【内科必見】診療報酬の算定漏れは安定期こそ注意!原因と対策を具体的に解説

「患者数や診療自体は安定しているものの、経営面が思わしくない」

「たまたま見かけたレセプトに自分の行った診療行為が入っていない」

「そもそも算定漏れってどうやって防げばいい?」

そのような悩みを抱えるクリニック開業医は少なくないようです。

診療報酬の算定漏れは日々の忙しい診療の中では、なかなか対策がとれないという方も多いでしょう。

そこでこの記事では、診療報酬の算定漏れがなぜ起きてしまうのか、防ぐためにはどうしたら良いのかを、実例を交えてお伝えします。改善を維持するコツもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

診療報酬の算定漏れが起きやすい診療内容

ここでは、日常の診療内容において、知らずしらずのうちに算定漏れが起きている診療報酬として、指導料を例についてお伝えします。

日々の診療ではどうしても患者さんの対応が1番。算定については流れ作業でこなす場合がほとんどではないでしょうか。

私の経験上(筆者は医療事務として18年勤めています)でも、医師は患者さんの対応と最低限のカルテ記載を行い、看護師は医師のサポートと診察後のフォローで、算定に関する内容をチェックする余裕はないケースばかりでした。

実際あった事例として、在宅自己注射指導管理料における血糖自己測定器加算の測定回数変更の更新漏れがありました。この時も、患者さんの状態を把握した上で、患者さんとの相談の結果、測定回数が増えたものの、算定に関わる情報が更新されることなく数ヶ月が経過し、別件でカルテを確認していた時に算定漏れが発覚しました。

このように、投薬・注射・処置といった行為が明確なものではなく、指導料のように日々の何気ない診療の中で発生する算定項目は漏れやすいため、注意が必要です。

なぜ算定漏れが起きてしまうのか?

ここからは、算定漏れが起きてしまう構造について深堀してお伝えします。

改めて診療してから収益までの導線を考えると、大きく下記の3つに分けられます。

  • 診療からカルテ記載までの導線
  • カルテからレセプトまでの導線
  • レセプトから保険者への請求までの導線

それぞれの導線ごとにメインで関わる職種も変わるため、シームレスなやりとりがなければ、算定漏れが起きるリスクも高いです。

算定漏れの根本にあるのは「誰かがやってくれているだろう」という他力本願の考え方だと感じます。特定の誰かではなく、日本人特有の “阿吽の呼吸” が悪い方向に働くと、自分が動かなくても誰かがフォローしてくれているという考え方に陥り、動きが止まってしまう場合があります。

それでは、3つの導線に関して詳しく見ていきましょう。

診療からカルテ記載までの導線

最も算定漏れが起きやすいポイントといえます。

なぜなら診察という流れの中で、関係者がそれぞれ算定について漏れがないか気をつける必要があるからです。

緊急対応をはじめ、忙しい診察の中では患者さんが最優先なのはいうまでもありません。しかし、患者さんを優先している中では、どうしても会計は二の次、三の次になりがちです。

例えば、1型糖尿病の患者さんの容態が低血糖により急変し、グルカゴン注射を使って対応したとします。そのグルカゴン注射を使用した履歴は、カルテ記載するまでその場にいた医療者の記憶と記録にしか残っていません

容態が安定するまで、そのほかの対応も並行して行っていれば、時間の経過とともに記憶は薄くなっていき、算定の元となるカルテ記載から漏れてしまうのは珍しい話ではありません。

カルテからレセプトまでの導線

たとえ医療行為がカルテに記載されていたとしても、レセプトの形になるまでに漏れてしまうケースがあります。

なぜならカルテを読んでレセプトに反映させるのは、個人の技量に大きく左右されるからです。

多くの場合、会計伝票が用意されていますが、全ての医療行為が会計に入っているかを最終的に確認するのはカルテです。

紙カルテの場合「字が汚くて読めない」と、医師に確認もなくそのままになるシーンが想定されます。電子カルテの場合「自動算定だから」と安心していても、算定要件で確認が必要な指導料や検査などは、自動算定から弾かれ、会計入力者がどれだけ診療報酬に精通しているかにかかってきます。

