クリニック開業資金のリアルな相場:診療科目別の目安・自己資金・最適融資ルート

クリニックを開業するためには多額の資金が必要です。物件の購入あるいは賃貸、医療機器の購入またはリース、事業が軌道に乗るまでの運転資金など、総計でかなりの金額になります。具体的にどのくらいの金額となるのか、目安となる金額は診療科によって異なるのか、先輩開業医たちはどうやって資金を集めているのかなど、クリニックの開業資金に関する疑問を紐解いていきます。

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目次
  1. クリニック開業資金の総額と内訳のリアル
    1. クリニック開業資金の相場、最安値、最高値は?
    2. クリニック開業資金の内訳
      1. 土地や建物、テナント費用
      2. 内装工事費
      3. 医療機器や設備などの導入費
      4. 広告宣伝費
      5. クリニック開業後の運転資金
      6. 開業コンサルタントや税理士などの専門家費用
  2. 診療科別クリニック開業資金の目安
    1. 内科:5,000万~9,000万円
    2. 小児科:4,000万~8,000万円
    3. 皮膚科:2,000万~6,000万円
    4. 眼科:5,000万~7,500万円
    5. 耳鼻咽喉科:4,000万~6,000万円
    6. 泌尿器科:3,000万~5,000万円
    7. 整形外科:5,000万~1億円
    8. 産婦人科:5,000万~1億円
    9. 脳神経内科・脳神経外科:6,000万~2億5,000万円
    10. 精神科・心療内科:1,500万~3,000万円
  3. 戸建て開業vsテナント開業の差
    1. ランニングコストの逆転現象
  4. 自己資金の目安は「総額の10〜20%」が鉄則
    1. 「自己資金ゼロ(フルローン)」での開業は可能か?
  5. 開業に向けて、自己資金を効率よく貯める方法は?
    1. 最短で効くのは「収入を増やす」
      1. スポット・非常勤の活用
    2. 強制的に貯まる「仕組み」を作る
      1. 先取り貯蓄
      2. 具体的な割合
    3. 固定費を削る
      1. 見直すべき固定費
      2. NG節約
    4. 「運用」で増やす
    5. ボーナス・臨時収入は“全額貯蓄”
    6. 目標設定
    7. ≪医師特有の“落とし穴”≫
  6. 確実に融資を通す! クリニックの最適な資金調達ルート
    1. 融資の成否を分けるのは精緻な「事業計画書(創業計画書)」
    2. 最優先すべき「日本政策金融公庫」
    3. 戸建て開業の強い味方「独立行政法 福祉医療機構(WAM)」
    4. 「医師会」の信用とネットワークを使った開業支援ローン
    5. 金融機関と比べて金利が低い、地方自治体の「制度融資」
    6. 開業特化プランがある銀行も! 民間の金融機関
    7. ≪例外≫承継開業の場合、「事業承継・M&A補助金」の活用も検討したい
  7. クリニック開業資金に関するFAQ
    1. Q. 親族からの資金援助に「贈与税」はかかる?
      1. 贈与税を回避する方法①:金銭消費賃貸契約
      2. 贈与税を回避する方法②:暦年贈与
      3. 贈与税を回避する方法③:相続時精算課税制度
    2. Q. 医療機器の4つの調達方法「現金一括購入」「割賦購入(ローン)」「リース」「レンタル」のうち、どれが自院に向いているかを考えるポイントは?
      1. 調達方法を決める際の判断軸
      2. 4つの選択肢に向いているケース
      3. 実務でよくある“最適解”
      4. よくある失敗パターン
    3. Q. 融資実行までのスケジュールは?
      1. 事業計画・資金計画作成(2~4週間)
      2. 金融機関への事前相談(2〜3週間)
      3. 正式申込(1〜2週間)
      4. 融資審査(3〜6週間)
      5. 内諾(仮承認)(1週間前後)
      6. 契約・担保設定(2〜3週間)
      7. 融資実行
      8. ≪よくある遅延パターン≫
      9. ≪融資を受けるタイミングを成功させるコツ≫
    4. Q. 医師個人がローンを組んでいて返済が終わっていない場合、融資に影響しますか?
    5. Q. 追加工事などが必要となり、開業資金が膨らんだ場合、融資決定が下りたあとに融資額の増額に応じてもらうことはできますか?
  8. 十分に時間をかけて戦略的に準備を進めることで、開業が成功する確率はぐっとアップする

クリニック開業資金の総額と内訳のリアル

まずは、クリニックの開業資金の総額と内訳を確認していきましょう。

クリニック開業資金の相場、最安値、最高値は?

