知らないと損する! セルフレジ導入にも使える「働き方改革推進支援助成金」

昨今、セルフレジの導入はクリニックでも進んでいますが、「なくても困らないものに予算をかけたくない」などの理由で導入を躊躇しているドクターも多いでしょう。そこで今回ぜひお伝えしたいのが、「セルフレジの導入にも助成金が使える」ということです。しかも、支給要件を満たしていれば必ず受給できるため、申請しないほど損なことはありません。では、具体的にどんな助成金ならセルフレジ導入に使えるのか、どんな支給要件を満たしていればいいのかなど、助成金の疑問について『内田学社会保険労務士事務所』代表・内田学さんに教えていただきました。

目次
  1. 助成金とは? 補助金との違いは?
  2. 助成金の財源は自分たちが支払った雇用保険料だから、使わないのはもったいないこと!
  3. セルフレジ導入に使える助成金は「働き方改革推進支援助成金」
  4. 「労働時間短縮・年休促進支援コース」の支給要件
    1. 取り組む項目:労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
    2. 成果目標:「年次有給休暇の計画的付与制度」または「時間単位の年次有給休暇制度」の導入
  5. 「勤務間インターバル導入コース」の支給要件
    1. 取り組む項目:労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
    2. 成果目標:以下のうちいずれか1つ
  6. 助成金の交付申請が受理される前に取り組みを始めるのはNG!
    1. 自動釣銭機OWEN-self for Medical(株式会社三栄シスポ)
    2. ハヤレジスタンド(ハヤレジ株式会社)
    3. NOMOCa-Stand・NOMOCa-レジ(株式会社ZENOVA)
    4. SMASEL(株式会社インテクア)
    5. スマート簡易自動精算機(株式会社クリニックキオスクBIZ)
    6. ハッピーセルフ(株式会社寺岡精工)
    7. レセPOS(R)(株式会社ポスコ)
    8. テマサックPro(株式会社カワニシバークメド)
    9. スマレジ(株式会社スマレジ)
    10. クリニック向け自動受付精算機(日立チャネルソリューションズ株式会社)
  7. 助成金申請手続きは社労士に問い合わせるのもおすすめ!

助成金とは? 補助金との違いは?

――まずは、助成金とはどんなものなのかを教えていただきたいのですが、補助金とは仕組みなどが違うものなのでしょうか?

第一に管轄が違います。助成金は主に厚生労働省、補助金は主に経済産業省や地方自治体が管轄となっています。また、前者は「ヒト、モノ、カネ、情報」の4大経営資源のうち「ヒト」に対して支給されるもので、後者は「モノ」に対して支給されます。また、前者は支給要件を満たしていれば必ずもらえますが、後者は申請者が多いとそのぶん採択される確率が低くなります。なぜかというと、補助金は基本的に企業の事業をサポートすることを目的としていますが、全体の予算が限られていることから定員が決まっているためです。

管轄 支給の対象 支給要件を満たした場合の支給率
助成金 厚生労働省 ヒト ほぼ100%
補助金 経済産業省や地方自治体 モノ 採択結果によっては支給されない

助成金の財源は自分たちが支払った雇用保険料だから、使わないのはもったいないこと!

――セルフレジ導入に助成金が使えることを知らないクリニックも多いのではないでしょうか?

クリニックで働くみなさんは日々忙しく過ごされていて、外部と交流する時間が少ないこともあって、医療機関が活用できる助成金があること自体知らなかったという方も多いようです。しかし、それはとてももったいないことです。なぜなら、助成金の財源が雇用保険料だからです。
雇用保険料は事業所と従業員で半分ずつ支払っていますが、支払った雇用保険料の大半はハローワークの失業保険に使われています。残りの雇用保険料は、労働環境の改善や労働者の職業能力向上などが必要な事業所に充てられるので、つまり、助成金を支給されるということは、「自分とスタッフが支払った雇用保険料を自分たちのために使っている」ということになります。いわば、“当然申請していいお金”です。
自分たちが使わなければ他の事業所が使うことになるので、すごく損していることになります。

セルフレジ導入に使える助成金は「働き方改革推進支援助成金」

――それは確かに、使わないともったいないですね! では、セルフレジ導入に使える助成金というとどんなものがありますか?

