夜勤は看護師の寿命を縮める?健康リスクと対策・体調の整え方

看護師の仕事は、肉体的・精神的負担が大きい仕事です。

特に、有床の医療機関に勤務していて夜勤がある場合、睡眠障害が出たり、寝不足が続いて肉体疲労が溜まったりするリスクが高く、健康面への不安が大きくなりがちです。

また、寿命に影響がないかも気になるところですが、実際に夜勤が寿命に悪影響を及ぼすことは考えられるのでしょうか?

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目次
  1. 夜勤が寿命に悪影響を及ぼす3つの理由
    1. サーカディアンリズムが乱れる
    2. 「発がん性リスクが高くなる」というデータも
    3. 心臓や血管の健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある
  2. 看護師の平均寿命は実際に短いのか?
  3. 夜勤の健康への悪影響を軽減させるためにできることは?
    1. 質のよい睡眠を確保する
      1. 夜勤時にはできるだけ仮眠をとる
      2. 日中も15~30分程度の仮眠をとる
      3. 夜勤明けの睡眠時には部屋を暗くする
    2. 食事のバランスや摂取のタイミングを調整する
    3. 身体を動かす習慣をつける
    4. ストレスマネジメントを実践する
      1. セルフモニタリング
      2. ストレスコーピング
    5. 定期的に身体をメンテナンスする
  4. 夜勤を続けるか悩んだ場合の選択肢は?
    1. 日勤のみ
    2. 夜勤専従
    3. 夜勤の少ない職場
  5. 夜勤の有無に関わらず、後悔のない働き方を選択しよう

夜勤が寿命に悪影響を及ぼす3つの理由

「夜勤で早死にする可能性があるなんて嘘だろう」と思うかもしれませんが、結論からいうと、夜勤は寿命を縮める要因となり得ます。まずはその理由から紐解いていきましょう。

サーカディアンリズムが乱れる

ひとつめの理由は、夜勤に対応することによって、人間の身体に備わっている約24時間周期のリズムである「サーカディアンリズム(概日リズム)」が乱れることです。

サーカディアンリズムが乱れた状態が長期間続くと、内分泌ホルモンや代謝、免疫機能に悪い影響を及ぼすことがあります。

地球上のほとんどの生物は、地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、地球の自転と同じほぼ24時間のサイクルで体内環境を積極的に変化させる「体内時計(生物時計)」を備えていますが、この周期がサーカディアンリズムです。

ちなみに、体内時計は脳の中心部下面にある視床下部視交叉上核(しこうさじょうかく)に存在しています。

なお、ヒトに関しては、体内時計の周期が24時間よりもやや長いタイプが多数派で、なかには24時間よりやや短いタイプもいますが、いずれのタイプの場合も、体内時計のリズムを地球の自転に合わせる「同調機構(チューニング機構)」も備えています。

同調機構は太陽光などの明暗情報が視神経から視交叉上核に伝達されることによって働くため、太陽光を浴びるタイミングや時間が不定期になると、うまく働かなくなるというわけです。

ホルモンバランスの乱れや代謝機能・免疫機能が低下などによって、インスリンの分泌や働きが鈍くなって糖尿病にかかりやすくなるほか、睡眠に深くかかわるホルモンであるメラトニンが正常に分泌されなくなっていきます。

その結果、睡眠障害を発症したり、うつ病になったりする可能性が大きくなってしまうのです。

参照: 厚生労働省「健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~」体内時計

サーカディアンリズムが乱れた状態で勤務し続けることは医療ミスにつながる可能性も高いため、看護師自身の健康リスクが阻害されるたけでなく、患者の安全も脅かされることになりかねません。

参照: 日本医療労働組合連合会「長時間夜勤は看護職にも患者にも有害」

「発がん性リスクが高くなる」というデータも

『WHO(世界保健機関)』のがん専門機関である『IARC(国際がん研究機関)』は、主に人に対する発がん性に関するさまざまな物質・要因を評価して、

  • 「グループ1(ヒトに対して発がん性がある)」
  • 「グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)」
  • 「グループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)」
  • 「グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)」

の4段階に分類しています。

「サーカディアンリズムを乱す交代勤務」に関しては、発がん性リスクが2番目に高い「グループ2A」に分類されました。

参照: IARC

心臓や血管の健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある

夜勤が、心臓や血管の健康に深刻な影響を及ぼすことは、2021年、「European Heart Journal」に掲載された研究によって明らかにされています。

これは、イギリスにおいて28万人以上のデータを解析する研究で、夜勤を通常もしくは恒常的に行っている労働者は、日勤のみの労働者と比べて心房細動のリスクが12%高いことがわかっています。

なお、夜勤を10年以上続けた場合、リスクが18%にまで上昇することや、月に3~8回の夜勤を10年以上続けると、リスクが22%にまで上昇することもわかっています。

参照: OXFORD AC ”Long-term night shift work is associated with the risk of atrial fibrillation and coronary heart disease”

看護師の平均寿命は実際に短いのか?

