
看護師の資格は、看護師・准看護師・助産師・保健師の4種類にわけられます。しかし、このうちの一つである准看護師の資格が、近い将来、廃止になるという噂を聞いたことがある人もいるでしょう。その噂は本当なのか、また、本当であるとするなら、いつ廃止になることが予定されているのかを確認していきましょう。
「准看護師廃止論」とは?
まず、准看護師の資格が廃止されるとの話がどこから出てきたのかを確認しましょう。
「准看護師の資格を廃止したほうがいいのでは?」という議論は、1990年代に既に持ち上がっています。なぜこのような議論が持ち上がることとなったかを説明するためには、准看護師の資格が誕生した背景を説明する必要があります。
准看護師制度が誕生したのは、1951(昭和26)年のことでした。なお、2002年の法改正によって、「看護婦」、男性の場合は「看護士」が、性別問わず「看護師」と呼ばれるようになるまでは「准看護婦制度」と呼ばれていたので、正しくは、この時点では「准看護婦制度」です 。
なぜ准看護婦制度が誕生したかというと、第二次世界大戦後、当時の国民病だった結核の蔓延によって病院が増加したことで、全国的に看護婦が不足したことに起因しています。事態を重く見た国は、“当面の間の措置”として、資格取得のために満たすべき要件を「高校卒業」から「中学校卒業」にまで引き下げ、准看護婦の教育制度が開始。急速な看護婦拡充を成功させるに至ったのです。
しかし、“当面の間の措置”だったはずの准看護婦制度はその後も廃止となることはなく、呼び名が変わった現在では、「准看護師制度」として存続。こうした状況をどう収束させていくべきかについて、1990年代から議論が持ち上がるようになっていったのです。
1996(平成8)年には「21世紀の初頭の早い段階をめどに看護婦養成制度の統合に務める」と提言
議論が活性化し始めたのは、1990年代半ばのことでした。まず、1995(平成7)年に、当時の厚生省が「准看護婦問題調査検討会」を開催。准看護婦養成所の客観的な実態把握やそれに基づく検討がおこなわれ、1996(平成8)年には報告書が公表されています。
内容は、「21世紀の初頭の早い段階をめどに看護婦養成制度の統合に務める」というもの。しかし、21世紀に入って四半世紀を経た現在でも、看護師制度の統合は実現されていません。
参照:公益社団法人『日本看護協会』「准看護師制度の課題解決に向けた取組み」
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【2025年最新】准看護師制度の廃止に関する動向と現状
では、2025年現在、准看護師制度の廃止に関する動向はどうなっているかというと、結論からいうと、前述の提言がなされた当時と変わっておらず、具体的な廃止年度などは決まっておりません。その大きな理由が、『日本看護協会』と『日本医師会』で意見がわかれていることにあります。
『日本看護協会』は「准看護師と正看護師は一本化すべき」との考
まず、『日本看護協会』は、ホームページの記事コンテンツにおいて、「准看護師養成の停止を目指し、准看護師養成所から看護師養成所への転換を促進するとともに、現在、活動している准看護師の研修や進学支援に取り組みます」とするスタンスを示しています。
また、その理由について、疾病構造の変化や少子高齢化の進展によって、医療・看護をめぐる状況が大きく変化しているなか、社会の変化や、患者・利用者のニーズに応えるためには、准看護師養成のカリキュラムでは、内容・時間共に不足しているからであるとしています。
参照:公益社団法人『日本看護協会』「准看護師制度の課題解決に向けた取組み」
『日本医師会』は「准看護師制度は廃止すべきではない」との考え
一方の『日本医師会』は、2024年9月4日の日付でホームページにアップしている記事コンテンツにおいて、「
日本医師会および地域の医師会は、これからも地域の医療を守るため、看護師・准看護師の養成・確保に取り組んでいきます」と明言しています。
また、その理由として、看護職員が慢性的に不足した状態にあることを説明したうえで、「そのなかで地域の医療を看護師とともに支えているのが准看護師である」と断言。高齢化の進展とともに医療ニーズが高まっていくなか、看護職員の確保が重要であることを訴えています。
参照:日本医師会「地域医療を支える看護職員(准看護師を含む)の養成について」
つまり、『日本看護協会』『日本医師会』の双方とも、「高齢化社会が進むことで医療ニーズが増える」という見解であるものの、前者は「そのために看護職員一人ひとりの知識やスキルをあげるべき」との考えで、後者は「人数を確保していくことが先決である」との考えであることがわかります。こうした意見の対立があることから、未だ議論は決着していませんが、准看護師制度が廃止される可能性が0%ではないことは頭に入れておきたいところです。
准看護師制度が廃止になった場合、現職の准看護師は働けなくなる?
