クリニック開業後、院長が負担に感じる業務とは?

独立して開業医となると、勤務医時代とは異なり、診察や治療以外の業務に時間を割かれることになります。本業以外の業務にもやりがいを感じられるドクターならいいですが、なかには、慣れない業務に負担を感じてしまう人もいることでしょう。では、具体的にはどんな業務に負担を感じやすいのでしょうか? また、それぞれの業務の負担を減らすための方法はあるのでしょうか? 早速みていきましょう。

目次
  1. 経営、マネジメント
    1. 1ゴールの設定、浸透
    2. 2組織化
    3. 3モチベーション維持(動機付け)
    4. 4評価
    5. 5人材育成
  2. 広告宣伝
  3. 経理
  4. 労務
  5. 採用、人事
  6. 法務、行政
  7. 専門家を頼る際は「任せきり」はNG!

経営、マネジメント

開業医として独立するということは、経営者になるということです。経営者になれば、組織をどんなふうに動かして、どんなふうに事業を軌道に乗せていくかを考える必要が出てきます。つまり、「マネジメント」をおこなう必要があるということです。

では、マネジメントをおこなううえで考えるべきはなにかというと、次の5つです。

1ゴールの設定、浸透

クリニックを運営するうえでの「目的」や「目指す方向性」を決め、その目的を達成するためには何が必要かを分析して、必要なことを実行に移す必要があります。たとえば目的が「地域住民の健康サポート」であれば、そのために何ができるかを考え、目的およびやるべきことをスタッフと共有することが大切です。

2組織化

クリニックの構成員は開業医ひとりではありません。看護師や医療事務などのスタッフがいて初めてクリニックという組織として邁進できるもの。そのことを踏まえたうえで、それぞれのスタッフの役割や関係性を分析して、組織として一丸となって成長していくために必要なことを考えます。

3モチベーション維持(動機付け)

スタッフのモチベーション維持のためには何が必要かを考え、それを実践していくことも大切です。

4評価

モチベーション維持のためにも不可欠なのが、「評価」の基準を設定することです。「努力してもしなくてももらえる給料に変わりはない」となれば、仕事に向き合う姿勢を維持できなくなって当然のこと。努力を正当に評価することは極めて大切なことなのです。

5人材育成

それぞれのスタッフのよさを理解したうえで、「個々のよさを伸ばすには? 活かすには?」を考えることが大切です。「この人のこの部分はもっとよくなる」という場合は、能力を引き出すためには何が必要かを考えることも大事です。

【対策】

経営やマネジメント全般に対して苦手意識がある人は多いでしょう。ほとんどの人は、開業するまでの社会人経験といえば勤務医として働いたことのみなので当然です。経営に必要なマネジメントスキルを身に着けるためには、マネジメントセミナーに出席したり参考書を読んだりすることが有効。または、事務長を雇うことで、経営およびマネジメントを一任することも可能。ただし、信頼できる人材を引っ張ってくることは簡単ではないので、採用にはじっくりと時間をかけて候補者を見極めた方がいいでしょう。

また、マネジメントに関して覚えておきたいことは、一つ目の「ゴールの設定、浸透」以外はすべて人に関わることであるということです。マネジメントの領域における9割は、「人のマネジメント」なので、対人のスキルを磨くことが大切です。

広告宣伝

集患・増患のためには広告宣伝が不可欠です。まず、今の時代にはホームページを用意することが必須ですが、それだけでは不十分。SEO対策やMEO対策についても考える必要があります。また、各種口コミサイトへの登録や、Googleビジネスなどに書き込まれたネガティブな口コミにどう対応するかについて考えることも必要です。

さらに細かなことをいえば、ホームページの修正、コンテンツの追加、キーワードの刷新、各種ポータルサイトに寄せられた口コミへの返信など、やるべきことはたくさんあります。また、たとえば内科であれば、インフルエンザのシーズンの予防接種実施など、SNSと活用して拡散することが望ましいです。

【対策】

ホームページの制作やSEO・MEO対策ならびに口コミ対策に関しては、専門の業者に任せるのが一番です。たとえば「検索されたときに上位に表示されるような対策をとる」など一つひとつの項目に対してやれることを考えて実践に移すことは、ITスキルが高ければさほど大変ではないかもしれません。しかし、検索結果ひとつとっても、一度対策をとれば表示順位が不動というわけではないので、常にチェックを怠らないことが大切であることを考えると、ホームページ関連の施策に時間をとられると本業が疎かになる可能性も。マネジメント同様、信頼できる人や業者を見つけて一任することが望ましいでしょう。ただし、たとえばSEOやMEOに関しても、知識がゼロの状態で丸投げすると足元を見られるので、適切な金額や納期で請け負ってもらうためにも、最低限の知識は身に着けておくことが望ましいでしょう。

経理

経理の仕事はとてもこまごましています。小口現金管理、窓口収入確認・管理、請求書支払い・寮囚虜管理、銀行入金、未収金の回収のほか、税理士から上がってくる試算表の確認、スタッフでは判断できない購入費の決済など、やるべきことは枚挙にいとまがありません。

【対策】

経理の仕事を円滑に進めるためにまずできることは、電子カルテと医事会計システムを連携させることです。もしくは、レセコン一体型の電子カルテを選べば、レセプト作成時にあらためてカルテ情報を入力するという工程を省くことができます。そのほかにも経理に役立つ機能を備えた電子カルテはいくつかあるので、電子カルでの導入がまだなら、その点を踏まえて電子カルテを選ぶことをおすすめします。

