析予防指導管理料および同「37」慢性腎臓病透析予防指導管理料を除く)、第3部検査、第6部注射および第13部病理診断の費用は所定点数に含まれる。算定した月に、算定日とは別の日に生活習慣病のために診療した場合も、医学管理等・検査・注射・病理診断は算定できない(その日の外来管理加算は、当該加算の要件に従い算定できる)
(4) 継続して算定する月は療養計画書を交付する。内容に変更がない場合はこの限りでないが、患者や家族から求めがあった場合は交付し、概ね4か月に1回以上は交付する
(5) 患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスの患者サマリーに療養計画書の記載事項を入力し、診療録にその記録と患者の同意を得た旨を記録した場合は、療養計画書を作成・交付したものとみなす
(6) 学会等の診療ガイドラインや、関連学会の紹介基準、地域の糖尿病性腎症重症化予防の取り組みなども踏まえ、患者の状態に応じて専門医療機関へ紹介する
(7) 予約診療をしている場合は次回受診日を予約し、していない場合は患者と相談して次回受診日を決める
(8) 28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋の交付が可能であることを院内の見やすい場所に掲示し、患者から求められた場合は状態を踏まえて対応する
(9) 保険者から特定保健指導の目的で情報提供の求めがあれば、患者の同意を確認し、同意があれば協力する
(10) 原則として、必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上おこなう
(11) 糖尿病の患者には、状態に応じて年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導し、歯周病の診断と治療のため歯科の受診を促す
(12) 注3の血糖自己測定指導加算(500点、年1回)は、2型糖尿病でインスリン製剤を使用していない中等度以上(当月または前月のHbA1cがNGSP値で8.4%以上)の患者が対象
(13) 注4の充実管理加算は、外来医療等調査に準拠したデータを継続して提出し、質の高い生活習慣病の管理に係る実績があることを評価するもの。届出が必要
(14) 注5の眼科医療機関連携強化加算・注6の歯科医療機関連携強化加算(各60点)は、糖尿病の患者について、診療状況を示す文書を添えて眼科・歯科に情報提供し、次回の診療時に受診状況を確認して診療録に記載した日に算定する
生活習慣病管理料(II)の点数および算定要件は?
生活習慣病管理料(II)は検査などを包括しません。つまり、検査に関しては別途併算定できるということになります。
【生活習慣病管理料(II)の点数】
生活習慣病管理料(II) 333点(月1回に限る)
※別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、生活習慣病管理料(II)を算定すべき医学管理を、情報通信機器を用いておこなった場合は、所定点数に代えて290点を算定する(43点のマイナス)。令和8年度改定でも333点・290点は据え置き
※生活習慣病管理料(I)を算定した日の属する月から起算して6か月以内の期間においては、生活習慣病管理料(II)は算定不可
参照:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【外来】」生活習慣病に係る医学管理料の見直し①
参照:厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要【外来】」生活習慣病に係る医学管理料の見直し②
【生活習慣病管理料(II)の主な算定要件(令和8年度改定後)】
(1) 対象患者、医療機関、月1回の算定、初診月に算定しないことは(I)と同じ
(2) 療養計画書により丁寧に説明をおこない、患者の同意を得た場合に算定できる。療養計画書の扱い(必要な項目のみの記載、写しの診療録への添付、血液検査項目の省略、概ね4か月に1回以上の交付)も(I)と同じ
(3) 外来管理加算と第2章第1部第1節医学管理料等の費用は所定点数に含まれる。ただし、次のものは包括されず別に算定できる。「B001」の「2」特定薬剤治療管理料、「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料、「9」外来栄養食事指導料、「11」集団栄養食事指導料、「14」高度難聴指導管理料、「16」喘息治療管理料、「20」糖尿病合併症管理料、「22」がん性疼痛緩和指導管理料、「23」がん患者指導管理料、「24」外来緩和ケア管理料、「26」植込型輸液ポンプ持続注入療法指導管理料、「27」糖尿病透析予防指導管理料、「29」乳腺炎重症化予防ケア・指導料、「34」二次性骨折予防継続管理料、「36」下肢創傷処置管理料、「37」慢性腎臓病透析予防指導管理料、「B001-2-4」地域連携夜間・休日診療料、「B001-2-6」救急外来医学管理料、「B001-2-8」外来放射線照射診療料、「B001-2-12」外来腫瘍化学療法診療料、「B001-3-2」ニコチン依存症管理料、「B001-9」療養・就労両立支援指導料、「B005-6」がん治療連携計画策定料、「B005-6-2」がん治療連携指導料、「B005-7」認知症専門診断管理料、「B005-7-3」認知症サポート指導料、「B005-8」肝炎インターフェロン治療計画料、「B005-14」プログラム医療機器等指導管理料、「B006」救急救命管理料、「B009」診療情報提供料(I)、「B009-2」電子的診療情報評価料、「B010」診療情報提供料(II)、「B010-2」診療情報連携共有料、「B011」連携強化診療情報提供料、「B011-3」薬剤情報提供料、「B012」傷病手当金意見書交付料、「B013」療養費同意書交付料。算定した月に、算定日とは別の日に生活習慣病のために診療した場合も、医学管理料等は算定できない
(4) 検査、注射、病理診断は包括されないため、別に算定できる
(5) 次回受診日の予約、長期投薬・リフィル処方箋の掲示、特定保健指導への協力、糖尿病患者の眼科受診の指導・歯科受診の勧奨、専門医療機関への紹介は(I)と同じ
(6) 注3〜注6の加算(血糖自己測定指導加算、充実管理加算、眼科・歯科医療機関連携強化加算)の扱いは(I)と同じ
(7) 注8の情報通信機器を用いた医学管理は、オンライン指針に沿って診療をおこなった場合に290点を算定する
「生活習慣病管理料(I)」と「生活習慣病管理料(II)」の対象患者は同じ?
