自院の経営安定や集患・増患などのためにできることはいくつか考えられますが、優秀な医師を雇用することもその一つであるといえます。しかし、当たり前ですが優秀な医師は引く手あまたであるため、医師側が「選ぶ側」の立場にあることを理解したうえで、対策を講じることが大切です。つまり、自院で働くことが医師にとって魅力的でなければならないということです。具体的にどのようなポイントを踏まえて採用活動を進めていけばいいのか、詳しく解説していきます。
昨今、医療機関が医師を採用したいと考えても、条件に合う医師を簡単には確保できない傾向が強くなっています。特に地方・中小病院や特定診療科では、単純な「医師不足」だけでは説明できない、複数の要因が重なっています。
医師の絶対数だけでなく「偏在」が問題
日本では、医師数そのものは増加傾向にありますが、地域・診療科・病院規模による偏在があります。
都市部には医師が集まりやすい一方、地方では医師確保が難しいケースがあります。また、救急・産婦人科・外科など、負担の大きい診療科では採用競争が激しくなりやすいのが現実です。
「求人を出せば応募が来る」時代ではない
医師の転職市場においては、複数の医療機関が出している募集の条件を比較して、勤務先を選ぶ医師も少なくありません。医師の転職市場は完全なる売り手市場であるためです。
そのため、求人を出している医療機関側は、次のような点について総合的に見られています。
-
給与・年収
-
当直回数
-
オンコールの有無
-
勤務日数
-
時短勤務などの柔軟性
-
住宅・赴任サポート
-
休暇の取りやすさ
-
症例やキャリア形成
つまり、「高額な年収を提示すれば採用できる」という単純な話ではないところが重要です。
働き方改革で医師採用の難易度が上がっている
2024年4月から医師にも時間外労働の上限規制が適用されました。これをきっかけに、医療機関には、これまで医師の長時間労働によって支えてきた診療体制を見直す必要が生じることとなりました。
その結果、医師を確保できない病院では、「医師不足 → 一人あたりの負担増 → 勤務環境が悪化 → さらに採用が難しくなる」という悪循環が起こっている可能性があります。
「高年収」だけでは医師は動かない
医師募集では年収1,500万円、2,000万円など高い給与条件が目を引きますが、実際には年収だけで転職先を決めるとは限りません。
たとえば、「年収1,800万円・週5日・当直月6回」よりも、「年収1,500万円・週4.5日・当直なし」を選ぶ医師もいます。
つまり医療機関側には、単に給与を上げることではなく、「その医師が何を重視しているのか」を理解した求人設計が求められます。
採用できても「定着」が次の課題
医師採用では、採用人数だけを追いかけるのも危険です。
入職後に次のようなミスマッチガ怒ると、早期退職につながります。
-
求人票と実際の勤務条件が違う
-
当直・オンコールが想定以上
-
人間関係に問題がある
-
症例数や業務内容が希望と違う
-
経営方針と医師の考えが合わない
したがって現在の医師採用では、「採ること」だけでなく「長く働いてもらうこと」まで含めた採用戦略が重要です。
≪医療機関にとっての「リアル」≫
ここまでをまとめて、医師募集の難しさを一言で表すなら、「医師がいない」のではなく、「自院が求める条件の医師に、自院を選んでもらうことが難しい」ということです。
だからこそ、求人票を掲載して応募を待つだけではなく、自院の魅力・勤務条件・キャリア環境を明確にして、ターゲットとなる医師に合わせて情報発信することが採用成功のカギになります。
採用活動に医師採用支援サービスを利用する場合も、単に「求職者に求人をたくさん、積極的に紹介する会社」を選ぶのではなく、医療機関と医師双方の希望を丁寧にすり合わせて、入職後のミスマッチまで考えてくれるサービスを選ぶことが重要です。
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- 働き方改革で医師採用の難易度が上がっている
