開業資金の融資を受ける際に頭金は不要!?金融機関が着目するポイントとは

開業を検討しているまたは将来的に開業したい医師が気になる資金の問題。

「いくらぐらい頭金を用意すればいいの」

「ローンが通りやすくなるポイントは」

「医療機関の融資に詳しいおすすめの銀行はあるの」

お金にまつわる疑問や不安は多くの方が感じているでしょう。

現在は融資の際に、頭金ゼロでも構わないという金融機関が増えています。

この記事では基礎となるお金の計算方法のほか、申請の際に注意すべきこと、融資が通りやすいドクターの特徴などを解説します。資金繰りを考える際の参考にしてください。

※本記事に記載の情報は取材を行った2022年3月20日現在です。

回答者:村口 正樹氏(一般社団法人 日本医療デザインセンター 理事・医院開業コンサルティング)

関西学院大学社会学部卒業後、大手證券会社、外資系生命保険会社を経て医療経営に特化したコンサルタントとして独立。経営顧問、開業支援を20年以上続けてきた。相模原市や町田地区の介護医療圏多職種連携の場をコーディネートも行う。「医療現場の課題を、デザインで解決する」ため、日本医療デザインセンターの理事としても活躍中。

目次
  1. 頭金は不要なのか
  2. 金融機関との交渉時におさえておきたいポイント
  3. 収支計画書の作り方
  4. 計画よりも大切なのは院長の人柄
  5. 直近の資金力がなくても開業可能かも

頭金は不要なのか

--住宅ローンでは頭金不要のケースがあると聞きますがクリニック開業も同様ですか

村口「もちろん自己資金が多いに越したことはありませんが、それを頭金に組み込む必要はありません。ただ住宅ローン同様に、クリニックの開業にかかる融資も頭金が必須と考えなくてよいでしょう。頭金があるから金利が下がるわけでもないです」

--銀行、金融機関の間でも競争があるわけですね

村口「条件を厳しくしたら、ほかの銀行にお客さんを取られてしまうかもという思惑はあるでしょう。低金利時代ですからね。むしろ多く借りてほしいと考えるのは当然かもしれないです」

--手元に資金は置いておくべきですか

村口「お家の口座の残高を大切にすべきです。開業したら、半年くらいは家の方の口座に給料が入らないと覚悟しなければなりません。それまでは勤務病院からのお給料があったはずですから、生活資金がだんだん減るわけです。目減りする通帳を見て、心配性になってしまう奥様の話はよく聴きますね。

普段の生活レベル、家族構成にもよって異なりますが、1~3千万円ほど口座残高の余裕があれば、あわてずに済むのではないでしょうか。これを無理に頭金に入れる必要はないんです」

昨今、村口氏が資金計画書を作成する際には自己資金を頭金として載せないケースのほうが多いそうです。

金融機関との交渉時におさえておきたいポイント

--銀行を選ぶ際のコツはありますか?やはり普段のメインバンクでしょうか

村口「銀行と交渉されたことのない先生は、メガバンクやなじみのある銀行を真っ先に思いつくようですが私はお勧めしません。とくにメガバンクでは数千万、せいぜい1億円規模の融資では小さすぎると考えるのが自然で、実際に相手にされなかったという先生もいます。そこで、地元の信用金庫や信用組合のほうが親身になってくれますが、利用経験がなくまったく伝手がない先生も多いかもしれません」

--ほとんどの金融機関のホームページに「医療機関の融資」に力を入れていると書いていますが

村口「クリニックの融資に慣れている金融機関は、非常に協力的です。個人的なおすすめは山梨中央銀行と群馬銀行の2行で、どちらも医療機関の融資実績が多く知見が豊富です。東京、神奈川などにも支店があるので地元での開業でなくても対象になる点は知っておいてほしいですね」

比較的規模の大きな金融機関であっても、クリニック開業に詳しい銀行の担当者は少ないと村口氏は指摘します。

医療に関する担当者の知識が乏しければ、いくらきちんと作り上げられた収支計画書があっても患者さんの見込み数などを細かく精査できないでしょう。審査日数がかかる上に、希望の融資金額に届かない場合もあるそうです。

医療に明るい金融機関を見つけたうえで交渉時に伝えるべきポイントは次の3つです。

  • 1. 当初1年間は元本返済を猶予してもらう
  • 2. 返済期間をできるだけ長くしてもらう
  • 3. 返済時の手数料を確認しておく
  • 村口「できれば丸一年は、金利のみ返す条件にしてもらう。理由は先ほどもお話しした通り初年度は手元に資金を残すために返済を緩やかにしてほしいからです。

