コロナの流行や働き方改革が起こったことから、「在宅ワーク」がさまざまな業界に普及してきました。
世の中のそうした流れを受けて、在宅で働くことを希望する看護師も増えていますが、“看護師として在宅で働く”となるとどのような仕事が考えられるのでしょうか?
在宅ワークのメリット、デメリットや注意点と合わせて解説していきます。
在宅ワークで得られるメリット
在宅ワークで得られるメリットは次の通りです。
タイムパフォーマンスがいい
通勤時間が不要になれば、そのぶんの時間を有効に活用することができます。
精神的・体力的負担の軽減
夜勤や重労働から離脱することによって、精神的・体力的負担が軽くなります。
ワークライフバランスがとりやすい
柔軟な勤務形態によって、家庭と仕事を両立しやすくなります。
キャリアの幅が広がる
これまでに挑戦したことのない仕事に挑戦することで、新しいスキルが身につき、キャリアの幅が広がります。
(副業の場合)収入UP
今の仕事に加えて、プラスアルファで在宅ワークをはじめるのであれば、そのぶんの給料が増えることから、必然的に年収が上がることになります。
在宅ワークのデメリット・注意点
一方、デメリットや注意点は次の通りです。
収入が不安定になる可能性がある
在宅ワーク一本に絞る場合、今よりも年収が下がる可能性があります。
本業との時間調整が難しい・自己管理が求められる
副業としてはじめる場合、本業の合間にうまく働けるよう、自己管理することが不可欠です。自己管理が苦手な人にとっては、この点は大きなデメリットといえるでしょう。
たとえば、医療系ライターとして原稿を書く仕事に従事したとして、「何時までに一本書く」などを決めて、その通りに遂行することができないようなら、時給換算で考えると割に合わないということになりかねません。
孤立しやすい・相談相手が少ない・コミュニケーションの壁がある
仕事しながら人と会話したり、わからないことがあるときにすぐに質問したりすることができません。そのため、特に一人暮らしの場合などは、精神的に孤独に陥りやすいといえます。
電話やチャット、メールなどで相談できたとしても、顔が見えないぶん、意思疎通しにくい場合があるので、可能であればビデオチャットなどの方法を選ぶといいでしょう。
罰則がある場合がある
副業としてはじめる場合、本業の勤め先で副業を禁止にしているケースにおいては、ルールを知らなかったか、もしくは知っているにも関わらず黙って副業した結果、本業の勤め先からペナルティーを科される可能性があります。
確定申告の手間が増える場合がある
医療系ライターとして独立してフリーランスで働く場合など、個人事業主として在宅ワークに従事する形をとるのなら、自分で確定申告する必要があります。また、副業で在宅ワークにチャレンジする場合、副業で得る収入が年収20万円を超えると確定申告しなくてはなりません。
確定申告を行うことによって、源泉徴収された所得税が還付される可能性があります。
源泉徴収とは、給与や報酬を支払う際、支払者があらかじめ所得税を天引きして、国に納付する制度ですが、実際に納めるべき税額とは異なる場合があるので、確定申告によって税金を納め過ぎていることを証明したら、そのぶんのお金が返ってくることになります。
税金の負担が大きくなる可能性がある
確定申告後には、所得額に応じた税金を納めることになりますが、所得金額によっては、税金の負担が大きくなる場合があります。
看護師ができる在宅ワークの種類は?