- 「高年収」だけでは医師は動かない
- 採用できても「定着」が次の課題
- ≪医療機関にとっての「リアル」≫
- 主な医師募集の手法と費用対効果の比較
- 医師が「応募したくなる」求人票の書き方と条件設定
- 医師募集の成否を分ける「面接」「条件提示」の極意
- 優秀な医師を採用して、働き続けてもらうためには、医師が快適に働ける環境を整えることが大切
主な医師募集の手法と費用対効果の比較
医師募集では、「どの方法を使うか」だけでなく、「採用できるまでにいくらかかるか」「採用後に定着するか」まで含めて費用対効果を考えることが重要です。
【主な医師募集の手法と費用対効果】
| 募集方法 | 主な特徴 | 費用の目安 | 費用対効果 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 医師転職サイト・人材紹介会社 | 専門の担当者が候補者を紹介 | 成功報酬型が中心 | ★★★★☆ | 急いで採用したい、条件に合う医師を探したい |
| 求人広告・求人サイト | 求人情報を掲載し、応募を待つ | 掲載課金・期間課金など | ★★★☆☆ | 採用人数を増やしたい、幅広く募集したい |
| 自院ホームページ | 自院で直接募集 | 基本無料~サイト制作費 | ★★★★☆ | 長期的に採用コストを抑えたい |
| 医師向け求人媒体・専門誌 | 医師に特化した媒体で募集 | 掲載料 | ★★★☆☆ | 特定の診療科・勤務形態で募集したい |
| ダイレクトリクルーティング | 医師に直接スカウト | 月額・利用料+採用課金など | ★★★★☆ | 採用したい医師像が明確 |
| 知人・医師からの紹介 | 既存医師などから紹介 | 紹介制度・謝礼など | ★★★★★ | 人脈を活用できる医療機関 |
| 医局からの派遣・紹介 | 大学医局などを通じて医師を確保 | 個別の関係・契約による | ★★★★☆ | 特定診療科の医師を安定的に確保したい |
| SNS・Web広告 | SNSや検索広告などで認知を拡大 | 広告費 | ★★☆☆☆~★★★★☆ | 潜在的な転職希望者にもアプローチしたい |
※なお、費用はサービス・契約条件・採用する医師の職種や年収などによって大きく異なるため、一律の相場として考えるのではなく、「採用単価」で比較することが重要です。
人材紹介会社・医師転職エージェント
人材紹介・医師転職エージェントの活用は、医師募集では代表的な方法です。医師の希望条件をヒアリングしたうえで、医療機関に候補者を紹介してもらえます。
最大のメリットは、自院だけでは接点を持ちにくい転職希望医師にアプローチできることにあります。一方で、採用が決まった場合には成功報酬が発生するため、直接募集より採用単価が高くなるケースがあります。ただし、「採用できなければ費用が発生しない」という料金設計なら、求人広告のように「お金を払って掲載したのに応募がなかった」という費用リスクを抑えやすいのが特徴です。
求人サイト・求人広告
求人情報を掲載して、医師からの応募を待つ方法です。比較的多くの医師に求人を見てもらえる一方、掲載しただけで採用できるとは限りません。
そのため、利用検討時には、「掲載費用 ÷ 採用人数」を概算するだけでなく、「応募数 → 面接数 → 内定数 → 入職数」の実績まで確認することが大切です。特に、医師不足が深刻な地域や診療科では、広告を出しても応募が集まらない可能性があります。
自院ホームページでの直接募集
自院のホームページに採用ページを設けて、直接応募を受け付ける方法です。掲載自体の追加費用を抑えやすいため、長期的に見ると費用対効果の高い方法です。
ただし、この方法は前提として、医師に求人ページを見つけてもらうことが不可欠です。そのため、まずは「医師募集」で検索したときに見つかるように対策を生じる必要があります。具体的には、働き先を探しているであろう医師が検索しそうなキーワードをタイトルや文章に含めたページを作成して、Googleサーチコンソールに登録して、検索エンジンに早く認識してもらうことがまず有効です。
