![開業クリニックで利用できる節税方法とは?|個人・法人で解説](https://clius.jp/mag/wp-content/uploads/2022/05/220426.jpg)
開業医として医院を経営する際に大切なことが節税です。
税金は事業の収入が高くなるのに比例して納税額も高額になるため、自分で医院を開業する際は必ず節税に対する知識を身につける必要があります。
本記事では個人開業医におすすめの節税の方法をわかりやすく解説します。独立を検討している開業医の方は必ずチェックしてください。
個人開業医が利用できる節税方法
小規模企業共済掛金
開業医の節税方法として最もポピュラーなものが小規模企業共済掛金です。
小規模企業共済掛金は事業を廃業した際の生活資金を事前に積み立てることができる制度で、支払った掛金を所得控除にできます。
受け取る際は、退職所得として税制の優遇が一番受けられる方法で受け取ることができるのも同制度の特徴です。
掛金は月々1000〜70000円(年間84万円)まで自由に調整でき、加入した後に金額を変えることもできます。
事業に必要な資金の借り入れなどもできるため、開業医以外にも様々な事業の経営者が利用しています。
iDeCo
iDeCoは掛金を自分で資産運用し、60歳以降に拠出した掛金を受け取れる制度です。
iDeCoの掛金は積み立てた際のすべての金額が所得控除の対象になります。また、資産運用によって積み立てたお金が増加した場合も非課税になるメリットがあります。
iDeCoは原則として60歳になるまで資産を引き出せませんが、老齢給付金を受け取る際も退職所得控除を受けられるため、節税効果が期待できます。
NISA・積立NISA
NIISAは投資信託などで得た利益や配当金に税金がかからなくなる制度です。
iDeCoとは違い、掛金のすべてが所得控除になるわけではありませんが、年間120万円を上限として最大で5年間の非課税保有期間があります。
また、積立NISAでは、年間40万円までを上限として20年間が非課税となります。iDeCoとは異なり投資した金融商品をいつでも売却できるため、自由に出金ができるメリットがあります。
青色申告
青色申告は確定申告の際に一定の条件を満たすことで受けられる控除です。
控除される金額は最大で65万円となっており、中小企業や個人事業主の多くが利用する節税制度です。青色申告を受けるためには開業後2ヶ月以内に青色申告承認申請書の提出が必要です。
青色専従者給与
青色専従者給与を受けると、給与というかたちで、家族に報酬を支払えます。
白色申告による専従者給与は配偶者が86万円、その他の親族が50万円の上限付きですが、青色専従者給与であれば、家族に支払った給与を全て必要経費にできます。
ただし、青色申告で申告していることや定められた期間内に「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に提出しなければいけない点に注意が必要です。
同時に専従者給与を支払った場合は、配偶者控除や扶養控除が受けられいなくことも覚えておきましょう。
医療法人が利用できる節税方法
MS法人の設立
MS法人は医療法人を運営する際の業務の効率化や節税を目的に設立される会社です。
MS法人を設立すると、母体となる医療法人と所得が分散するため、節税効果も期待できます。
医院を開業する際に建物を所有する場合はMS法人として不動産賃貸業やリース事業を行う事例が多いです。
所得拡大促進税制
所得拡大増進税制は青色申告を行なっている中小企業が一定の条件を満たした上で、給与の支給額を増加した際に増価額を控除できる制度です。
控除される税額は、申請した年度の法人税・所得税の20%が上限です。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化制度は、中小企業の企業力の向上や生産性のアップを手助けする制度です。
同制度は、認定を受けた中小企業の経営者が新たな設備を購入した際に、一括償却や取得価格の最大10%の税額控除を受けられます。
旅費規定
旅費規定は出張する際に支給される手当です。
旅費規定を支払う法人は旅費交通費として経費に計上することができますが、受け取る個人は所得金額に含める必要がないとされています。
そのため、医療機関への研修や出張が頻繁に発生する際は高い節税効果が期待できます。
保険加入
保険は種類によって経費にできる割合が異なりますが、全損タイプを利用すると保険料の全額を経費として計上できます。
保険は将来的に解約することで、解約返戻金として支払ったお金を戻せるため、大きな節税効果が期待できます。
短期前払費用
短期前払費用はすでに支払った支出の中で年度内にサービスや資産の提供を受けていないものを指します。
サービスや資産に対しての支出は、通常は提供を受けた時点で経費とし計上することになります。
しかし、短期前払費用に関しては特例を受けることができ、条件を満たせば即時に費用として計上できます。
即座に費用として計上できるものの具体例は不動産の賃料、システムのリース料、火災保険料などです。
非常勤役員報酬
非常勤役員報酬は非常勤の役員を複数人雇用する際に発生する報酬で、通常の役員報酬を分散する効果が期待できます。
役員報酬は給与が多くなるほど所得税が高くなる累進課税が採用されているため、分散することで、税金を抑えられます。
事前確定届出給与
事前確定届出給与は賞与やボーナスとして支給される給与です。賞与の社会保険料は健康保険が500万円、厚生年金は150万円までしか計算されません。
そのため、月々の給与を少なく支給し、残りの金額を賞与としてまとめて支給することで、社会保険料を節約できます。
個人開業医・法人開業医の両者に利用できる節税方法
企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業型DCは企業が毎月積み立てを行い、年金資産を運用する制度です。
企業型DCの種類は従業員が任意で加入を選べるタイプと、自動的に加入するタイプがあります。
運用して得た利益はすべて非課税になるだけでなく、受け取る際に所得控除を受けられるため、節税としても大きな効果を発揮します。
ふるさと納税
ふるさと納税は自分の故郷や好きな自治体に寄付をする制度です。故郷や自治体に寄付する金額の中で2000円を超えるものは、所得税の還付や住民税の控除を受けられます。
また、返礼品として名産物を受け取ることができるため、上限額を間違わなければ損をすることはありません。
自分がいくらまでふるさと納税を利用できるかは、各ふるさと納税サイトの税額シミュレーションからご確認ください。
お金を守る情報の正しい理解
開業医として独立すると扱う売上の金額も非常に大きくなるため、お金を守るための節税の知識を身につけておく必要があります。
節税は個人と法人によって様々な方法がありますが、併用できるものも多いため活用できる制度はすべて活用してください。
節税に使える制度は悪いことではなく、税務署や税理士事務所などからも事業者に対して積極的に活用を推奨しています。
開業医としての業務はもちろん、大切なお金を守るための正しい知識として節税を活用してみてください。
特徴
対応業務
その他特徴
診療科目
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この記事は、2022年10月時点の情報を元に作成しています。