労務

労務関連の業務でもっとも面倒に感じられるものといえば、労働保険関連および社会保険関連のことでしょう。保険料の納付はもちろん、年度更新手続きや、そもそもどの保険を選べばいいのか考えること自体を大変だと感じる人も多いでしょう。また、細かなところでは、タイムカードチェック、給与計算、給与振込、就業規則の更新なども労務の業務となります。給与計算や振り込みは簡単だと思うかもしれませんが、労働基準法による法定労働時間や、それを超えた場合の割り増し賃金についてのルールなどもきちんと理解していなければ、賃金の不払いなどの問題も起こりえます。また、スタッフの待遇が一律でない場合なども、手続きがややこしくなる場合があります。

【対策】

給与、就業時間残業、有給休暇、退職、解雇の有無など、労務に関することはなにかとトラブルになりやすいものです。そのため、どれだけ労務に関して苦手意識が強いとしても、最低限、「就業規則」「雇用契約書」「身元保証書」「秘密保持の契約書」などの労務管理書類の締結をおこなうことだけは守っていきたいところです。これら契約書は、基本的には一度ベースを作成すれば、2人目以降のスタッフを雇用する際には必要箇所だけを書き換えれば流用できるので、"最初が肝心"と思って心して書類を作成しましょう。

採用、人事

クリニック開業にあたっては、看護師や医療事務などのスタッフを採用することが必要ですし、どうすればよりよい人材を採用できるかを考えることも必須です。「求人媒体に掲載する原稿作成」「応募者対応」「面接」といった採用業務も、採用後の「スタッフ個別面談」「新規入職者対応」および退職を希望された場合の「退職者面談」にいたるまでの人事業務も、ポイントを踏まえていなければトラブルに発展する場合があります。

【対策】

採用や人事に時間をかけずにいい人材を雇いたいなら、すべて人材紹介会社に任せるのも一手です。ただし、人材紹介会社を利用した場合、高額な手数料を請求されるので注意が必要。「採用活動にはお金をかけたくない」ことのほうが優先順位としては高いなら、そのぶん手間がかかることを承知のうえで、無料で利用できる求人サイトなどを利用することをおすすめします。また、最近ではtwitterなどSNSを利用してスタッフを募集するクリニックも増えているので、SNSを使っての発信に抵抗感がないなら試してみてもいいでしょう。

ここまで読んで、「労務および採用、人事はマネジメントとかぶる部分があるのかな?」と感じた人もいるでしょう。マネジメントと後者2つの違いは、「後者においては制度・仕組みを整えることが重要」だということです。制度や仕組み作りは、成功しているクリニックのものを真似することも有効なので、比較的取り組みやすいと感じる人もいるのではないでしょうか。

法務、行政

法務の主な業務は、各種業者との間における契約書の確認および捺印、契約書補完となります。

行政関する主な業務は、開設事項に変更があった際の保健所手続きおよび厚生局手続き、新たに公費を申請する場合の公費関係手続、防災計画に基づいた消防署への届出などです。これらに関しては、常にやるべき業務に追われるということはないので、苦手意識がある場合でも自身で遂行することは可能でしょう。

専門家を頼る際は「任せきり」はNG!

いずれの業務に関しても、向き不向きや大変さの度合いは人によって異なるので、自分ではできないと感じることもあるでしょうし、そもそも開業準備で忙しく、本業以外のことに時間を割きたくないという場合もあるでしょう。その場合は、開業後に業務をスムーズに進めるための仕組み作りなど含め、専門家に頼るのがおすすめです。ただし、業務を丸投げでどんな施策をとってくれているのかさえ理解していないという状況は好ましくありません。いずれの業務に関しても最低限の知識は身に着けたうえで、各専門家と対等に話し合いながら業務を委託することが大切。わからないことがある場合は積極的に質問しながら、よりよいクリニック運営を目指していうことを心がけましょう。

人事・労務・総務をサポートし法令遵守業務効率化、コスト削減のご提案!

特徴

当法人はNTS総合コンサルティンググループに所属し、つながる全てに「ありがとう」を の理念のもと、他法人では難しい課題も解決につなげてまいります。 法令遵守、業務効率化、コスト削減を可能とする総合アウトソーシングのご提案をさせていた だき、本業に専念できる環境をお約束致します。

対応業務

住民税関連手続き 人事労務相談 社会保険 手続き代行 就業規則策定 給与規定策定・見直し 助成金 人事制度の策定 退職金 メンタルヘルス 個別労働関係紛争の解決 年金相談 創業サポート

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
診療や経営に専念できる環境づくり、労務管理のプロとして経営を徹底サポート

特徴

わたしたちはドクターの皆様の声に耳を傾け、人に関する法律のスペシャリストとして 「職員の労働トラブルに関するアドバイス」、「院内ルール作成」等を得意とする社会保険労務士事務所です。 人事労務に関する相談サポートにより、診療や経営に専念して頂く事が可能です。 診療所特有の人事労務相談は専門家でなければ適切なアドバイスはできません。弊社はこれまでの実績により的確なアドバイスを行い、労務管理をサポートします。

対応業務

住民税関連手続き 人事労務相談 社会保険 手続き代行 就業規則策定 給与規定策定・見直し 助成金 人事制度の策定 退職金 メンタルヘルス 個別労働関係紛争の解決 年金相談 創業サポート M&A

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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