
「訪問診療」と「往診」は、医師が患者のもとを訪ねて診療する点においては共通していますが、利用するシーンや利用回数の制限などに違いがあります。どのような違いがあるのかを詳しく解説していきます。併せて、診療報酬に関する注意点なども解説していきます。
訪問診療とは
まずは、訪問診療、往診の意味をそれぞれ解説していきます。
訪問診療とは、通院が難しい患者の自宅や入居施設に医師が出向き、診療・治療をおこなうことを意味します。訪問診療の対象となる患者の85%以上が要介護状態で、患者やその家族から相談を受けて、サービス提供を開始することとなりますが、その際、これまでの病歴や現在の病状などを詳しく聞き出すと同時に、関係医療機関などからも情報を収集します。そのうえで、どのような治療を希望しているのか、経済的事情、家族がどの程度介護に携われるのかを確認しながら、診療計画や訪問スケジュールをたてていきます。
具体的には、「毎週X曜日のX時」などと決めて計画的に診療をおこなうことになります。多くの場合、1週間または2週間に1回の割合での訪問となり、診療や治療、薬の処方、療養上の相談や指導をおこないます。患者の症状や状態によっては、点滴や中心静脈栄養、注射などの処置や管理をおこなうこともあります。
また、急変時には次の訪問日を待つことなく緊急訪問をおこない、場合によっては入院の手配なども担当します。患者の状態に応じて臨機応変に対応する必要があるため、24時間体制で在宅療養をサポートすることになります。
往診とは
往診とは、通院が難しい患者の様態が急変した際に、患者の要望を受けて医師が患者の自宅ないし入居施設に出向いて診療することを意味します。また、普段であれば通院可能な状態であっても、夜間や休日などに症状が悪化した場合や、急変とまではいかずとも、寝たきりで通院が難しいことなどから、自宅で医師の診察を受けるために往診してもらうことは可能です。
ただし、通院可能かつ普段と変わらない状態のときに、自己都合で医師を呼ぶことは本来の往診の趣向から外れることになるので注意が必要です 。反対に、救急車が必要なほど緊急度が高いと考えられる場合や、自院からの訪問では距離的に間に合わないと判断される場合などは、救急車を要請したほうがいい場合もあります。
訪問診療と往診の違いとは?
それぞれの言葉の意味がわかったところで、訪問診療と往診の違いを解説していきます。
訪問診療と往診のもっとも大きな違いは、「診療が計画的かつ定期的におこなわれているか」ということです。また、計画的かつ定期的におこなわれる訪問診療に関しては、「患者やその家族の署名付き同意書が必要」で、「原則として1日1回、週3回まで」の回数制限が設けられています。
さらに、訪問診療は、計画的かつ定期的におこなわれるという性質ゆえに、介護施設など同じ建物に入居する複数人を同日に訪問することができることから、診療報酬点数が訪問人数別に定められていま す。
なお、前述の“患者やその家族の署名”に関しては、訪問診療を開始する前に、「訪問診療同意書」または「在宅療養計画書」に記入してもらいます。訪問診療同意書には、患者の要介護度や装着・使用機器等などの基本情報のほかに、「療養ケアについての家族の希望および合意した方針」「訪問日や投薬、注射・検査などの治療計画」「在宅療養支援チームメンバーの名前と連絡先」などを記します。患者およびその家族の両名の署名が基本ですが、患者本人が署名することが難しい場合、家族に代筆してもらうことになります。
同意の署名を得て初めて、訪問診療をスタートすることができます。
訪問診療と往診の注意点は
続いては、訪問診療と往診の注意点を解説していきます。
訪問診療と往診を実施するにあたっては、以下の3点についても考えることが大切です。
それぞれ詳しくみていきましょう。
訪問先が分散している場合などのスケジュール・ルートの組み立て方
訪問診療に関しては、患者の居住地が分散している場合、なるべく移動距離が少なくて済むよう、日時を調整することが大切です。とはいえ、どのようなルートで回ればいいのかを割り出すことは簡単ではありませんし、患者それぞれの住所を地図上で確認していくこと自体、大変手間のかかる作業です。そこでおすすめが、訪問予定やルート、在宅患者情報を一元管理してくれるアプリやシステムを使うことです。