看護師の寿命に関する正式な統計データや論文などは存在しませんが、雑誌の「早死にする職業ベスト10」などのランキングには、病棟勤務の看護師がランクインしていることがあります。

また、正式な調査データとしては、国立社会保障・人口問題研究所の調査をもとにしたランキングで、

  1. 採掘作業者(46.74歳)
  2. サービス業従事者(60.34歳)
  3. 農林・漁業作業者(60.55歳)
  4. 販売従事者(62.12歳)
  5. 運輸・通信従事者(63.44歳)

というものしか存在しません。しかし、看護師の平均寿命は64歳とする説もネット上には存在しています。

実際の平均寿命がこの数字に近いかどうかはさておき、フランスでは、「夜勤をしている人は平均寿命が10年短い」という調査結果が出ている事実はあるのです。

参照: 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」

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夜勤の健康への悪影響を軽減させるためにできることは?

夜勤によって実際に健康が害される可能性が高いことがわかったところで、続いては、健康への悪影響を軽減させるためにできることを考えていきます。

夜勤による健康リスクを軽減するためにできることとしては、次のようなことが考えられます。

  • 質のよい睡眠を確保する
  • 食事のバランスや摂取のタイミングを調整する
  • 身体を動かす習慣をつける
  • ストレスマネジメントを実践する
  • 定期的に身体をメンテナンスする

それぞれ具体的にみていきましょう。

質のよい睡眠を確保する

もっとも大切なことは、なるべく質の高い睡眠を確保することです。夜勤を含む交代勤務に対応している看護師が、普段の睡眠の質を上げるためには、次のような工夫が大切です。

夜勤時にはできるだけ仮眠をとる

人間の体温は一般的に夜間のほうが低くなる傾向にありますが、体温が下がっているときに睡眠をとったほうが疲労軽減効果が高いとされています。

そのため、「夜勤中はどうせ寝付けないからベッドに横になってもスマホを触っている」などという人は、習慣を改めることを検討すべきです。寝付くのが難しいにしても、目をつむって横になっているだけでも、肉体疲労は少なからず軽減するものです。

日中も15~30分程度の仮眠をとる

夜勤以外の出勤日においても、昼食後の休憩時間などに15~30分程度の仮眠をとることが推奨されます。

この短い昼寝は「パワーナップ」と呼ばれて、疲労回復効果が大きいことから、国内外の企業でも積極的に導入されています。

夜勤明けの睡眠時には部屋を暗くする

夜勤明けの時間帯は外が明るいため、遮光カーテンを閉めるなどして部屋を暗くする工夫なしには、うまく寝付けない場合があります。

また、明るいなかで寝付けたとしても、目覚めたときに頭がスッキリしていない可能性が高くなるので、睡眠時に部屋を暗くすることで、睡眠の質を上げることを大事にしましょう。

食事のバランスや摂取のタイミングを調整する

どのような食事であれば栄養バランスが整っているといえるかをわかっていても、忙しく働いている毎日の中、料理を何品も作ることは簡単ではないと思います。

しかし1日ではなく、数日単位でバランスを整えることを意識すると比較的簡単に実践できるのではないでしょうか。

また、時間のあるときに作り置きしたものを小分けにして冷凍しておけば、帰宅してチンするだけで1品追加できるため、さらにバランスを整えやすくなります。

また、夜勤後の食事は寝る直前を避けるのが正解。帰宅後、先に軽めの食事を済ませてからゆっくり入浴を楽しむなどすれば、すとんと眠りに入りやすくなります。

身体を動かす習慣をつける

運動には体温調整やホルモン分泌の働きを整える効果があることから、適度に身体を動かすことは、睡眠の質を高めるのに役立つとされています。

とはいえ、運動が嫌いな人や、身体を動かす習慣がない人は、「運動するといいですよ」といわれても、なかなかすぐに実践できるものではありませんし、できたとしても、長期的に続けることは難しいでしょう。

しかし、自宅でできる、ヨガや深呼吸などの軽いリラクゼーション運動なら、簡単にトライしやすく、続けることもさほど苦ではないでしょう。

ストレスマネジメントを実践する

ストレスマネジメントとは、心身に悪影響を及ぼすストレスに適切に対処しながら、上手に付き合っていくことをいいます。

「夜勤に対応するのが年々きつくなってきた」「夜勤で疲れているのに眠れなくて辛い」などのストレスを抱えていると、健康状態は日に日に悪くなっていきます。

そうなるのを防ぐために、ストレスとうまく付き合っていく「ストレスマネジメント」を導入すると、健康リスクが下がると考えられます。

ストレスマネジメントとは具体的にどうすればいいのかについては以下で解説します。

セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自分の心身の状態を客観的に把握することを意味し、自分自身の状態を継続的に観察して、記録・分析することを指します。