クリニック開業資金は、診療科や規模によって大きく異なるものの、全体的な目安としては5,000万円~1億円程度であるとされています。

では、最安値はどのくらいかというと、たとえばオンライン診療に特化したミニマム開業であれば、内装工事不要で、自宅にオンライン診療用のパソコン機器などを設置するだけでも始めることができるため、初期費用は50~100万円程度でも十分です。ただし、オンライン特化の場合、当然ながら、初期費用の少なさに比例して月商も少なくなります。

では最高値というと、CTやMRI装置の導入が必要な脳神経外科などの診療科の開業資金だと考えられ、該当機器の性能にこだわれば、開業資金が2億円を超えることもあるでしょう。

クリニック開業資金の内訳

    クリニック開業資金の内訳は、大きく次の5つにわけられます。

  • 1 土地や建物、テナント費用
  • 2 内装工事費
  • 3 医療機器や設備などの導入費
  • 4 広告宣伝費
  • 5 クリニック開業後の運転資金
  • 6 開業コンサルタントや税理士などの専門家費用

土地や建物、テナント費用

土地や建物を購入する場合と、医療モールなどのテナントに入居する場合とでは、費用に大きな差が出ます。賃貸の場合、敷金・礼金なども必要になります。

内装工事費

開業場所が決まったら、内装工事が必要です。内装工事費は、スケルトンであるか居抜きであるのかなどによって大きく変動します。なお、承継開業の場合、内装工事がほとんど不要なケースもありますが、建物や設備の劣化が進んでいれば、後々大幅な修繕のために費用が発生する可能性があります。

医療機器や設備などの導入費

医療機器や設備の導入は、診療科によって大きな差が出ます。前述の通り、CTやMRI装置が必要なケースが、もっとも高額となります。また、調達方法によっても差が出ます。選択肢としては「現金一括購入」「割賦購入(ローン)」「リース」「レンタル」の4パターンで、初期費用を抑えたい場合、リースが有効ですが、購入した場合と比べて総額的には高くなるため注意が必要です。

広告宣伝費

クリニックを開業するにあたっては、開業する事実を地域の住民をはじめとする潜在患者に知ってもらう必要があります。媒体出稿など大きな予算はかけられない場合でも、最低限、ホームページを用意することは必要です。ホームページは自身で制作可能な場合、予算を大幅に抑えることが可能ですが、業者に依頼するとなると初期費用もそれなりにかかります。

クリニック開業後の運転資金

クリニック開業後の運転資金も、開業資金に含まれます。特に保険診療を主体とする場合、窓口負担以外の診療報酬(社保・国保からの入金)がクリニックの口座に振り込まれるまでに、診療月から約2か月のタイムラグが発生します。この「診療報酬の入金サイクル」を考慮すると、最低でも3か月分、理想としては半年分以上の運転資金を確保しておくことが、経営の安全水準となります。

    運転資金の主な内訳は次の通りです。

  • 家賃
  • 光熱費
  • 人件費
  • 医薬品・消耗品
  • リース料
  • など

開業コンサルタントや税理士などの専門家費用

クリニック開業を成功させるためには、開業コンサルタントや税理士、社会保険労務士といった専門家のサポートが欠かせません。物件選定や事業計画書の作成、金融機関との融資交渉、スタッフの採用・労務管理など、多岐にわたる業務を委託するための費用も初期資金に組み込んでおく必要があります。コンサルティング会社やサポート範囲によって異なりますが、目安として100万~300万円程度の予算を見込んでおくと安心です。

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診療科別クリニック開業資金の目安

続いては、診療科別クリニック開業資金の目安を確認していきましょう。

内科:5,000万~9,000万円

風邪や腹痛などの診療や生活習慣病の指導などが中心の内科の開業資金は、5,000万~9,000万円が目安となります。ただし、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、腎臓・内分泌内科、糖尿病・代謝内科、血液・腫瘍内科、アレルギー・リウマチ内科など専門に特化している場合、導入が必要な機器が多くなることから、開業資金も高くつきます。特に、内視鏡やCTなどを導入する場合、数千万円単位、場合によっては1億円超えの費用が追加で必要となります。