准看護師制度が廃止となる可能性があるとなると、現在、准看護師として働いている人は、「今の仕事を続けられなくなるのでは?」と気になるでしょう。
この点に関しては、准看護師制度が廃止されるか否かが決まっていないのと同様、はっきりとは決まっていません。ただし、現職の准看護師に対する経過措置が設けられる可能性が高いとされています。加えて、准看護師から正看護師への移行をサポートする制度が整備される可能性もあるので、現在、准看護師として働いている人は、こまめに情報をチェックしておいたほうがよさそうです。
なお、なぜ現状では何も決まっていないのに、経過措置が設けられる可能性が高いとされているかというと、過去に、准看護師以外の医療・福祉系の資格制度に変更が生じた際、経過措置がとられた前例があるためです。
たとえば、介護福祉士の受験資格が現在の形になったのは2022年ですが、2017年に、「養成施設の卒業」も国家試験の受験資格に追加された際には、2017年度~2026年度の間に卒業する人は、国家試験に不合格または受験しなくても、5年間の期限付きで介護福祉士になれるという経過措置がとられました。さらに、その間に国家試験に合格するか、もしくは5年間継続して介護などの業務に携わることによって、5年が経過した後も介護福祉士として働くことができるとされています。
また、平成27年度に「幼保連携型認定こども園」が創設された際には、該当する園に勤務する職員(保育教諭)は、原則として保育士資格と幼稚園教諭免許状とを併有する必要があるということが決定されましたが、令和12年3月(令和11年度末)までの期間については、いずれか一方の資格または免許を保有していれば保育教諭として勤務可能だという経過措置期間に定められています。ただし、この期間中に、保有していないほうの資格または免許を取得する必要があります。
参照:静岡県「幼稚園教諭免許および保育資格の取得特例制度について」
なお、詳しくは後述しますが、准看護師制度の行方を見守りつつも、准看護師から正看護師へのルートを歩み始めるのも一手です。
正看護師数に対する准看護師数の割合は30年間で約86%から約23%にまで減少
准看護師廃止論が1990年代から続いているとなると、「その当時から現在までの間に、新たに准看護師になろうという人はどれくらいいたの?」「准看護師ではなく正看護師を目指そうという人のほうが増えてきているのでは?」という疑問が沸いてきます。そこで続いては、准看護師数および正看護師数の推移を確認していきます。
厚生労働省が公表している「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると、1990年から2020年にかけての准看護師数および正看護師数の推移は次の通りです。
准看護師数 | 正看護師数 | 正看護師数に対する准看護師数の割合 | |
1990年 | 36.2万人 | 42.1万人 | 約86% |
1993年 | 38.7万人 | 48.2万人 | 約80% |
1996年 | 40.8万人 | 56.6万人 | 約72% |
1999年 | 41.4万人 | 65.5万人 | 約63% |
2002年 | 42.3万人 | 74.0万人 | 約57% |
2005年 | 41.2万人 | 82.3万人 | 約50% |
2008年 | 39.7万人 | 91.8万人 | 約43% |
2011年 | 37.9万人 | 102.7万人 | 約36% |
2014年 | 35.5万人 | 112.2万人 | 約32% |
2017年 | 33.2万人 | 122.3万人 | 約27% |
2020年 | 30.5万人 | 132.0万人 | 約23% |
上表の通り、人数の変遷のみを確認すると、一度は増えているように思えますが、正看護師数に対する准看護師数の割合でみると、一度も横ばい状態になることもなく、減り続けていることがわかります。また、その背景として、「准看護師制度(1990年代は准看護婦制度)はそのうち廃止になるから、資格を取得するなら正看護師だ」という考えが主流になってきていると推察できます。
准看護師養成所は20年間で約70%減少
併せて、『日本看護協会』が公表している資料によると、准看護師学校養成所数及び入学者数も減少していることが確認できます。2004年4月時点では全国に312校の准看護師養成所が存在していますが、2024年4月には、182校にまで減少しています。減少率は20年間でおよそ70%、入学者数の推移としては、2004年4月には14,210人だったところ、4,207人にまで減少しています。
また、次の県では既に准看護師養成所が学生募集を停止しています。
正看護師と准看護師の違いは?