「夜勤に対応しなければならない」という状況において、どんなことにストレスを感じているのか? たとえば、「肉体疲労がずっと続いている」「夜勤明けのドカ食いが辞められない」など細かく分析し、それらに対してどんな対処ができるのかを考えていくことが大切です。

ストレスコーピング

ストレスコーピングとは、ストレスの原因にうまく対処しようとすることです。なお、「コーピング(coping)」とは、英語で「対処する・処理する」という意味です。

ストレスコーピングには、

  • ストレスの原因に働きかけてストレス解消を目指す「問題焦点型コーピング」
  • ストレスの原因に対する自分の考え方や感じ方を変えることで対処する「情動焦点型コーピング」
  • 一般に“ストレス解消”と呼ばれる「気晴らし型コーピング」

などの方法があります。

定期的に身体をメンテナンスする

整体やマッサージ、エステなどで定期的に身体をほぐすことも、健康リスクの軽減につながると考えられます。

「通う時間も金銭的余裕もないから難しい」という場合、自宅でケアできるアイテムを取り入れるのはどうでしょう?

たとえば、体中の筋肉をほぐしてストレスから解放されることで、深く穏やかな睡眠を得られるとして話題の「指圧マット」などもイチオシです。

夜勤を続けるか悩んだ場合の選択肢は?

上記に紹介した方法を実践することで、夜勤による健康リスクを軽減させることはできますが、健康リスクを限りなくゼロに近づけるのは難しいといえます。もちろん、どのような働き方をしていたとしても、少なからず健康リスクが存在しますが、「より健康な生活を送りたい」と考えるなら、働き方の見直しを検討してみてもいいかもしれません。

なお、現状の働き方が不規則な勤務形態であるなら、次のような働き方が状況改善のための選択肢と考えられます。

  • 日勤のみ
  • 夜勤専従
  • 夜勤の少ない職場

それぞれ具体的にみていきましょう。

日勤のみ

まず、日勤のみで働きたいなら、無床のクリニックで働くか、もしくは企業看護師や訪問看護師などとして働くという方法があります。

または、今の職場を変えることなく日勤のみで働きたいものの、正社員のままだと認めてもらえないのなら、雇用形態をパートに変えてもらうというのもひとつの選択肢かもしれません。

もしくは、夜勤によって既に心身の健康状態が思わしくないということであれば、メンタルクリニックに相談して、「夜勤禁止」の一文を記載した診断書を出してもらえば、勤務先が日勤のみで勤務調整してくれる場合もあります。

ただし、この方法で夜勤免除となった場合、同僚からネガティブな印象を持たれる可能性も無きにしも非ずと考えられます。

夜勤専従

夜勤そのものがきついというより、不規則な勤務形態がきつい場合、夜勤専従という働き方を選択するのも一手です。

夜勤専従の看護師の働き方は、2交替制か3交替制かによって異なりますが、2交替制の場合、概ね16時頃に出勤して翌9時に退勤、3交替制の準夜勤は概ね16時頃出勤で24時に退勤、3交替制の深夜勤は概ね23時頃出勤して翌9時退勤となります。

そのため、自宅から勤務先の距離にもよりますが、たとえば10時~15時などを睡眠時間に設定すれば、毎日同じ時間に就寝して同じ時間に起床することも可能です。

ただし、夜勤専従になると、家族や友人と生活の時間帯が異なるケースは多いでしょう。その一方で、「日勤帯で働くより給与が高い」「日中の時間を有効活用できる」「看護業務以外の仕事が少ない」「連休を取りやすい」などのメリットも享受できます。

夜勤の少ない職場

なるべく夜勤に対応したくないけど、高収入を得るためにも、たまになら対応してもいいということなら、夜勤が少なめの職場を選ぶといいでしょう。

転職サイトや転職エージェントを利用して転職活動するなら、「夜勤少なめ」を条件として探すだけでなく、面接時に直接、夜勤の状況について確認することもお忘れなく。

また、基本的には夜勤はないものの、オンコール対応がある訪問看護ステーションや介護施設なども選択肢に入れてもいいかもしれません。

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夜勤の有無に関わらず、後悔のない働き方を選択しよう

夜勤の辛さに悩んでいる看護師は、実際に相当数いると考えられます。

なかには、「夜勤は大変だけど、大変なぶん、給与が高くなるのはうれしい」「なるべくなら夜勤したくないけど、夜間に辛い思いをしている患者の役に立ちたい」など、働くうえでのプライオリティが夜勤以外の要素にあるという人も多いでしょう。

その場合は「夜勤の辛さをどう緩和するか」に焦点を置くことでより気持ちよく働けるかもしれません。何を大切にするかは人それぞれなので、「自分にとってのプライオリティとは?」などを改めて考えながら、後悔のない働き方を選択することはとても大切です。

もしも、自分にとって何が大切なのかがわからないという場合は、実際に転職するかどうかに関わらず、転職エージェントの無料相談を利用するなどして、自分にとっての理想の働き方を考えてみるのもいいかもしれませんね。

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執筆 CLIUS(クリアス )

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