小児科:4,000万~8,000万円

小児科の開業資金の目安は4,000万~8,000万円程度です。小児科は、他の診療科とは異なり、保護者が付き添うのが基本であるため、そのぶんスペースを広く確保する必要があります。また、キッズスペースの設置やベビーカーの動線確保なども必須であるため、待合室や動線の設計にこだわることが大切です。

皮膚科:2,000万~6,000万円

皮膚科は、保険診療のみか自由診療も扱うかによって開業資金に差が出ます。目安としては、2,000万~6,000万円程度です。なお、美容皮膚科・美容外科に特化している場合はさらに大きな額の開業資金が必要ですが、一般皮膚科のメニューがメインで、一部、自由診療のメニューも導入している場合の目安となります。

眼科:5,000万~7,500万円

眼科の開業資金の目安は5,000万~7,500万円程度です。ただし、白内障の手術やレーザー治療に対応する場合、設備投資が必要になるため、これより高額になることもあります。手術のための入院設備も用意する場合、スペースも広めに確保する必要があります。

耳鼻咽喉科:4,000万~6,000万円

耳鼻咽喉科の開業資金目安は4,000万~6,000万円程度です。聴力検査のための防音室設置などが必要であるため、内装工事費が高くつく傾向にあります。

泌尿器科:3,000万~5,000万円

泌尿器科の開業資金は、すべての診療科のなかで低い部類に入り、目安としては3,000万~5,000万円程度となります。主に必要な設備は結石破壊装置、尿分析装置などです。

整形外科:5,000万~1億円

整形外科の開業資金目安は5,000万~1億円程度です。X線装置などの画像診断機器や、リハビリ設備を導入する必要があるため、標準的な設備のみで開業可能な内科などと比べて高くなります。なお、医療機器やリハビリ設備そのものの価格が高いことに加えて、設置するスペースも必要となることから、必然的に物件面積が大きくなります。また、理学療法士などの雇用も必要となるため、看護師・受付事務のみの雇用で済む診療科と比べて、人件費も高くつきます。

産婦人科:5,000万~1億円

産婦人科の開業資金の目安は5,000万~1億円程度ですが、分娩に対応しない場合、5,000万~6,000万程度に抑えることが可能です。分娩に対応する場合、入院設備も必須となり、目安としては8,000万~1億円程度にまで跳ね上がります。なお、不妊治療に対応する場合、あるいは不妊治療専門のクリニックとして開業したい場合、非常に高額な医療機器が必要となることから、目安となる金額がさらに高くなります。

脳神経内科・脳神経外科:6,000万~2億5,000万円

先に解説した通り、CTやMRI装置の導入が必要な脳神経内科あるいは脳神経外科は、他の診療科と比べて開業資金が高くなります。目安としては6,000万~2億5,000万円ですが、画像診断装置を導入する場合は、基本的に億単位の費用が必要です。なお、最低価格の目安が6,000万円であるのは、画像診断装置を導入することなく、周辺の病院と連携して診療をおこなうクリニックも皆無ではないためです。

精神科・心療内科:1,500万~3,000万円

高額な医療機器を必要としない精神科・心療内科は、すべての診療科のなかでもっとも少ない開業資金で開業できます。金額の目安としては1,500万~3,000万円程度です。患者との会話に集中するためにクラークを雇用する場合、そのぶんの人件費を追加で見積もることが必要です。

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戸建て開業vsテナント開業の差

先に解説した通り、開業資金は、戸建て開業かテナント開業かによっても大きく異なります。

費用の目安は次の通りです。

  • 戸建て開業:6,000万~1億円以上
  • テナント開業:5,000万~8,000万円程度
  • なぜここまでの差が出るかというと、戸建て開業は土地購入費、建物建築費が必要である一方、テナント開業は敷金・保証金(賃料の6~12か月分)、初月の賃料、仲介手数料、(目安は賃料の1か月分)内装工事費のみの支出となるためです。

