「集患」「増患」とは、漢字の通り「患者を集めること」「患者を増やすこと」を意味する言葉。この2つは、クリニック開業にあたって絶対に考えなければならない要素です。
開業後の患者数の増減に対しても、集患・増患のために何ができるのか?はつねに考えていくことが大切になってきます。
具体的には、「クリニックのよさや特徴をより多くの人に知ってもらうこと」「患者満足度を高めること」「患者の利便性を追求すること」などが有効です。
この記事では、オンライン・オフライン・院内での取り組みに分けて、それぞれできる対策を見ていきたいと思います。
オンラインでできる集患対策
まずはオンラインでできることを説明します。
ホームページを作る
開業時の基本中の基本です。ホームページがなければ、ネット上で正しい情報を発信できる場所を得られないこととほぼ同義です。
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)などからも情報を発信できるとはいえ、多くの人は、「診察時間などの正確な情報はホームページで確認するもの」と思っているのではないでしょうか。
検索の結果、ホームページが見つからなければ他院へと流れてしまう可能性も高いので、現代のクリニック開業には必須の要素と考えていいと思います。
SEO対策
SEOとは、「Search Engine Optimization」の頭文字を取ったもので、日本語では「検索エンジン最適化」と言われます。
ざっくり説明すると、「何かのキーワード(例えば「新宿 内科」「美容外科 おすすめ」など)で検索された際に、検索ユーザーの目につきやすい場所に自らのサイトやコンテンツを表示させるための施策」を指します。
診療科名や疾患名などのキーワードで検索した人に、自院のホームページに辿り着いてもらうためには、SEO対策を講じることが必須です。
どのサイトのどんなコンテンツが「目につきやすいところ」に表示されるかはGoogleのアルゴリズムで決まっていますが、そのアルゴリズムは定期的に変動します。変動に合わせてサイトやコンテンツの並びが変わることも多いので、一度対策をとればそのままにしておけばOK!……というわけではなく、定期的なテコ入れが不可欠です。
とくに医療分野はGoogleが定めた「YMYL領域」でもあるため、より信頼できる内容にしていかなければなりません。
MEO対策
SEO対策同様に大切なのがMEO対策です。
MEOとは、「Map Engine Optimization」の略で、Googleマップを対象とした地図エンジンにおいて最適化を図ることを指します。
もっと簡単に「Googleマップでの露出強化を図る施策」のこと、と言い換えてもいいでしょう。
「地域名+業種」で検索した際、Googleマップの枠に表示される事業所は上位3位までと決まっています。そのため、クリニックを開業しているエリアにおいて検索されたとき、ここに入ることができるよう施策を講じておかないと、患者の目に留まらなくなってしまう可能性も……。
とくにクリニックはほとんどの場合で「家(もしくはいま自分がいる場所)から近いところ」の優先度が高くなる傾向があるため、まずは「近くにあること」を認知してもらうためにも、必須の対策と言えるでしょう。
リスティング広告を打つ
リスティング広告とは、検索エンジンを使って検索した際の検索結果に連動して表示される広告のことを指します。
検索した際、検索結果の上位に表示される頭に「広告」の文字が入っているものがこれに該当します。
特定のキーワードで検索された際、上位に表示されますが、URLをクリックされるたびに広告費が発生します。
そのため、「高校を打って目につくようになったおかげでアクセスが増える」効果が期待できます。とはいえ、実際の通院につながらないことも少なくないため、やはり広告をクリックした先のリンクページ(ほとんどの場合はクリニックのホームページページになると思いますが)の出来も重要です。
SNSを活用する
ホームページには、診察時間や診察内容、ドクターのプロフィールやクリニックからのメッセージなどのベーシックな情報を載せ、SNSで最新の情報を発信するのも1つの手法です。
ホームページのトップページに最新情報を載せておいた場合、サイトを訪問してくれた人には見てもらえますが、クリニックから患者に直接情報を届けに行くことはできません。
一方、TwitterやFacebook、Instagramなどで情報を発信すれば各SNSのタイムラインに表示されるため、情報収集に対して受け身な人にも最新の情報が届きやすくなります。
とくに、美容皮膚科やレーシック手術を専門とする眼科などは、SNSに広告を出すことも有効です。最新の機器による施術を受けられることなどをアピールすると、多くの人に注目されるでしょう。
オフラインでできる集患対策
続いてはオフラインでできることです。
目立つ看板にしてみる
通りから見えやすい位置に看板を設置する、インパクトのある看板にする、などで視覚に訴えることは意外と有効です。
