医療事務の離職率は高いって本当?クリニックスタッフに長く働いてもらうための対策とは

医療事務は離職率が高い。そう聞いたことがある人は多いと思いますが、果たして実際のところはどうなのでしょうか?

医療事務の資格は「取りたい資格」上位にランクインすることが多く職業としても人気ですので、噂が本当かどうか気になるところです。では、早速みていきましょう。

目次
  1. 医療事務の離職率は実際高い
  2. 離職率が高い理由 
    1. 職場の人間関係がよくない
    2. 忙しい
    3. クレーム対応が辛い
    4. 待遇に納得できなかった
    5. 待合室の椅子やソファの配置に問題がある
  3. どうすれば退職されにくくなる?
    1. 風通しのいい環境づくりを心がける
    2. 繁忙期にはパートスタッフを雇うなどしてひとりあたりの負荷を減らす
    3. クレーム対応に当たるスタッフのケアを怠らない
    4. 給与体系を見直す
    5. 院内のレイアウトを変えてみる
  4. それでも離職されてしまったら

医療事務の離職率は実際高い

結論から言うと、医療事務の離職率は実際のところかなり高いです。

厚生労働省が公表している「令和2年度新規学卒就職者の離職状況(平成30年3月卒業者の状況)」によると、高卒就職者で医療・福祉系の仕事に従事している人の離職率は46.2%大卒就職者の医療・福祉事業者の離職率は38.6%にも上ります。

【 高校 】 【 大学 】       
宿泊業・飲食サービス業61.1%宿泊業・飲食サービス業51.5%
生活関連サービス業・娯楽業 56.9%生活関連サービス業・娯楽業46.5%
教育・学習支援業50.1%教育・学習支援業45.6%
小売業47.8%医療、福祉 38.6%
医療、福祉  46.2%小売業37.4%
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成3027年3月卒業者の状況)」

「離職率」とは、一般的には1年以内、もしくは3年以内に退職した人の割合のことなので 、長くても3年持たなかったとなると、「なんでそんなにすぐに辞めるのだろう?」と気になりますよね。

離職率が高い理由 

続いては、高い離職率につながる主な理由についてみていきましょう。

職場の人間関係がよくない

クリニックの人間関係がよくないことが原因で退職する人はとても多いです。医療事務同士の人間関係だけでなく、看護師や医師とソリが合わないことも。そこにパワハラやセクハラといった要素が加わっていることもあるでしょう。

忙しい

個人クリニックの場合、レセプト業務以外にもさまざまな業務をこなさなくてはいけません。患者の応対はもちろん、クリニックの清掃などを任されることもあるでしょう。

さらに、受付が終了したあとにもやることはたくさん。カルテの管理や書類の整理に時間を取られることもありますし、毎月の診療報酬請求時は仕事が追い付かず残業を余儀なくされることもあるでしょう。

クレーム対応が辛い

医療事務はクリニックの顔としての役割を担うことも多いです。そのため、患者からのクレームがあった際にはしんどい思いをすることになります。

患者側がまっとうな意見を述べているならともかく、なかには理不尽なことを要求してくるモンスターペイシェントもいます。そうした患者の対応を通して、ストレスが蓄積され、耐えられなくなって辞めるというケースもあるでしょう。

待遇に納得できなかった

給与が少なくても、最初のうちは勉強だと思って承諾している人もいるでしょう。しかし、働いているうちにスキルが上がっても給与が見直されなかったとしたら、待遇に不満を持って当然です。

待合室の椅子やソファの配置に問題がある

待合室の椅子やソファに座った患者が受付のほうを向くよう配置すると、受付は四六時中患者の目にさらされることもあります。そのことをストレスに感じて離職する受付事務はとても多いのが事実です。

どうすれば退職されにくくなる?

離職率が高いということは、雇う側にとっては困ったことです。

せっかく新しい人材を雇って仕事を教えても、1年やそこらで辞められて、また新しい人材に一から仕事を教えないといけなくなったら、時間もお金も損することになります。

そうならないようにはどうすればいいかというと、「離職率が高い理由」として挙げた54つに当てはまらないように工夫していけばいいのです。

風通しのいい環境づくりを心がける

「職場の人間関係がよくない」が当てはまるなら、風通しのいい職場の環境づくりを心がけ、院長自らスタッフと積極的にコミュニケーションを取りましょう。

繁忙期にはパートスタッフを雇うなどしてひとりあたりの負荷を減らす

「忙しい」が当てはまるなら、とりわけ忙しい時期にはパートスタッフを雇うなどして、誰かひとりに負担がかかることなどを防ぎましょう。

花粉症シーズンやインフルエンザシーズンなどは、診療科によっては患者数が増えることが予想されるので、事前に対策をとることもしやすいでしょう。

クレーム対応に当たるスタッフのケアを怠らない

「クレーム対応が辛い」が当てはまることが予想されるなら、どんなクレームがあったのかをしっかり聞いて、対応したスタッフをケアすると同時に、場合によっては院長や理事長などが該当患者への対応に当たるのもいいでしょう。

また、よくありがちなクレームに関しては“対応マニュアル”を用意しておくのが得策です。

給与体系を見直す

「待遇に納得できない」という意見があるなら、賞与などを見直すところからはじめましょう。

がんばったらがんばった分だけ評価されるシステムを用意しておけば、スタッフのモチベーション維持、モチベーション向上にもつながります。

院内のレイアウトを変えてみる

「待合室の椅子やソファの配置に問題がある」なら、受付事務と患者の目線が合うことがないよう配慮しながら、家具の位置を動かしましょう。

部屋の構造上どうしても難しい場合は、背の高い観葉植物を置くなどして視線をぶつかりにくくする方法もあります。

それでも離職されてしまったら

退職されないための工夫や努力を重ねても、スタッフの退職を100%防ぐことはできません。クリニック側の努力とは関係なく、家庭の事情などで辞める場合もあるでしょう。

優秀なスタッフが辞めてしまうことは残念ではありますが、無理に引き留めるのもよくありません。

これまでがんばってくれたスタッフであるならなおさら、快く送り出してあげられるといいですね。また、そのぶんのスタッフを補てんしたいと考えるなら、いい人材をそろえた専門業者に問い合わせるのもおすすめですよ!

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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