看護師のなかには、看護師以外の職業にチャレンジしたいと転職する人がいます。チャレンジする職業は、まったく違う職業のこともあれば、同じ医療職の別の職種であることも。そのひとつが助産師への転職と考えられますが、実際のところ、看護師から助産師になる人は多いのでしょうか? また、どうすれば看護師が助産師へ転身することができるのでしょうか? 詳しく説明していきます。
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助産師の資格を取得する方法は?
まずは、助産師の資格を取得する方法を説明していきます。
助産師の資格を取得するためには、助産師国家試験に合格する必要がありますが、助産師国家試験を受けるためには、看護師の国家試験にパスしていることが必要です。
加えて、助産師について専門的に学んでいることも必要ですが、その方法は大きく2パターンにわけられます。
助産師になることを目標に大学に進学するルート
まず、最初から助産師を希望している場合、高校卒業後に、4年制の看護系大学の助産師選択コースに進学して4年間きっちり学んだ後、看護師国家試験と助産師国家試験を両方同時に受験するのがスタンダードなルートです 。
ただし、ダブル受験の結果、看護師国家試験に落ちてしまった場合は、助産師国家試験に合格したとしても、助産師の免許を取得できません。この場合、翌年以降に看護師国家免許に合格した時点で、看護師、助産師両方の資格を得られるということになります 。
なお、助産師国家試験の施行は年1回で、例年、2月に施行されています。参考までに、令和7(2025)年の試験機実は2月13日(木曜日)と発表されています。
看護師免許を取得した後、助産師を目指すルート
看護師免許を取得した後に、助産師の資格も取得したくなったものの、看護系大学の助産師選択コースで学んでいない場合、看護師免許取得後に、大学院や大学あるいは助産師養成所で一定期間学んでからでないと、助産師国家試験を受けることができません。
具体的には以下のいずれかが必要です。
- 看護系大学院で2年間の専門教育を修める
- 看護大学専攻科・別科、看護短期大学専攻科、助産師養成所のいずれかで1年間の専門教育を修める
- 看護系大学院で2年間の専門教育を修める
- 看護大学専攻科・別科、看護短期大学専攻科、助産師養成所のいずれかで1年間の専門教育を修める
参照:厚生労働省 職業情報提供サイト「jobtag」助産師「就業するには?」
つまり、いずれのルートの場合も、助産師国家試験を受ける前に看護師国家試験に受かっていることが前提となります。また、看護師国家試験に受かった後、何年以内に助産師国家試験を受けないといけないというルールはないため、「助産師になることを目標に大学に進学するルート」「看護師免許を取得した後、助産師を目指すルート」のいずれを選択した場合も、看護師国家試験に合格してから助産師国家試験を受けるまでの間に、看護師として働いた経験があるということはあり得ることになります。
看護師として働きながら助産師を目指すことはできる?
続いては、「看護師として働きながら助産師を目指すことはできるのか」を説明していきますが、まず、結論としては「できる」といえます 。その理由を説明していきましょう。
まず、「看護師として働きながら助産師を目指す」ことになる理由としては以下の2つが考えられます。
① 看護師国家試験と助産師国家試験を両方同時に受験したが、助産師国家試験に落ちた
② 看護師免許を取得した後、追加で助産師の資格も取りたいと考えるようになった
助産師国家試験に落ちて次の受験日を待っている状態の場合、看護師として働きながら助産師を目指すのも一手
このうち、①の場合、助産師国家試験の受験資格は既に有しているため、不合格となった後に専門教育を修める必要がありません。よって、翌年の受験日までは時間は有り余っていることになるわけですから、せっかく看護師国家資格に受かって看護師の免許は取得できたなら、パートとしてであっても働きながら次の受験日を待ったほうがモチベーションをキープしやすいといえるでしょう。
看護師として既に就職している場合、勤務先に「資格支援制度」があれば給与をもらいながら助産師の資格取得を目指せる
一方、②の場合はというと、前出のとおり、下記のいずれかの条件をクリアする必要があります。
上記のうちいずれの選択肢を選んだとしても、机上の勉強のみではなく、病院や助産院での臨地実習が必須となるため、夜学や通信などで必要な学問を修めることができません。そのため、②の場合は基本的には「看護師として働きながら助産師を目指すことは難しい」ということになります。
ただし、夜勤専従で月に数回程度アルバイトに入ることなどは十分可能です。また、夏休み期間などに短期集中でアルバイトするのもいいでしょう。
なお、看護師資格を取得した後、既に看護師として医療機関に就職している人が助産師の資格取得を目指す場合、勤務先に「資格支援制度」があれば、給与をもらいながら助産師の資格取得を目指すことは可能です。どういうことかというと、この制度を利用すれば、助産師学校への出張を出張扱いにしてもらえるため、正確には「看護師として働きながら助産師を目指す」といえないものの、「看護師として給与を得ながら助産師を目指す」ことは可能というわけです。
また、勤務先に「進学休職制度」がある場合、1年または2年休職することができる ため、職を失わずに助産師を目指せるというメリットがあります。
ただし、「資格支援制度」や「進学休職制度」がある医療機関であれば誰でもその制度を利用できるというわけではなく、たとえば「2年以上在籍していること」などの条件が設けられている場合があります。また、いずれの制度も、利用した場合は引き続きその勤務先での業務に従事することになるので、助産師の資格を取得した後、そのままそこで働き続けたいのかどうかはよく考えたうえで制度の利用を申請する必要があります 。
准看護師から助産師を目指せる?
看護師から助産師を目指せるなら、准看護師からでも助産師を目指せるの? と気になる人もいるでしょう。結論から言うと、准看護師からでも助産師を目指せます。
准看護師が助産師国家資格を得るためには、まず、看護師国家資格を取得する必要があります。准看護師が看護師国家試験の受験資格を得るためには、次の3つのいずれかの条件を満たす必要があります。
① 全日制看護師学校看護師養成2年課程を修了する
② 定時制看護師学校看護師養成3年課程を修了する
③ 准看護師として7年以上の業務経験を積んだ後、通信制看護師学校看護師養成2年課程を修了する
このうち②③の場合は働きながら看護師国家資格を目指せますが、①の場合はフルタイムで働くことはできないので、夜勤専従で月に数度アルバイトに入る程度が限度かもしれません。
「退職して助産師国家試験合格に向けての勉強に専念する」のも選択肢のひとつ
前述の通り、既に看護師として働いているものの、看護系大学の助産師選択コースで学んだ実績がない人が助産師国家試験を得るには、最低1年間、専門教育を修める必要があります。1年間、アルバイト程度の収入しか得られないとなると不安になるかもしれませんが、その不安を払しょくするために、十分な資金を貯めてから助産師国家試験にチャレンジするというのも賢い選択です。事実、看護師として研鑽を積んだ後、助産師に転身したいと考える人は多いため、40代、50代で助産師養成所などに入学する人もいるのだとか 。それを踏まえたうえで人生計画を立てれば、「自身の出産経験を活かせるよう、子育てが落ち着いたころに助産師国家試験を受けるのもいいかも」など柔軟に考えることができるかもしれませんね。
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この記事は、2024年9月時点の情報を元に作成しています。