まずは、看護師ができる在宅ワークの種類を解説していきます。看護師が、看護師という資格を活かせる在宅ワークはいくつかありますが、代表的なものとしては次の通りです。
- 医療・看護系コールセンター、健康相談オペレーター
- 医療・看護系ライティング
- アンケート調査・モニター業務など
- 一部の保健師業務
医療・看護系コールセンター、健康相談オペレーター
電話やチャットで、一般消費者の健康相談に乗るコールセンタースタッフ、オペレーターの勤務形態には、在宅もあります。しかも、医療知識が不可欠であることから、一般メーカーの商品問い合わせのコールセンタースタッフなどと比べて、時給が高いケースが多いです。
医療・看護系ライティング
看護師の経歴などを前面に出して、医療・看護系の記事を書くライター仕事は、副業で請け負っている人も多くいます。毎週のように新規記事をアップしている人もいれば、月に2~3本ペースで本業の合間に執筆してお小遣いを稼いでいる人もいます。
なお、本名や顔出しNGの場合、写真の代わりにイラストをアイコンにして、ペンネームで執筆してもOKという媒体が多いので、「文章がうまくないから知り合いに見つかると恥ずかしい」などの理由で二の足を踏む必要はありません。
ただし、本業の職場で副業が禁止されているにも関わらず、「ばれないだろう」とペンネームで書き続けることは辞めるべきです。
アンケート調査・モニター業務など
職種別のアンケート調査やモニター業務では、看護師の参加が求められることもあるので、調査会社・モニター会社に登録しておいて損はないでしょう。ただし、定期的に案件が発生するとは限りません。また、単価が高くはありません。
一部の保健師業務
オンライン問診や資料作成など、一部の保健師業務は在宅でも手掛けることができるため、看護師の資格に加えて保健師の資格も有している場合、チャレンジすることができます。
在宅ワークをはじめるには:準備とステップ
在宅ワークをはじめるために必要な準備と基本的なステップは次の通りです。
就業規則の確認
副業としてはじめる場合、まずは本業の勤め先の就業規則を確認することが大切です。副業を認めている仕事先もありますが、認められている場合でも、本業に支障が出ない働き方ができる在宅ワークを選ぶ必要があります。
自己分析
「在宅ワークでどのくらいの収入を得たいのか」「在宅ワークにどのくらいの時間を割くことができるのか」「どんな仕事ならスキル的に問題ないのか」などを分析します。
環境整備・必要ツールの準備
在宅ワークの多くはパソコンやスマホを必要とします。タイピング作業がメインではないとしても、稼働時間・稼働内容の報告のために、パソコンもしくはスマホが必要となるでしょう。
また、業務内容によってはウェブカメラが必要ですし、ビデオチャットに適した空間を演出するために、室内の家具の配置などを変えなければならない場合もあるでしょう。これに伴い、wi-fiの導入が必要になることもあります。
求人サイトやクラウドソーシングサイトなどへの登録
よりよい求人に出逢えるよう、一か所ではなく複数の求人サイトやクラウドソーシングなどに登録するといいでしょう。
業務内容や納期・依頼頻度などを確認
理想の求人に出逢えたら、単価や納期、業務の依頼頻度などを確認します。
在宅ワークを成功・継続させるためのコツ
在宅ワークを成功・継続させるためには、次の点を意識することが大切です。
タスク管理・スケジュール管理を徹底する
在宅でひとりだと、周囲の目がないことから、ついつい仕事を怠けたり、納期ぎりぎりになって焦ったりしがちです。
それを防ぐためにも、タスク管理、スケジュール管理を徹底することが大切です。先方に提示された納期より1日早く納品することなどを自分に課すなど、自分ルールを設定して、それを必ず守るようにするのもおすすめです。
ワークスペースの確保・集中できる環境づくり
ワークスペースが散らかっていたり、家族から四六時中話しかけられる環境であったりすると、業務に集中しにくくなります。そのため、まずは落ち着いて仕事できるよう空間を整えることが大切です。
仕事と休息の切り替えを意識する
稼働時間が固定されておらず、〆切だけ決められているタイプの仕事だと、オンオフの境目がなくなり、だらだらと過ごす時間が増えがちです。そうした事態を防ぐためにも、ざっくりと稼働時間を決めて、オンオフの切り替えを意識することが大切です。
フィードバックを得る仕組みを作る
フィードバックを得る仕組みがあるとないとでは、モチベーションが大きく変わってきます。クライアントからフィードバックを得ることができないなら、先月の自分の業績や納品スピードなどと比較することなどを検討するといいでしょう。