前述の「生活習慣病管理料(I)」および「生活習慣病管理料(II)」の算定要件を見比べてみたところ、対象主病名疾患が同じであることから、2つの診療報酬の違いが理解できないという人は多いかもしれません。
対象主病名疾患が同じであるのに、「生活習慣病管理料(I)」と「生活習慣病管理料(II)」にわかれている理由は、前者が検査包括であるのに対して、後者では検査が包括外になるからです。
(I)と(II)の使い分け(判定表)
(I)と(II)のどちらを算定するかは、患者ごとに選べます(同じ医療機関で、管理料を算定する患者と算定しない患者が混在してもよいとされています)。ただし、(I)を算定した月から6か月以内は(II)を算定できないため、途中で切り替えるときは時期を決めておく必要があります。判断の目安を表にまとめました。
| 患者・診療の状況 | 向いている区分 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎月の検査が多く、検査料が(I)と(II)の差額(脂質異常症277点、高血圧症327点、糖尿病427点)を上回る | (I) | (I)は検査が包括されるため、検査を多くおこなっても点数は変わらない |
| 状態が安定していて、検査は数か月に1回 | (II) | (II)は333点に検査を出来高で加える。患者の毎月の負担は(I)より小さくなりやすい |
| 特定疾患療養管理料から移行した患者 | (II)が移行しやすい | 検査を出来高で算定してきた従来の請求の形に近い |
| オンライン診療で管理する | (II) | 情報通信機器を用いた場合の点数(290点)があるのは(II)だけ |
| 外来栄養食事指導料や特定薬剤治療管理料などを別に算定したい | (II) | (I)では包括される医学管理等のうち、(II)では包括から除かれていて別に算定できるものがある |
差額は、(I)の点数から(II)の333点を引いたものです。なお、ここでの比較は点数の上での目安です。どちらを選ぶかは、患者の状態に応じた検査の頻度と、患者の自己負担の説明のしやすさも含めて決めましょう。
「生活習慣病管理料(I)」に包括される検査とは?
「生活習慣病管理料(I)」では、第3部検査の費用が全て所定点数に含まれます。血液検査などの検体検査も、超音波検査・心電図などの生体検査も、検査は全て包括され、別に算定できません。あわせて、外来管理加算、第1部医学管理等(糖尿病合併症管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、外来緩和ケア管理料、糖尿病透析予防指導管理料、慢性腎臓病透析予防指導管理料を除く)、第6部注射、第13部病理診断も包括されます。
令和8年度改定で、(I)を算定した月に、算定日とは別の日に生活習慣病のために診療した場合も、医学管理等・検査・注射・病理診断は算定できないことが明記されました(外来管理加算は、その日の要件を満たせば算定できます)。検査だけ別の日におこなっても、別に算定できるわけではない点に注意が必要です。
「生活習慣病管理料(I)」を算定した患者に対して「生活習慣病管理料(II)」を算定する場合の注意点
前述の通り、「生活習慣病管理料(I)」と「生活習慣病管理料(II)」には、検査包括であるのか検査が包括外であるのかという違いがあるため、併算定可能なように思えますが、「生活習慣病管理料(I)」の算定から6か月以内は「生活習慣病管理料(II)」を算定できないというルールがあるため注意が必要です。
ただし、2024年度の診療報酬改定施行前まで存在した「生活習慣病管理料」(=改定後の「生活習慣病管理料(I)」)を算定していた場合、算定していた時期に関わらず、「生活習慣病管理料(II)」が算定可能であるとされています。
「生活習慣病管理料(I)」から「生活習慣病管理料(II)」への移行に関する注意点
前述の通り、「生活習慣病管理料(I)」から「生活習慣病管理料(II)」に移行することは可能ですが、現状、安定して「生活習慣病管理料(I)」を算定中の患者に関しては、「生活習慣病管理料(II)」に移行することなく、「生活習慣病管理料(I)」を算定継続するケースが多いようです。
また、「生活習慣病管理料(I)」または「生活習慣病管理料(II)」のいずれかを一度算定した場合、ルールがややこしく算定変更しづらいため、計画的に変更することが大切です。
「生活習慣病管理料(II)」はオンラインで指導管理をおこなった場合も算定できる
「生活習慣病管理料(II)」は、生活習慣病管理料(II)の点数に関する注意事項でも前述した通り、オンラインで指導管理をおこなった場合にも算定可能です。