    なお、注意点として、賃料の支払いは契約直後から発生するケースが多いです。つまり、内装工事期間中も賃料を支払う必要がある可能性が高いということです。

    ランニングコストの逆転現象

    戸建て開業とテナント開業は、初期費用で見ると戸建て開業のほうが圧倒的に高いですが、長期で見ると戸建て開業のほうが有利になることも多いです。

    なぜかというと、テナントはずっと家賃を払い続ける必要がありますが、戸建ての場合、ローン完済後はコストが大幅に削減されるためです。加えて、“資産が残る”点も大きなメリットです。将来的に自院を売却するとなると、大きな金額が戻ってくる可能性があるということになります。

    そのため、「初期費用を抑えられるから」の理由のみでテナント開業を選ぶのは安直であるといえるかもしれません。

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    自己資金の目安は「総額の10〜20%」が鉄則

    続いては、開業資金のうちどの程度を自己資金で用意すべきかを解説していきます。

    クリニックの開業資金は、一定額、自分で用意することが望ましいとされています。一定額とはどの程度かというと、目安としては10~20%といわれています。なぜこの程度は自分で用意することが望ましいかというと、金融機関から融資を受ける際の審査で、自己資金をどの程度用意しているのかもチェックされるためです。その目安が、10~20%ということになります。

    具体的には、金融機関は次のように見ています。

  • 自己資金が少ない→返済能力・計画性に不安がある
  • 自己資金が十分ある→リスクを自分でも負っている=本気度が高い
  • つまり、「自己資金比率=信用力そのもの」ということになります。

    なお、自己資金は多ければ多いほど審査で有利になるため、20%より大いに越したことはありません。しかも、より多くの自己資金を用意できていれば、開業後、返済に追われることがないぶん、精神的にも楽であるといえます。

    「自己資金ゼロ(フルローン)」での開業は可能か?

    自己資金ゼロだと、金融機関からの融資を“受けにくい”ということは、裏を返せば、“受けられる可能性もある”ということになります。ただし、可能性は低いと考えられます。

    では、自己資金ゼロの「フルローン」の場合はどうかというと、さらに融資を受けにくくなることは間違いありません。しかも、前述の通り、保険診療のみの場合、患者から支払われた診療費が手元に入るまでに2~3か月かかるため、少なくともその間は借入の返済をおこなうことができないということになります。そのため、現実的に考えて「ほぼ不可能」といえますが、立ち上げ当初から患者の流入が十分に見込めて、なおかつそのことを、融資を受ける金融機関などに納得してもらえる形で説明できる場合は、フルローンでも開業できる可能性があると考えられます。

    あるいは、新規開業とはいえ、身内のクリニックの承継開業である場合や、承継先との交渉によって、対価の支払いを先延ばしにしてもらえた場合などは、フルローンでも開業可能な場合があるでしょう。ただし、売り手からすると「回収できないリスク」を負うことになるため、担保・保証を求められることが多いと考えられます。たとえば、後払いを認める代わりに、連帯保証、あるいは金利の上乗せなどを条件とされる可能性があります。

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    開業に向けて、自己資金を効率よく貯める方法は?

    そもそも、医師の平均年収や、時給換算の場合の時給は決して低くないので、自己資金ゼロで開業可能かどうかを確認する代わりに、自己資金を効率よく貯める方法を考えたほうがよほど健全であるといえるでしょう。

    結論からいうと、「収入を増やす」「強制的に貯まる仕組みを作る」「無駄な固定費を削る」の3つを同時に回すことが最短ルートです。

    ただし、単なる節約では時間がかかるので、開業前の医師に特化した現実的な方法を整理していきましょう。

    最短で効くのは「収入を増やす」

    まず前提として、節約より“増収”のほうが圧倒的にインパクトがおおきくなります。

    スポット・非常勤の活用

  • 当直・日直
  • 健診・ワクチン
  • 外来バイト
  • これらをうまく活用することで、月数十万〜100万円以上の上積みも可能です。ただし、長期間にわたってスポット・非常勤として働き続けると、心身ともに休まることがないため、「期間限定でアクセルを踏む」のがおすすめです。たとえば、「開業までの2〜3年だけがんばる」「目標額を決める」などを検討するといいでしょう。