また、コールセンタースタッフであれば、利用者のアンケートを通して顧客満足度を知ることができる場合がありますし、医療系ライターとして記事を書いているなら、SNSなどで記事の反響を確認できる場合もあります。これらもある種のフィードバックとして活用できます。
ケーススタディ・体験談
続いては、株式会社Donutsが独自に実施したアンケートより、在宅ワーク体験者の声を拾っていきます。
医療系記事の執筆
「看護資格必須ではなかったですが、専門知識を活かした医療系記事執筆を手掛けていました。月間10~20本程度納品して、収入は月に3~10万円程度でした。育児と両立させられる範囲で受注していました」(ももにゃんさん・30代前半)
「クラウドワークスで看護師経験を活かしたエピソード投稿をしていました。月に2回程度ですが、収入は1,000円に満たないのでおすすめできません。また、詐欺も多いので注意が必要です」(ナカテンさん・30代前半)
「臨床経験10年以上であることを活かして、医療・健康・ライフスタイル分野のwebライティングを行っています。執筆に充てる時間は月に10~15時間程度で、報酬は1~3万円程度です。
勤務や家事の間に進められるため、本業と家庭を両立しやすいです。また、ライティングを通じて、“経験を知識として発信する”という形で社会に貢献できていることを実感できます」(イチノセさん・30代前半)
医療系記事の執筆は、媒体の記事としてある程度の文字数が必要なものもあれば、ナカテンさんが答えてくれたように、エピソード投稿などの募集もあります。ただし、単価が高いわけではないので、稼ぎたい人には向いていないかもしれません。
看護計画作成
「クラウドソーシングで、看護計画の作成の手伝いなどの仕事を請けていました。1日30分ほど時間をかけますが、収入は多くて月に5,000円程度です。あまり稼ぐことはできないのでおすすめできません」(セイチャンさん・30代前半)
看護計画作成などのニッチな案件を探したい場合は、クラウドソーシングサービスなどを活用するといいでしょう。ただし、セイチャンさんが答えてくれている通り、高収入は期待できません。
アンケート、インタビュー
「看護師資格が必要なインタビュー、アンケートなどの業務委託で月に1、2回やっています。収入は月1,000円~2,000円程度にしかなりませんが、本業のスキマ時間を利用できるのがメリットです」
アンケート回答やインタビュー対応も、高収入は期待できないものの、スキマ時間を活かしてお小遣いを稼げるという意味では、プラスとなり得ます。
SNS運用
「インスタグラムで、看護師の転職に向けた発信をはじめました。看護師を雇用しているキャリアアップ事業部からの依頼ではじめましたが、はじめたばかりでどの程度の収入になるかは未知数です」(Ripoさん・30代前半)
SNSで人気アカウントとなれば、高収入を期待することができます。ただし、フォロワー数が増えるのに時間がかかる場合もあるので、根気強く続けられるかが肝となります。
看護師資格が必須ではない在宅ワークも
「クラウドソーシングに登録しています。看護師資格が必須ではない案件も受けていて、月に5,000円ほど稼いでいますが、時間がないと稼げないのでおすすめはできません」(ぽぽちゃんexさん・30代前半)
「体調を崩して働けなかった期間、自宅で服を注文して販売していました。月5万程度の稼ぎになりましたが、売れる洋服を選ぶのにセンスがいることなどから、向き不向きがあるかと思います」(はんばーぐさん・40代前半)
看護師資格を活かして働くことにこだわらないなら、さらに選択肢が増えます。
まとめ
在宅ワークとひとことで言ってもさまざまな職種がありますし、本業として働くのか、副業にするのかなどによって、働き方が大きく異なります。そのため、まずは自分に合った働き方を見つけることが肝心です。
なお、「いずれは本業を在宅ワークにシフトしたい」と考えているなら、副業からはじめて徐々に在宅ワークに慣れて、受注量を増やしていくのも一手。
求人サイトやクラウドソーシングサービスなどもうまく活用しながら、理想の働き方を実現していってくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年10月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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