転職サイトや求人票を見ていると、「給与」や「休日数」などの条件面ばかりに目が行きがちです。しかし、いざ入職してみると「思っていたのと違う」「この情報、もっと早く知りたかった…」と後悔することは少なくありません。
そこで今回は、現役看護師のみなさんに「求人票には載っていないけれど本当に知りたいこと」と、情報がない場合に「どこを見て判断しているか(裏読み術)」をアンケート調査しました。
先輩ナースたちのリアルな視点は、あなたの転職活動の強力な武器になるはずです。
1. 数字には表れない「業務負担」と「お金」のリアル
まずは、求人票のスペックだけでは見えてこない、ナースたちが「本当に知りたい」と切望している情報についてです。特に「見えない労働時間」や「手当の詳細」に関する声が多く集まりました。
「前残業」や「タスク範囲」は明確か?
勤務時間は記載されていても、その前後の拘束時間や、業務の境界線は不透明なことが多いものです。
「何分前に業務を開始しているか。…病棟によっては1時間前や30分前から出勤して業務するのが当たり前の病棟も少なくないため気になります。」(のぞみ/30代後半・女性)
「病棟の場合、タスクシフト・タスクシェアはされているのか。看護師ばかりが全てを担っている職場は結局は残業が多いのが当たり前になってしまうので。事前に知れたら助かります。」(わらびもち/40代前半・女性)
始業前のサービス残業や、本来助手さんが行うべき業務まで看護師が担っているかどうかは、日々の疲労度に直結します。
「手当」の具体額と「QOL」に関わる設備
給与総額だけでなく、その内訳や、休憩時間をどう過ごせるかも重要なチェックポイントです。
「福利厚生について詳しく知りたいです、特に金額面に関して。例えば、住宅手当や交通費、扶養手当の具体的な額が知りたいです。金額が記載されていないことが多く、実際の手取りが不透明に感じるため…」(uri/40代前半・女性)
「職員食堂:昼食や夜勤時の食事の準備、または日々の楽しみを知ることができる。…職員が利用できるWi-Fi環境が整っているかどうか。」(ポーポー師長/40代後半・男性)
2. 最も気になる「人間関係」と「職場の年齢層」
多くの看護師が転職理由に挙げる「人間関係」。しかし、これは最も求人票から読み取りにくい情報の一つです。
「やはり最も大切なのは人間関係に関する情報が欲しいです。看護職はお局と呼ばれる方が存在します。お局によりメンタルを病むスタッフも何人か見てきました。写真だけでは伝わらない病棟の雰囲気が伝わるサイトがあれば転職のハードルも下がると思われます。」(ニャースメン/20代後半・男性)
「職場の年齢構成、継続年数。職場の年齢が若いところは、長く勤めづらい可能性がわかる。それと合わせて継続年数がわかればその職場の風土が見えてくるため。」(まる/30代後半・男性)
「アットホーム」という言葉よりも、スタッフの年齢構成や勤続年数といった客観的なデータこそが、職場の雰囲気を雄弁に語ります。
3. 情報がないならココを見ろ!求人票の「深読み」テクニック
では、上記のような詳細情報が書かれていない場合、どう判断すればよいのでしょうか? ここからは、先輩ナースたちが実践している「代わりの指標」を使った見極め術をご紹介します。
テクニック1:「募集人数」と「掲載頻度」で定着率を推測
常に求人が出ている病院には、それなりの理由があるかもしれません。
「募集人数の多さです。給与が高くても募集が多いと退職者が多く働きにくいと感じる人が多い職場なのだと感じます。」(こち/30代前半・女性)
「人間関係を把握するための代わりとしてその求人がどれくらいの頻度で出されているかを見ている。それを見るとそこの職場が人の出入りが多いかどうかがわかると思う。求人がいつも出ていると常に人がいない=辞める人が多い?なんらかの良くない状況がある?と予測している。」(さくら/30代後半・女性)
テクニック2:HPやSNSの「更新内容」から余裕度を測る
病院の公式発信も、視点を変えると情報の宝庫になります。
「病院理念、看護部長の挨拶、乗っていればHPからスタッフの声は必ず見ています。…看護部長やスタッフの人柄は読み取れるため自分が働く時をイメージしやすいかと思います。逆に看護部長の挨拶が形式的なものだけやスタッフインタビューはないHPも多いので、その辺りアピールがないと職場環境は大丈夫かと不安に感じたりします。」(ウィンディちゃん/40代後半・女性)
「例えば、病院主催の研修がどのような内容で、どれくらいの頻度なのか見ると、皆さんが意欲的で勉強する機会があるのだなと思う。」(yuuuukimu/30代前半・女性)
一方で、SNSに力を入れすぎている場合も、逆の意図を感じ取る鋭い視点がありました。
「SNSに力を入れているところは少し不審に思ってしまいます。…現在働いている病院もSNS撮影に強制的でありあまりよい印象がないからです。またアピールすることが必死にみえてしまい中身がないのかなと思ってしまうからです。」(K/40代前半・女性)
テクニック3:「有給」や「制度」の運用実態を探る
制度があっても使えなければ意味がありません。ここでも別の指標を使って「実際に休みが取れているか」を推測します。
「世代別の割合の情報の代わりとして、有給休暇の取得開始時期を見ます。入職後に急な休みが必要となった場合に有給になるのか、欠勤として減給扱いになるのかがわかるため、子育て世代にとって働きやすい職場かどうかという判断の助けにはなるように思います。」(ママしゃん/30代後半・女性)
「病休時の対応に関しては有給取得率を確認すれば、勤務体制の勤務体制の把握がしやすい。勤務体制・勤務人数が十分であれば希望通りの有給取得ができるため。」(ぴころ/30代後半・女性)
求人の「行間」を読んで、後悔のない転職を
求人票に書かれている情報はほんの一部に過ぎません。しかし、「何が書かれていないか」「なぜこの書き方なのか」という視点を持つことで、ブラックな職場を回避し、自分に合った環境を見つけ出す確率はぐっと上がります。
今回ご紹介した先輩ナースたちの視点を参考に、ぜひ「行間」を読む転職活動を実践してみてください。
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
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