テレビ電話などのICTツールを活用して、遠隔地の医師が患者の顔色や表情、動作などを確認しながら問診を行う「オンライン診療」。
体重や血圧などのバイタルデータや問診記録などを伝送することが可能なシステムも増えており、システムの利便性が年々高まっています。
スムーズに行うためにはもちろん、精度の高いシステムの導入が不可欠です。では、これからオンライン診療を導入していくとしたら、どんなシステム・アプリを導入するのがいいのでしょうか?
人気のシステム・アプリを比較してみましょう。
オンライン診療とは?
オンライン診療とは、パソコンやスマートフォン、タブレットを介してリアルタイムでコミュニケーションを取りながら行う診察や医学管理のこと。
医師、患者の双方が、パソコンまたはスマートフォンやタブレットなどの通信機器を有していて、インターネットに接続できる環境にあることが利用の必須条件。
使用する端末によっては、別途ウェブカメラやマイクが必要な場合もあります。
オンライン診療システムはどう進化している?
オンライン診療システムは、従来はネットワーク品質確保の観点から有線ネットワークでの利用が推奨されていました。
しかし昨今は、無線ネットワークや携帯通信網でも、安定した品質およびセキュリティを確保しやすくなっています。とくに、5Gの浸透やコロナ禍でのオンライン診療のニーズの高まりなどが、オンライン診療の普及を加速させた大きな要因となっています。
オンライン診療にはアプリケーションが必要な場合もある
オンライン診療の利用に際して、システムによっては、専用の有料アプリケーションのインストールが必要な場合もあります。ただし、無料で利用できる汎用サービスもありますし、電子カルテシステムにオンライン診療システムが付属していることも。
このことは、オンラインMTGを行うためのアプリケーションをイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。
たとえばGoogle meetやZOOMには無料版があり、誰でも自由に使えます。しかし、長時間話したり参加者を管理したりしたい場合には、有料版を利用した方がいいでしょう。これと同じようなとらえ方をしてもらえればと思います。
もちろん、お使いの電子カルテにオンライン診療機能が付いている場合は、それを活用すると電子カルテと紐づけて使いやすいなどたくさんのメリットを享受できるでしょう。
参照:総務省「遠隔医療モデル参考書 ―オンライン診療版―」14枚目(p.11)一部抜粋
おすすめのオンライン診療システム5つ~機能・価格を比較~
続いては、オンライン診療システムのなかでも使いやすいと評判のシステムを、いくつかピックアップして紹介します。
オンライン 診療 システム | 企業名 | 利用料 | 特徴 |
CLINICS | 株式会社 メドレー | 基本使用料: 月額1.5万円 初期費用: クリニックの 状況によって提案 | ■予約、問診、 スケジュール管理など 機能を完備 ■クレジット決済可能 ■薬剤配送用の宛名印刷可能 |
Curon | 株式会社 MICIN | 初期費用・ 月額利用料 ともに0円 ※患者自己負担額の 事務手数料4%は発生 | ■予約から配送まで 必要な機能をすべて完備 ■設定や院内業務フローの 設計をサポート |
Pocket Doctor | MRT 株式会社/ 株式会社 オプティム | 2か月0円の トライアルあり | ■画像の上に 赤ペンで印をつけたり 指さしマークを表示 しながら説明可能 |
CARADA オンライン 診療 | カラダ メディカ | 要問合せ | ■専用のアプリではなく 「Google Chrome」や 「Safari」などのブラウザで 診療が可能 |
LINE ドクター | LINE ヘルスケア | 初期費用・ 月額利用料 ともに0円 ※決済手数料は3.5% | ■LINEアプリ上で診察の予約・ 無料ビデオ通話での診察・ 決済まで完結 |
イシャチョク (R) | オンライン ドクター .com | 登録手数料: 税抜5万円 | ■.新規患者を受付できる “マッチング形式”の 仮想待合室 ■予約型ではないため、 空いた時間をオンライン診療に 充てて有効活用できる |
SOKUYAKU | JFRONTIER | 初期費用無料 キャンペーン実施 | ■エリアによっては 処方薬を最短当日届けられる ■カレンダー形式の 予約管理機能搭載 ■問診票管理機能搭載 |
Kizuna WEB | ボーダレス・ ビジョン | 月額税別 4,500円 | ■Full-HDの 高画質ライブ伝送が可能 ■電子カルテから 1クリックでオンライン診療開始 ■専用ソフト インストール不要 ■画面上で文字や絵を 上書きできる アノテーション機能搭載 |
【番外編】 CLIUS | 株式会社 Donuts | ※CLIUSユーザーは オプション料金不要 | ■クラウド型 電子カルテのオプション機能 ■専用アプリの ダウンロード等は不要 |