このように、カルテ記載がされていても抜け落ちてしまう点には注意が必要です。

レセプトから保険者への請求までの導線

会計に無事反映されても、レセプトチェック時に算定漏れが起きる場合もあります。

レセプトチェックシステムの普及により、細かい部分までアラートが出るようになり、算定可否を確認するのは容易になりました。

ただし、最終的に判断するのはレセプト点検者に委ねられます。点検者が1人であればさほど大きな問題にはなりませんが、複数人、場合によっては外部に委託することもあるでしょう。

すると必然的に関わる人数は増えていきます。多重チェックにより安心な面もありますが、かかわる人数が増えれば増えるほど、それだけ考え方や知識のばらつきが生まれるため、同じ1枚のレセプトを見ても、気になる人と気にならない人が出てきます

つまり、レセプトチェックシステムがあり、一概にレセプト点検者に十分な数がいれば安心とは言いきれないのです。

診療報酬の算定漏れを防ぐためのポイント

ここまでお伝えした診療報酬の算定漏れを防ぐにはどうしたら良いのか、そのポイントをご紹介します。

結論として、1つの方法ではなく、2つの側面からアプローチすると算定漏れを防げる確率が高まります。

なぜなら、算定漏れが起きているのは、1つの大きな穴のせいではなく、細かい穴によるものが多いからです。

2つの側面で細かい穴を塞ぐようにすれば、これまでと同じ診療内容でも、入ってくる収入面で変化が現れてきます。

システム面で防ぐ

算定漏れ対策としてまず取り組むべきなのが、システム面です。

システム面と一言で言っても、レセプトチェックや電子カルテなどのハードに関する内容だけではありません。ハードを扱う人的なソフトの部分での工夫が大切になります。

実際の体験談を紹介すると、高額レセプトはダブルチェック体制をとっていました。高額の基準は施設によって様々ですが、例えば10,000点以上のレセプトをAさんがチェックしたあと、診療報酬に長けているBさんが二次チェックし、保険者の審査に耐えうる内容となっているかを確認する流れです。

これは単に請求漏れを防ぐだけではなく、後ほどお伝えする人材育成の面でも有効な施策と考えます。

人材育成で防ぐ

システムほど短期的に改善はできませんが、中長期的な視点で考えると重要な対策が人材育成です。

これまでの経験を元に有効と考えるのが「勉強会」です。診療報酬に詳しい事務スタッフがメインにはなりますが、院長の積極的な参加も大きな刺激となります。

医師としては当たり前と思っている内容でも、事務からすると新鮮でためになります。逆もしかりで、事務サイドからすると常識のようなことでも、医師からは目新しい発見となる場合も珍しくありません。

何より診療報酬というキーワードを軸に、コミュニケーションが図れるため、日々の診療が円滑になる副次効果も期待できます。

人材育成は一朝一夕で完結するものではありません。そのため、システム面の充実を図りながら、並行して取り組むことをおすすめします。

改善したあとの体制を維持するコツ

改善への施策を打てたとしても、その後の体制が維持されなければせっかくの改善活動も意味をなしません。

よくあるのが、システム面・人材育成共に特定の個人に紐づいてしまい、その人がいなくなった途端に同じ体制が維持できなくなることがあります。

そのような事態を防ぐためには、マニュアル作成が大切です。マニュアルを作成しておけば、特定の個人がいなくなってしまったとしても、マニュアルは残るため、それまで積み上げてきたものがゼロにはなりません。

そのためにも、日々の行動に関する内容はマニュアルを作り、共有する文化を築けるかが体制維持のコツです。

また、作成するマニュアルについても、一度作ったら終わりではありません。都度更新させるものとして、wordやExcel、PowerPointなどのファイル形式で残し、必要な時に誰でも手がつけられるようにする環境作りが大切です。

診療報酬の算定漏れを防ぐには

診療報酬の算定漏れは、機会損失をしているという実態の把握が最初の一歩になります。

院長自身ももちろん、働いているスタッフへの声がけで、思わぬ気づきが得られることは珍しくありません。

また、診療報酬のルールは定期的に変わるため、算定漏れに対する改善活動は常に必要となります。

特定の個人に紐づいた改善活動とならないよう、マニュアル整備が重要になりますが、現状のマンパワーを考えると、とても手が回らない場合もあるでしょう。

そのような時には外に目を向けて、相談先を見つけておくのも有効です。

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執筆 医療ライター 武田 直也

フリーランスWebライター。18年間医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かし、カルテ監査やDPCデータ、クリニカルパスなど医療情報の活用に精通している。


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