    強制的に貯まる「仕組み」を作る

    貯まる仕組みを作ることも非常に大切です。「余ったら貯める」ではほぼ100%失敗します。

    先取り貯蓄

  • 給与日に自動で別口座へ
  • 触れない口座に移す
  • 具体的な割合

  • 手取りの20〜40%を強制移動
  • →開業前なら“かなり攻めた割合”が現実的であるといえます。

    固定費を削る

    節約に関しては、固定費を削るだけでも十分です。

    見直すべき固定費

  • 家賃
  • 保険(過剰保障)
  • サブスク
  • 家賃などはなかなか削るのが難しいですが、「固定費=一度削るとずっと効く」という構造であるため、開業という将来の目標を優先して、思い切って削るのも一手です。

    NG節約

  • 食費を削る
  • ストレスが大きい節約
  • これらは、結果的に続かないので意味がありません。

    「運用」で増やす

    運用に関しては向き不向きもあるので、開業資金は「収入を増やす」「貯まる仕組みを作る」などの方法で貯めて、それ以外の将来の資産について、NISAやiDeCoで節税効果を得ながら貯めていくなどがおすすめです。

    ボーナス・臨時収入は“全額貯蓄”

  • 昇給しても生活費は据え置き
  • 差額はすべて貯蓄へ
  • これは実際、一番効きます。

    目標設定

    目標を設定すると、日々の意識が変わるため、これまでにピックアップした方法を自然と実践することができるようになります。

    なお、目標額は開業資金から逆算します。

    先に解説した通り、

  • 開業資金の目安:5,000万〜1億円
  • 自己資金:10〜20%
  • であるため、総額としては500万〜2,000万円が目標ということになります。
    次に、何年後に開業していたいかを考えます。

    (逆算例)
    3年で1,200万円 → 月33万円 となります。

    ≪医師特有の“落とし穴”≫

    「高収入=貯まる」と考えられがちですが、だからこその落とし穴は次の通りです。

  • 収入が高くて油断
  • 生活水準が上がって固定費がかかる
  • 投資で失敗
  • ここまでをまとめると、「稼いで、仕組みで貯めて、守る」を意識して、高収入だからと高をくくらないことが大切だということになります。

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    確実に融資を通す! クリニックの最適な資金調達ルート

    続いては、クリニック開業時に、確実に融資を受けるための最適な資金調達ルートを解説していきます。

    融資の成否を分けるのは精緻な「事業計画書(創業計画書)」

    各融資ルートを検討する前に押さえておくべき大前提として、金融機関の審査を通過するための鍵となるのが「事業計画書(創業計画書)」の精度です。診療圏調査のデータに基づいた現実的な集患見込みや、診療科目別の客単価、人件費などの経費を精緻にシミュレーションした収支計画が求められます。「このクリニックは確実に利益を出し、滞りなく返済できる」と金融機関の担当者を納得させられる、根拠のある事業計画書を作成することが、融資成功の絶対条件となります。

    最優先すべき「日本政策金融公庫」

    最初に検討すべきは、「日本政策金融公庫」です。なぜ、まずは日本政策金融公庫を活用すべきかというと、民間の金融機関と比べて金利が低いためです(ただし、担保や保証人の有無によっても変わります)

    日本政策金融公庫には、さまざまな融資制度が用意されていますが、クリニックの開業時の活用なら「新規開業・スタートアップ支援資金」が最適です。

    新規開業・スタートアップ支援資金の利用対象者は、新たに事業を始める人あるいは事業開始後おおむね7年以内の人で、新たに事業を始めるため、あるいは事業開始後に必要とする設備資金および運転資金を融資してもらえます。融資限度額は7,200万円、返済期間は、設備資金=20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金=10年以内(うち据置期間5年以内)と設定されています。

    また、女性あるいは35歳未満55歳以上の場合、好条件で利用できる可能性があります。

    参照:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

    戸建て開業の強い味方「独立行政法 福祉医療機構(WAM)」

    「独立行政法人福祉医療機構(WAM)」は、厚生労働省・こども家庭庁所轄の独立行政法人です。社会福祉事業および病院、クリニックなどの設置に必要な資金の融通ならびにこれらの施設に関する経営指導、社会福祉事業に関する助成などを通して、福祉の増進および医療の普及・更新を図ることを運営の目的としています。