続いて、准看護師廃止論のような議論がなぜ巻き起こるのかをきちんと理解するためにも、正看護師と准看護師の違いを今一度確認していきましょう。
正看護師と准看護師は、前述の通り、資格取得のために満たすべき要件が異なります。その結果として、主に次の3点の違いが出ることになります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
正看護師は国家資格である一方、准看護師は都道府県知事が発行する資格である
正看護師の資格を取得するためには、大学や専門養成所で必要なカリキュラムを修めたうえで、看護師の国家試験に合格する必要があります。合格すると、厚生労働大臣が発行する免許が交付されます。
最短ルートで試験にパスしたとしても、資格取得までに3年かかります。看護短期大学もしくは看護師養成所に入学した場合、3年間かけて、看護師として必要なカリキュラムを修了することとなります。必要な単位数は102単位で、3,000時間かけて 学びます。また、看護大学で必要なカリキュラムを修める場合は4年かかりますし、5年一貫看護師養成課程校の高等学校看護科で学ぶ場合、高校卒業後に短大や大学に進学するより早く専門的なことを学べるものの、5年かけて必要な知識やスキルを身に着けていくことになります。
一方、准看護師になるには 、中学卒業後に准看護師養成所で2年または高校衛生看護科で3年学ぶか、もしくは高校卒業後に准看護師養成所で2年学んだ後、准看護師の試験を受けることになります。カリキュラムを修めるために必要な時間は1,890時間 です。試験に合格すれば、都道府県知事から准看護師免許が発行されます。
正看護師のほうが、給与が高い
カリキュラムの内容や時間が大きく異なることもあり、正看護師と准看護師では給与に差があります。
厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師と准看護師の給与は次の通りです。
【看護師】
きまって支給する現金給与額:35万1,600円
年間賞与その他特別給与額:86万2,100円
年収:(35万1,600円×12)+86万2,100円=508万1,300円
【准看護師】
きまって支給する現金給与額:29万6,200円
年間賞与その他特別給与額:62万7,300円
年収:(29万6,200円×12)+62万7,300円=418万1,700円
計算してみると、年収にして90万円近い差ということになりました。
ただし、これはあくまで平均値であり、実際の給与は勤務先の地域、施設規模、経験年数、そして各クリニックの給与体系によって大きく異なります。クリニックによっては、経験豊富で地域医療に貢献する准看護師に対して、能力や貢献度を評価した給与設定をおこなっている場合もあります。
参照:政府統計の総合窓口e-Stat「令和4年賃金構造基本統計調査」※表番号1「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額および年間賞与その他特別給与額(産業計)」エクセル参照
准看護師は自分の判断で仕事できない
正看護師と准看護師は、業務に関してできることにも大きな違いがあります。どういう違いかというと、准看護師は、医師や看護師の指示がなければ、看護業務をおこなうことができません。患者の療養上のお世話はもちろん、看護計画を立案することもできません。なお、准看護師の教育カリキュラムには、看護計画の立案は含まれていません。
また、看護計画の立案ができなければ、管理職に昇進することも難しいため、准看護師のまま年収アップを目指すことも難しいといえます。ただし、詳しくは後述しますが、准看護師が看護師の資格を取得した場合、年収アップを目指すことは可能です。
准看護師の求人状況は?
