クリニックスタッフのモチベーション、どう保つ?現役院長に聞いたマネジメントの秘訣

どんな組織でもメンバーのモチベーション高く、自主的に動いてくれるような環境を作ることができれば、収益は増加し、自然と組織は成長します。

これはクリニックでも同様で、医療スタッフがクリニックの利益を考え、自主的に行動することが良いマネジメントとされています。

しかし、実際にマネジメントを行っていると、

  • そんな前向きに働こうとしてくれるスタッフなんていない
  • 時間給だから自分の手間が増えるようなことなんてしたくない
  • きちんと労務管理をしてルールを定めた方がスタッフも働きやすいのではないか

このように感じる経営者もいるのではないでしょうか。

この記事では、スタッフが自主的に働いてくれるようなモチベーションの保ち方と、自律型の組織のメリットや秘訣をご紹介します。

目次
  1. なぜ自律型の組織(クリニック)を目指すべきなのか?
    1. 業務の効率性が上がる
    2. 多様な患者ニーズに対応できる
    3. スタッフのモチベーションが上がる
  2. 自律型組織を作るための秘訣3選
    1. クリニックのビジョン、価値観について話し合う
    2. スタッフを信じて情報を開示していくこと
    3. スタッフが息抜きできる機会を作ること
  3. 自律型の組織作りの課題とは?
  4. まとめ

なぜ自律型の組織(クリニック)を目指すべきなのか?

自律型の組織とは、スタッフが自らの意思で主体的に行動をして、クリニックの収益に貢献する組織形態のことです。

スタッフは経営者のビジョンや価値観に共感して、指示がなくても臨機応変に働いてくれるでしょう。これが自律型組織のメリットとなりますが、具体的にどんなものかイメージしにくいですよね。以下で解説していきます。

業務の効率性が上がる

クリニックの業務は、人対人のサービスが中心となるため、予測できない事態が頻繁に起こります。

マニュアルにはない問題が発生したとしても、スタッフ自らがその場で最善の策を考え、素早く対応してくれるでしょう。細かな確認の時間もありませんので、業務効率は上がります。

多様な患者ニーズに対応できる

患者ニーズは、健康意識の高まりから、病気の診断や治療だけではなく、予防や健康管理なども求められるようになっています。

多様な患者ニーズに対応するためには、一方通行のマニュアルのもと管理をするのではなく、スタッフが柔軟に対応することが求められます。

スタッフに柔軟な行動を期待するのなら、自律型組織との相性が良いことがわかります。

スタッフのモチベーションが上がる

スタッフは自らの意思で仕事を行うため、いわゆる”やらされ仕事”ではなく、自分の仕事として取り組むことができます。

そうすれば、仕事にやりがいを感じ、モチベーションを保って働き続けることができます。患者や同僚から感謝の言葉を貰うえた場合には、承認欲求も満たされることでしょう。

 

自律型組織を作るための秘訣3選

ここでは実際に、クリニックの経営者が自律型の組織とするために、どのようなことをしているのか、事例をもとに紹介していきます。

クリニックのビジョン、価値観について話し合う

自律型の組織を作るためには、クリニックのビジョン(あるべき姿)と価値観(バリュー)をスタッフに理解させ、共感してもらうことが重要です。

経営者は、クリニックをどのようにすることが目的なのか、目的を達成するためにはどのような価値観や行動が大切なのか、これらをスタッフと一緒に考える必要があります。

クリニックで働く全員の方向性が一致することが、行動の羅針盤となり、自主的な行動に躊躇がなくなります。

その一方で、

  • ビジョンや価値観が大切?そんなことはわかっているよ
  • 今さら改まってこんなクリニックしたいなんて、夢や目標を語るなんて恥ずかしい
  • そんなことに時間を使うよりも、何かトラブルがなかったか確認した方がいいのでは

このような意見もあるかと思いますが、それでも、スタッフを上手くマネジメントし経営に成功しているクリニックの院長は、ビジョンの共感は必要なことだと言っています。

Googleのコメント数が50件以上と多いにも関わらず、ほとんど☆4☆5など高評価のクリニックでは、経営者が様々な工夫をして取り組んでいると聞きました。例えば、スタッフの交代があるタイミングや、半年ごとなど定期的に時間をとり、クリニックのビジョンと価値観について話し合う機会を設けているようです。

スタッフには家庭もあるため時間を作るのが難しいこともありますが、休診日などを利用して、クリニックに関わる全員に集まってもらっているとのこと。院長は「朝礼や簡易なミーティングの時に、院長から一方的に伝えるだけでは意味がない。スタッフ全員が一緒に考え、口に出して話し合うことで初めて浸透する」とおっしゃっていました。