そのうえで、次のような点にも留意しながら、「応募したくなる採用ページ」に仕上げることが重要です。
-
勤務条件が具体的
-
年収や勤務日数が明確
-
病院・クリニックの特徴が伝わる
-
院長や勤務医のメッセージがある
など
なお、医療機関によっては、採用ページの制作そのもののハードルが高いということもあるでしょう。その場合、ホームページ制作の専門家などに頼むとスムーズですが、「作業費が発生する」「制作会社と意見やセンスが合わない」などの問題が発生する場合もあります。
ダイレクトリクルーティング
医療機関側から、条件に合いそうな医師へ直接アプローチする方法です。最大の特徴は、「応募を待つ」のではなく「採用したい医師を探しに行く」ということです。この方法は、特定の診療科や経験を持つ医師を採用したい場合には特に有効です。
一方で、候補者の選定やスカウト、連絡、面談などに採用担当者の工数がかかります。したがって、採用費だけでなく、「採用担当者の人件費・時間」まで含めて費用対効果を考える必要があります。
医師・知人からの紹介
知り合いの医師や医療関係者から候補者を紹介してもらう方法です。
広告費や紹介会社への成功報酬が不要であることから、非常に高い費用対効果が期待できる方法であるといえます。さらに、紹介者を通じて、求職者に職場の実情を伝えることができるため、入職後のミスマッチを抑えやすいというメリットもあります。
ただし、紹介してもらえる人数には限界があり、安定的な採用チャネルにするのは難しいという側面があります。知り合いの医師や医療関係者に「紹介してあげたい」という気持ちがあったとしても、タイミングよく、求職中の意思が見つからないというケースも多いでしょう。
≪費用対効果を見るときの重要なポイント≫
医師募集では、単純に「募集費用が安い=費用対効果が高い」と考えてはいけません。
たとえば、次の2つを比べてみてください。
-
求人広告:30万円で採用ゼロ
-
人材紹介:200万円で医師1人を採用
求人広告のほうがかかったお金は少ないですが、採用できなければ医師不足は解消されません。
そのため、採用単価だけではなく「採用成功率」と「採用後の定着率」まで含めて判断することが大切であるといえます。
なお、医師採用の費用対効果を測る主な指標は次の通りです。
-
応募数
-
面接数
-
内定数
-
入職数
-
採用単価
-
採用までの期間
-
採用担当者の工数
-
入職後の定着率
-
採用後の診療収益への貢献
など
特に医師の場合、1人の採用によって診療体制や売上が大きく変わることがあります。
したがって、「採用コストをいくら削減できたか」だけでなく、「その採用によって医療機関にどれだけの価値が生まれたか」まで見ることが大切です。
≪医師募集は複数チャネルの組み合わせが効果的≫
結論としては、医師募集は、一つの手法に絞るより、複数のチャネルを組み合わせるほうが効果的です。
たとえば、「自院ホームページ+求人媒体+人材紹介+ダイレクトリクルーティング」といった組み合わせで、それぞれの強みを使い分けることが大切です。
特に採用が難しい診療科・地域においては、「求人を出して待つ」だけではなく、医師が転職先を選ぶ時代に合わせて、こちらから適切な医師にアプローチする採用戦略が非常に重要になっています。
医師が「応募したくなる」求人票の書き方と条件設定
医師採用では、単に「高待遇」「急募」と書くだけでは応募につながりません。医師は求人票を見ながら、「自分の希望する働き方を実現できるか」「無理なく長く働けるか」「キャリアにプラスになるか」などを判断しています。
そのため、応募を増やすには、給与だけでなく勤務負担・仕事内容・キャリア・職場環境を具体的に伝えることが重要です。
具体的に伝えるべきことを解説していきます。
「医師募集」ではなく「どんな医師に来てほしいか」を明確にする