「CLINICS」
まずは、株式会社メドレーが開発・提供しているオンライン診療システム「CLINICS」から。
多くの医療従事者が開発に携わり、使い勝手を考えて設計されていることもあり、総務省後援「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2020」において「総務大臣賞」および「社会業界特化系ASP・SaaS部門 総合グランプリ」を受賞するなど、高い評価を得ています。
予約から問診、スケジュール管理などの機能を備えているのはもちろん、クレジットカード決済可能、薬剤配送用の宛名ラベル印刷にまで対応。
基本使用料は月額1.5万円。初期費用はクリニックの状況に合わせて個別に提案してくれますが、おおむね数十万とみていいでしょう。
「Curon」
株式会社MICINが提供している「Curon」は、2020年8月時点で日本一の導入数を誇っているサービス。
機能面に関しては「CLINICS」同様ですが、初期費用も月額費用も0円だから。患者の自己負担額の事務手数料4%のみしか費用が発生しません。この点が、多くの施設が導入に踏み切る理由なのでしょう。
「PocketDoctor」
非常勤医師紹介事業シェアトップクラスのMRT株式会社および遠隔作業指示の基本特許を持つ株式会社オプティムの共同提携によって作られたシステムです。
特徴的なのは、診察の際、映像や静止画の上に赤ペンで印をつけたり指さしマークを表示したりが可能な点。これによって、患者への症状説明をより的確に行えます。興味があるなら、まずは2か月0円のトライアルプランを試してみるのがおすすめです。
「CARADAオンライン診療」
医療・ヘルスケアQ&Aサイト「CARADA 健康相談」を運営するカラダメディカが開発したオンライン診療システム「CARADAオンライン診療」。
専用のアプリではなく「Google Chrome」や「Safari」ブラウザでオンライン診療することになるため、患者はスマホだけでなくPCやタブレットでも受診できます。
「LINEドクター」
LINEヘルスケアが提供するLINEアプリ上から、診療の予約、無料ビデオ通話での診察から決済までを完結できるオンライン診療システム「LINEドクター」。
患者側からしたら、いつも使っているLINEアプリを使ってオンライン診療を受けられるということになるので、より気軽に感じられるでしょう。「Curon」同様、初期費用月額費用0円で、決済手数料のみ必要になります。
イシャチョク(R)
こちらは一般的なオンライン診療システムとは異なる特殊なシステムで、「登録している医師会員が、手の空いた時間だけオンライン診療を行うためのシステム」です。手の空いたときにログインすると、「仮想待合室」に待機している全国の患者のうち、希望する診療科が自院にマッチしている患者のオンライン診療を担当することができます。また、対象エリアを全国ではなく30km圏内に絞ることもできるので、オンライン診療で「いい先生だ」と感じてもらえると、その後、対面での診療も受けてもらえる可能性があります。
また、通常のオンライン診療とは異なる点がもうひとつ。どんな点かというと、予約を受け付けず、手が空いたときに待機している患者を診療できるので、予約時間にあわせてオンライン診療システムにアクセスする必要がありません。
SOKUYAKU
オンライン診療からオンライン服薬指導、処方箋の配送まで一気通貫したプラットフォームです。特に処方箋をスムーズに配送することに力を入れているため「SOKUYAKU」(速薬)と名付けられており、2023年11月時点で、東京23区・横浜市・大阪市は最短当日配達することが可能。該当エリアは順次拡大中です。
Kizuna WEB
専用のソフトウェアインストール不要で、ネット回線さえあれば、翌日から運用可能なオンライン診療システムです。患者とつながっている通信画面に患部の写真や図解などを表示させた状態で、そのうえから文字やイラストを書きこむことができるので、患者への説明がとてもスムーズ。マニュアルなしでも直感的に使えるシンプルなデザインも魅力です。
【番外編】CLIUS
クラウド型電子カルテ「CLIUS」をはじめ、オンライン診療機能を搭載した電子カルテを導入するのも一手です。オンライン診療を行うクリニックが増えてきている状況を受け、各電子カルテメーカーも対策を練っているため、オプションでオンライン診療機能を使える電子カルテも増えています。
さまざまな観点から比較検討するとベストなシステムがみえやすい
実績、費用、患者の使い勝手のよさなどいろいろな観点から比較すると、自院にとってはどのシステムが一番合っているのかがみえてくるでしょう。
気になるシステムを2つ3つにまで絞った段階で、それぞれの会社に話を聞いてみるのもいいかもしれませんね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年11月時点の情報を元に作成しています。