患者の身体から採取した血液や尿、細胞、便などを調べる「検体検査」は、規模の大きな病院であれば院内の検査室でおこないますが、個人経営のクリニックであれは、基本的にはすべてまたは一部を外注するのが一般的です。外注先となるのは、民間の衛生検査所をはじめとする検査会社ですが、はじめはどの会社を選べばいいかわからなくて当たり前。そこで今回は、検査会社を選ぶ際のポイントを解説していきます。
どんな検査会社がある?
医療機関の検体検査を受託しているのは、各都道府県知事によって「衛生検査所」としての登録を認可されている会社です。認可されるためには、臨床検査に関する法律において定められている施設基準や検査体制を満たしている必要があります。
ちなみに、「臨床検査」とは、冒頭で説明した「検体検査」および心電図や脳波などによって患者の身体を調べる「生理機能検査」の大きく2種類に分けられます。
検査会社には、地域の医療機関の検査のみを受託している会社もあれば、全国で受託している会社もあります。また、特殊な検査は受託している会社が少ないため、クリニックで扱っている疾病によっては検査会社が限定されることもあるかもしれません。
検査会社選びのポイント① 検査機器選定と並行して選定する
続いて、検査会社を選ぶ際のポイントを説明していきます。
ひとつめのポイントは、「検査機器選定も同時に進める」ということです。なぜかというと、勤務医時代には院内に検査室があったことから、当時と同じ種類の検査機器をそろえようと考えるドクターもいるかもしれませんが、“どこまでを検査会社に外注するか”によって、クリニックで使う検査機器の種類が変わってくるからです。そのため、契約を検討する検査会社が先に決まっていれば、院内に導入する検査機器代を最小限に抑えることが可能です。
ただし、院内に最低限の検査機器しかそろっていなければ、患者が緊急検査を必要としている場合など、しっかりカバーできないことがあるので注意が必要です。
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検査会社選びのポイント② 電子カルテとの相性を考える
また、電子カルテとの相性を考えて検査会社を選ぶことも非常に大切です。
電子カルテから直接検査を依頼できるのか、院内の検査機器による検査の結果を集約することはできるのかによって、業務の効率は大幅に異なります。電子カルテから直接依頼できないとなると、依頼用紙に手書きで書き込む工程が必要になりますし、検査結果を電子カルテに取り込むことができないとなると、スキャンして取り込むしかありません。これでは、手間もコストも相当なもの。さらにミスも起こりやすくなるでしょう。
ただし最近は、できるだけ多くの機器に連携できるよう設計されている電子カルテも増えてきていますし、カルテメーカーがドクターの希望に沿った仕様にしてくれるケースが増えています。そのため、まず電子カルテを決めた後、その電子カルテに対応している検査会社を選ぶか、もしくは電子カルテメーカーと相談しながら検査会社を決めるといいでしょう。
検査会社選びのポイント③ サービスの内容を確認する
緊急検査対応の可否、パニック値が出た場合の対応可否、検体取扱い誤り等があった場合の補償のほか、集配回数なども事前にチェックすることが大切です。検体の回収は、午前の診療終了後と午後の診療終了後の1日2階が基本とされていますが、特に地方などは集配回数が少ない場合もあるので注意が必要です。
検査会社選びのポイント④ 委託料金
委託料金は検査会社によってピンキリで、頻用検査の種類やセット検査数にもよりますが、診療報酬点数の60%の金額から交渉するのがよいとされています。また、委託料金の見直しのサイクルについても事前に確認しておくとよいでしょう。
クリニックとの距離などを重視したほうがいい場合もある
通常の検査報告は翌日以降で問題ありませんが、緊急対応が必要な場合は、クリニックと検査会社の距離が近いに越したことはありません。選定時の優先度としては低いですが、クリニックの特性などによっては、この条件も視野に入れて探したほうがいいかもしれません。また、競合と比べて極端に安い金額を提示するクリニックは、試薬に問題がある可能性も無きにしも非ず! 契約後であっても、万が一検査の精度が低過ぎた場合は、クレームを入れるか契約を解除することをおすすめしますよ!
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この記事は、2022年9月時点の情報を元に作成しています。