「常勤医募集」「高待遇」だけでは、求人の魅力が伝わりません。
たとえば次のような文言で、ターゲットとする医師像を明確にすることが大切です。
-
「外来中心で働きたい医師」
-
「当直なしで勤務したい医師」
-
「子育てと仕事を両立したい医師」
-
「専門医資格を活かしたい医師」
-
「手術・症例経験を増やしたい医師」
-
「開業前に経営経験を積みたい医師」
など
「誰でも歓迎」ではなく、「あなたに合った働き方があります」と伝えるほうが、医師の関心を引きやすくなります。
なお、医師採用で「誰でも歓迎」と打ち出すのは、一見すると応募の間口を広げられそうですが、実際には応募数・採用の質・定着率のすべてにマイナスに働くことが多いです。理由は主に次の4つです。
「自分に合う求人か」が分からない
医師は転職先を探す際に、診療科、勤務日数、当直、給与、症例、専門性、キャリアなど、自分の希望と求人条件を照らし合わせます。しかし、「経験・年齢不問!誰でも歓迎!」だけでは、「結局、どんな医師を求めている病院なの?」という疑問が残ります。歓迎する医師像が具体的であるほど、対象となる医師は「自分のための求人だ」と感じやすくなります。
「人が集まらないから誰でもいいのでは?」と思われる
これはもっとも大きな理由です。「誰でも歓迎」という表現が強すぎると、「医師がなかなか集まっていない」「採用基準がない」「とにかく人手不足なのではないか」「入職後に何でも任されるのではないか」といったネガティブな印象につながる可能性が大変大きいです。
特に医師は専門職なので、「誰でもいい」ではなく「あなたの経験を必要としている」ことを伝えるほうが効果的です。
優秀な医師ほど応募をためらう可能性がある
経験豊富な医師や専門性の高い医師は、自分のスキルをどのように評価してもらえるかを重視します。「誰でも歓迎」では、給与や役割、期待される専門性が見えにくく、「自分の専門性を評価してくれる職場なのか?」が判断できません。その結果、より具体的に魅力を提示している求人へ流れてしまう可能性があります。
採用後のミスマッチが起こりやすい
「誰でも歓迎」で応募を集めると、応募者の希望と医療機関が求める役割にズレが生じやすくなります。たとえば、病院側は「外来だけでなく病棟管理もお願いしたい」と思っていても、医師側は「外来中心で働けると思っていた」などといったケースです。採用できても、入職後に「思っていた仕事と違った」となれば、早期退職につながります。
年収は「○万円~」だけで終わらせない
医師が特に気にするのが給与条件です。しかし、たとえば「年収1,500万円~2,000万円」だけでは、給与条件がよいのか悪いのかを判断できません。
たとえば次のような項目について、具体的に記載することが大切です。
-
想定年収
-
経験・資格による変動
-
週何日勤務の場合の金額か
-
当直手当
-
オンコール手当
-
インセンティブ
-
交通費
-
住宅手当
-
昇給の有無
など
「高年収に見せる」ことに重点を置いた求人票より、「実際にいくら受け取れるのかが分かる」求人票のほうが信頼されます。
勤務負担はできるだけ具体的に書く
医師にとって、給与と同じくらい重要な判断ポイントとなるのが勤務負担です。
特に次の点については、できるだけ具体的に記すことが大切です。
-
勤務日数・曜日
-
勤務時間
-
残業
-
当直回数
-
オンコール回数
-
呼び出しの頻度
-
救急対応の有無
-
休日
-
有給休暇
-
休憩時間
など
たとえば、「当直あり」とだけ記すより、「当直月2回程度。救急車受入れは平均○台/日。翌日は原則○時まで勤務」のほうが、医師は実際の働き方をイメージできます。
「当直なし」「週4日」などは大きな訴求ポイント
医師の働き方に対するニーズは多様化しています。そのため、柔軟な条件がある場合、求人票の目立つ位置に記載することが望ましいです。たとえば次のような条件は、大きな訴求ポイントとなります。
-
週4日勤務可
