グリーフワークとは ? 看護師ができることは? 看護師自身のケアはどうすればいい?

医療の仕事に携わっていると、死というものに直面する機会が少なからずあります。患者が亡くなったときには、遺族の気持ちに寄り添ってケアすることも大切ですし、関わりが深かった患者であれば、看護師自身が深い喪失感に襲われることもあるでしょう。そこで今回は、死別による悲しみの乗り越え方について考えていきます。

目次
  1. 「グリーフケア」とは?
  2. どんな人がグリーフケアを必要としている?
    1. グリーフケアを必要としている人の症状は?
  3. グリーフワークとは?
    1. グリーフワークの4つのステップ
      1. ショック期
      2. 喪失期
      3. 閉じこもり期
      4. 癒し・再生期
  4. 看護師によるグリーフケアは、患者の死亡前からスタートさせることが重要
    1. 患者の療養生活時におけるグリーフケア
    2. 危篤時~臨終時におけるグリーフケア
    3. 看取り後のグリーフケア
  5. 看護師がグリーフケアをおこなううえでのポイント
    1. 悲しみ・苦しみに共感して、遺族の気持ちを肯定する
    2. 遺族が気持ちを吐き出しやすい場を作る
  6. 看護師に起こりがちな「プロフェッショナル・グリーフ」とは?
  7. 看護師がプロフェッショナル・グリーフを緩和するためにできることは?
    1. 信頼できる人に話を聞いてもらう
    2. 趣味や好きなことに没頭したり、リラックスしたりする時間を持つ
    3. バランスのとれた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がける
  8. プロフェッショナル・グリーフに関してしっかり理解してくことも大切

「グリーフケア」とは?

亡くなった患者の家族をはじめ、大切な人の死によって喪失感や悲しみのただなかに立たされている人に対してサポートをおこなうことを「グリーフケア」といいます。「グリーフ(grief)」とは「深い悲しみ」「悲痛」を意味する英単語で、どのようにケアするかというと、カウンセリングやグループワークなどいくつかの方法が考えられます。ただし、グリーフケアを受けたからといって悲しい気持ちがすっかり消えるということはありませんし、一時的に気持ちが落ち着いたとしても、数か月・数年後に再び悲しみに襲われる可能性もあります。

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どんな人がグリーフケアを必要としている?

では、グリーフケアはどんな人が必要としているのでしょうか?

たとえば、「悲しみを共有できる人がいない」「亡くなった人が苦しんでいたときに傍にいてあげられなかったことで自分を責めてしまっている」といった場合は、グリーフケアによって気持ちを癒していくことなしには、長期間にわたって辛い思いをするケースが多いかもしれません。

グリーフケアを必要としている人の症状は?

グリーフケアを必要としている人は、深い悲しみや絶望感、罪悪感、自責の念などから逃れにくいといえます。ただし、大切な人を亡くしたら、ほとんどの人はこれらの感情を抱くものなので、とてつもなく悲しいからといって、「自分はグリーフケアを必要としている」とは気づきにくいでしょう。

しかし、「周囲に敵意を向ける」「幻覚を見る」といった症状が現れ始めた場合は、症状が軽い場合でも、早期にグリーフケアを受けるべきです。周囲に対しての敵意や幻覚は、自分ではそれと認識できないこともあるかもしれませんが、家族など身近な人は違和感を覚えるものです。また、看護師として遺族に接する機会があり、これらの症状が出ていることに気づいた場合は、グリーフケアについて考えてもらえるよう、促してあげたいところです。

また、身体面に関しては、食欲や気力の減退、「眠れない」などの睡眠障害、頭痛、注意力低下、嘔吐、動悸、アルコールや薬への依存が出やすいといえます。さらに、故人の行動の模倣や探索行動がみられることもあるとされているので、遺族と接する機会に違和感を覚えたら、早期にサポートしたいところです。

グリーフワークとは?

