クリニックを開院すると、周囲にあるクリニックは全てライバルです。診療科目がかぶっているクリニックとは患者さんの取り合いになります。これからクリニックを開院するなら、集患で負けないことが第一です。
そのためには、まず「診療科目」を何にするかを考えなければなりません。内科が多い地域に新たに「内科」を標榜(ひょうぼう)して参戦しても勝ち目は薄いでしょう。自らレッドオーシャンに飛び込むことはないのです。この地域にはこの診療科目は自分のクリニックしかない――そのような状態が望ましいですね。では、施設数の多い診療科目とは何か、ご存じでしょうか?
最も施設数の多い診療科目は「内科」
診療科目 | 施設数(2019年データ) |
---|---|
内科 | 6,705 |
整形外科 | 4,897 |
外科 | 4,500 |
皮膚科 | 3,039 |
小児科 | 2,539 |
眼科 | 2,388 |
耳鼻咽喉科 | 1,957 |
精神科 | 1,760 |
産婦人科 | 1,104 |
参照・引用元:「e-Stat」「医療施設調査 令和元年医療施設(動態)調査 全国編」
最も施設数の多いのは「内科」で、「整形外科」「外科」と続きます。ただし、このデータは、標榜科目「呼吸器内科」「循環器内科」「消化器内科(胃腸内科)」などを「内科」として集計したものであることに注意してください(重複計上)。
標榜できる診療科目については以下の「クリニック開業ナビ」の記事を参照してください。
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「精神科」と「皮膚科」の施設は増加している
では、それぞれの診療科目の増減はどうなっているでしょうか? 以下は「内科」「小児科」「精神科」「外科」「整形外科」「産婦人科」「眼科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」の2011~2019年の施設数の推移です。
科目 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
内科 | 6,928 | 6,897 | 6,879 | 6,838 | 6,823 | 6,799 | 6,785 | 6,759 | 6,705 |
小児科 | 2,745 | 2,702 | 2,680 | 2,656 | 2,642 | 2,618 | 2,592 | 2,567 | 2,539 |
精神科 | 1,611 | 1,624 | 1,646 | 1,681 | 1,698 | 1,724 | 1,740 | 1,752 | 1,760 |
外科 | 4,825 | 4,786 | 4,745 | 4,683 | 4,664 | 4,619 | 4,574 | 4,528 | 4,500 |
整形外科 | 4,980 | 4,975 | 4,956 | 4,943 | 4,941 | 4,918 | 4,924 | 4,913 | 4,897 |
産婦人科 | 1,239 | 1,218 | 1,203 | 1,176 | 1,159 | 1,136 | 1,127 | 1,116 | 1,104 |
眼科 | 2,464 | 2,459 | 2,457 | 2,446 | 2,434 | 2,421 | 2,414 | 2,398 | 2,388 |
耳鼻咽喉科 | 1,995 | 1,982 | 1,976 | 1,978 | 1,974 | 1,971 | 1,966 | 1,957 | 1,957 |
皮膚科 | 3,015 | 3,020 | 3,008 | 3,027 | 3,038 | 3,035 | 3,053 | 3,052 | 3,039 |
2011年から2019年にその診療科目で施設数がどの程度増減したかを見ると以下のようになります。
診療科目 | 2011年から2019年の増減比 |
---|---|
内科 | -3.2% |
小児科 | -7.5% |
精神科 | 9.2% |
外科 | -6.7% |
整形外科 | -1.7% |
産婦人科 | -10.9% |
眼科 | -3.1% |
耳鼻咽喉科 | -1.9% |
皮膚科 | 0.8% |
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総じてどの診療科目も減少していますが、最も減少幅の大きいのは「産婦人科」です。これは日本の人口が減少に向かっていることが影響していると考えられます。また、「小児科」で「-7.5%」、「外科」で「-6.7%」と、この2つの診療科目も減少幅が大きいことが分かります。逆に施設数を増やしているのが「精神科」です。なんと「9.2%」も増えています。体よりも精神の健康をなんとかしたいというニーズに応えたものと推測できます。
いわば「逆張り」も考えてみましょう!
というわけで、医療施設数の推移をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。最も多いのは「内科」ですから、ただ単に「内科」と標榜するだけではいけません。自分のクリニックなりの特徴をアピールできる診療科目にしましょう。
自分の開院する地域の特色、すでにあるクリニックをよく調査し、「勝てる」診療科目を選んでください。「逆張り」も有効です。
例えば、有名な「高須クリニック」の高須克弥統括院長にお話を伺ったことがありますが、高須院長は「人の行く裏に道あり花の山」とおっしゃっていました。そもそも高須院長が「美容整形」を始めたのも普通の医師なら選ばない診療科目を選んだ、いわば「逆張り」だったそうです。
他にも、「失敗を経て来院者数300%アップさせた院長が教える クリニック経営の成功法則」の著者、「有明こどもクリニック」理事長・小暮裕之先生は「敬遠されがちな小児科」に挑戦しようという気持ちからクリニックを起こし、失敗も経験しながら成功をつかまれました。
このように、高須院長の言葉を借りるなら「人の行く裏に道あり花の山」の精神は有効です。自身のクリニックにどんな特徴を出すのか、つまりどの診療科目を「売り」にするのか、そこにニーズはあるのかを考えることこそ成功の道というわけです。
今回ご紹介したデータはそれを考えるための基になるはずです。クリニックを成功させるためにどの診療科目を選ぶのか、ぜひ熟考してください。
特徴
対応業務
その他の業務
診療科目
この記事は、2021年2月時点の情報を元に作成しています。