-
当直なし
-
オンコールなし
-
時短勤務可
-
土日休み
-
早番・遅番なし
-
子育てとの両立を支援
-
常勤・非常勤の選択が可能
など
「年収○万円」だけを大きく掲載するより、その医師にとって価値のある条件を前面に出すことが重要です。
仕事内容・症例数を具体的にする
医師は、「どんな仕事をするのか」も非常に重視します。仕事の内容や症例について具体的に知りたいと思っています。そのため、たとえば「外来・病棟管理をお願いします」だけでは情報不足です。たとえば、次のような情報をしっかり記して伝えてあげることが大切です。
-
外来:週○コマ
-
1コマあたり患者数:約○人
-
病棟管理:約○床
-
救急車:約○台/月
-
手術:約○件/月
-
主な疾患
-
診療体制
-
医師・看護師などの人数
など
なお、数字を入れることによって、医師は自分が働く姿を具体的に想像できます。
「この職場で働くメリット」を明確にする
求人票では、仕事内容や条件だけでなく、「なぜこの医療機関で働くことが求職者にとってプラスになるのか」を提示することも重要です。
具体的には、たとえば次のようなことを記します。
-
最新の医療機器を使用できる
-
専門医資格の取得・維持を支援する体制が整っている
-
希望する症例を担当できる
-
開業支援のノウハウがある
-
他科との連携が強い
-
医師同士の相談体制が整っている
-
経営やマネジメントにも関われる
など
給与では競合施設に勝てなくても、キャリアや働きやすさという別の価値で選ばれる可能性は十分にあります。
「給与」だけでなく、働きやすさまで含めて条件設定する
医師の求人条件を設定する際は、年収や勤務日数といった目に見える待遇だけでなく、「実際にどれだけ働きやすい環境なのか」も重要な訴求ポイントになります。
たとえば、次のような取り組みを求職者に伝えることも大切です。
-
電子カルテを導入して事務作業を効率化している
-
Web問診や予約システムを活用している
-
医師の書類作成・入力業務をサポートするスタッフがいる
-
医療クラークを配置している
-
AI・ITツールを活用して業務負担を軽減している
-
他職種との業務分担を進めている
-
当直・オンコールの負担を適正化している
など
これに関して重要な点は、たとえば「電子カルテあり」と書くだけではなく、それによって医師の業務がどう楽になるのかまで伝えることです。
たとえば、単に「電子カルテを導入しています」よりも、「電子カルテと医療クラークを活用して、診療後の書類作成や入力業務をできるだけ軽減しています。医師が診療に集中できる環境づくりを進めています」と記したほうが、医師が働く姿を具体的にイメージできます。
医師にとって魅力的な求人とは、必ずしも「一番年収が高い求人」ではありません。同じ年収であっても、残業や事務作業が少なく、診療に集中できる職場であれば、実質的な働きやすさは大きく異なります。
そのため医療機関側も、「いくら支払うか」だけではなく、「その報酬に対して、どれだけ働きやすい環境を提供できるか」という視点で条件を設計することが大切です。
なお、業務効率化や電子カルテ・ICTの導入は、単なる設備投資ではなく、医師採用における強力な「働きやすさの訴求材料」になります。採用競争が厳しい現在だからこそ、給与条件と同時に「医師の負担を減らすために、医療機関としてどんな努力をしているのか」を求人票で具体的に伝えることが大切です。
「求人票に落とし込めていないこと」がないかも入念に確認する
医師が転職後に「話が違う」と感じやすいのが、求人票と実際の勤務条件のギャップです。そのため、求人票には、実際の勤務条件に忠実に、細部まで落とし込むことが大切です。
特に重要なのは次の点です。
-
当直回数
-
オンコール
-
残業
-
救急対応
-
外来患者数
-
休日勤務
-
管理業務
-
医師不足による追加業務
など
良いことだけを書くのではなく、大変な部分も正確に伝えることが、結果的に応募者との信頼関係につながります。
