逆紹介を受けるクリニックになる!病院に選ばれるためのポイントは?

「病院からの逆紹介患者さんはリスクが高い」
「うちでは対応例が少ないから逆紹介は心配」
「患者さんも行ったり来たりで大変なのでは…?」

病院から地域のクリニックへと患者さんを戻す逆紹介は、2022年の診療報酬改定でもさらなる促進の方針が示されました。しかし「専門診療科と異なり、一般内科の逆紹介はまだまだ浸透していない」と専門家は指摘します。

病院から逆紹介される患者さんの受け入れを増やすことは、提携先の病院からも感謝され、クリニックの経営にも寄与する可能性があります。

「将来を見据えると、逆紹介に力を入れるクリニックが重宝される」との指摘もある中で、今クリニックは何から取り組めばよいのかをお聞きしました。

※本記事に記載の情報は取材を行った2022年7月19日現在です。

回答者:武藤 正樹氏(社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役/よこすか地域包括ケア推進センター長)

新潟大学大学院医科研究科修了後、国立横浜病院にて外科医師として勤務。ニューヨーク州立大学家庭医療学科、厚生省関東信越地方医務局指導課長、国立長野病院副院長などを経て、国際医療福祉大学大学院教授。2020年から現職。医療政策や診療報酬に詳しく、地域の医療と介護が一体となった「生活の中の医療」の重要さを訴え続けている。

日本医療マネジメント学会副理事長、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会代表理事などを務める。

目次
  1. 逆紹介の実態とこれからの展望
  2. 2人主治医制なら積極的に受け入れを増やせる
  3. ホームページを病院向けに作り直そう
  4. 逆紹介制度はクリニックの可能性を広げるチャンス

逆紹介の実態とこれからの展望

--クリニックへの逆紹介がなかなか進んでいない実態があります。ミクロ的視点ではなぜでしょうか。
武藤:長期的に見ればクリニック側のメリットはあるのですが、やはり病院から紹介される患者さんは手がかかるので敬遠されがちという点が大きいと思います。

率直に言えば、大きな病院にかかるような重い疾患や再入院のリスクのある患者さんを「ぜひ受け入れたい」と考えるクリニックが少数派だったというのが実態でしょう。その気持ちは理解できます。

--それはこれから変わってくるとお考えですか。
武藤:すでに変わらざるをえない時代に来ています。以前だったら比較的手のかからない患者さんを診ているだけでも十分経営的に潤っていたかもしれません。ただ今よりも確実に開業医には診療報酬の点数が厳しくなっていくと予想しています。

--受け入れるなら自院が得意な領域、疾患の患者さんを診られたほうがいいですね。
武藤:そうだと思います。クリニックが持っている専門性をアピールしていくのが効果的ですし、実績を増やせばさらに専門性が高まるという循環が作れるはずです。そのためには病院との関係づくりや、クリニック側の準備が必要になっていくと思います。

2人主治医制なら積極的に受け入れを増やせる

武藤氏は「病院から逆紹介される患者=高リスク」という先入観を変えていく必要があると言います。そのためにも、病院との連携や信頼構築が欠かせないと指摘します。

--抗がん剤を投与されている患者さんなど、クリニック側には「経験がないから受け入れるのはリスク」という考え方もあるそうですね。
武藤:開業医の気持ちは理解できるのですが、そこは病院側の判断も信用しつつ、また「地域連携クリティカルパス」の仕組みも使って、状態が変化したときは年に1回は基幹病院で診察を受けてもらえば、受け入れる際の気持ちも楽になると思いますよ。

--武藤先生は病院側の理屈も、クリニックの心情もわかると思います。クリニックで「診た事例がない」患者さんというのは受け入れるのが不安なものですよね。
武藤:そもそも不安がまったくない、リスクがないという患者さんはいないわけですから。
次にあげるような疾患を、恐れずに受け入れてくれるクリニックは必ず地域で重宝されると思いますよ。