たとえば、在宅医療専用クラウドスケジュール管理ソフト「CrossLog」なら、訪問スケジュール作成機能やルート作成機能が備わっているため、より簡単にスケジュールを管理することができます。
参照:在宅医療を導入するクリニックは活用したい。在宅医療専用スケジュール管理ソフト『CrossLog』
医師や看護師の移動管理(安全運転など)
訪問診療や往診を実施するうえでは、車での移動が不可欠です。ですが、医師や看護師は運転のプロではないうえ、平時の業務で疲労が蓄積された状態だと、さらに事故を起こす可能性が高まります。それを防ぐためにも、車両を定期的に点検することや、日ごろから時間外・休日労働上限規制などを守って働くことがとても大切です。
なお、事故が起きる確率を少しでも減らすためには、デュアルカメラブレーキサポートやふらつき警報機能、車両逸脱警報機能、先行車発信お知らせ機能などの安全装備が万全の車種を選ぶことがおすすめです。中古車のほうが初期費用を抑えられるというメリットはありますが、安全面を考慮すると、車の性能にもこだわったほうが安心でしょう。
また、医師や看護師が運転に対して苦手意識があることが懸念点であるなら、医療スタッフの送り迎えを担当してくれる「訪問診療ドライバー」を導入するのも一手です。往診に関しては、事前にスケジュールを立てられないため、こうした制度を利用するのは難しいですが、何曜日の何時などとスケジュールを固定できる訪問診療がメインなら、スタッフの心的ストレス軽減にも役立つので、導入を検討してみてもいいかもしれません。
移動時の交通費や車両維持にかかるコスト管理
訪問診療や往診に使う車の維持費やガソリン代は、総額すると結構な金額になります。しかし、事業に使ったぶんに関しては経費として計上できるので心配要りません。ただし、プライベートでも使用している車で訪問診療や往診に出向いている場合、プライベートで使用したぶんと仕事で使用したぶんとできっちりわける必要があるのでご注意を。
また、これから車両を導入する場合、販売価格のみを確認するのではなく、減価償却費についても考慮することが大切です。
訪問診療、往診の診療報酬は?
訪問診療、往診はどちらも医師が患者の自宅ないし入居施設を訪問して診療をおこなうことから、「在宅医療」に分類されますが、在宅医療の診療報酬は以下のように構成されています。
【在宅医療の診療報酬】
①基本診療料:初診料や再診料など
②在宅患者診療、指導管理料:在宅患者訪問診療料や往診料、在宅患者医学総合管理料など
③薬剤料:注射代や薬代など
④その他:診療情報提供料、検査料、居宅療養管理指導料など
このうち、在宅医療の診療報酬の基本となるのが②で、訪問診療には「在宅患者訪問診療料」、往診には「往診料」が適用されます。
ただし、「在宅患者訪問診療料」または「往診料」を算定するには、次の2つの条件をクリアしている必要があります。
①患者の移住地は当該医療機関から半径16km以内
②患者の自宅で医師が滞在する時間は1時間まで
これを超える場合は、「離島僻地加算」「患家診療時間加算」などを算定できる場合もありますが、半径16kmを超えて訪問診療や往診に出向く場合は、絶対的な理由が必要となります。
「絶対的な理由」とはなにかというと、たとえば下記の3点が考えられます。
1.患家の所在地から半径16キロメートル以内に、患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合
2.患者の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在していても当該保険医療機関が往診等をおこなっていない場合
3.重症児の在宅医学管理時や、訪問型病児保育中に必要となった場合の小児科の診療など、往診などに対応できる保険医療機関の確保が特に難しい専門的な診療を要する場合で、近隣に対応できる保険医療機関を患者が自ら見つけられず、往診等を依頼された保険医療機関側も、患者の近隣に対応できる医療機関を実態として知らない場合
なお、「在宅患者訪問診療料」「往診料」ともに、別途、「在宅療養支援診療所」の届出を提出していなければ加算できません。ただし、届出を提出していなくても、訪問診療または往診を実施することは可能です。実施はできて「在宅療養支援診療所」が算定できる診療報酬点数を算定できないということになります。
在宅療養支援診療所とは?
