電子カルテの導入を考えているけど、種類がありすぎてどれを選んだらいいかわからないという人は多いかもしれません。
そこで今回は、電子カルテ選びのひとつの指標となりうる「問い合わせ数ランキング」を紹介します。ぜひ、クリニックの電子カルテ選びの参考にしてください。
電子カルテの種類と特徴
ランキング結果紹介の前に、まずは電子カルテの種類と、それぞれの特徴についてみていきましょう。
電子カルテは大きく2種類に分けられる
電子カルテは「オンプレミス型」と「クラウド型」の大きく2種類に分けられます。それぞれどういう特徴があるのかを紹介していきます。
オンプレミス型電子カルテの特徴
オンプレミス型の電子カルテは、クリニック内に設置したサーバーや専門機器を活用して、データの管理や保存を行います。そのため、サーバーなどを設置するスペースが必要なのはもちろん、サーバーや専用機器を購入する必要があるため、必然的に初期費用が高くなります。また、アップデートや更新作業が必要になるため、その都度手間がかかります。
しかし、サーバーや専用機器が内部にあるため、情報が外部に漏洩する可能性は極めて低く、セキュリティは非常に高いといえるでしょう。
クラウド型電子カルテの特徴
クラウド型の電子カルテは、専門業者から借りたサーバー上でデータの管理や保存を行います。そのため、院内にサーバーや専用機器を設置する必要がありません。院内に専用サーバーを用意する必要がないため、初期費用を抑えられるうえ、インターネットに接続できる環境であれば、院外からも電子カルテにアクセスできます。
ただし、自身のパソコンやタブレットでどこからでもアクセスするとなると、そのぶん、セキュリティに気を配る必要があります。
【2022年】電子カルテお問い合わせ数ランキング
電子カルテ導入に関するランキングを公開しているサイトはいくつかありますが、今回はそのなかから、IT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」が製品の問い合わせ件数をもとにしたランキングを紹介します。
アンケートの結果、2022年の電子カルテ問い合わせランキングで第1位にランクインしたのは、株式会社メドレーの「CLINICSカルテ」。
続く第2位は株式会社DONUTSの「CLIUS」がランクイン。さらに、PHC株式会社の「Medicom-HRf」と続いています。
≪ITトレンド年間ランキング2022 電子カルテ≫
順位 | 企業名・製品名 | 形式 |
---|---|---|
1位 | 株式会社メドレー「CLINICSカルテ」 | クラウド型 |
2位 | 株式会社DONUTS「CLIUS」 | クラウド型 |
3位 | PHC株式会社「Medicom-HRf」 | オンプレミス型/クラウド利用 |
4位 | エムスリーデジカル株式会社「エムスリーデジカル」 | クラウド型 |
5位 | 株式会社ユヤマ「BrainBoxVIII」 | パッケージソフト、ハードウェア |
6位 | アイネット・システムズ株式会社「AI・CLINIC」 | パッケージソフト、オンプレミス |
7位 | セコム医療システム株式会社「セコムOWEL」 | クラウド型 |
8位 | 株式会社ユヤマ「BrainBoxCloud」 | クラウド型 |
9位 | PHC株式会社「Medicom-CK」 | SaaS |
10位 | JBCC株式会社「blanc」 | クラウド型 |
TOP10の電子カルテの特徴は?
続いては、TOP10にランクインした電子カルテの特徴を見ていきましょう。
第1位: 株式会社メドレー「CLINICSカルテ」
CLINICS予約・CLINICSオンライン診療と連携させることによって、患者のアプリとつながって効率的な診療業務を実現させる、“患者とつながる”電子カルテとして注目されています。
医療機関にとっては、患者へのデータ送信や予約の導線を作れることがメリットとなり、患者にとっては、待ち時間短縮やスマホでの検査結果受診などがメリットとなるほか、キャッシュレス決済で会計もスムーズに行えます。
また、ORCAを内包しているため、別のレセプトソフトを操作する必要がなく、予約から受付、会計、レセプト作成まで効率よく進められます。
セキュリティ面に関しては、データセンターやデータ通信にも堅牢なシステムを採用。ISMSクラウドセキュリティ認証を取得した、国際標準規格に適合する高いセキュリティシステムです。
第2位: 株式会社DONUTS「CLIUS」
年齢・体重・体表面積ごとの適切な処方料を参照する「薬用量機能」、患者自身がオンライン上で問診に回答できる「WEB問診機能」、オーダーをもとに傷病名×処方をチェックする「オーダーチェック機能」などの診察および処方に役立つ機能から、
前日までのデータをバックアップする「バックアップ機能」、競合との比較もおこなえる「経営分析ツール」など、データ管理や経営分析に役立つ機能まで充実。
外注検査会社やオンライン連携、PACS、問診や受付システムとの連携がスムーズな「院内機器連携機能」など、業務を効率化してくれる工夫もいっぱいです。
