医療法人とは?わかりやすく解説!

「医療法人」という言葉は聞いたことがあるし、なんとなくの意味は知っているけど、詳細まで説明することはできない……という人は多いのでは? そこで今回は、医療法人についてわかりやすく解説していきます。

目次
  1. 「医療法人」とは?
    1. 開設者別にみた施設数 - 病院
    2. 開設者別にみた施設数 - 一般診療所
  2. 医療法人にもいろんな種類がある
    1. 社会医療法人(旧特別医療法人)
    2. 特定医療法人
    3. 基金拠出型法人
    4. 経過措置型医療法人
  3. 医療法人化することのメリット、デメリット
    1. メリット
      1. 1.給与所得控除が受けられる
      2. 2.家族に理事報酬を支払うことができる
      3. 3.承継する場合相続税がかからない
      4. 4.生命保険を利用すれば退職金を準備できる
      5. 5.事業展開しやすくなる
      6. 6.個人の借金を医療法人の借金にできる
      7. 7.資金調達しやすくなる
    2. デメリット
      1. 1.書類作成などの雑務が増える
      2. 2.解散したくなってもなかなかできない
      3. 3.社会保険と厚生年金への加入義務が生じる
  4. 自分には関係ないことだと思わず、概要だけでも知っておくと後々役に立つ

「医療法人」とは?

まずは、医療法人とは何かを簡単に説明します。

医療法人とは、病院や診療所、介護老人保健施設または介護医療院といった医療施設を開設することを目的に設立される法人のこと。「医療法」という法律によって、法律が認められている法人になります。

医療法では、医療法人の形態を「社団法人」または「財団法人」と定めていますが、大多数は社団法人です。また、各法人の出資者は「社員」と呼ばれます。出資者が、出資持分に応じて払戻請求権を保有する場合は「出資持分のある法人」と呼ばれ、払戻請求権を保有しない場合は「出資持分のない法人」と呼ばれます。「出資持分のない法人」のうち、公益性に関する一定の条件を満たしている法人は、租税特別措置法に基づき、法人税の軽減税率が適用される「特定医療法人」に分類されます。

日本の医療施設のうち、医療法人が開設している施設は何割ある?

では、日本の医療施設のうち、医療法人によって開設されているものの割合はどのくらいなのでしょうか? 厚生労働省が公表している「平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、2018(平成30)年の開設者別にみた施設数は以下の通りです。

開設者別にみた施設数 - 病院

病院 施設数 全体の施設数における割合
324 3.90%
公的医療機関 1,207 14.40%
社会保険関係団体 52 0.60%
医療法人 5,764 68.50%
個人 187 2.50%
その他 838 10.10%

開設者別にみた施設数 - 一般診療所

一般診療所 施設数 全体の施設数における割合
536 0.50%
公的医療機関 3,550 3.50%
社会保険関係団体 464 0.50%
医療法人 42,822 41.30%
個人 41,444 41.30%
その他 13,289 12.90%

参照:平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況―p.7一部抜粋

医療法人にもいろんな種類がある

続いては、医療法人の種類についてみていきましょう。先に述べた通り、医療法人には社団法人と財団法人がある他、出資者の払戻請求権の保有の有無によっても違いがあります。これらの条件を元に大きく分けると、以下のようにまとめることができます ※2015(平成27)年時点での条件による区分

社団医療法人 出資持分のない法人 社会医療法人(旧特別医療法人)
特定医療法人
その他医療法人
基金拠出型法人
出資持分のある法人 経過措置型医療法人
財団医療法人 社会医療法人(旧特別医療法人)
特定医療法人
その他医療法人

社会医療法人(旧特別医療法人)