在宅療養支援診療所とは、在宅診療患者に対して24時間対応が可能である医療機関を評価する施設基準を指します。在宅診療支援診療所は条件の違いによって(1)から(3)までの区分にわかれています。なお、在宅療養支援診療所(1)は「機能強化型在宅療養支援診療所(単独型)」、在宅療養支援診療所(2)は「機能強化型在宅療養支援診療所(連携型)」と呼ばれることもあります。
在宅療養支援診療所(1)~在宅療養支援診療所(3)の施設基準は次の通りです。
在宅診療支援診療所(1)の点数、施設基準
【点数】
【施設基準】
在宅診療支援診療所(2)の点数、施設基準
【点数】
【施設基準】
在宅診療支援診療所(3)の点数、施設基準
【点数】
650点
【施設基準】
※なお、在宅療養支援診療所以外の診療所が訪問診療または往診を実施した場合、
一律325点の診療報酬を算定可能です。
つまり、在宅療養支援診療所(1)~(3)のいずれかで算定できるよう、施設基準を満たしておいたほうが、診療報酬点数的には得だということになります。
在宅患者訪問診療料、往診料の点数は?
続いて、「在宅患者訪問診療料」「往診料」のそれぞれの点数を解説していきます。
在宅患者訪問診療料(I)
在宅患者訪問診療料1
1人の患者に対して、1つの医療機関の保険医が指導・管理する診療訪問に適用となる診療料
※同じ日に同じ建物で患者2人以上に対して訪問診療をおこなった場合、「同一建物居住者」への点数が適用されます
在宅患者訪問診療料2
1人の患者に対して、複数の医療機関が算定する場合に適用となる診療料
在宅患者訪問診療料(II)
有料老人ホームなどに併設される保健医療機関が、当該施設に入居している患者に対して訪問診療をおこなった場合に適用されます。診療報酬点数は150点です
また、訪問診療は長期継続的な治療を目的としているため、往診料とは異なり、以下の2つの加算も算定可能です。
訪問診療によって在宅で患者を看取った場合に算定可能
死亡日前の14日間に2回訪問診療をおこなった場合に算定可能
※在宅患者訪問診療料(I)および在宅患者訪問診療料(II)の対象患者は、自分で通院ができない患者もしくは長期的な医学管理が必要な患者で、算定回数は1日につき1回、原則週3回までとなります。ただし、患者の急性憎悪などによって週3回以上の訪問が必要だと判断された場合、1月に1回に限って、14日間の訪問と14日を限度に算定可能です。なお、初診料および再診料は在宅患者訪問診療料に包括されるため算定不可です 。
往診料
1回につき720点
回数に制限がないため、1日1回以上の算定も可能です。また、初診料・再診料も同時に算定することができます。加えて、条件に当てはまった場合、次の加算も算定できます。
緊急往診加算:標榜時間内であっても外来診療を止めて訪問した場合に算定可能
夜間・休日往診加算:午後6時~午後10時に訪問した場合に算定可能
深夜往診加算:午後10時~午前6時に訪問した場合に算定可能
それぞれの点数は、医療機関や患者の条件によって次のように定められています。
イ 厚生労働大臣が定める患者に対して(通院が難しいなどの条件に当てはまる患者に対して)、在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院であって、別途、厚生労働大臣が定めるものの保険医がおこなう場合
(1) 病床を有する場合
① 緊急往診加算 850点
② 夜間・休日往診加算1,700点
③ 深夜往診加算 2,700点
(2) 病床を有しない場合
① 緊急往診加算 750点
② 夜間・休日往診加算1,500点
③ 深夜往診加算 2,500点
ロ 厚生労働大臣が定める患者に対して、イに規定するものを除く在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院の保険医がおこなう場合
(1) 緊急往診加算 650点
(2) 夜間・休日往診加算 1,300点
(3) 深夜往診加算 2,300点
ハ 厚生労働大臣が定める患者に対して、イまたはロに該当する以外の保険医療機関の保険医がおこなう場合
(1) 緊急往診加算 325点
(2) 夜間・休日往診加算 650点
(3) 深夜往診加算 1,300点
ニ 厚生労働大臣が定める患者以外の患者に対しておこなう場合
(1) 緊急往診加算 325点
(2) 夜間・休日往診加算 405点
(3) 深夜往診加算 485点
訪問診療、往診にはいずれも医療保険が適用される