    同機構の医療貸付制度の融資は限度額が非常に高く、有床クリニックの建築資金の融資限度額は5億円、無床クリニック建設資金の融資限度額は3億円です。

    参照:独立行政法人福利医療機構(WAM)2026年度医療貸付事業 融資のごあんない

    「医師会」の信用とネットワークを使った開業支援ローン

    各都道府県の市医師会は、医師信用組合や地方自治体などと連携して、クリニックの新規開業を支援する“開業支援ローン”を提供しています。利用するためには、医師会への入会が条件となりますが、設備導入費や運転資金として大きな金額を借入することができるため、加入のメリットは大きいといえます。

    金融機関と比べて金利が低い、地方自治体の「制度融資」

    地方自治体の「制度融資」は、金融機関と比べて低金利で利用することが可能です。借入限度額や手続きの流れなどは自治体によって異なりますが、総じて多額の資金調達には向かないため、他の融資と併せて利用するといいでしょう。

    開業特化プランがある銀行も! 民間の金融機関

    もっともよく知られている借入先は、銀行や信用機関などの民間の金融機関です。開業に特化したプランを用意している金融機関もあるため、複数行を比較することをおすすめします。なお、「A銀行には融資が通らなかったとしても、B銀行からは融資が下りた」ということもあるため、最初に当たった先から断られたとしても諦める必要はありません。

    ≪例外≫承継開業の場合、「事業承継・M&A補助金」の活用も検討したい

    返済が必要な融資とはタイプが異なりますが、承継開業の場合に限っては、「事業承継・M&A補助金」の活用も視野に入れるといいでしょう。「事業承継・M&A補助金」とは、中小企業や個人事業主が、事業承継やM&Aをきっかけとしておこなう新しい取り組み、あるいは経営資源の引き継ぎに要する経費を支援してくれる国の補助金制度です。補助金額は公募回次によって異なりますが、目安としては上限が600~800万円であるため、単独ではなく、融資と併せての利用を検討したいところです。

    なお、2026年4月24日時点において、次回(15次)公募要領は発表されていませんが、14次公募の公募要領はオンラインで確認可能なため、参照してみるといいでしょう。

    参照:事業承継・M&A補助金 14次公募 公募要領等ダウンロード

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    クリニック開業資金に関するFAQ

    続いては、クリニック開業資金に関するよくある質問とその答えをみていきましょう。

    Q. 親族からの資金援助に「贈与税」はかかる?

    親族から受け取った資金を自己資金として活用することはできますが、受け取った金額が110万円を超えた場合、110万円を超えた部分に対して贈与税が課税されます。

    ただし、“返す前提で”受け取っている場合、「贈与」ではなく、「借入」となるため非課税となります。

    贈与税を回避する方法①:金銭消費賃貸契約

    贈与税を回避するために、敢えて“返済義務がある実態”をつくることがあります。形式だけではダメで、実体がなければいけないため、金銭消費賃貸契約の契約書を作成する必要があります。契約書には、返済スケジュールや利息を盛り込み、実際に返済していかなければなりません。

    金銭消費賃貸契約を結んだ場合、必ず返済しなくてはなりません。契約書が存在しているだけで実際には返済していないケースや、利息がないケース、返済期限が決まっていないケースに関しては、税務署から「実質贈与」と判断されて、贈与税の支払いを求められるリスクが高いです。

    贈与税を回避する方法②:暦年贈与

    前述の通り、“返さない前提で”資金援助を受けた場合でも、110万円以内であれば贈与税を課されることがありません。さらに詳しく説明すると、「1月1日からその年の12月31日までの1年間に贈与された金額が110万円以内であれば贈与税がかからない」ので、毎年110万円ずつ、数年かけて受け取るという方法があります。これを「暦年贈与」といいます。

    参照:国税庁「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」

    贈与税を回避する方法③:相続時精算課税制度

    「相続時精算課税制度」とは、贈与税について年間110万円の基礎控除および累計2,500万円の特別控除を受けられる制度です。ただし、贈与者が亡くなったタイミングで、贈与財産額と相続財産額が合算されて、相続税として課税されることになります。つまり、相続時精算課税制度は、“贈与税を払わなくてよくなる制度”ではなく、“贈与税を後払いにできる制度”ということになります。

    なお、暦年贈与と相続時精算課税制度は、どちらか一方しか利用することができません。また、相続時精算課税制度を一度選択すると、原則として選択を撤回することができません。

