診療科ごとの医療機器の費用とは?

クリニックを開業する際は、機器導入の費用を想定し、事業計画を立てないといけません。では、実際にどのくらいになると考えればいいのでしょうか? 今回は、「内科」「小児科」「耳鼻咽喉科」など、診療科目ごとの「医療機器費用の目安」を『株式会社東京医療サポート』の平尾清敬代表に伺いました。同社は、クリニック開業の支援・経営コンサルティングを行っている企業です。

目次
  1. 事業計画を立てる際の参考にしよう
    1. 内科開業時における医療機器と相場価格帯
      1. X線
      2. CR/DR
      3. エコー
      4. 心電計
      5. 電子カルテ
    2. 小児科開業時における医療機器と相場価格帯
      1. 電子カルテ
      2. X線
      3. 血算CRP
      4. 心電計
    3. 整形外科開業時における医療機器と相場価格帯
      1. 電子カルテ
      2. X線
      3. 骨密度計
      4. CR/DR
      5. 超音波診断装置
      6. リハビリ機器
    4. 耳鼻咽喉科開業時における医療機器と相場価格帯
      1. 電子カルテ
      2. 診療ユニット
      3. 経鼻内視鏡
      4. CT
    5. 眼科開業時における医療機器と相場価格帯

事業計画を立てる際の参考にしよう

開業時における必要な医療機器と相場価格帯は診療科によって大きく異なり、必ずしもこの価格になるとは限らないとのこと。その上で、各診療科ごとのおおまかな導入機器と各費用、また事業計画に盛り込む際の一般的な目安を教えてもらいました。

※記事内の金額は税別価格

内科開業時における医療機器と相場価格帯

X線

一般撮影用、立位(ブッキー台付)のもので300万円ほど。

CR/DR

CRで300万円、DRで500万円くらい。※ただし画像処理能力で差異あり

エコー

価格は300万~800万円くらいで、画像処理能力により価格に大きな差があります。

心電計

価格は50万~100万円くらい。無線LAN機能があるタイプはプラス20万円、ホルタータイプはプラス250万円くらい。解析度合いで金額が変わります。

電子カルテ

家電系メーカーではPHC(パナソニック)、日立、東芝、富士通など。検査系メーカーはラボテック、BMLなど。レセコンメーカーの場合はユヤマ、EM、日本電産などがある。診察室+受付の2台構成で250万円くらい。1台増やすごとにプラス50万円ほど。そのほか保守料、更新料などが別途必要。クラウド型 Donuts CMSなどは100万円くらい。

内科としては事業計画上 1,200万~1,500万円ほどで落とし込むのが一般的とのこと。ただし、消化器内科は別途内視鏡を導入する必要があり、こちらは500万~800万円。洗浄機は100万円ほど。

糖尿病内科は別途「HbA1c測定装置」が必要で500万円ほど。呼吸器内科の場合は、呼気NO濃度測定器が120万円ほど。肺機能検査機器が30万円ほど必要になります。

小児科開業時における医療機器と相場価格帯

電子カルテ

内科に準じる

X線

内科に準じる

血算CRP

価格は350万円ほどになります。

心電計

価格は50万円ほど。監視モニターも50万円ほどが必要です。

事業計画上では、X線導入なしの場合は800万円ほど。X線を導入する場合は1,400万円くらいになるとのことです。

整形外科開業時における医療機器と相場価格帯

電子カルテ

内科に準じるが整形外科の場合は基本3台構成。

X線

壁走行型で500万円ほど。天井走行型の場合は600万円ほど。

骨密度計

400万円ほど。メーカーは日立、GEなどがあります。

CR/DR

450~600万円ほど。

超音波診断装置

300万円ほど。

リハビリ機器

温パック、けん引機、ウォーターベッドなど。どの機器を何台入れるかで金額が変動。一般的に800万円ほど。

事業計画では機器費用は3,000万円ほどの予算を計上するのが一般的です。

耳鼻咽喉科開業時における医療機器と相場価格帯

電子カルテ

内科に準じる。

診療ユニット

1台300万円ほど。

経鼻内視鏡

500万円ほど。

CT

2,500万円ほど。

事業計画上では、CTを導入しない場合は1,000万円ほど。CT込の場合は3,500万円ほどになるケースが多いとのことです。

眼科開業時における医療機器と相場価格帯

平尾代表によると、眼科は機器が多岐にわたり、また導入する機器のレベルによって金額の差が大きいため、個別に機器と金額を出すのが難しいとのこと。そのため、事業計画上での価格を参考に挙げてもらいました。

眼科の場合、OPありの場合は8,000万~9,000万。硝子体手術を行う場合はプラス1,000万。OPなしでは4,000万~5,000万円ほどの予算が目安になるとのことでした。

診療科ごとの医療機器とその費用、また事業計画書に計上する予算の目安をご紹介しました。眼科などは必要となる導入費用が以前と比べて数千万円も高くなっているそうで、機器の性能の進化や需要によって価格はかなり変わってくるとのこと。あくまで目安として参考にしてみてください。

医療機器の事業計画を立てる際にはあらかじめ先生がご希望される機器を選定いただきコンサル会社等にご相談されそこを通じて機器メーカーに依頼して概算見積を提示していただくことをお勧めします。

先生が直接機器メーカーに問い合わせいたしますと値段設定が高めになる可能性がありますので代理店を通して交渉されることをお勧めします。

クリニック開業ナビ

執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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