グリーフケアはケアする側の行為ですが、遺族側の行為として「グリーフワーク」があります。

グリーフワークとは、遺族が辿る喪の工程です。具体的には、「死別の苦しみ・悲しみを乗り越えて、大切な人がいなくなった世界において、もう一度人生を作り上げていくための工程」といえます。

一方、グリーフケアは、「看護師をはじめとする周囲の人が、遺族がグリーフワークに取り組むことができるようサポートすること」ということになります。

グリーフワークに要する時間は人によってさまざまですが、一般的には、配偶者との死別の場合は1年から2年、子どもとの死別の場合には2年から5年を要するとされています 。

参照:一般社団法人日本グリーフケアギフト協会「グリーフケアとは」

グリーフワークの4つのステップ

グリーフワークはおおまかに以下の4つのステップで構成されます。

  • ショック期
  • 喪失期
  • 閉じこもり期
  • 癒し・再生期
  • ただし、4つのステップを順番に踏んでいくとは限らず、各ステップを行ったり来たりすることもあります。

    ショック期

    大切な人を亡くした直後は、ほとんどの人が大きなショックを受けています。ショック期には、大切な人の死を受け入れることができずパニックに陥ったり、感覚が麻痺したりすることがあります。

    喪失期

    大切な人が亡くなってしばらくすると、故人の死が現実味を帯びてきたように感じられます。しかし、頭ではもう会えないことがわかっていても、心のなかでは「信じたくない」という思いが沸きあがるのを止めることができず、時に、怒りや敵意、自責の念が波のように押し寄せてきます。この段階では、悲しみを抑え込まず、「辛い」「悲しい」の感情をしっかり表現することが大切だといわれています。

    閉じこもり期

    喪失期を経て、故人の死をある程度受け止められるようになっても、罪悪感や自責の念から解放されない場合があります。また、大切な人を亡くしたことによって生きていく意味を見失い、鬱状態に陥ったり無気力になったりと、うちに閉じこもることが多くなります。

    癒し・再生期

    大切な人との死別を乗り越えて、自己を再生させていく時期に入ると、人によっては、周囲の目には「もう完全に元気なようだ」と映るかもしれません。しかし、新たな社会関係を築き、しっかりと前を向いて生きていけるようにためにも、癒し・再生期も周囲がしっかりとサポートすることが大切です。

    看護師によるグリーフケアは、患者の死亡前からスタートさせることが重要

    前述の通り、グリーフケアとは、「看護師をはじめとする周囲の人が、遺族がグリーフワークに取り組むことができるようサポートすること」ですが、実は、グリーフケアは患者が亡くなる前から開始することが重要です。なぜかというと、特に緩和ケア病棟に入院している患者などの場合、本人や家族が残された時間が短いことを理解しているか否かによって、亡くなった後に悔いの残らないよう、充実した時間を過ごせるかどうかに大きな違いが出てくるためです。

    患者の療養生活時におけるグリーフケア

    患者の療養児には、患者の心身が今どういう状態であるか、今のうちにしておくのが望ましいのはどんなことであるのかを患者の家族に適宜説明することが大切です。そうすることで、患者が死亡した際、遺族がパニックに陥りにくくなります。

    また、看護師や医師からの説明を受けてショックを受ける家族が出てくることも考えられますが、その際にそばにより取って話を聞いてあげることも大切です。

    危篤時~臨終時におけるグリーフケア

    患者の死に立ち会いたいと希望する家族のために、容体が危ないときには早めに連絡を入れることが大切です。また、家族が慌てて駆けつけて事故に遭ったりすることのないよう、安全に来院してもらうよう促すことも大事です。

    臨終時には、家族と患者だけの時間を持つことができるよう、カーテンを引いたり個室へ移動してもらったりといった配慮が必要です。また、エンゼルケアに参加してもらえば、遺族はうまく心を整理していきやすいとされています。エンゼルケアの経験がない人は戸惑うこともあるかもしれませんが、手足や顔など、患者が服を着たままでも拭ける範囲であれば、「やってみよう」と思ってもらいやすいでしょう。