「准看護師制度が廃止される可能性がある」「准看護師は自分の判断で仕事できない」などの気になる要素は、求人を出す側にとってもマイナスに働くのかが気になるところです。そこで続いては、准看護師の求人状況を確認していきましょう。「2023(令和5)年度ナースセンター登録に基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書」をもとに作成されたデータによると、看護職が求められる主な職場における、正看護師および准看護師の求人状況は次の表の通りです。
看護師 | 准看護師 | |
病院 | 67,727 | 4.208 |
診療所 | 17,615 | 1,528 |
助産所 | 0 | 0 |
介護・福祉関係 | 34,813 | 3,460 |
訪問看護ステーション | 20,980 | 234 |
都道府県・保健所 | 241 | 0 |
市町村・保育センター | 607 | 3 |
保育園・幼稚園 | 2,062 | 66 |
会社・事業所 | 1,948 | 143 |
健診センター・労働衛生機関 | 3,171 | 37 |
小学校・中学校・高等学校(養護教諭) | 460 | 1 |
学校・養成所など | 2,912 | 5 |
その他(看護職を必要としている個人など) | 7,657 | 105 |
上表からわかる通り、准看護師の求人数は、正看護師の求人数に比べて圧倒的に少ないといえます。そうしたなかである程度、准看護師のニーズがある職場は、病院や診療所、介護・福祉関係の職場という結果ですが、これらの職場が准看護師を募集する理由としては、「看護師が不足している」が一番大きいようです。
なお、同調査による「准看護師を募集する理由」の回答結果は次の通りです。
なお、「経営上の都合」が具体的に何であるのかは示されていませんが、准看護師のほうが給与を抑えられるという意図が含まれていることも考えられます。
参照:日本看護協会「准看護師の求人状況」「准看護師を募集する理由」
准看護師から正看護師になる方法は?
続いては、准看護師から正看護師になる方法を解説していきます。前述の通り、准看護師制度の廃止に伴い、准看護師の資格そのものも失われる可能性がゼロとはいえないため、看護職員として長く働き続けたいなら、今のうちに正看護師の資格を取得しておくことが得策です。
では、准看護師が正看護師になる方法はというと、大きく次の3つの方法が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
全日制 | 定時制 | 通信制 | ||
教育年限 | 2年 | 3年 | 2年 | |
受験要件 | 准看護師資格を有すること (中学校卒業の場合、実務経験3年以上。高校卒業の場合、入学にあたっての実務経験は不要) |
准看護師資格を有すること (実務経験5年以上:令和8年4月1日から) |
||
教育の内容など | 52単位 ・基礎分野 ・専門基礎分野 ・専門分野 |
対面授業による講義・演習 | 通信学習 印刷教材による授業 放送授業 |
|
16単位 | 臨地における実習 | 紙上事例演習(24事例程度) 病院等見学実習(16日) 面接授業(24日) 対面による授業(10日) |
||
備考 | 准看護師資格取得後、最短で看護師資格を取得できるコースです | 昼間定時制と夜間定時制があり、主に1、2年次の授業の時間帯が異なります。また、学校によっては、平日に授業がない曜日を設けているところもあります。3年次は実習がメインとなります | 授業に替えて主に通信教材による学習、実習は病院などでの見学実習のほか、登校による授業(面接授業)や事例検討(紙上事例演習)などをおこないます。登校日は授業やガイダンスや試験などで日数が学校によって異なります。放送大学を併用したカリキュラムの学校があります |
全日制で2年間学ぶ
最短ルートは、全日制で2年間学ぶルートです。ただし、中学校卒業後に准看護師の資格を取得して働いていた場合、実務経験が3年以上必要なので、まだ3年働いていない場合、2年間以上かかることになります。日中に学校に通う必要があるため、働きながら資格取得を目指すことは難しいでしょう。ただし、週末にパートとして稼ぐなどの選択肢は考えられます。
定時制で3年間学ぶ
准看護師として働きながら、正看護師の資格取得を目指したいなら、定時制に3年通うルートがおすすめです。ただし、3年時には実習が増えることから、体力的な負担が大きくなります。
通信制で2年間学ぶ
実務経験が5年以上ある場合(ただし、令和8年4月1日から。それ以前は実務経験が7年必要 )、通信制で2年間学ぶというルートもおすすめです。ただし、自分で勉強時間を確保しなければならないため、強い意志を持って続けられる人でなければおすすめできません。
参照:公益社団法人『日本看護協会』「准看護師から看護師へ今の一歩が未来を変える」
准看護師が正看護師を目指す場合いくらかかる?
准看護師から正看護師を目指す場合、10~30万円程度の入学金、年間平均85万円程度の授業料の他 、教本などの教材費、ユニフォーム代や交通費などの諸経費が必要となります。学校によってはそれよりも高くなる場合もあるので、資格取得のために計画的に貯金することが望ましいですが、金銭的に多少無理をしてでも少しでも早く資格を取得したいなら、奨学金や給付金を活用するといいでしょう。
准看護師が正看護師を目指す場合に利用したい奨学金・給付金とは?