    また当然ながら、10年で返済する金額を5年で返そうとしたら返済額はおよそ倍になりますよね。キャッシュフローを楽にするなら返済期間も長いほうがいいです。長くても15年程度で、20年に設定する必要はないかと思います。

    繰り返しますが開業から半年、1年間は重要です。初期の返済で楽をさせてもらい、お金に余裕が出てきたときに繰り上げ返済するのがよいでしょう。

    あと細かい話ですが、繰り上げ返済する際の手数料も確認しておいたほうがいいですね。無料の場合もありますが、数万円かかる金融機関もあるからです。いつもナーバスになるほどドクターとしっかり話をするポイントです」

    収支計画書の作り方

    --収支計画書作りをコンサルタントに丸投げしてしまう先生もいると聞きました

    「最終的に他の人に作ってもらうのはいいと思いますが、打ち合わせはしましょう。私はどんなクリニックにしたいのかをじっくり聞きます。お金の話はその後です。『松竹梅』のように内装の坪単価を提示して、院長がどの程度の予算をかけたいか総額を決めないといけません」

    --総額さえ決まれば細かい点はそんなに難しくないのでしょうか

    「そうですね。一番お金がかかるのは内装工事で、次に医療機器。レントゲンを入れるか、などでかなりお金は変わりますが、先生の中でプライオリティを決めればいいですね。そのうえで家賃、その他の運転資金など必ず引かれるお金も入れていきます。ただ坪単価が想定できていれば、大雑把には算出できます。細かな項目ごとの確認、調整はしますが」

    --予算オーバー時にうまく削減するコツは?

    「部屋数を減らすのは効果的ですね。空調や間仕切りが多いと工事費に跳ね返ります。クリニックの工事は部屋数が多いので割高なのは当たり前。処置室や更衣スペースなどプライベートな空間が必要不可欠で大部屋にするわけにはいきません。ただ間仕切りを減らすように調整するケースはありますね。開業時は診察室を減らすのも手です。」

    計画よりも大切なのは院長の人柄

    村口氏は、金融機関と医師の顔合わせにも交渉代理人のように同席することが多いと言います。銀行の担当者と直接話す中で「銀行がどんなところを見ているか」も把握できるようになりました。

    村口「私の銀行の知り合いには事業計画書をほとんど参考にされない方もいます。融資を決めるポイントとしては3割程度だと」

    --想像より少ないですね。では残りの7割は?

    村口「ドクターの人柄です。極論を言えば、みんな『自分が患者としてこのドクターにかかりたいと思えるか』を見ています。融資を決める銀行だけではありませんよ。コンサルタントも設計士も医療機器メーカーもみんなです。そして驚くほどに、クリニック準備を支えてきた裏方たちの『このクリニックは繁盛するか』という質問の答えは一致するんです。良い予想も、悪い見通しであっても。

    --プロたちの目線は怖いですね…

    村口「プロだからじゃありません。誰でもです。人柄というのは、言葉遣いが丁寧とか上辺の話ではありません。院長の業績や経歴が立派でも、傲慢で性根の悪い人の経営はうまくいかない例は多数ありますよね。慢性疾患の患者さんがクリニックを選ぶとき、ドクターの腕よりも、スタッフも含めた居心地の良さが重視されるのは想像がつくのではないでしょうか」

    --腕の良しあしより、人の良しあしで評判は決まるのですね

    村口「そうです。近所にライバル医院が多いと成功できないとよく誤解されています。でもライバルが多いということは周りに患者さんが多いということ。数値化されないから表に出てきませんが、もしライバルが多くてもドクターの評判が悪いなら逆に大チャンスです。競合が少ないとしてもとしも、評判がいいクリニックが2つあれば新規参入は難しいかもしれません。診療圏調査で出てくるライバルの数だけ追わずに質の競争を考えてほしいですね」

    直近の資金力がなくても開業可能かも

    以前は、数千万円程度の自己資金がなければ開業できなかったかもしれませんが現在は違います。仮に頭金がなくてもすべての設備資金、運転資金を融資でまかなえる事例が増えてきました。

    ただし必要なのは最低限の事業計画と院長自身の想いです。

    ついつい短期的な自己資金についてばかり気にしてしまうところですが、長期に渡って安定経営できるクリニックには周囲の協力が欠かせません。院長の人柄で融資が決まるという解説は本質的なアドバイスだったのではないでしょうか。

    ご自身のビジョンを作るうえで参考にしていただけたら幸いです。

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    藤原友亮

    執筆 執筆者 | 藤原友亮

    医療ライター。病院長や医師のインタビュー記事を多く手がけるほか、クリニックのブログ執筆やSNS運用なども担当。また、法人営業経験が長く医療機器メーカーや電子カルテベンダーの他、医師会、病院団体などの取材にも精通している。


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