クリニック開業に向けての準備をするにあたっては、電子カルテのメーカーごとの機能や使い勝手のよさを比較検討する人が多いでしょう。
なかには、機能性にこだわりたい思いはあれど、価格を考えると二の足を踏めなかったという人もいるかもしれません。
また、比較検討段階でさまざまな機能を知ったことで、かえって「難しそう」と導入を躊躇している人もいるのではないのでしょうか?
では、実際のところ電子カルテ導入はにはどのくらいの費用がかかるのか、導入までの流れは大変なのか?について解説していきます。
電子カルテの導入費用相場は?
電子カルテの導入費用はメーカーによってさまざま。無料で使えるものもあれば、1,000万円を超えるものまであります。
初期費用の相場としては300万円程度。
これに加えて月額使用料がかかるほか、電子カルテと互換性のあるレセプトコンピューターを導入した場合、さらに初期費用が150万円程度追加されます。
電子カルテの導入費用を2つのタイプで比較
導入費用に0円から1,000万円超えまで開きがあるとなると、その理由が気になるところでしょう。
電子カルテの導入費用は、システムなどによって大きく異なります。
具体的にどんな要素があるのかを解説していきます。
「オンプレミス型」か「クラウド型」か
電子カルテには、大きく分けて2つのタイプがあります。まずはそれぞれの特徴についてみていきましょう。
【オンプレミス型】
オンプレミス型とは、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを自社に設置して運用するタイプを指します。
セキュリティ面では安心ですが、パソコンのリプレースが発生するたびに初期費用と同等の費用が必要になります。
初期費用については、電子カルテ、レセプトコンピューター、院内ネットワーク用にそれぞれサーバーを用意する前提で、300万円~500万円程度です。また、保守費用として月2~3万円必要になります。
別途、レセプトコンピューターを用意する場合は、さらに150万円から200万円の初期費用が加算されます。レセプトコンピューターにも2万円程度の月額利用料が発生します。
【クラウド型】
クラウド型は、サービス提供者が用意してくれている環境に接続して運用するタイプです。
クラウド型の場合、すでに稼働しているパソコンからサービスを利用するため、初期費用が無料で済む場合もあります。
月額利用料の相場は2万円~4万円程度です。
レセコン一体型かどうか
電子カルテとレセプトコンピューターはそれぞれ単独で導入できますが、一体型であれば仕事の効率がよくなることは言うまでもありません。
一体型であればそのぶんコストはかかりますが、レセプトコンピューターにも無料で利用できるものもあります。
無料のレセプトコンピューターと連携可能な電子カルテを導入するのも一手です。
ライセンスの数
電子カルテにおける「ライセンス」とは、導入した電子カルテにログインできる人数やパソコンの台数のことです。
「クライアントライセンス」なら、利用人数による「ユーザーライセンス」、パソコンの台数による「クライアントライセンス」のほか、料金体系が数段階になっているライセンスもあります。
数段階に設定されているライセンスは、利用人数が多ければそのぶんお得になる場合があります。
システム設定依頼の有無
オンプレミス型の場合、システム導入から設定までが初期費用に含まれているのが一般的。
対して、クラウド型の場合は、システム設定は初期費用に含まれていないのが一般的です。
自院でのシステム設定が難しく、設定まで依頼する場合、その分の加算が必要となります。
システム設定以外のサポートが必要かどうか
電子カルテ導入前に、操作などに関する研修を行うなど各種サポートを利用したい場合も、その分、費用が高くなると考えていいでしょう。
カスタマイズ実施の有無
自院の利用状況に合わせてカスタマイズしたいとなると、高額な開発費用がかかると思っていいでしょう。
開発はすぐにできるわけではないので、その分、早めに導入準備を進めることも必要です。
また、カスタマイズを希望するなら、基本的にオンプレ型を選ぶ必要があります。
バックアップにどこまでお金をかけるか
システム障害が発生して電子カルテが使えなるということもありえるので、データのバックアップについては必ず考えておくべきです。
クラウド型であれば、インターネット回線が不通になることもあり得ます。
たとえばサブサーバーを自院に設置するなら、ハードディスクを用意しておくことやデータセンターを利用することも必要になります。
電子カルテ導入費用・その他のポイントは…
電子カルテそのもの、サポートやカスタマイズ以外にもお金はかかります。
まず、パソコンはもちろん、プリンターやスキャナーなどのハードウェアが必要となります。
また、既に導入している電子カルテから新しい電子カルテに移行する場合、データ移行費用が発生します。
さらに、ソフトウェアおよびハードウェアのメンテナンス費用についても考えておく必要があるでしょう。
電子カルテの導入費用を抑える方法
5年間の総コストで比較してみる
電子カルテ導入の費用を安く抑えたいなら、まずは「必要な機能、不要な機能」を明確にしたうえで、電子カルテを絞っていくといいでしょう。
そのうえで、月額利用料や保守費用などのランニングコストも考慮しながら比較検討しましょう。
オンプレミス型かクラウド型かで迷っている場合は、オンプレミス型のリプレースが発生する可能性が高い5年後までの総コストで比較検討することをおすすめします。
また、クリニックの分院展開などを視野に入れている場合は、利用人数が増えることも想定したうえで算出することが必要です。
使える助成金や補助金がないか調べよう
経済産業省の「IT導入補助金」中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」などの公的な助成金や補助金を活用すれば、電子カルテ導入にかかる費用の一部を受け取れる場合があります。
ただし、補助金や購入後に支給されるため、いったんは全額負担することが必要です。
費用対効果を考えることが大切
導入費用やランニングコストのみに目を向けると、高額だと敬遠してしまう場合もあるかもしれません。
しかし、電子カルテにお金をかけたことで得られるメリットは大きいもの。
作業効率がアップすれば忙しくて手が回らないということが少なくなりますし、人件費の削減にもつながります。
費用対効果にもしっかりと目を向けたうえで、導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
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対象規模
オプション機能
診療科目
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オプション機能
対象規模
提供形態
診療科目
この記事は、2021年12月時点の情報を元に作成しています。