たとえば、「最近肌の調子が悪いなあ……」と悩んでいる人が看板を見かけて、職場近くによさげな皮膚科があると知り、お昼休みに行ってみようと思った。
なんて経験は、多くの人がしていることのようです。
屋外広告を打つ
駅前などの人通りが多いところに広告を出すと、クリニックがある場所を通らない人にも「こんなところにクリニックがあるんだ」と知ってもらいやすいです。
広告には、得意とする治療や専門領域のほか、たとえば「夜8時まで診察」「土日も診察」などの売りとなるポイントも記しておけば、集患・増患につながりやすいです。
バス広告やタクシー広告を出す
診療圏が広めの診療科なら、バス広告やタクシー広告を検討してもいいでしょう。
チラシを配る
アナログな手法ではありますが、近隣住民へのチラシ配布の効果は侮れません。
とくに、デジタルに疎い世代の患者さんを獲得したいときには有効な手段になりうるでしょう。
イベントを開催する
生活習慣病予防のための情報を発信するイベントなどを開催すると、今現在受診を必要としていない人にもクリニックに足を運んでもらえるきっかけとなります。
クリニックの診療科目とつながりがあるイベントがベストですが、シンプルに、地域の住民にクリニックの雰囲気を知ってもらうための音楽会などを開催するのもアリ。
「看護師も受付の人もやさしくていいクリニックだな」と思ってもらうことができたら、なにかあったときに頼ってもらいやすいでしょう。
クリニックの主催以外にも、例えば地域のイベントに出展してみる等も機会があれば試してみる価値はあるかもしれません。
内覧会を開く(開業時)
これから開業するなら、開業に合わせて内覧会の開催を計画することをおすすめします。
クリニックの設備や内装を多くの人に直接見てもらえるいい機会ですし、内覧会の場でエコバッグなどのノベルティを配布すれば、そのノベルティを使っているところを見かけた第三者にもクリニックのことを知ってもらうきっかけとなりえます。
院内でできる集患対策
続いては、院内でできることをみていきます。
待ち時間対策
院内でできること、やるべきこととして最初に挙げられるのは待ち時間対策です。具体的には、以下のような方法があります。
予約システムを導入する
待ち時間を減らすために最初に検討すべきは、予約システムの導入です。
予約システムを導入すれば、患者からすると診療が終わる時間がだいたい読めるようになるため、一日の時間を有効に使えます。
なにより患者想いの対策といえるでしょう。
順番表示システムを導入する
急な発熱や腹痛で受診する人も多く、予約制にしてしまうのは難しい診療科であれば、順番表示システムの導入がおすすめです。
とくに、あと何人で自分の番が回ってくるのかをスマホからチェックできるシステムなら、患者は自分の番が近づくまで近所のカフェで時間を潰すこともできるため、精神的にも楽になります。
Wi-Fiを導入する
体感的待ち時間を削減するためには、雑誌やテレビなど、患者の暇つぶしに役立つものをクリニック内に用意することが望ましいですが、多くの人にとってもっとも暇つぶしとなるのはスマホやタブレットです。
クリニックがWi-Fiを完備していればつながりにくさやデータ容量(ギガ)消費の問題も解消されるため、患者はストレスフリーでネットサーフィンなどを楽しめます。
接遇面でできること
接遇面にも改善できるポイントがあります。
丁寧な対応を心がける
当然と言えば当然なのかもしれませんが、1人ひとりの患者と丁寧なコミュニケーションをとることはとても大切。反対に、「この先生はぶっきらぼうだな」と思われたら、再来院される確率は減るでしょう。
最近では新型コロナの影響もあり忙しい日々が続くこともあると思いますが、その中でも最低限、双方にとって心地よい空間になるようにしたいものです。
清潔感のある空間を保つ
クリニックに清潔感がない場合も、「ここにはもう来たくない」と思われる可能性が高いです。
待合室診察室のほか、トイレや玄関周りを清潔に保つことも心がけましょう。
プロの力を活用するのも集患のコツ
すべてを一気に変えていくのは大変のように感じるかもしれません。
しかし、ホームページの運営と同時にブランディングや広告・宣伝も請け負ってくれる専門業者を利用すれば、自院では、患者とのコミュニケーションをはじめとするアナログな側面に集中できます。
まずは専門家を頼りながら、自分たちでも少しずつIoTを学んでいくという選択肢もあるので、できることから少しずつはじめてみてはいかがでしょうか?
また、Webに関する施策以外に関しても、さまざまな専門家が存在します。
たとえば、人事・労務に強い専門家もいれば、清掃面を強化したいときに頼りになる掃除のプロもいます。本業である医業に集中するためにも、それ以外のことに関してはうまく専門家の力を借りるようにしたいですね。
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
この記事は、2021年11月時点の情報を元に作成しています。