なお、「求人票に落とし込めていなかったこと」がもしあった場合で、面接時に求職者から質問された場合、誠実に説明することも非常に大切です。
≪「応募したくなる求人票」の基本構成≫
求人票は、次の順番で整理すると、求職者にとって分かりやすいものになります。
- ① キャッチコピー
↓
- ② この求人のおすすめポイント3~5個
↓
- ③ 勤務条件
↓
- ④ 年収・給与
↓
- ⑤ 具体的な仕事内容・症例
↓
- ⑥ 当直・オンコール
↓
- ⑦ 医療機関の特徴・診療体制
↓
- ⑧ キャリア支援・福利厚生
↓
- ⑨ 選考・入職までの流れ
特に最初の部分で、「週4日・当直なし・年収1,600万円から。外来中心で専門性を活かせます」のように、医師にとって重要な条件を一目で理解できるようにするよう設計することがポイントです。
もっとも大切なのは「医療機関目線」から「医師目線」への転換
良い求人票とは、「当院はこんな病院です」と説明するだけのものではありません。「この条件なら、自分らしく働けそう」と医師に思ってもらえる求人票です。
そのためには、給与を高く見せることよりも、勤務負担・仕事内容・キャリア・柔軟な働き方を具体的に提示して、自院で働くメリットを医師側の視点で伝えることが重要です。
そして、条件設定に迷った場合は、現在の医師市場における相場や競合求人と比較しながら、「採用したい医師が実際に魅力を感じる条件になっているか」を見直すことが、採用成功への第一歩となります。
医師募集の成否を分ける「面接」「条件提示」の極意
医師採用では、求人に応募してもらった時点がゴールではありません。むしろ、その後の「面接」と「条件提示」によって、医師が「ここで働きたい」と思えるかどうかが決まります。
特に重要なのは、面接の場を、医療機関が一方的に医師を評価する場にしないことです。面接は、医師側も「この病院・クリニックで長く働けるか」を見極める場です。
面接では「経歴」だけでなく「転職理由」を深掘りする
医師の採用面接では、これまでの勤務先や専門医資格だけを見るのでは不十分です。
特に重要なのは、次の点について確認することです。
-
なぜ転職を考えているのか
-
現職で何に不満を感じているのか
-
次の職場で何を実現したいのか
-
希望する働き方は何か
-
どのような診療・キャリアを続けたいのか
これらの点について理解できれば、自院の魅力と医師の希望を結びつけて説明できます。
「質問する面接」から「魅力を伝える面接」へ
医師採用では、面接官が質問ばかりしていると、医師側は「評価されている」という印象を持ちやすくなります。
もちろん適性の確認は必要ですが、同時に、次のような点について話すことで、「自院で働くメリット】を具体的に伝えることも重要です。
-
医師の裁量権
-
診療体制
-
看護師・コメディカルとの連携
-
当直・オンコール体制
-
電子カルテなどのIT環境
-
業務効率化への取り組み
-
医師の負担軽減策
-
教育・研修環境
など
特に昨今の医師採用では、給与だけでなく、「どれだけ働きやすい環境なのか」が重要な判断材料になります。
条件提示は「給与額」だけで終わらせない
「年収1,500万円」など、給与額だけを提示するのは不十分です。
医師が知りたいのは、その年収と引き換えに、どのような働き方をするのかです。たとえば次のような条件について具体的に提示することが大切です。
| 項目 | 条件提示のポイント |
|---|---|
| 年収 | 基本給・賞与・インセンティブなど |
| 勤務日数 | 週4日・週4.5日・週5日など |
| 勤務時間 | 始業・終業時間、残業の有無 |
| 当直 | 回数、時間、当直手当 |
| オンコール | 頻度、呼び出しの有無 |
| 外来 | 1コマの患者数・診療内容 |
| 病棟 | 受け持ち患者数・業務範囲 |
| 休暇 | 有給、夏季・年末年始など |
| 福利厚生 | 住宅、赴任、学会参加など |
