
応援ナースとは、名前の通り、人手が足りない現場の応援要員として雇われるナースのことです。“応援”なので正社員ではありませんし、その場所で長く働き続けるというケースは多くはありません。
しかし昨今、応援ナースという働き方の人気が高まっています。応援ナースという働き方に注目が集まる理由や、この働き方のメリット、デメリットを詳しく解説していきます。
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応援ナースとは? 仕組みと概要
応援ナースとは、看護師が不足している医療機関や地域などで、一定期間働く看護師のことです。
契約期間は3~6か月程度が基本ですが、2~3か月単位で契約期間を更新して、同じ職場で数年間にわたって働き続けることもあります。
また、応援ナースとして勤務したことでご縁ができた職場に、そのまま常勤看護師として就職するケースもあります。
都市部から離島にいたるまでのさまざまな勤務地で働けるため、「トラベルナース」の別名で呼ばれることもあります。
イベントナース、ツアーナースとの違いは?
トラベルナースと似た言葉に「イベントナース」「ツアーナース」という働き方もあります。言葉としては似ていますが、意味は大きく異なります。
イベントナース…イベント会場で働く看護師のこと
ツアーナース…学生の修学旅行や課外活動、企業や団体の旅行などに付き添って、参加者に急患やケガ人が出た場合に対応する看護師のこと
参照: イベントナース、ツアーナースって? それぞれの仕事内容や違いを解説
応援ナースの主な勤務地
応援ナースの勤務地は、前述の通り、都市部から離島までさまざまですが、次の4つのエリアは募集が多いとされています。
離島
医療従事者の数が少ない離島(奄美大島や屋久島、与論島、伊豆諸島、五島列島、対馬など)は、特に応援ナースのニーズが高くなっています。主な勤務先としても、上記に挙げたようなところが当てはまります。
自然に囲まれた環境に一定期間滞在できるため、都会の喧騒を離れて心穏やかに過ごしたいという人には向いているかもしれません。
離島応援ナースに応募するには、原則として1年以上の病院勤務経験が必要とされるケースが多いです。
沖縄
沖縄も、離島同様に医療従事者が不足している傾向にあります。観光地として人気のエリアであるため、休みの日は観光を楽しめるというメリットがあります。
なお、沖縄の本土ではなく離島に勤務する場合、沖縄応援ナースではなく、離島応援ナースということになります。
北海道
北海道は、札幌、小樽、函館などの都市部でも看護師が不足している傾向にあります。同様に、道南エリア、十勝・日高エリア、道東エリアでも求人があります。
北海道応援ナースは、離島応援ナースと比べて応募条件が厳しく、3年以上の病院勤務経験が求められるケースが多いようです。
都市圏
東京や大阪、福岡、名古屋、東北などの大都市でも、応援ナースの求人があります。医療従事者数は多くても、人口比でみると不足しているためです。
なお、他のエリアの求人とは異なり、都市圏の医療機関は即戦力となる人材を求めているため、採用のハードルが高くなります。
応援ナースの給与・待遇
応援ナースの給与や待遇は、勤務地や勤務先機関によっても異なりますが、全体的な給与水準としては、月収にして40~50万円程度とされています。
都市圏および北海道勤務の場合、正看護師なら月収45~50万円程度、准看護師なら月収37~40万円程度を目指せます。離島または沖縄勤務に関しては、正看護師なら月収30~40万円程度、准看護師なら月収25~35万円程度を目指せます。
なお、赴任先が住居の斡旋もしくは紹介を行ってくれるケースが多く、家賃は無料または家賃補助を受け取れます。交通費に関しては、赴任費用が出る場合もあるなど、応援ナースとして働いている期間は、生活費を抑えられるのも魅力です。
社会保険や福利厚生に関しては、派遣元や勤務先によって異なるため、勤務を希望する場合は、事前に確認することをおすすめします。
応援ナースとして働くメリット
応援ナースとして働くメリットは次の通りです。
- 高収入
- 住居費がかからない、もしくは住居費の負担が少ない
- 短期間から働ける
- リゾート地や離島で生活できる
- 契約終了後に自由な時間を確保できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
高収入