訪問診療、往診は、どちらも医療保険の対象となります。ただし、基本的には医療保険の対象となる訪問診療や往診において、医師が健康管理や指導をおこなう「居宅療養管理指導」が提供されることがありますが、居宅療養管理指導は医療行為には該当しないため、介護保険の適用となるので注意が必要です。
なお、居宅療養管理指導料を算定するためには、要支援・要介護者の居宅に月に1回以上、訪問診療または往診で訪れている必要があります。
また、患者が「要支援・要介護認定」の介護保険の対象者であった場合でも、医療行為に該当する部分に関しては医療保険請求となります。
一回の訪問診療や往診で、数種類の指導や行為をおこなうこともあるため、二重請求にならないよう、レセプトやカルテを記載する際には十分注意する必要があります。一つひとつの指導や行為が医療保険の対象となるのか介護保険の対象となるのかについて、知識が定着していないうちは、面倒でも毎回複数人のスタッフで確認したほうが安全だといえるでしょう。
訪問診療、往診の併用時の注意点
続いては、訪問診療と往診を併用する場合の注意点を解説します。
まず、訪問診療と往診は併用可能です。正確にいうと、「計画的におこなっている訪問診療の最中に患者の容態が悪化した場合、必要に応じて往診をおこなう」ということになります。なお、この場合、訪問診療料と往診料の両方を加算できますが、訪問診療料は1回のみの加算となります。
訪問診療、往診のポイント
続いては、訪問診療、往診のポイントをみていきましょう。訪問診療、往診を効率よく、かつ的確におこなうためには、下記の点が重要であることをしっかりと理解する必要があります。
【業務フローの確立】
【リスクマネジメント】
【備品管理・コスト管理】
それぞれ詳しく解説していきます。
地域包括支援センターや訪問看護ステーションとの連携
訪問診療も往診も、地域包括支援センターや訪問看護ステーションとの連携なくして精度を上げることはできません。医療ニーズ・介護ニーズを併せ持つ患者を地域全体で支えていくため、医療機関もその一員として、在宅医療・介護が円滑に提供される仕組み作りにも寄与することが欠かせません。
紹介患者の受け入れまたは紹介
訪問診療や往診において、患者が専門の医療機関を受診することが望ましいと判断される場合、医師は、患者の症状に合った医療機関を紹介することが大切です。反対に、患者を紹介されることもあるので、必要なときに受け入れられるよう、体制を整えておくことが大切です。
夜間・休日の看護師対応や救急往診コール体制の分担
夜間や休日に、患者の容態が急に悪化した場合のオンコール体制を整えておくことも非常に大切です。オンコール体制を整えるうえでは、待機する看護師の手当についても考える必要があります。
連携パスの作成・多職種連携
リハビリなどを必要とする患者を、多職種でどのように支えていくのかについて、具体的なフローを考えておく必要もあります。
往診中・訪問診療中における医療事故対応・賠償責任保険の確認
通常の診療同様、往診や訪問診療でも医療事故が起きる確率はゼロではありません。というより、要介護状態の患者などが多いことを考えると、寧ろ通常の診療時よりも確率が高いといえます。そのため、万が一のことが起きた場合を想定して、大病院への搬送のフローなどを確認しておくことも大切です。
併せて、医師賠償責任保険の見直しなどもおこなっておきたいところです。
救急搬送の判断基準や救急隊との連絡体制確立
患者の容体が悪化した、異変が確認できるなどといったことから、救急搬送すべきかどうかの判断を迫られる場合があります。その場合の判断基準や、救急隊との連絡手段なども予め決めておけば、万が一のときに慌てずに済みます。
スタッフの安全管理
夜間帯に患者の居宅を訪問したり、患者宅で医療物品や薬物を取り扱ったりすることには危険が伴います。そのため、スタッフの安全管理を徹底する必要があります。
医療廃棄物などに関する衛生管理
患者の居宅で注射や点滴をおこなった場合、注射針や点滴ラインをどのような手順で廃棄するのかなどをしっかり決めて、衛生管理を徹底することが大切です。
訪問先での滅菌操作の手順確立や感染対策強化
患者の居宅で医療行為をおこなうにあたっては、医師や看護師が服装や手指を清潔に保つことが不可欠です。処置をおこなうたびに洗面所で手を洗わせてもらうというわけにもいかないので、どのように滅菌するのか、いかにしてウイルスや菌を持ち込まないかについても考える必要があります。
廃棄物回収業者との契約およびコスト計算
訪問先で使用した使い捨て医療機器の廃棄をどの業者に依頼するのか、廃棄物回収業者との契約にいくら必要なのかも事前に考えておく必要があります。
訪問診療・往診を始める際に必要な手続きは?