| 業務環境 | 電子カルテ、医療秘書、クラークなど |
「給与を上げる」より「負担を減らす」という発想も重要
医師採用では、単純に給与を引き上げるだけが解決策ではありません。
たとえば、「年収を100万円上げます」よりも、「医師事務作業補助者を配置し、診療以外の事務負担を減らします」「電子カルテの導入・業務改善によって記録業務を効率化しています」「当直後は翌日の勤務負担を軽減できる体制です」といった説明のほうが、医師によっては大きな魅力になります。
つまり、「いくらもらえるか」だけではなく、「どれだけ無理なく働けるか」まで条件の一部として考えることが重要です。
条件提示はできるだけ早く、分かりやすく
面接後に、「院内で検討して、また連絡します」だけで終わると、医師が他の求人に流れてしまう可能性があります。
採用したい医師であれば、可能な範囲で早めに、「当院としてはぜひ来ていただきたい」という意思を伝えて、そのうえで具体的な条件を提示します。ただし、口頭で意思を伝えるだけでなく、勤務日数・勤務時間・給与・当直・業務内容などを明文化することも重要です。
最後の決め手は「歓迎されている」という実感
求職中の医師は、複数の医療機関を比較しているケースも少なくありません。
そのため、「先生の○○の経験を、当院の△△でぜひ活かしていただきたい」「先生の希望されている週4日勤務にも対応できます」「先生には診療に集中していただけるよう、事務業務はできるだけサポートします」というように、「なぜあなたを採用したいのか」「そのためにどんな対応を考えているのか」を明確に伝えることが大切です。
採用成功のポイントは「条件」+「働くイメージ」
医師採用でもっとも避けたいのは、高い給与だけを提示して入職を促すことです。
採用の成否を分けるのは、
-
① 医師の希望を理解する
-
② 自院で実現できる働き方を示す
-
③ 給与・勤務条件を具体的に提示する
-
④ 業務効率化やサポート体制を伝える
-
⑤ 「ぜひ来てほしい」という意思を伝える
という一連の流れです。
最終的に医師が知りたいのは、「この条件なら、自分はこの職場で無理なく長く働けるか」です。だからこそ、医師採用では「いくら払うか」だけでなく、「どんな働き方を提供できるか」まで含めて条件提示することが、採用成功の大きなポイントになります。
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クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
優秀な医師を採用して、働き続けてもらうためには、医師が快適に働ける環境を整えることが大切
「できるだけ優秀な医師を採用したい」――これは、多くの医療機関に共通する願いです。しかし、採用競争が厳しい今、医療機関が一方的に「選ぶ側」でいることはできません。医師からも「この病院で働きたい」と選んでもらう必要があります。そのために大切なのは、給与を上げることだけではありません。
適正な給与、無理のない勤務体制、明確な仕事内容、キャリアを伸ばせる環境、そして医師が診療に集中できる職場づくりなど、やるべきことはいくつもあります。特に、電子カルテや医療ICTの導入、医療クラークの配置、業務効率化など、「医師の負担を減らすために、医療機関として何をしているのか」は、今後ますます重要なポイントになります。
また、「優秀な医師なら誰でもいい」という考え方ではなく、自院の理念や診療方針、患者層、職場環境とマッチする医師を採用することも大切です。
採用のゴールは、入職してもらうことではありません。「この医療機関で働いてよかった」と医師に思ってもらい、長く活躍してもらうことにあります。そのためには、求人票の条件だけを整えるのではなく、医師が働きたいと思える医療機関そのものをつくることが、何よりの採用力になります。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
