自院の診療報酬は当然把握しているけど、競合の診療報酬は気に留めたことがないというクリニックは多いかもしれません。また、開業前であっても、他院の診療報酬を意識することはあまりないかもしれません。もちろん、個別のクリニックの診療報酬の情報を得ることなどできません。しかし、都道府県ごとの平均点数なら公開されているので、確認しておくのが得策。その理由を紐解いていきます。
平均点数を知っておいたほうがいいのはなぜ?
目標を立てやすくなる
なぜ、自分が開業している都道府県、開業予定地の都道府県の診療報酬の平均点数を把握しておいたほうがいいかというと、ひとつは、目標を立てやすくなるからです。開業前であれば、「まずは平均点数を目指そう」という目標を立てることができます。開業後であれば、自院と平均値との差を確認したうえで、次なる目標を定めることができます。
また、「売上金額の目標」と「診療報酬の平均点数」のふたつがわかれば、集患の目標を立てることもできます。なぜなら、売上金額は以下の計算式によって算出できるため、どれだけ患者を呼び込めばいいかがわかるからです。
クリニックの売上金額の計算方法
診療日数×診療報酬×患者数=売上金額
厚生局からの指導を回避できる
平均点数を知っておいた方がいいもうひとつの理由は、厚生局からの指導を回避できるということです。どういうことかというと、レセプト1件あたりの平均点数が都道府県の平均点数の1.1倍を超えると、集団的個別指導の指導対象となり、講義形式での指導を受けることになります。また、集団的指導を受けた翌年度で再び高点数保険医療機関等に該当した場合などは、集団的指導ではなく個別指導を受けることになります。指導を回避するためには、平均点数を知っておくことが必須と言えるでしょう。
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都道府県別の診療報酬平均点数は?
続いては、令和2年度の都道府県別診療報酬平均点数をみていきます。下記は、地方厚生局によって公表されたデータです。開業予定地または現在開業しているエリアの平均点数を確認しましょう。
| 都道府県 | 平均点数 |
| 北海道 | 1,410点 |
| 青森県 | 1,331点 |
| 岩手県 | 1,283点 |
| 宮城県 | 1,116点 |
| 秋田県 | 1,366点 |
| 山形県 | 1,105点 |
| 福島県 | 1,179点 |
| 茨城県 | 1,155点 |
| 栃木県 | 1,086点 |
| 群馬県 | 1,120点 |
| 埼玉県 | 1,122点 |
| 千葉県 | 1,163点 |
| 東京都 | 1,158点 |
| 神奈川県 | 1,226点 |
| 新潟県 | 1,199点 |
| 富山県 | 1,100点 |
| 石川県 | 1,204点 |
| 福井県 | 1,212点 |
| 山梨県 | 1,188点 |
| 長野県 | 1,130点 |
| 岐阜県 | 1,107点 |
| 静岡県 | 1,096点 |
| 愛知県 | 1,167点 |
| 三重県 | 1,088点 |
| 滋賀県 | 1,076点 |
| 京都府 | 1,231点 |
| 大阪府 | 1,354点 |
| 兵庫県 | 1,264点 |
| 奈良県 | 1,119点 |
| 和歌山県 | 1,251点 |
| 鳥取県 | 1,179点 |
| 島根県 | 1,155点 |
| 岡山県 | 1,263点 |
| 広島県 | 1,295点 |
| 山口県 | 1,215点 |
| 徳島県 | 1,296点 |
| 香川県 | 1,296点 |
| 愛媛県 | 1,133点 |
| 高知県 | 1,242点 |
| 福岡県 | 1,290点 |
| 佐賀県 | 1,192点 |
| 長崎県 | 1,190点 |
| 熊本県 | 1,190点 |
| 大分県 | 1,313点 |
| 宮崎県 | 1,305点 |
| 鹿児島県 | 1,159点 |
| 沖縄県 | 1,238点 |
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平均点数は診療科によって異なる
平均点数は診療科によって大きく異なるので、自院の診療科の平均点数を確認することが必要です。2022年の都道府県別の平均点数のなかから、青森県および秋田県を例に、どのくらいの違いがあるかをみていきましょう。
2022年度 青森県内のクリニックの診療科別平均点数
| 診療科 | 平均点数(医療保険一般分+後期高齢者分) |
| 内科(人工透析有) | 9,146 |
| 内科(人工透析無在宅有) | 1,506 |
| 内科(人工透析無在宅無) | 1,159 |
| 精神・神経科 | 937 |
| 小児科 | 1,205 |
| 外科 | 1,151 |
| 整形外科 | 1,273 |
| 皮膚科 | 556 |
| 泌尿器科 | 1,120 |
| 産婦人科 | 926 |
| 眼科 | 789 |
| 耳鼻咽喉科 | 849 |
| 診療科 | 平均点数(医療保険一般分+後期高齢者分) |
| 内科(人工透析有) | 4,064 |
| 内科(人工透析無在宅有) | 1,355 |
| 内科(人工透析無在宅無) | 1,217 |
| 精神・神経科 | 1.666 |
| 小児科 | 1,042 |
| 外科 | 1,338 |
| 整形外科 | 1,219 |
| 皮膚科 | 582 |
| 泌尿器科 | 1,069 |
| 産婦人科 | 1,081 |
| 眼科 | 1,354 |
| 耳鼻咽喉科 | 683 |
2つを見比べたところ、「内科(人工透析有)」には2倍以上の開きがある他、「精神・神経科」や「眼科」にもかなりの差があることがわかります。すべての都道府県を比較すると、さらに差が大きい診療科もあることでしょう。
最新の診療科別平均診療点数は各厚生局のホームページでチェックを!
診療科別の診療点数平均データは、厚生労働省および地方厚生局によって公表されています。自院の開業予定地または開業地の診療科別平均診療点数を、ぜひチェックしてみてくださいね。
この記事は、2022年7月時点の情報を元に作成しています。