あるクリニックの事例では、スタッフの間で、「患者が安心して診療を受け、心から満足できるクリニックにしたい」というビジョンが共有されています。その結果、スタッフは積極的に患者の気持ちに寄り添った接遇をしてくれます。待ち時間が長くイライラしている患者をみかければ、自ら声をかけるなどの配慮もしてくるようです。患者が満足できるよう些細な改善点にも目がいき、解決策の提案もしてくれるとのことです。

ビジョンと価値観の浸透をさせることでの成功事例からも、話し合う時間を積極的に取り入れてみることはオススメです。

スタッフを信じて情報を開示していくこと

スタッフがビジョンに共感し、モチベーション高く働いてくれても、給与面などの待遇に改善がなければ、その状態は持続しないでしょう。

クリニックの評判が上がり収益が上昇した場合、スタッフは自分たちにも還元して欲しいと思うものです。患者はたくさん来ているのに、どうして給料は上がらないの?スタッフにこのような考えを持たれるのは望ましくありません。

この解決策として、クリニックの収益を、スタッフに対して可能な限り詳しく開示するのも手です。家賃やテナント料、人件費、水道光熱費、医療機器の維持費、広告費、税金など、収益から必要な経費を差し引いた結果が利益となることを理解してもらいましょう。

そうすれば、単価が高く収益に貢献する診療行為はなにかという視点も生まれます。

自由診療を行っているのなら、そこに患者を誘導できるスタッフを高く評価したいという経営者の考えも理解してくれるでしょう。「〇〇の治療実績を月に何件達成させれば給与をアップできる」といったような具体的な目標を立てれば、スタッフの理解も得られます。

そこまで情報開示する必要があるのかという考えもありますが、上手くマネジメントしている経営者の実例ですので、ぜひ検討してみてください。

スタッフが息抜きできる機会を作ること

スタッフ間の交流を促進し、リラックスする機会を作ることも重要です。慰労会などのイベントは、経営者がスタッフへの感謝の気持ちを伝える絶好のチャンスです。こう言うと、

「院内行事なんて、時間ばかり拘束されてスタッフも本当は参加したくないのではないか」

「プライベートと仕事は分けたいと思うかもしれない。逆に迷惑ではないのか」

このような心配を抱えるかもしれません。しかし、スタッフの雰囲気が良く、順調な経営ができているクリニックの経営者ほど、このような慰労会や院内イベントの機会を大切にしていることを聞きます。

院長ができる少しの工夫ですが、慰労会が開始して一通りスタッフとコミュニケーションが取れれば、会計のみを済まして中座するようです。どれほど仲が良かったとしても、経営者とスタッフの関係。スタッフ同士で気兼ねなく話せるようにとの意図があるとのことです。

スタッフに喜んでもらえるように息抜きのできる機会を作ること、感謝や敬意を見せることは、経営者の役割の一つなのかもしれません。

 

自律型の組織作りの課題とは?

ここまでクリニック経営には自律型組織を作ることをオススメしてきましたが、実際に自律型組織を作るまでにはいくつかの課題があります。

一つは、自律型の組織を完成させるまでには、多大な時間と労力が必要だということです。

今日明日で、急に院長から、クリニックのビジョンや価値観について話し合いたいと言い出しても、スタッフ全員が賛同してくれるとは限りません。もしかすると、スタッフとの温度差を感じてしまうこともあるでしょう。経営者からスタッフに根気強く想いを伝えること、みんなで共感できるまで何度も話し合う機会を設けないといけません。

また、すでに採用しているスタッフの中に、クリニックの価値観と合わない人がいる時は、自律型組織を作るのは更にむずかしくなるでしょう。スタッフ採用面接の段階から、知識や技能ばかりで評価するのではなく、性格や価値観がクリニックと合っているのかを重視することが大切です。

そのためには、まずは院長がクリニックの価値観を言語化することから始まります。採用面接の前にはどのような価値観を持った人を求めるのかを書き出して見ましょう。

 

まとめ

この記事では、自律型のクリニックを作った方がいい理由、クリニック経営者に聞いた組織作りの具体的な方法について紹介してきました。

スタッフのマネジメントは、クリニックの開業後に必ずと言ってもいいほど出てくる悩みの一つです。患者ニーズの変化や競合クリニックとの差別化が必要な時代に、スタッフが自主的に考え助けてくれる組織を作れることは大きな武器にもなるでしょう。

自律型組織を目指す経営者はぜひ参考に取り組んでみてください。

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執筆 医療ライター ミナト

製薬会社MRとして営業職を経験。その後は営業組織の管理職となり、マネジメントやマーケティングを行う。
数多くクリニックの開業サポートをしてきた経験から、経営に役立つ情報をたくさんの人に広めたいとの想いを持つ。「医療×経営」の記事を中心に執筆活動中。


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