    看取り後のグリーフケア

    訪問看護をはじめとする在宅医療では、看取り後のグリーフケアをおこなうことが多いです。「食事はとれていますか?」などの声をかけるだけでも、遺族のグリーフワークが進みやすくなります。直接訪問して傾聴する時間をとることがなかなかできないなら、空き時間を見計らって電話で声を聴くようにするといいでしょう。

    看護師がグリーフケアをおこなううえでのポイント

    看護師がグリーフケアをおこなううえで大切にしたいことは主に2つあります。

    悲しみ・苦しみに共感して、遺族の気持ちを肯定する

    1つめは、遺族の悲しい気持ち、苦しい気持ちに寄り添って共感および肯定することです。肯定とはどういうことかというと、たとえば「こんなに泣いてばかりでおかしいよね?」「病気に早期に気づいてあげられなかった罪悪感が拭えなくて辛いです」などの言葉を受けた際、そのように感じて当然ですよ、と理解を示すことを意味します。

    遺族が気持ちを吐き出しやすい場を作る

    もう1つは、遺族が気持ちを吐き出しやすい場を作ることです。死別の悲しみを乗り越えるためには、悲しい気持ちを心のなかに溜め込まず、外に吐き出すことが有効です。しかし、人前で泣いたり、悲しい気持ちを吐露したりすることが苦手な人や、そうできる環境に恵まれていない人もたくさんいます。

    そんななかで看護師にできることとしては、たとえば故人の生前の思い出を一緒に語り合ったり、話を聞いてあげたりすることが挙げられます。

    看護師に起こりがちな「プロフェッショナル・グリーフ」とは?

    ここまで説明してきた、遺族が大切な人と死別したことで経験する悲しみは「パーソナル・グリーフ」と称されますが、これに対して、看護師をはじめとする医療従事者が経験することがある喪失の悲しみは「プロフェッショナル・グリーフ」と称されます 。

    医療従事者は、患者の死を個人的なものと捉えないよう訓練している ものですが、患者の死を幾度も経験しているうち、知らない間に心のなかに悲しい気持ちが溜まってしまっている場合が多いのです。もちろん、訓練しているとはいえ、毎日のように言葉を交わしていた患者が亡くなることは辛いことです。しかも、喪失が積み重なり、グリーフが慢性化していくなかでも新たな喪失が襲ってきます。そうした時間を過ごすうち、自分でも気づかないうちに、怒り、不安、罪悪感、無力感などの感情や症状が現れることがあるのです 。また、燃え尽き症候群を引き起こし、「自分はもう、看護師としてやっていくのは難しい」と考えるようになるケースもあります 。

    看護師がプロフェッショナル・グリーフを緩和するためにできることは?

    看護師がプロフェッショナル・グリーフを和らげるためにできることはいくつかあります。

    信頼できる人に話を聞いてもらう

    まずは、辛い・悲しい気持ちを抱えていることを身近な人に打ち明けることが大切です。なぜなら、グリーフは一人で抱え込むことによって悪化しやすいためです。親身になって話を聞いてもらえる相手なら誰でも構いませんが、同じ医療職のほうが、プロフェッショナル・グリーフに対して理解があるぶん、共感および肯定してもらいやすいでしょう。

    趣味や好きなことに没頭したり、リラックスしたりする時間を持つ

    好きなことに打ち込んだり、アロマや銭湯でリラックスしたりといった時間を持つことで、心の疲れが癒されやすくなります。

    バランスのとれた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がける

    身体に疲れが溜まっていると、思考がマイナスになりがちです。食事や睡眠環境を整えて、汗をかく時間を持つことで、思考をプラスに切り替えていきましょう。

    プロフェッショナル・グリーフに関してしっかり理解してくことも大切

    「自分はプロフェッショナル・グリーフに悩まされることはない!」と思っていても、気付かないうちに辛い気持ちが蓄積されていることがあるので、プロフェッショナル・グリーフにはどんな症状があるのかなど、きちんと理解しておくことが大切です。また、自分はプロフェッショナル・グリーフに悩まされることはないにしても、プロフェッショナル・グリーフに悩んでいる同僚がいたときに、しっかりと寄り添って支えてあげられるよう、理解を深めておいてくださいね。

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    対象規模

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