第3位: PHC株式会社「Medicom-HRf」
オンプレミスの操作性とスピードは維持したまま、災害時など必要な時にクラウドへ切り替えることができるという、ハイブリッド対応が珍しい電子カルテです。
医療機器や外注検査会社など、約170社以上の他社機器との連携が可能。入力も閲覧も同じ画面でおこなえるなどの操作性のよさも魅力的です。
また、全国約80拠点の保守サービス会社に高い知識と技術力を持つエンジニアが在住しているため、もしものときにも安心。しっかりとサポートしてもらえます。
第4位: エムスリーデジカル株式会社「エムスリーデジカル」
FacebookやTwitterなどで使われている最新テクノロジーが活用されているため、医療に集中できる環境づくりをサポートしてくれると評判です。
カルテに入っている全患者の情報を学習する自動学習機能によって、使うほどに使い勝手がよくなっていくことも魅力。
また、紙を超える書き心地と謳われるiPadアプリによって、シェーマも自在に記入することができます。自動データバックアップ機能付きで災害時も安心。
第5位: 株式会社ユヤマ「BrainBoxVIII」
メニューやコマンドの選択が自在で、フレキシブルにオリジナルデザインを作ることができるため、見やすさ、操作しやすさを追求した“自分仕様”の電子カルテとして活用することができます。
「適応病名リスト」「患者年齢制限情報」「医薬品関連データベース」「処方サポート機能」など、診療をサポートしてくれる機能も満載。
レセプト会計システム一体型なので、月に一度のレセプト作成の負担も大きく減らすことができます。
第6位: アイネット・システムズ株式会社「AI・CLINIC」
オーダーエントリーシステムでの実績を基盤にした、完全一体型の電子カルテシステムです。
診療や会計、オーダーなどのレセプト業務全般もこれひとつで完了。マスタ登録などの事前入力なしで、所見やオーダー、病名などをパターン化しているため、ほぼマニュアルを見ることなく操作可能です。
入力時にはオーダー処方のチェック機能が働くため、医療事故を防げるのもメリット。禁忌薬剤やアレルギー登録された薬剤処方などは、事前に回避することができます。
第7位: セコム医療システム株式会社「セコムOWEL」
クリニックまたや在宅医療での使用に特化したシンプルな電子カルテです。見やすい画面設計で直感的に操作できるだけでなく、タブレットでも使いやすいのが魅力。
患者の絞り込み検索が簡単にできるよう、患者にタグを登録してグループ化する「タグ機能」、処方薬に対する適用病名をチェックしたり代理オーダーによる承認を管理したりする「タスク管理機能」など、業務を効率化してくれる機能も満載です。
第8位: 株式会社ユヤマ「BrainBoxCloud」
クラウド型でありながら、院内にサブサーバを設置して同期させておけば、障害が発生した場合も平常通り業務を行うことが可能です。
また、ユーザごとに仮想サーバをデータセンターに構築して、1対1のシステムを構築することによって、不意なアクシデントにも対応できる高セキュリティシステムを実現しています。
5位にランクインのBrainBoxVIII同様、キーパッドや画面配色をドクターの好みでカスタマイズできるのも魅力。画面配色は8色のなかから選ぶことができます。
第9位: PHC株式会社「Medicom-CK」
レイアウトを崩さずに文字サイズを拡大することもできるため、楽に操作できます。
患者の病名、現病歴、主訴などの情報に加えて、これまでの治療経過を年表形式で一画面に表示できるため、画面切り替えのクリック数が少なくて済むため効率よく業務を進められます。
また、web標準規格への対応によって好みのブラウザで利用できることや、パソコンのほか、タブレットやスマートフォンなどでも利用できることなども魅力。マルチデバイスで状況に応じて使い分けすることが可能です。
第10位: JBCC株式会社「blanc」
カルテ内の各種情報から文書の自動作成が可能。また、オーダー履歴からのコピーオーダーやオーダー内容を用途に応じてセット化して、セットからワンクリックでオーダーできるなど、スムーズな診療をサポートしてくれる機能が充実しています。
また、サブスクリプション型のため、既存の電子カルテよりも手軽に利用できるのも魅力。更新のたびにかかるコストを大幅に削減することができます。
導入前に時間をかけて比較検討しよう
自院と相性がいいのはどちらのタイプなのか、メリット、デメリットを比較しながら考えてみると、それだけでも導入すべき電子カルテの候補を絞れます。
導入を検討している人は、ぜひ一度時間をとって比較検討してみてはいかがでしょうか?
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
特徴
提供形態
対象規模
オプション機能
診療科目
特徴
オプション機能
対象規模
提供形態
診療科目
この記事は、2021年12月時点の情報を元に作成しています。