クリニックスタッフの給与を考えるにあたっては、どのくらいが妥当であるのかを考えることが不可欠です。そこで今回は、美容クリニックに焦点を絞って、スタッフの給与の理想や決め方について考えていきましょう。
看護師の平均年収は?
美容クリニックスタッフの給与が高いのか低いのかを考えるために、まず看護師の平均年収をみていきましょう。厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は508万1,300円で、ここから税金や社会保険料を引いた「手取り年収」は380万円~405万円とされています。
参照: 厚生労働省「令和年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
美容クリニック看護師の年収の目安は?
これに対して美容クリニック看護師の年収はどれくらいかというと、大手美容外科の場合、モデル年収は540~670万円前後、大手美容皮膚科の場合、モデル年収は500~650万円前後とされています。いずれの場合も、看護師全体の平均年収よりかなり高いことがわかります。
もちろん、働き手である看護師側も、多くはこのことを把握しているため、クリニック側はそのことを理解したうえで自院の給料を設定することが大切です。
美容クリニック看護師の高額な年収に見合った仕事をしてもらうには
美容クリニック看護師の平均年収が高いのはなぜかというと、美容クリニックの平均年収が高いためです。しかし、いくら自院の年収が高くても、最低限の仕事しかこなさないスタッフに高い給料を支払いたいとは思えないものです。
そのため、高い給料を支払うからには、看護師にはそれに見合った働きぶりを期待したいところです。では、どのような施策をとれば、看護師に給料相応の仕事をしてもらえるかを考えていきましょう。
クリニックのコンセプトや目標を共有する
まず大切なのが、クリニックのコンセプトや目標をしっかり共有して、一緒にクリニックの経営を安定させていこうという意識をもってもらうことです。
これができておらず、「しっかり働いて」と言われても、スタッフはなんのためにがんばっているのか、どこに向かってがんばればいいのかわからず困ってしまいます。結果、クリニックに十分に貢献することができないので、最初にクリニックのコンセプトや目標を共有することはとても大切です。
営業成績にインセンティブをつける
美容クリニックのなかでも特に美容皮膚科の場合、レーザーなどの施術を担当するのは看護師なので、施術中に患者の悩みをうまく聞き出して新たなメニューや、院内で販売する化粧品をすすめるチャンスが多いといえます。
営業の結果、契約をとった看護師に対してインセンティブをつければ、インセンティブ目当てでがんばって営業してくれる看護師が増えるため、結果としてクリニックの売上が上がります。
指名料を給料に追加する
患者から施術で指名されたら、指名料として給料に反映する制度を導入すると、看護師のモチベーションが高まります。
いうまでもなく、施術スキルもコミュニケーションスキルも高いほうが患者から指名されやすいので、クリニックにとっては、看護師らが自発的にスキル向上に励んでくれるというメリットが得られます。
給料の制度に関する注意点
前述の通り、営業成績に応じたインセンティブを用意したり、指名料を給料に追加したりすることは看護師のモチベーション向上につながりやすいですが、デメリットも存在します。
契約をとらなければならないとプレッシャーを感じる看護師もいる
営業ノルマを課したり、営業成績を貼り出したりすることは、スタッフ同士のライバル意識を刺激することにつながる一方、営業が得意ではない看護師はプレッシャーを感じる場合があります。
チームワークが乱れることがある
スタッフの間にライバル意識が芽生えた結果、お互いにサポートし合おうという意識が薄らぐ可能性が考えられます。その結果、チームワークが乱れる可能性も否定できません。
患者から、「施術のたびに営業されて鬱陶しい」と思われることがある
スタッフが契約を取りたい一心でさまざまなメニューや化粧品をすすめるようになると、患者から「毎回営業されて鬱陶しい」と思われる可能性も無きにしも非ずです。それが理由で他院に乗り換えたり、「営業がうざい」などの口コミを投稿したりする患者も多いので要注意。
メニューや施術のすすめ方の理想に関して、マニュアルとしてまとめたり、スタッフ同士で意見交換したりと工夫することが望ましいといえます。
クリニック、看護師双方にとっての“Win-Win”を心がけよう
「どうすればクリニックにとってのメリットも得ながら看護師の給与を上げるか」を考えることはとても大切ではありますが、それだけを考えて業務施策や給与の金額を決めていると、看護師から反発が上がりやすくなるでしょう。
クリニックにとってのメリットだけでなく、看護師にとってのメリットもきちんと考えて、お互いに成長していけるクリニックを目指しましょう。
給与設定などに悩む場合には、社労士など専門家の意見も取り入れてみると、より安定した経営・運営につながっていくはずですよ。
特徴
対応業務
診療科目
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この記事は、2023年6月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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