
電子カルテとは、PCなどで閲覧編集できるカルテのことです。データの保存先によって、クラウド型とオンプレミス型に分けられます。
レセコン(レセプトコンピューター)とは、診療報酬を患者の所属する健康保険組合などに請求するためのレセプト(診療報酬明細書)を作成するコンピューターシステムを指し、クリニックなどの医療施設で保険診療を行った際に使用します。
この2つは以前まではそれぞれ個別で使用するものでしたが、近年では、1つにまとまっている「一体型」と呼ばれる機種も存在します。
この記事では、レセコン分離型電子カルテとレセコン一体型電子カルテ、それぞれの特徴(メリットやデメリット)、お勧めの機種やメーカーをご紹介します。
レセコン一体型と分離型、電子カルテの違いは?
レセコン一体型の電子カルテは、1つの端末で電子カルテとレセコンの両方を操作できます。そのため、患者さんの詳細な診察・検査の情報をもとに、受付~会計、レセプトの請求業務までも一貫して行えるのが特徴です。
一方、レセコン分離型は、電子カルテとレセコンがそれぞれ別の端末・システムを使用・操作するもの。当然ソフトウェアも異なります。また、それぞれの情報を相互に連携する必要があります。
これが、レセコン一体型と分離型それぞれの電子カルテの大きな違いです。ただ、分離型の電子カルテでも、レセコンと機能を連携させることが可能です。
以下では、それぞれにどんな特徴やメリット・デメリットがあるのかについて解説します。
レセコン一体型電子カルテの特徴(メリット/デメリット)
まずは、一体型の特徴について。
メリット1.電子カルテのみで業務が完結する
先述のように、「一体型」というだけあって、電子カルテの中にレセコンも内包されているため、1つの端末でデータの一元管理・一括操作が可能です。業務の効率化や、それによる待ち時間の短縮、さらには施設自体の評判アップ、そこからさらに増患までも見込めます。
メリット2.問い合わせ先が同じ
電子カルテとレセコンを連携させて使っている場合、万が一の障害発生時にはそれぞれのベンダーに問い合わせて原因を解明しなければならないため、手間やリスクが大きくなってしまいます。その点、レセコン一体型であれば問い合わせ手順がシンプルです。
デメリット1.サーバー障害時はどちらも使えなくなってしまう
システムが内包されている分、サーバーに障害などがあった場合は、電子カルテ・レセコンの両方が使えなくなってしまいます。診察や受付業務にも影響が出てしまい、対応策を用意していない場合は復旧までの間、休診しなければいけなくなることがあります。
デメリット2.入れ替えの際は両方とも変える必要がある
メーカーサポートが切れた場合など、電子カルテ・レセコンの両方を変える必要が出てきます。
また、システムが同じものであるために、解約時にどちらか一方の継続利用もできなくなります。
デメリット3.機能が制限される場合がある
レセコン一体型電子カルテの場合、そのカルテメーカー独自のインターフェースの開発が必要になります。そのため、必然的に連携が可能な機器が少なくなってしまいます。
一体型が向いているクリニックは?
以上の特徴から、スタッフが少なく1人当たりの業務量が多く効率化を図りたいクリニックや、なるべく予約時間きっちりに診察を行いたいクリニック(美容系など)に向いているといえるでしょう。
分離型の特徴(メリット/デメリット)
次に、分離型の特徴について解説します。
メリット1.サーバー障害時でも電子カルテかレセコンのどちらかは使える
システムが分かれているため、サーバーに障害などがあった場合でも、障害に影響されていない方は使用可能です。復旧までの間の対応は必要ですが、休診することなく診療は可能です。
メリット2.連携できるメーカーが多い
電子カルテとレセコンのそれぞれに連携できるメーカーがあり、それぞれに開発を行っているため、連携できるメーカー数が多いのもメリットの1つ。
選択肢が多いということは、十分に比較したうえで自院に求めるものを選ぶ機会も多くなるはずです。
デメリット.覚えること・操作が多い
2つのシステムのユーザーインターフェースが統一されていないことから、操作方法をマスターするのに時間がかかる場合もあるかもしれません。
また、カルテ入力後、レセコンソフトにデータを送信する必要があるため一体型と比べて業務量が多いといえます。
分離型が向いているクリニックは?
以上の特徴から、すでに気に入っているレセコンがあるが電子カルテの乗り換えを検討している場合や、障害時でのリスクを避けたいクリニック、また連携が複雑だったり、診療の流れが多様だったりといったクリニックにも向いているといえるでしょう。
以下の図では、特徴を簡易的にまとめてみました。
比較 ポイント | レセコン分離型 | レセコン一体型 |
---|---|---|
操作性 | ・電子カルテで入力した内容をレセコンに送信する必要がある ・電子カルテ、レセコンのインターフェースが統一されていないため、それぞれで操作などを覚える必要がある | ・1つの端末で電子カルテとレセコン両方の操作が可能 ・電子カルテ、レセコンのインターフェースが統一されているため、比較的使いやすい |
初期 費用 | 既設のレセコンがある場合、初期費用を抑えられる可能性がある | 電子カルテ、レセコン2つの機能をもつため、初期費用は分離型電子カルテよりも高価 |
障害時 | 障害が起きた際は別々のところに問い合わせないといけない | 障害発生時は1つの窓口に問い合わせればいい |
更新時 | 電子カルテとレセコンで別々での更新が可能 | 電子カルテの更新や別メーカーに乗り換える場合は、レセコンもあわせて変える必要がある |
問合せ先 | システムごとに違う | 同じ |
【レセコン分離型・一体型】おすすめの電子カルテ
ここからは、レセコン分離型・一体型に分けて、おすすめの電子カルテをご紹介します。
【分離型】CLIUS(株式会社Donuts)
シンプルで見やすい画面設計で、使いやすさにすぐれています。初期費用、ランニングコストともに低価格で気軽に導入可能。クラウド版のORCAと連携させて利用可能です。
【分離型】きりんカルテ(PHC株式会社)
ORCAのクラウドサービス「日レセクラウド」とワンパッケージで提供されています。電子カルテとしての基本機能に加え、外来受付や予約機能、訪問スケジュール作成機能、在宅医療文書作成機能など、在宅医療に対応した機能も備えています。
【一体型】エムスリーデジカル(エムスリーデジカル株式会社)
レセコン一体型、ORCA連動型の両方のタイプを用意。カルテ作成・オーダー入力を効率化してくれる「AI自動学習機能」、紙カルテを超える書き心地で、シェーマもハンコ感覚で使える「iPadアプリ」などの豊富な機能を備えています。
【一体型】Medicom-HRf(PHC株式会社)
オンプレミス型、クラウド型の両方に対応している、医事一体型電子カルテシステムです。PACS、問診システム、予約・再来受付システムをはじめとするさまざまな機器との連携によって業務が効率化されます。
【一体型】CLINICSカルテ(株式会社メドレー)
クリニック内のさまざまな機器とシームレスに接続が可能。CLINICSシリーズの「オンライン診療」「予約」機能を利用すれば、ひとつのシステムで、予約から受付、カルテ入力、会計業務まで完結できます。レセコンはORCAを内包。
まとめ
レセコン一体型・分離型それぞれにメリットやデメリットがあります。
電子カルテの切り替え時期なども考慮しつつ、自院に合ったものはどちらのタイプかを考えてみてくださいね。
特徴
オプション機能
対象規模
提供形態
診療科目
特徴
提供システム
予約・受付機能
システムとの提携
対応言語
その他機能
診療科目
この記事は、2023年5月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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