クリニックを開業し、患者数が増えてくると、医師を雇用し2診体制を視野に入れるなど、スタッフ構成を再検討する院長先生もいるでしょう。
今回は、1日400名前後の患者が来院し、時には6診体制で診察を行う新宿駅前クリニックの院長・蓮池林太郎先生に、開業してから医師を増やし始めた経緯、具体的な患者数など、当時の委細をお話しいただきました。
【2診体制】患者数が160名以上/日となってから
私が経営する新宿駅前クリニックでは、私1人で始めて、最大6診体制で診療していたこともあります。
私は2009年10月に、新宿西口のビル2階に位置する10坪ほどのスペースで開業しました。
インターネットでクリニックを調べる人が増えることを見越し、インターネット対策をおこなったこともあり、2年目には1日200人、3年目には300人、5年目には400人が訪れるクリニックになりました。
1年半後の2011年春には40坪ほどの場所に移転しましたので、診察室を3つ、処置室を1つ作り、2診体制にすることができました。そのため、2診体制にしたきっかけは、患者数が1日150〜160名以上訪れるようになっていた、また、患者数が増えても対応できる環境(スペース)が出来上がったため、と言えます。
ちなみに大学時代の同じ部活の後輩が新宿駅前クリニックの勤務医第1号でした。
その後、患者数がさらに増えて手一杯になったら、徐々に常勤医師を増やしていきました。
当院の患者層からすると、私は1時間20人ペース、1日8時間診療で160人前後診察していましたが、常勤医師の場合は1時間10人ペース、1日8時間診療で80人前後が平均です。また、新規患者をメインに診療してもらう非常勤医師は、さらに患者数が少なくなります。
【注意点】院長は、他の医師に「自分と同じ働き」を求めない
注意していることは、1日100人以上診療する日が毎日続くと常勤医師も疲弊してしまうため、連日大きな負担にならないよう院長として調整する点です。
万が一、突然医師が退職してしまった場合には、医師に負担がかかってしまうため、広告を減らすなどして患者数を減らしています。
常勤医師にせよ非常勤医師にせよ、雇用してから常に意識していることとしては、医師に自分と同じくらいの働きを求めないことです。
先述した通り、私は1日160人前後診察していましたが、勤務している医師には1日平均80人前後診療していただいており、それ以上を求めてはいません。
地方の繁盛している開業医のなかには、ひとりで1日200人以上の患者さんを診療していることもあります。勤務医とは違い、開業医にとっての患者数は収入に直結する部分でもありますので、各クリニックによって医師一人が診察する患者数は微妙に異なるものです。
そのため、一概に「1日何名以上の患者が来るようになったら2診体制へ」とは言えないですが、私の場合は150〜160名を超える患者数になってきたタイミングで医師を増やしたこと、また、地域や先生によっては若干のばらつきがあることは分かっていただけたかと思います。
今一人で診察されている先生方は、現在の患者数や、今後の患者数の増え幅の見込みと、自身が1日に診察できる患者数を照合し、最適な体制を検討をしてみてください。
特徴
その他の業務
対応業務
診療科目
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この記事は、2021年12月時点の情報を元に作成しています。
執筆 医療法人社団SEC 理事長/新宿駅前クリニック 院長 | 蓮池 林太郎
2009年に新宿駅前クリニックを開設。現在は自院経営を通じて培ったネット集患の知見をもとに、クリニックの開業支援およびコンサルティングを実施。多数の書籍執筆やセミナー、メディア出演も行っている。著書に『競合と差がつく クリニックの経営戦略ーGoogleを活用した集患メソッド』(日本医療企画)、『患者に選ばれるクリニック: クリニック経営ガイドライン』(合同フォレスト)など。
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