問診票とは?法定様式が無い書類の設計と、診察時間を短くする質問の並べ方

問診票は、受診した患者から診察前に情報を集めるための書類である。症状、既往歴、服薬、アレルギー、来院の経緯を、診察室に入る前に文字にしてもらう。

この書類に国が定めた様式は無い。だからクリニックごとに中身が違い、同じ診療科でも診察の長さが変わる。問診票は事務の書類ではなく、診察時間の設計そのものである。

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目次
  1. 問診票は診療録の一部か
  2. 必ず入れる項目
  3. 患者の自己判断が入りにくい聞き方にする
    1. 自由記述は最小限にする
  4. 紙かウェブか——分かれ目
  5. 運用で決めておくこと
  6. よくある質問
    1. 問診票に法的な様式や記載義務はありますか。
    2. 患者が書いた内容が事実と違っていた場合、責任はどうなりますか。
    3. 個人情報の同意はどこで取りますか。
    4. 他院からの紹介患者にも書いてもらうべきですか。
  7. まとめ
  8. 参考

問診票は診療録の一部か

問診票そのものは診療録ではないが、診療録の一部として保存する扱いが一般的である。

医師法24条は診療録の記載と5年間の保存を定めているが、問診票の様式や保存については触れていない。実務では次のように整理される。

扱い
問診票の原本 診療に関する諸記録として保存する。電子カルテへ取り込む場合はスキャンして保存する
問診票の内容 医師が確認し、診療録へ必要な範囲を記載する。問診票を貼っただけで診療録の記載に代えることはできない
保存期間 診療録は5年、その他の診療に関する諸記録は2年(療養担当規則9条)

「問診票に書いてあるから診療録には書かなくてよい」とはならない。医師が聴取して判断した内容は、診療録側に残す。

必ず入れる項目

診療科によって足すものは変わるが、どの科でも外せない項目がある。

項目 なぜ要るか
来院の理由・いつから 主訴と経過。ここが空欄だと診察が問診から始まる
既往歴(過去の病気・手術・入院) 現在の症状との関連、検査や処置のリスク評価
服薬中の薬・お薬手帳の有無 相互作用と重複投薬。「無し」も情報になる
アレルギー(薬・食物) 医療安全の要。空欄と「無し」を区別できる形にする
妊娠・授乳の有無 投薬・検査の可否
他院の受診状況 重複検査の回避、情報提供のきっかけ
連絡先 検査結果の連絡、予約の変更

アレルギー欄は「無し」にチェックを入れる形にする。空欄のままだと、聞いていないのか、無いのかが分からない。医療安全上いちばん差が出る一手である。

患者の自己判断が入りにくい聞き方にする

問診票の精度が落ちる最大の原因は、患者が「これは関係ない」と判断して書かないことである。既往歴が典型で、「もう治ったから」と申告されないことが起きる。

判断させずに事実だけを聞く形にすると、記入漏れが減る。

書き方 何が起きるか
「既往歴をご記入ください」 患者が関係あると思ったものだけ書く
「過去に入院・手術をしたことがありますか」 事実なので判断が入らない
「アレルギーはありますか」 「たぶん無い」で空欄になる
「薬や食べ物で発疹・かゆみ・息苦しさが出たことがありますか」 具体的な症状で思い出せる

期間を区切るときも基準を示す。「最近」ではなく「5年以内」と書くほうが、回答のばらつきが減る。

自由記述は最小限にする

自由記述が多いほど、書くのに時間がかかり、読むのにも時間がかかる。選択肢で拾える項目は選択肢にして、自由記述は主訴の欄だけにする形が実務的である。

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紙かウェブか——分かれ目

ウェブ問診を入れるかどうかは、待合の混み方と、患者層で決まる。「新しいから入れる」でも「高齢者が多いから入れない」でもない。

条件 向いている形
待合が混み、記入待ちで滞留している ウェブ問診(来院前に済ませられる)
記入内容を診察前に医師が見たい ウェブ問診(電子カルテに取り込まれた状態で確認できる)
予約が少なく、飛び込みが中心 紙で足りる。ウェブに誘導する接点が無い
記入者が高齢で、代筆や口頭確認が前提 紙と併用する。ウェブ一本にはしない
どちらも要らない場合 1日の患者数が少なく、診察室で聞いて済んでいるなら、問診票の運用自体を軽くしてよい

ウェブ問診にすると、入力内容がそのまま電子カルテへ入る。転記が消えるので、受付の作業時間と転記ミスが同時に減る。逆に、紙で受け取ってスキャンするだけの運用なら、転記の手間は残ったままになる。

運用で決めておくこと

  1. 再診時に問診票を取り直すか —— 前回から時間が空いたとき、症状が変わったときのルールを決める。毎回だと患者の負担になる
  2. 記入を断られたときどうするか —— 口頭で聴取して、聴取した旨を診療録に残す
  3. 誰が内容を確認するか —— 受付が受け取るだけで医師が見ないまま診察が始まる形になっていないか
  4. 保存の方法 —— 紙で残すのか、スキャンして電子カルテへ入れるのか。紙のままだと保管場所が増え続ける

問診票は作ったら終わりではない。診察で毎回同じことを聞き直しているなら、その項目が問診票に無いか、聞き方が悪い。半年に一度、実際の診察で何を聞き直しているかを棚卸しすると精度が上がる。

よくある質問

問診票に法的な様式や記載義務はありますか。

無い。医師法にも療養担当規則にも問診票の様式の定めは無い。ただし診療録の記載義務は医師法24条にあるので、問診票の内容を踏まえて診療録に記載する。

患者が書いた内容が事実と違っていた場合、責任はどうなりますか。

医師には問診の義務がある。問診票の記載を確認せずに診療して問題が起きた場合、問診票があることは免責にならない。問診票は聴取の出発点であって、代替ではない。

個人情報の同意はどこで取りますか。

問診票と同じ紙面に利用目的を記載し、署名欄を設けるクリニックが多い。院内掲示と併用する。利用目的には、診療のほか、保険請求、他院への情報提供などを含める。

他院からの紹介患者にも書いてもらうべきですか。

書いてもらう。診療情報提供書には現在の治療内容が中心に書かれ、アレルギーや服薬の全体像が抜けていることがある。紹介状と問診票は補い合う関係にある。

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まとめ

  • 問診票に法定様式は無い。中身を決めるのはクリニックで、決め方が診察時間に直結する
  • アレルギー欄は「無し」にチェックできる形にする。空欄と無しを区別できないと医療安全に響く
  • 記入漏れを減らすには、判断させず事実で聞く。「既往歴」より「過去に入院・手術をしたことがありますか」
  • 紙かウェブかは待合の滞留と患者層で決める。どちらも要らないクリニックもある
  • 問診票があっても診療録の記載義務は消えない

参考

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提供形態

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