後述しますが、「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」ともに算定にあたっては療養計画書を作成する必要があります。令和6年度改定の時点では、オンラインで指導管理をおこなう場合に療養計画書への患者の署名をどう取るかが課題でしたが、令和8年度改定で算定の条件が「患者の署名」から「説明をおこない患者の同意を得ること」に変わり、様式からも患者の署名欄がなくなりました。
オンラインの場合も、療養計画書を使って丁寧に説明し、患者の同意を得たうえで計画書を交付し、写しを診療録に添付します。患者の求めに応じて電子カルテ情報共有サービスの患者サマリーに記載事項を入力し、診療録にその記録と同意を得た旨を記録した場合は、療養計画書を作成・交付したものとみなされます。
「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」ともに必要な「療養計画書」作成のポイント
「特定疾患療養管理料」を算定するにあたっては、療養計画書の作成は不要でしたが、「生活習慣病管理料(II)」へと移行したことで、療養計画書の作成が求められることとなりました。令和8年度改定後も、(II)で療養計画書が必要なことは変わりません。また、「生活習慣病管理料」から刷新された「生活習慣病管理料(I)」においても同様に療養計画書の作成が必要です。
患者の「目標」決定をサポートする
「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」の算定要件(2)に記されている通り、療養計画書の様式は、下記「別紙様式9」またはこれに準じた様式で作成する決まりですが、「別紙様式9」を見たらわかる通り、ほとんどの項目は事実をそのまま記入していくだけです。ただし、体重・BMI・血圧・HbA1cの目標値や、行動目標などの「目標」に関しては、患者がその場で決めるのが難しいことが考えられます。そのため、スムーズに作成できるよう、決定に役立つ情報を事前に患者に渡すなどしてサポートすることが大切です。
参照:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 様式(医科)別紙様式9「生活習慣病 療養計画書」
説明して同意を得る流れと担当者を決めておく
令和6年度改定の時点では、療養計画書に患者自身の署名をもらうことが必要でした。令和8年度改定後は、療養計画書により丁寧に説明をおこない、患者の同意を得ることが算定の条件で、患者の署名は求められていません。
署名をもらう手間はなくなりましたが、説明と同意は必要です。診察室で医師が計画の内容を説明して同意を得る、目標の決め方や生活上の注意は看護師が補足する、計画書の写しの診療録への添付は事務スタッフが確認する、といった役割分担を事前に決めておきましょう。同意を得たことは診療録に記録しておくと、後から確認しやすくなります。
継続の療養計画書作成のタイミングを忘れないようメモしておく
算定要件に記されている通り、継続して算定する月は、内容に変更がなければ療養計画書を毎回交付しなくてよいものの、概ね4か月に1回以上は交付することが必要です。令和6年度改定の時点では初回用(別紙様式9)と継続用(別紙様式9の2)に分かれていましたが、令和8年度改定後の別紙様式9は1枚で、「□初回 □継続」のチェック欄で使い分けます。
継続の療養計画書作成のタイミングは、忘れないよう、カルテのメモ欄などに記入しておくことが大切です。
療養計画書(別紙様式9)の記載例
令和8年度改定後の別紙様式9は1枚で、記入日の横の「□初回 □継続」で初回と継続を使い分けます。患者の署名欄はなく、最後に医師氏名を書く形です。欄ごとの書き方を、架空の患者の例で示します。目標値は主治医が診療ガイドライン等を参考に患者と相談して決めるもので、ここでの数字は書き方を示すための例です。
| 欄 | 記載例(高血圧症を主病とする50代の患者・初回) | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 記入日・初回/継続 | 2026年11月5日、□初回にチェック | 2回目以降は「継続」にチェックし、「目標の達成状況」欄を書く |
| 主病 | □高血圧症にチェック | 糖尿病・高血圧症・脂質異常症から、管理料を算定する主病を選ぶ |
| ねらい | (様式に印字済み) | 検査結果を理解し、生活上の問題点を抽出して目標を設定できること |
| 【目標】 | □体重(72kg)、□収縮期/拡張期血圧(130/80mmHg)にチェック | 体重・BMI・血圧・HbA1cのうち、その患者に必要なものだけを使う |
| ①達成目標 | 「半年で体重を3kg減らし、家庭血圧を目標の範囲に保つ」 | 患者と相談して決めた、結果としての目標を書く |
| ②行動目標 | 「みそ汁は1日1杯まで。平日は1駅分歩く。朝晩の家庭血圧を記録する」 | 毎日の行動に落とし、本人が実行できたか判断できる書き方にする |
| 目標の達成状況 | (初回は空欄) | 継続の場合のみ。例:「体重は1.5kg減。家庭血圧の記録は週5日できている」 |