続いては、新規で訪問診療や往診をスタートする際に必要な手続きを確認していきましょう。
それぞれ詳しくみていきましょう。
在宅医療専門でおこなうのかそうでないのかを決める
在宅医療をはじめるにあたって最初に必要なことは、「在宅医療を専門におこなう在宅療養支援診療所とするのか」「訪問診療・往診を中心に取り組む在宅療養支援診療所とするのか」についての意思決定です。
前者としてやっていくには、前述の在宅療養支援診療所の施設基準に加えて、次の5つの実績を満たしていなければなりません。
①在宅患者の占める割合が95%以上である
②1年に5カ所以上の医療機関から新規患者紹介がある
③看取り実績が年20件以上、または15歳未満の超・準超重症児の患者が10人以上である
④「在総管・施設総管の件数」に占める「施設総管」が70%以下である
⑤「在総管・施設総管の件数」に占める「要介護3以上の患者+重症患者」の割合が50%以上である
参照:厚生労働省「地域包括ケアシステム推進のための取組の強化」在宅療養支援診療所の施設基準の概要
また、以下の7つの要件を満たしていることも求められます。
①無床診療所であること
②当該保険医療機関において、在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定して、その範囲(対象とする行政区域、住所等)を被保険者に周知すること
③②の地域の患者から、往診または訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由などなく断ることがないこと
④外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、②の地域内に協力医療機関を2か所以上確保していること(地域医師会(歯科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意を得ている場合にはこの限りではない)
⑤②の地域内において在宅医療を提供して、在宅医療導入に係る相談に随時応じることおよび当該医療機関の連絡先などを広く周知すること
⑥診療所の名称・診療科目等を公道などから容易に確認できるよう明示したうえ、通常診療に応需する時間にわたり、診療所において、患者、家族などからの相談に応じる設備、人員などの体制を備えていること
⑦通常診療に応需する時間以外の緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること
参照:在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の指定の取扱いについて
必要な人員配置を考える
医師のほかに必要なスタッフとその配置を考えることも必須です。在宅診療支援診療所(1)~(3)を算定する場合、24時間対応可能な医師または看護職員を決めることも必要であるため、対応可能な人員を確保する必要もあります。
スタッフの研修を実施する
訪問診療や往診に携わるスタッフに対して、必要な研修を実施します。訪問診療や往診をスタートする前に、訪問先での診療の流れについてスタッフにも把握してもらっていなければ、当日になって現場でスムーズに動けないことも考えられます。また、「在宅医療を専門におこなう在宅療養支援診療所」ではなく、「訪問診療・往診を中心に取り組む在宅療養支援診療所」の場合、診療所での診察と、訪問診療および往診の時間をどうわけるのかなどに関しても、スタッフにしっかり説明する必要があります。
必要な機材や車などをそろえる
訪問診療および往診に使う車や、訪問先で使う医療機器をそろえることも必要です。車両代やガソリン代・駐車場代は経費として落とせますが、自家用車としても使う場合、購入費や維持費を按分する必要があります。
地域包括支援センターや訪問看護ステーションと関係を構築する
前述の通り、訪問診療や往診をおこなうにあたっては、地域包括支援センターや訪問看護ステーションと連携を取り合うことが不可欠です。そのため、新規参入するにあたっては、在宅医療に携わる事業所やスタッフといかに良好な関係を構築するかを考えることも大切です。
訪問診療や往診をはじめることをホームページやチラシで告知する
訪問診療や往診をはじめることを、自院のホームページやチラシによって地域に周知させることが大切です。また、地域包括支援センターや訪問看護ステーションにも周知に協力してもらうと、集患につながりやすくなります。
診療報酬改定をチェックする
在宅医療に関する診療報酬点数をチェックするのが大切であるのはもちろん、最新の診療報酬改定によって点数が変わっていないかを確認することも大切です。
訪問診療、往診はどちらも患者にとってなくてはならないサービス
少子高齢化が加速して、在宅医療のニーズが高まっている昨今、訪問診療、往診はどちらも患者にとってなくてはならないサービスです。「長期継続的に診療を続ける訪問診療」「対症療法的に診療する往診」という違いはありますが、それぞれに必要とする患者、提供する医療機関が存在するので、いずれか一方を提供している医療機関も、両方を提供している医療機関も、患者やその家族、地域の医療機関などと必要な連絡を取り合いながら最適なサービスを提供していくことが大切です。また、現状、訪問診療も往診もおこなっていない医療機関に関しても、患者からの要望の声が増えるにつれ、「自院でも患者の希望に添えるよう体制を整えるべきなのでは?」と検討し始める可能性は十分にあるので、今後も診療報酬改定の動向などをチェックしつつ、気が熟すのを待つのも一手かもしれませんね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年3月時点の情報を元に作成しています。