病棟勤務より給与が高めであるため、効率よく稼ぎたい人にはうってつけです。
住居費がかからない、もしくは住居費の負担が少ない
寮または住居が用意されるケースが多いため、家賃の心配が要りません。ただし、たとえば都内在住の看護師が離島で3か月間のみ応援ナースとして働く場合などは、都内の家賃を払い続ける必要があることから、応援ナースとして働く期間の家賃をゼロにすることは難しいかもしれません。
短期間から働ける
応援ナースの契約期間は一般的に3~6か月であることから、たとえば、「次の転職先を探すまでの間に一定期間都会を離れて働いてみたい」などの願望をかなえることも可能です。
リゾート地や離島で生活できる
離島やリゾート地での生活を短期間だけ楽しめるのも大きな魅力です。旅行で訪れようとしたら、自腹になるためかなりの費用が必要ですが、働きに行くのであれば、お金がかからないどころか給料をもらえます。さまざまな土地で暮らしてみたいなら、勤務希望地を変え続けてもいいでしょう。
契約終了後に自由な時間を確保できる
契約期間終了後、一定期間は自由に過ごして、またしばらくしたら別の地域に応援ナースとして出向く、といった働き方も可能です。
応援ナースとして働くデメリット・働くにあたっての注意点
応援ナースとして働くデメリット、働くにあたっての注意点は次の通りです。
- 契約期間中の途中解約が難しい
- 仕事がハードな場合がある
- キャリア形成に関しての不安要素が大きい
- 地域によって生活環境が異なる
- 次の勤務先が決まるまで間が空く
それぞれ詳しくみていきましょう。
契約期間中の途中解約が難しい
応援ナースとして働くにあたっては、働く期間も含めて契約を結びます。たとえば、3か月間の勤務で契約したとして、2週間も経たないうちに、「この職場は自分には向いていない」と仕事を辞めたくなったとしても、それ相応の理由がなければ契約を解除することは難しいでしょう。
仕事がハードな場合がある
人手不足の現場で雇われることがほとんどであるため、仕事量が多かったり、体力的に大変な仕事を任されたりする可能性があります。
キャリア形成に関しての不安要素が大きい
基本的に契約期間が短期間であるため、経験を重ねてスキルに磨きをかけるのは難しいと考えられます。
地域によって生活環境が異なる
離島やリゾート地での自然に囲まれた生活は、普段、都会で暮らしている人にとっては魅力的に思える部分もありますが、いざ暮らしてみると、近所にコンビニがないことなどさえ、不便に感じる人もいるかもしれません。
次の勤務先が決まるまで間が空く
「契約期間が終了するたびに次の仕事先を探す」という働き方は安定性に欠けているため、金銭的な心配などがつきものです。
「気に入った働き先が見つかれば契約を延長しよう」など計画的に動いている場合などはあまり心配要りませんが、そうでない場合、何度も仕事先を探さなければならないことがしんどくなってくる可能性が考えられます。
応援ナースに向いている人
続いては、応援ナースに向いている人・向いていない人の特徴をみていきましょう。まず、応援ナースに向いている人の特徴は次の通りです。
- 短期間でガッツリ稼ぎたい
- 環境を変えて働きたい
- 新しい環境でもすぐ慣れる
- 一人暮らしもしくは実家暮らしである
- フットワークが軽い
- 人が好き、コミュニケーションが好き
- いろんな体験をしてみたい、人とは違う経験を重ねたい
それぞれ詳しくみていきましょう。
短期間でガッツリ稼ぎたい
応援ナースは給与水準が高いため、短期間でガッツリ稼ぎたい人には向いています。しかも、寮が用意されている場合や家賃補助がある場合が多いため、働いている期間は生活費が少なくて済み、貯金にも回せるでしょう。
環境を変えて働きたい
離島やリゾート地などで働けることは、これまでとは違った環境で働きたい人にとっては魅力に映るでしょう。働く環境を変えてみたいものの、どんな環境が自分に向いているかわからないという人にとっては、いろんな環境で働ける点も魅力でしょう。
一人暮らしもしくは実家暮らしである
短期間で住環境を変えることは、家族がいると簡単ではありません。
一人暮らし、もしくは未婚で実家暮らしである場合であれば、住環境を変えるのは比較的気軽と言えるかもしれません。
フットワークが軽い
一人暮らしや実家暮らしであっても、フットワークが軽くなければ、仕事や生活環境をサクッと変えることは難しいかもしれません。フットワークが軽ければ、自分にとって未踏の地にでも気軽に働きに出てみることができるでしょう。