    参照:国税庁「相続時精算課税の選択」

    Q. 医療機器の4つの調達方法「現金一括購入」「割賦購入(ローン)」「リース」「レンタル」のうち、どれが自院に向いているかを考えるポイントは?

    「現金一括購入」「割賦購入(ローン)」「リース」「レンタル」の4つの選択肢のうちどれをとるべきかは、資金状況、機器の性質、経営戦略などによって異なります。

    また、そのことを理解したうえで、「この医療機器は現金一括購入で、残りはレンタル」など使い分けできると理想です。

    まう、4つの違いを簡単に説明すると次の通りです。

  • 現金一括購入→結果的に一番安いものの、一気に資金が減る
  • 割賦(ローン)→医療機器を所有したい人向けの分割
  • リース→資金を温存しつつ使う
  • レンタル→短期・試験運用向け
  • 調達方法を決める際の判断軸

    調達方法を決める4つの判断軸は次の通りです。

      【軸①:キャッシュを守るか】

    • 現金一括→ キャッシュ激減(危険な状態に陥りやすい)
    • リース・ローン→ キャッシュ温存

    開業初期は“現金を残す”ほうが重要なことが多いため、この点については最優先で考える必要があります。

      【軸②:その機器をどれくらい長く使うか】

    • 長期使用(10年レベル)→ 現金 or ローン
    • 技術進化が早い → リース or レンタル

    (例)
    MRI・CT → リースを選択するクリニックが多い傾向にあります。
    ベッド・家具 → 現金多い購入するクリニックが多い傾向にあります。

      【軸③:収益に直結するか】

    • 収益機器(内視鏡など)→ 投資価値あり → 購入寄り
    • 補助機器(PC・備品)→ リースでも十分

    「稼ぐ機器・機械かどうか」で判断するといいでしょう。

      【軸④:損益分岐点への影響】

    • リース・ローン → 毎月固定費が増える
    • 現金 → 固定費は増えない

    「固定費が増える=経営リスク上昇」という構図が成り立ちます。

    4つの選択肢に向いているケース

    上記判断軸を踏まえると、4つの選択肢に向いているケースは次の通りとなります。

      【現金一括購入が向いているケース】

    • 資金に余裕がある
    • 長期使用確定
    • 故障リスクが低い
      【割賦(ローン)が向いているケース】

    • 所有したい
    • ある程度キャッシュを残したい
      【リースが向いているケース】

    • 開業初期
    • 高額機器
    • キャッシュ温存したい

    リースは、開業時の主力手段であるといえます。

      【レンタルが向くケース】

    • 患者数が読めない
    • 試験導入したい
    • 短期間のみ使用

    不確実性が高いときの安全策がレンタルです。

    実務でよくある“最適解”

    多くの場合、次のようなハイブリッド戦略が“最適解”となり得るといえます。

  • 高額機器(CT・内視鏡) → リース
  • 内装・設備 → 融資でまかなう
  • 小物・家具 → 現金一括購入
  • なお、長い目で見ると、「開業初期は“現金を残す”、安定後に“所有に寄せる”」という考え方が最適解であるといえます。

    よくある失敗パターン

    反対に、次のようなケースは失敗することが多いです。

  • 1現金使いすぎ→開業後に資金ショートする可能性が高いといえます。
  • 2 リース過多い→固定費が膨らみすぎるため大変危険です。
  • 3 収益機器をケチる→集患・売上が伸びにくくなります。
  • Q. 融資実行までのスケジュールは?

    クリニック開業の融資にはかなりの時間がかかります。

    着手から融資実行までには、3~6か月要すのが標準ですし、物件や承認が絡むと6か月以上かかることもしばしばあります。

    まず、標準フローは次の通りです。

  • 1 事業計画作成→ 2 事前相談→3 申込→4 審査→5 内諾→6 契約→7 融資実行
  • それぞれのステップでやることは次の通りです。

    事業計画・資金計画作成(2~4週間)

      やること:

    • 診療圏調査
    • 収支計画作成
    • 開業コンセプト整理

    【ポイント】
    金融機関は「数字の整合性」を最重視するので、その点が甘くないかをしっかりチェックすることが大切です。

    金融機関への事前相談(2〜3週間)

      代表例:

    • 日本政策金融公庫
    • 民間の銀行・信用金庫

    やること:

