よりスムーズな医療を提供。実現が期待される「スマート医療モール」とは?

一つの建物に複数のクリニックが入る「医療モール」が増えています。モール内のクリニック同士で連携し、より良い医療が提供可能になるなどメリットが多く、医療モールでの開業を考えている医師も多いでしょう。医師、患者側の双方にメリットのある医療モールですが、ここからさらに一歩踏み込んだ新しい形の医療モールが提唱されています。それが「スマート医療モール」です。「スマート医療モール」について、同事業を手掛ける『SmartMI株式会社』の中木英勝代表にお話を伺いました。

目次
  1. メディカルラボセンターを中核に置く医療モール
  2. 病気の見落としの可能性を減らす
  3. 本年中の開設を目指す

メディカルラボセンターを中核に置く医療モール

――「スマート医療モール」がどのようなものなのか教えてください。

従来の医療モールは、「単に一つの場所に複数のクリニックを集めた形」というケースが多く見られます。医療モールは立地も良く、クリニック同士で連携できるなどメリットもありますが、そのメリットを生かし切れていないのです。特に、クリニック間のデータ相互利用など連携が進んでいないのが問題です。

そこで私たちは、高度な医療機器を配置したメディカルラボセンターを中核とする医療モールを提案しています。メディカルラボセンターとモール内の各クリニックは、同じ電子カルテを利用する形で、メディカルラボセンターが中心となって患者情報を全体で共有します。例えば、モール内のAというクリニックで最初に診察を受けた後に、Bというモール内の別のクリニックに行った際も、新たに情報を入力する必要はありません。

――診察の効率もアップしそうですね。

例えば高度な検査が必要になった場合、一般的には別の専門機器を置くクリニックを予約するなど時間がかかります。しかし、スマート医療モールはメディカルラボセンターがあるので、CTやMRIでの検査が必要になればすぐに行えます。

メディカルラボセンターには、検体系の分析機器も設置されるため、数週間を要する検査でも、早ければその日のうちに結果を出すことができます。文字どおり、「早期発見」が可能になるのです。栃木県にある冨塚メディカルクリニックでは、すでに弊社のリアルタイム診療の仕組みを取り入れて人間ドックを実施していますが、その日のうちに診察結果が出せるなど成果が出ています。

――より良い医療が提供できるようになるのは、医師にとっても魅力的ですね。

医師側のメリットとしては、「資金の負担がない」という点が挙げられます。高度医療器、各検査機器はメディカルラボセンターのものが共有できますし、電子カルテや自動精算機、自動受付機なども全てこちらで用意します。人員の共有も運営会社で行うため、先生には身一つで来ていただいても問題ありません。

また、メディカルラボセンターは人間ドック健診センターとしても運用するため、各クリニック側からメディカルラボセンターに患者さんを誘導する以外に、センター側からクリニックを紹介するという流れも生まれます。「集患」という面でもスマート医療モールは有利だといえるのではないでしょうか。

病気の見落としの可能性を減らす

――医療モールのスマート化が求められる背景は何でしょうか。

先ほどもお話ししたように、現状では医療連携がスムーズに行えていない、検査結果が出るまでに時間を要するなど、医療現場における課題が多々あります。極端な話、結果が出るまで1週間も要すれば、症状が進むことだってあり得ます。また、残念ながら緊急を要する病気を見逃してしまうケースもゼロではありません。

スマート医療モールの場合、モール内のクリニック連携を高いレベルで行え、検体検査もモール内で行えます。一般的なクリニックでは導入が難しい、高額な高度医療機器での検査もスムーズに行えるので、病気を見落とす可能性も減らすことができます。

――他にどのような活用が考えられますか?

従来よりもスムーズに健診結果を出すことができるので、例えば企業が健康診断に利用するというのも考えられます。現在でも検診用車両を派遣するだけという企業も少なからずあります。それでは満足な検査はできません。モール全体をスマート化することは、より良い医療を提供するためにも必要だと考えています。

本年中の開設を目指す

――スマート医療モールは地域医療の活性化にもつながるかもしれませんね。

コロナ禍をきっかけに健康に目を向ける人が増えましたし、効果的な医療が提供できると知られれば多くの人に利用していただけると考えています。そのためにも、まずは本年中のスマート医療モール開設を目指したいと思います。現状、医師の理解を得ないといけないなど課題は多くありますが、一歩進むことができれば、流れが大きく変わるのではと思います。

また、スマート医療モールのほかに、スポーツ整形リハビリセンターを併設した検診医療モールも提案しています。すでにプロサッカーチームの鹿島アントラーズが『アントラーズスポーツクリニック』という、スポーツ整形クリニックを核に置いたクリニックを展開しています。スポーツをする若い人だけでなく、高齢者を中心に地域の方も多く利用しており、「健康老人を作る」という意味でも、今後重要な役割を担うと考えられています。こちらも栃木県内での設置を目指しているところです。

――今後、スマート医療モールでの開業を考える医師が増えそうです。

そうなるとうれしいです。スマート医療モールはリアルタイム診療を可能にし、早期診断・早期治療を実現できるものです。地域医療に貢献したいという方は、ぜひ一緒に取り組むことができればと思います。スマートMI社では、電子カルテ、検査、健診、Web結果参照など弊社が保有するソフトは無償で提供することにしており、スマート医療モール普及に努めていきたいと思います。

高度医療機器を設置したメディカルラボセンターを中核に置く「スマート医療モール」は、モール内の各クリニックの連携を強固にし、より高い医療の提供が可能になります。医師としても、開業のハードルが大きく下がりますから、参入しやすいのではないでしょうか。プロジェクトとしてはまだこれからとのことですが、今後どのような展開を見せるのか注目です。

取材協力:『SmartMI株式会社』

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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