多様で柔軟な働き方を選択できる職場環境整備のために設けられた「働き方改革推進支援助成金」の4つのコースのうち、「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」の2つのコースが該当します。ちなみに、残り2つは「労働時間適正管理推進コース」と「団体推進コース」ですが、前者は対象となる取り組みのなかに「セルフレジ導入」が該当する項目が用意されておらず、後者は事業主団体や共同事業主が対象となっています。
前者は、生産性を向上させて、「時間外労働の削減」および「年次有給休暇・特別休暇の促進に向けた環境整備」に取り組む企業を支援することを目的としています。後者は、勤務終了時間から翌日の勤務開始時間までの間に一定の休憩時間である「インターバル」を設けることで、過重労働を防ぎ、労働者の健康を守ることを目的としています。助成額の補助率は、いずれのコースの場合も基本的には3/4、要件によっては4/5となります。

「労働時間短縮・年休促進支援コース」の支給要件

取り組む項目:労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新

成果目標:「年次有給休暇の計画的付与制度」または「時間単位の年次有給休暇制度」の導入

――それぞれの支給要件を教えてください。
「労働時間短縮・年休促進支援コース」には、助成対象となる取り組みが9項目設けられているのですが、そのうちのひとつに「労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新」があり、セルフレジ導入はこれに該当します。

【支給対象となる取り組み】
労務管理担当者に対する研修
労働者に対する研修、周知・啓発
外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
就業規則・労使協定等の作成・変更
人材確保に向けた取組
労務管理用ソフトウェアの導入・更新
労務管理用機器の導入・更新
デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

ただし、取り組むことを宣言するだけではだめで、具体的な成果目標を立て、目標を達成する必要があります。成果目標は、「年次有給休暇の計画的付与制度を新たに導入すること」「時間単位の年次有給休暇制度を新たに導入すること」などの4つから1つ以上選択することが決められています。つまり逆に言うと、「年次有給休暇の計画的付与制度」または「時間単位の年次有給休暇制度」などを現時点では導入していないことが条件ということです。

「年次有給休暇の計画的付与制度」とは、従業員が休暇できる年次有給休暇のうち5日を除いた日数分を、雇い主側が計画的に割り振って付与できるようにする制度のこと。「時間単位の有給休暇制度」とは、年5日の範囲内で、午前中または午後など時間単位で有休を取得できる制度です。

項目を選択したら目標達成に向けて取り組みを開始し、達成した暁には最大490万円の助成額が支給されることになります。順序に関しては誤った認識の人もいますが、助成金の支給は事業を遂行した後というケースが多いので注意が必要です。

「勤務間インターバル導入コース」の支給要件

取り組む項目:労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新

成果目標:以下のうちいずれか1つ

①勤務間インターバルを導入していない事業場
⇒半数超の労働者を対象に新たに導入する(9時間以上)
②すでに9時間以上のインターバルを導入済みで対象労働者が半数以下の事業場
⇒対象労働者を半数超にする
③9時間未満の勤務間インターバルをすでに導入している事業場

対象労働者を半数超に拡大かつ2時間以上延長して9時間以上とする

続いて、「勤務間インターバル導入コース」の支給要件について説明します。こちらも、「労働時間短縮・年休促進支援コース」と同じく、セルフレジ導入に活用する場合は、助成対象となる7項目の取り組みのうち、「労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新」に取り組むことになります。

対象となるのは、過去に勤務間インターバルが9時間未満だったことがある事業所です。

助成金の交付申請が受理される前に取り組みを始めるのはNG!