  • ラフ計画で打診
  • 融資可能性の確認
  • 正式申込(1〜2週間)

      提出書類:

    • 事業計画書
    • 見積書(内装・機器)
    • 履歴書・資格証
    • 自己資金証明

    【ポイント】
    書類の完成度で審査スピードが変わってきます。スピーディに審査してもらえるよう、完成度の高い書類を目指しましょう。

    融資審査(3〜6週間)

    チェックされるポイント:

  • 立地(診療圏)
  • 診療科の収益性
  • 自己資金
  • 人物評価(勤務歴など)
  • なお、融資審査期間は、修正・追加資料提出によって延びるのが普通です。

    内諾(仮承認)(1週間前後)

    「内諾」とは、「条件付きOK」が出る段階です。

    この段階で、次の内容が提示されます。

  • 融資金額
  • 金利
  • 返済期間
  • 契約・担保設定(2〜3週間)

      やること:

    • 金銭消費貸借契約
    • 抵当権設定(必要な場合)
    • 保証手続き

    融資実行

    ここまできてようやく、資金が振り込まれます。

      タイミング:

    • 工事着工前後
    • 機器発注時

    ≪よくある遅延パターン≫

    なお、次のような原因によってスケジュールが遅延することがあります。

  • 物件未確定→銀行が評価できずストップ
  • 見積が曖昧→再提出で1ヶ月遅れることも
  • 自己資金の説明不足→資金の出所確認で止まるパターン
  • 複数金融機関で迷う→決断遅れでスケジュールが崩壊
  • ≪融資を受けるタイミングを成功させるコツ≫

    融資の遅延を防ぐためのコツは、「内装・物件より先に融資を動かしていくこと」です。先に解説した通り、融資実行までの標準フローのファーストステップは、「資金計画作成」です。この段階でやることは、診療堅調さや開業コンセプトの整理などです。つまり、この段階で物件が決まっている必要はなく、物件が見つかる前から、融資を受けるための準備を進めていて問題ないということになります。

    ただし、“どちらが先か”について正解があるということではなく、物件探しも融資を受けるための準備も、できるだけ早い段階から着々と進めておくことが大切だというイメージです。

    事実、融資スケジュールは「審査期間」よりも「準備の質」で決まる傾向にあるので、開業の医師が固まった時点で、できることから着手していくといいでしょう。

    Q. 医師個人がローンを組んでいて返済が終わっていない場合、融資に影響しますか?

    結論からいうと影響します。貸倒リスク判断目的で、銀行は個人信用情報を必ず確認します。ローンやクレジットカードの支払い遅延がある場合や、多額の個人ローンを組んでいる場合は審査が不利になります。そのため、勤務医として働いている間に信用情報を整えておくことが大切です。

    Q. 追加工事などが必要となり、開業資金が膨らんだ場合、融資決定が下りたあとに融資額の増額に応じてもらうことはできますか?

    「不可避な事情があること」が大前提となりますが、応じてもらえる場合もあります。ただし、想定外の費用が必要となった理由などを、きちんと説明することが必須です。

    たとえば、次のような場合は増額に応じてもらえる可能性があります。

  • 保健所から建築基準法の要件を満たしていないことが指摘されて、追加工事が必要になった
  • 申込後にテナント条件が変わったため、工事範囲を拡大せざるを得なくなった
  • など

    なお、事情をきちんと説明しても融資増額に応じてもらえない場合、広告費や採用費を一時的に削減したり、医療機器の一部をリースにして初期負担を減らしたりすることで調整するなどの代替案が考えられます。

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    十分に時間をかけて戦略的に準備を進めることで、開業が成功する確率はぐっとアップする

    開業資金は金額が大きいため、実家の承継などのケースを除き、融資や補助金の利用なしでまかなうことはほぼ不可能であるといえます。そのため、融資を通す方法や補助金の申請方法、受け取れるまでに要す期間などを理解して、計画的に準備を進めていくことが必須です。また、開業資金のうち10~20%を貯めることは短期間では叶わないため、こちらに関してもきちんと計画を立てて実践していくことが大切です。考えなければならないことが多くて大変に思えるかもしれませんが、いずれも、将来の理想を実現するために必要なことです。そう考えると、一つひとつのステップを楽しみながら進めていけるはずですよ。

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、