| 重点を置く領域と指導項目 | □食事(□食塩・調味料を控える、□節酒)、□運動(ウォーキング、30分以上、週5日)、□その他(□家庭での計測) | 該当する□にチェックし、( )内は具体的に書く。たばこは非喫煙者ならその欄にチェック |
| 【血液検査項目】 | 採血日と、LDLコレステロールなど必要な項目の値 | 血液検査結果を別に手渡している場合は記載不要(その旨を診療録に記載) |
| 【その他】 | □栄養状態(良好) | 低栄養状態のおそれ・良好・肥満から選ぶ |
| 医師氏名 | 主治医の氏名 | 患者の署名欄はない。説明して同意を得たことは診療録に残しておく |
継続の計画書は、内容に変更がなければ毎回交付しなくてよいとされています。ただし、患者や家族から求めがあれば交付し、概ね4か月に1回以上は交付します。カルテ側で「前回の交付日」と「次の交付の目安」が見えるようにしておくと、交付漏れを防げます。
参照:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 様式(医科)別紙様式9「生活習慣病 療養計画書」
「療養計画書」をスムーズに作成するためのコツはある?
療養計画書作成にあたっては、前述のポイントが大切になってきますが、作成に慣れてきたら、次は、スタッフの負担および患者の負担を減らすためにできることを考えたいところです。
療養計画書作成の負担を減らすためには、次のようなことを意識したり、工夫したりすることが役立ちます。
「初回用」と「継続用」の違いを理解する
療養計画書は、初回用と「継続用」(2回目以降の交付)とで目的が異なります。
前者は、「患者本人が検査結果を理解して、自身の問題点を把握したうえで、目標を設定すること」が作成の大きな目的です。これに対して後者は、目標の達成状況を確認して、必要であれば目標を再設定することや、生活習慣改善への取り組みがきちんと実施できているかを確認して、必要に応じて目標を修正していくことが目的です。
こうした違いがあることから、コントロールが良好である場合は、まったく同じ療養計画書を指導のたびに交付することは不要で、確認の意味も含めて概ね4か月に1回以上交付すればよいとされています。
この違いを理解したうえで、極力4か月に1度の交付で済むよう、患者をサポートしていくことが、まずは重要だといえるでしょう。
療養計画書のひな型をカスタマイズする
療養計画書は、別紙様式9「またはこれに準じた様式」で作成することとされており、患者の治療管理に必要な項目のみを記載することで差し支えないとされています。そのため、自院の患者層に合わせて項目の並びを見やすくしたり、必要な項目を追加したりした様式を用意することができます。スタッフおよび患者とその家族が内容を理解しやすいようカスタマイズしたひな型を用意すれば、作成も確認もスムーズに進むでしょう。
「生活習慣病管理料(I)」「生活習慣病管理料(II)」の概要を患者に周知させることも大切
「特定疾患療養管理料」の算定にあたっては療養計画書の作成が必要ではなかったこともあり、2024年度診療報酬改定をきっかけに、これまでとやりかたが変わったことを不審に思う患者が出てくる可能性は高いといえます。2026年度改定では署名が不要になった一方で、次回受診日の予約や眼科・歯科との連携など、患者に伝えることも増えています。そのため、患者に対して事前にきちんと説明することが大切です。「生活習慣病管理料(I)」に関しても、点数が変わっているため同様です。個別の説明の時間を十分にとることができない場合は、待合室のモニターやポスターなどを活用するのも一手。患者に安心して治療を続けてもらうためにも、患者の目に入りやすいよう掲示するよう心がけてくださいね。
参考
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定 様式(医科)別紙様式9 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713885.pdf
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和8年3月23日事務連絡)問33・問34 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001678310.pdf
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その5)」(令和8年5月8日事務連絡)問12 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001698587.pdf
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年7月時点の情報を元に作成しています。