――申請に関して注意点があれば教えてください。

成果目標に向けて取り組む日時が非常に重要です。助成金の交付申請を出したら受理通知が送られてくるのですが、それを受け取る前に取り組みを就業規則に組み込んだ場合、交付が認められなくなります。

――最後に、「働き方改革推進支援助成金」を活用して導入するセルフレジでおすすめがありましたら教えてください。

「自動釣銭機OWEN-self for Medical」をはじめ、業務効率化に役立つセルフレジは多いので、自院のニーズを満たしてくれるかどうかを考えながら選ぶのがいいかと思います。

自動釣銭機OWEN-self for Medical(株式会社三栄シスポ)

キャッシュレス・QR決済機能が標準搭載。バーコード付き領収書を印刷してスキャナーを読み取るだけで、従来通りの動線を確保できます。また、両画面タッチパネルなので、患者と同じ画面を対面のまま操作することが可能なため、会計のサポートもスムーズです

ハヤレジスタンド(ハヤレジ株式会社)

あらかじめ設定した金種・枚数だけが自動釣銭機内に残置されます。電子カルテ・レセコンから出力された請求情報の自動取り込みも可能。

NOMOCa-Stand・NOMOCa-レジ(株式会社ZENOVA)

業界最小となる、ウォーターサーバーと同じサイズ感なので、設置スペースの確保が不安なクリニックには最適です。

SMASEL(株式会社インテクア)

奥行320mmと場所を取らないスリムなデザインながら、外来300名以上の対応が可能な容量を完備しています。画面は大きく操作が楽々。

スマート簡易自動精算機(株式会社クリニックキオスクBIZ)

簡単操作、各種システムとの標準連携による領収書、明細書発行。スマホアプリや診察券などのバーコード、QRコードが標準対応。診察券読み取りによる再来時受付も可能です

ハッピーセルフ(株式会社寺岡精工)

混雑状況や人員配置に精算機と釣銭機として機能の使い分けが可能です。日本語、英語、韓国語、中国語への切り替えが可能な多言語対応。

レセPOS(R)(株式会社ポスコ)

保険診療、自費診療、物販の3つの区分による売り上げ管理ができます。24時間サポート体制が整っているので安心です。

テマサックPro(株式会社カワニシバークメド)

院内広告機能、デジタルサイネージ機能搭載、多言語対応が標準対応などが特徴的。クレジットカード、電子マネー、交通系カート、QR決済対応。

スマレジ(株式会社スマレジ)

多数の電子カルテシステムと連携可能な高機能クラウドPOSレジ。連携不可の場合は、バーコード印字出力による読み取りで精算できます。

クリニック向け自動受付精算機(日立チャネルソリューションズ株式会社)

カウンター設置または自立型設置から選択可能。15インチの大画面で高齢者でも見やすく操作が楽々。オプションで音声ガイダンスも搭載できます。

助成金申請手続きは社労士に問い合わせるのもおすすめ!

助成金を活用したいけど申請手続きに不安があるなら、社労士にサポートをお願いするのも得策です。クリニックの業務で忙しく、申請にかける時間がないなら、手続きまで代行してもらうのもいいですね!

QR決済機能搭載セミセルフレジ

特徴

・キャッシュレス・QR 決済機能が充実し標準搭載 ・締め作業では遺失金ゼロ! ・残業時間の軽減、スタッフ様の業務も軽減されます ・バーコード付き領収書を印刷し、スキャナーで読み取るだけの従来通りの導線を確保できます ・両画面タッチパネルなので患者様と同じ画面を対面で操作できお会計のサポートが可能です

種別

レジスター POSレジ

決済

現金 クレジット 電子マネー

機能

会計機能 精算機能

システム提携

電子カルテ レセコン

タイプ

セミセルフ

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

取材協力 社労士 内田学

人材開発助成金とキャリアアップ助成金など多数の助成金から最適な助成金抽出し組み合わせ、各々の受給要件を満たすことで、就労環境の整備、社員のモチベーションアップ、社内コミュニケーションの深耕を図り結果として、クライアント様の生産性と収益力の向上につなげている。


他の関連記事はこちら

クリニック開業ナビ

執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

「クリニック開業ナビ」では、クリニック開業時、業者選びに役立つ情報や、資金調達、物件選定や集患対策といった多岐にわたる開業プロセスをコラム記事として提供いたします。


他の関連記事はこちら