政令で定めるところにより、都道府県知事の認定を受けた医療法人です。非営利性に加えて公益性の高さが求められる医療法人で、地域の医療計画に沿って救急医療等確保事業をおこなうことから、地域医療の中核を担うことになります。認定要件は厳格。認定されると、自院や自社医療施設から生じる所得の法人税が非課税になることに加え、直接救急医療等確保事業に供する資産に対しての固定資産税や都市計画税が非課税になるなど、税制上の優遇措置を受けられます。

特定医療法人

租税特別措置法に規定されている、特定の医療法人を指します。社団医療法人も財団医療法人も承認対象。承認要件チェックは厳格におこなわれますが、承認を受けることができると法人税の軽減税率が適用されるなど、税制上の優遇措置を受けることができるのでメリットが大きいです。

基金拠出型法人

2007(平成19)年4月1日の医療法改正によって、出資持分のない社団医療法人は、基金制度を採用することができることになりました。その際、基金制度を採用した医療法人のことを、基金拠出型医療法人と呼ぶようになりました。ちなみに「基金」とは、医療法人が拠出者に対して返還義務がある財産のこと。社員や理事以外の人間でも拠出可能です。また、基金には、配当・利息がありません。

経過措置型医療法人

社員の退社にともなう出資持分の払い戻しや、医療法人の解散にともなう残余財産分配の範囲につき、払込出資額を限度とする旨が定められている社団医療法人は「出資限度額法人」とされていました。しかし、2007(平成19)年4月1日の医療法改正によって、出資額限度法人は「経過措置型医療法人」と改定。また、同日以降に設立された医療法人は、経過措置型医療法人に移行することはできません。

医療法人化することのメリット、デメリット

続いては、医療法人化するメリット、デメリットをみていきましょう。

メリット

1.給与所得控除が受けられる

医療法人化すると、所得が給与扱いになるため、給与所得控除を受けることができます。給与所得控除は最大195万円です。

2.家族に理事報酬を支払うことができる

理事長の給与を敢えて抑えて、その分、家族に分散すると課税額を抑えることができます。

3.承継する場合相続税がかからない

個人事業のクリニックを承継する場合は相続税がかかりますが、医療法人なら、理事長を変更するだけで承継できるため、子どもなどにクリニックを継いでもらいたい場合、相続対策がバッチリということになります。

4.生命保険を利用すれば退職金を準備できる

生命保険の途中解約によって、退職金を準備できます。保険料の半額は医療法人の経費からも払えるので、理事長個人は支払額以上の退職金が得られることになります。

5.事業展開しやすくなる

分院の設立はもちろん、介護事業施設やリハビリテーション施設も展開できます。

6.個人の借金を医療法人の借金にできる

クリニック開業時にできた借金の名義を医療法人に移せば、理事長個人のリスクを減らすことができます。

7.資金調達しやすくなる

個人事業の場合、院長に加えて保証人がひとり必要ですが、医療法人の場合、主体が医療法人で保証人を理事長にすることができるので、事実上ひとりで資金調達できます。

デメリット

1.書類作成などの雑務が増える

事業報告書や資産登記、理事会の議事録などをたびたび作成しなければならなくなります。

2.解散したくなってもなかなかできない

医療法人は、「地域医療の担い手である」という観点から事業の永続性が求められるため、個人的な理由による解散が認めづらいという特徴があります。解散時には各都道府県の認可が必要となりますし、理事長が引退したい場合は、理事長の座を明け渡す人、もしくはM&A先を探す必要があります。

3.社会保険と厚生年金への加入義務が生じる

従業員の人数に関わらず、社会保険と厚生年金に加入しなければなりません。

自分には関係ないことだと思わず、概要だけでも知っておくと後々役に立つ

開業医としてクリニックをオープンしたい場合はもちろん、医師として医療法人に勤務する場合も、医療法人について詳しく知っておくに越したことはありません。勤務医として働いている現状に満足しているという人も、将来考えが変わる可能性はあるので、この機会にぜひ、医療法人について自分でも説明できるくらい理解を深めておいてはいかがでしょうか?

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内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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