奨学金には、返済が必要な「給付型」と、条件を満たせば返済の必要がない「貸与型」にわけられます。自治体や病院、もしくは日本看護協会などで用意されているほか、勤務中の医療機関に資格支援制度が設けられていれば、一部の費用を負担してもらえることがあります。
このうち、「勤務先で用意されている資格支援制度」に魅力を感じるものの、現在の勤務先にはそうした制度が設けられていないという場合、ファーストステップとして、准看護師のまま、資格支援制度が整った医療機関に転職して、その医療機関で働きながら資格取得を目指すという手もあります 。
一方の給付金は、需給条件を満たしていれば、国や自治体または入学する看護学校から受給することができます。なお、おすすめは、厚生労働省が用意している「教育訓練給付制度」を利用することです。この制度を利用すれば、教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給されるうえ、資格を取得して1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、教育訓練経費の70%が支給されます。
准看護師が正看護師を目指すメリットは?
続いては、准看護師が正看護師を目指すメリットを確認していきましょう。准看護師が正看護師を目指すメリットとしては、主に次のことが考えられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
准看護師制度の廃止に伴い職を失う心配がなくなる
ここまで述べてきた通り、准看護師制度が廃止されるかどうか、廃止となった場合いつになるのか、廃止となった場合に現職の准看護師は資格を失うのかについては、具体的に決まっていません。経過措置が設けられる可能性が高いとはいえ、100%の保証はないため、100%看護職の資格を失わない状態にもっていくためには、性看護職の資格を取るほかありません。
年収UPを目指せる
前述した通り、正看護師と准看護師では平均年収が約90万円違います。そのため、勤務先・転職先の給与にもよりますが、資格取得後は年収が上がる可能性が高いといえます。仮に年収が90万円増えたとしたら、正看護師の資格取得のために支払った入学金や授業料も2~3年で取り戻せるということになります。
昇進できる可能性が出てくる
正看護師になれば、看護計画の立案もできるようになるため、管理職に昇進できる可能性が出てきます。もちろん、それに伴い、年収がさらに高くなる可能性もあります。
業務においてできることが増える
正看護師になれば、看護計画の立案ができるようになるだけでなく、業務においてできることが増えます。制限はあるものの、医師や他の看護師からの指示を待たずに自分で考えて行動することができますし、自分が他の看護師に指示を出す立場になることもあるでしょう。
転職先などの選択肢が増える
看護職の募集において、「正看護師の資格」が求められることはあっても、「准看護師のみOK」ということはないと考えられます。そのため、これまでは「正看護師でも准看護師でもOK」の求人にしか応募できなかったことを考えると、転職先の選択肢が増えるということになります。
また、医療機関以外に、看護系技官や刑務所看護師、産業看護師、エアポートナースなどさまざまな働き方を視野に入れることができるようになります。
さらなるステップアップ・キャリアアップを目指せる
正看護師の資格があれば、認定看護師や専門看護師のような上級資格の取得も目指せます。
認定看護師の受験資格を得るためには、「正看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること」を満たしていることが必須です。専門看護師の受験資格を得るためには、「正看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上であり、そのうち通算3年以上は専門看護分野の実務研修をしていること」「看護系大学大学院修士課程もしくは関連領域の大学院修士課程を修了していること」を満たしている必要があります。
准看護師制度の行方を見守るだけでなく、自身のキャリア構築についてもしっかり考えることが大切
ここまで解説してきた通り、准看護師制度の行方については、現状、不透明であるとしかいえません。そうした状況下で、准看護師として仕事していると、不安な気持ちに襲われることもあるでしょう。しかし、事態がどう動くかわからないなか、自分のキャリアを理想の状態に持っていけるのは自分でしかありません。「こんなはずじゃなかった……」と後悔することのないよう、准看護師制度の行方を見守りながらも、自身のキャリア構築についてきちんと考えていくことがとても大切です。といっても、「今のうちに正看護師になるのが正解」というわけではありません。「万が一、准看護師の資格がなくなることになったとしても、その日まで准看護師として働ければいい」という考えの人もいれば、「看護職を続けられなくなる可能性があるのなら、どうせならまったく新しい業界にチャレンジしてみよう」という人もいるでしょう。自分にとっての理想のキャリアを考え、その実現のために何ができるのか、今、何をすべきであるのかを考えることで、よりよい未来を迎えることができるはずですよ。
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診療科目
この記事は、2025年6月時点の情報を元に作成しています。