人が好き、コミュニケーションが好き
人と接することが好きで、新しく知り合った人とのコミュニケーションも楽しむタイプの人なら、同僚も患者もはじめましての人だらけという環境に緊張感を覚えることもなく、毎日の新しい出逢いを楽しめるでしょう。
いろんな体験をしてみたい、人とは違う経験を重ねたい
応援ナースの数に関する正式なデータはありませんが、全国で概ね3,000~5,000人程度の看護師が応援ナースとして働いているとされています。
一方、全国の看護師の総数は、日本看護協会によると、2020(令和2)年時点において173万人程度であるため、応援ナースとして働いたことのある看護師は全体の極わずかといえます。
そのため、人とは違う経験をしたい、いろんな体験をしてみたいという人には向いていると考えられます。
応援ナースに向いていない人
応援ナースに向いていない人の特徴は次の通りです。
- 長期的に同じ職場で働きたい
- キャリア形成を重視したい
- 家族やライフスタイルの事情で転居できない
- オフの時間を気の置けない仲間と過ごしたい
- 婚活中である
それぞれ詳しくみていきましょう。
長期的に同じ職場で働きたい
前述の通り、応援ナースは、契約期間終了後に契約を延長できる場合もありますが、必ずしも契約延長が可能というわけではありません。
そのため、同じ場所でじっくり腰を据えて働きたいという気持ちがあるなら、正社員として働くことのほうが理に適っているといえます。
キャリア形成を重視したい
応援ナースは正社員ではないため、契約の延長を繰り返したとしても、役職が就くことなどはありません。また、スキルや知識の幅を広げていくことも難しいため、キャリア形成を重視したい人には向いていないといえます。
家族やライフスタイルの事情で転居できない
家族の都合やライフスタイルの事情によって転居できない場合、応援ナースとして働くことは難しいかもしれません。ただし、応援ナースを募集している施設の通勤圏内にたまたま居住している場合、その限りではないので、まずは求人先に条件などを問い合わせてみるといいでしょう。
オフの時間を気の置けない仲間と過ごしたい
決まったメンツと飲み歩くのが好きなど、退社後の時間や休日の過ごし方にこだわりがあるなら、生活環境を変えることは難しいでしょう。
婚活中である
婚活に力を入れていて、相手の居住エリアに関しても理想がある場合、たとえば離島応援ナースになると、離島の人としか出逢えないということになるため、現実問題として、人生を思い通りに進めることができなくなる可能性が大きくなります。
応援ナースとして働くための流れ
応援ナースとして働きたい場合、次のステップを踏むのが一般的です。
- 転職エージェントなどに登録
- 募集先の紹介を受ける
- 契約条件の確認(給与・期間・寮)
- 勤務開始(数か月〜半年程度)
- 契約終了後 → 更新 or 次の勤務先へ
応援ナースとして働くには、まず、転職エージェントなどに登録するのが一般的です。そこから、募集先を紹介してもらい、契約条件などを確認して働くという流れなので、転職活動と大きく違うということはありません。
ただし、契約期間が数か月から半年程度と短めで、契約終了後には、契約を更新するか、次の勤務先を探すかする必要があるので、契約関連のやりとりを頻繁に行わなければなりません。
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まとめ
ここまで解説してきた通り、応援ナースには「短期」「高収入」「寮完備」などのメリットがある一方、「ハードワーク」「働き続けるためには契約更新が必要」などのデメリットも存在するため、自分のライフスタイルやキャリアに合うかどうかを見極めたうえでの選択が大切です。
ただし、基本的には短期間の契約であるため「一度試しに働いてみて、自分には合わないとわかったら正社員として働ける職場を探す」なども可能です。
いろんな選択肢を視野に入れてみて、今後のキャリアを築いてください。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年9月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
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