糖尿病のインスリン治療中
抗がん剤服用中の外来患者
CKD(慢性腎臓病)
慢性閉塞性肺疾患など呼吸器系疾患
心不全

など、なかにはクリニックで受け入れづらいと考えていた院長もいるかもしれませんが、連携パスをうまく活用して、節目には基幹病院で診てもらえば患者さんも安心するでしょう。

--病院と連携するうえで心がけるべきことはありますか。
武藤:まずはしっかり「2人主治医制」を意識することですね。病院の専門医とかかりつけ医の2名体制で地域医療を支えていくという気持ちが重要だと思います。専門的な診療科ではすでに当たり前の制度ですが、まだまだ一般内科では「患者さんを手放したがらない」ケースも多いようにも聞きます。
2人主治医制を採用した方が、普段、単独では診ない症例に触れる機会も増えるので結果的にクリニックが対応できる医療の幅も広がるのではないでしょうか。

病院とクリニックが組織立って連携協定を結んでいる先進的な取り組みもありますが、まずは自院が、関連性の深い病院との連携強化を心がけることからも始められるでしょう。

参考:厚生労働省|地域連携協定のもと2人主治医制を構築し、重症化予防事業に取り組んだ事例寝屋川市(大阪府)

ホームページを病院向けに作り直そう

逆紹介を積極的に受け入れるには、連携先の病院から「選ばれる」ための努力が必要です。受けた逆紹介の実績を積み重ねるうちに、病院からの信頼が深まりまた逆紹介が増えていくというスパイラルが生まれると武藤氏は指摘します。

--より多くの病院に認めてもらうにはどうすればいいでしょうか。
武藤:積み上げてきた実績をホームページに記載するのがいいですね。逆紹介の受け入れ実績の件数を疾患別に出す、2人主治医制や連携先の病院の名前を掲載するなどです。病院に見つけてもらうことを目的としたページを作ればいいんです。

--たしかにホームページと言えば、集患を目的に患者さん向けに情報を掲載しているのがほとんどですね。
武藤:患者さんが見てもまったく問題はないですけど、病院に見せるために作ってください。病院の連携室の職員は、いろんなクリニックのホームページを見比べています。患者さんを呼び込むための目的ではなく、病院のための情報発信を心がければ、結果的に患者さんへのブランディングにもつながります。

--これまで以上に、病院との関係性作りが問われる時代になったと言えそうですね。
武藤:そうですね。病院側としては、逆紹介を増やせばそのクリニックからの紹介が増えるという思惑も当然あるわけです。病院とクリニックの共存共栄、また地域医療を支えるという点でも、ぜひ逆紹介を積極的に受け入れるとともに病院への紹介、連携も強化するとよいのではないでしょうか。

武藤氏は、医療制度改革やその狙いについて解説や分析を行う講演活動を精力的に行っています。

2022年診療報酬改定と地域連携~2025年問題とクリニックの役割~(P.31~P.37)

武藤氏のいる横須賀地域は、在宅医療を担う医師が多いことでも知られています。各クリニックの取り組みも参考にしてください。

逆紹介制度はクリニックの可能性を広げるチャンス

逆紹介や2人主治医制は、考え方そのものは古くから続いてきています。働き方改革が押し寄せることからも、病院の一部の医師にかかる負担を分散させる取り組みは確かに重要です。

ただそれ以上に、病院の専門医と効果的に連携できれば、単独では受け入れが難しかった疾患・症例の患者さんもクリニックで診られるようになるかもしれません。結果としてクリニックが提供できる医療の幅を広げることにつながるのではないでしょうか。

武藤氏は「逆紹介受け入れを増やす当初はクリニックの負担が大きくなるかもしれないが、長期的にはプラスが大きいはず」と話していました。

ホームページの改修を含め、逆紹介強化を考えるきっかけにしていただけたら幸いです。

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藤原友亮

執筆 執筆者 | 藤原友亮

医療ライター。病院長や医師のインタビュー記事を多く手がけるほか、クリニックのブログ執筆やSNS運用なども担当。また、法人営業経験が長く医療機器メーカーや電子カルテベンダーの他、医師会、病院団体などの取材にも精通している。


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