クリニックの集患方法には、開業前に行えるものとして「内覧会」があります。その内覧会に、クリニックの周辺にお住いの方々をメインに足を運んでもらうためにも大事だと言われているのが「チラシ」や「ポスティング」です。
しかし実際のところどこまでの効果が見込めるのか?については、疑問符を掲げる先生もいらっしゃるはず。
そこで今回は、クリニックのチラシや看板の作成を行っている株式会社ディーエー印刷の代表取締役・川﨑 英生 様をお迎えしてお話を伺いました。
株式会社ディーエー印刷 代表取締役 川﨑 英生
1966(昭和41)年、広島県生まれ。1989(平成元)年、大学卒業後に印刷会社に入社。2013(平成25)年、株式会社ディーエー印刷を設立。35年間印刷業に携わっている。
近年では、クリニック様の開院に携わり、開院に先駆け看板制作・チラシの制作や配布の提案・内覧会のサポートを行っている。デジタル全盛のこの時代だからこそ「デジタルとアナログと人々が融合」による相乗効果を会社理念としている。
効果的なチラシのデザインについて
診療科目によっても違ってきますが、たとえば美容クリニックの場合は「おしゃれ」なものが人気です。
患者さんの層が若い女性が多いこともあると思いますが、具体的には、施術後のイメージを印象付ける写真だったり、高級感のあるデザインが好まれますね。
美容に限らず、若い方をターゲットするクリニックはとにかく「施術後のイメージ」が重要で、中の施設情報は載せないことも多いと思います。
他には、例えば郊外の内科クリニックなど、「そこに住む多くの人々」がターゲットになるクリニックの場合はイラストを使ったり、先生の人柄が伝わるような文章を入れたり、「わかりやすさ」や「親しみやすさ」を重視しています。
反対に、「絶対に治します」など、医療広告ガイドラインに違反する文言は当たり前ですがNGです。
入れ込むべき内容については、弊社ではホームページを参考に作成していますが、ホームページがない場合はかなり時間をかけて綿密なヒアリングを行いますので、その分コスト(費用・時間)がかかるかなと思います。
なので、もし可能であれば、まずはホームページを作成していただいた後にお声がけいただくのが良いですね。
有効なチラシの配布方法について|都市部と地方の違い
これは、都市部と地方、ターゲットとなる患者層で変わってくるものだと思います。
最近は東京の目黒や浅草橋のクリニックの依頼を受けていますが、こういった都市部ではやはり、新聞を取っているご家庭が少ないこともあって、折込はほとんど効果がない傾向にありますね。
対して、同じ関東でも埼玉や千葉の郊外まで行くと、ご年配の方も増え、新聞を取っているご家庭も増えるので、ポスティングよりも折込の方が効果的なケースがほとんどでした。
配布する部数について
診療科や診療圏の大きさにもよりますが、都市部だと半径1キロでも3万枚程度は必要だと思います。
半径を広げていく毎に必要な部数も変わってきまして、2キロだと10万枚、3キロだと20万枚は必要になってきます。
ただ3キロまでいくと予算的にむずかしいことが多いので、たいていの場合は2キロ圏内までで収めています。
対して、地方部は半径5キロで7万枚くらいになるかなと思います。
チラシ作成・配布にかかるコストについて
印刷費用は枚数によっても単価が変わってきますが、大体3円前後かなと思います。
配布費用については、例えばポスティングで3万枚配る場合は、1部あたり5円ぐらいですね。
折込の場合は、サイズにもよりますが1部当たり3.5円ほどになっています。
ですので、印刷〜配布までを考えると、1部当たりのコストはおおよそ8〜10円程度で見ていただくといいのかなと思います。
チラシの費用対効果について
郊外のケースだけのご紹介にはなってしまいますが、過去、内覧会のご案内で3万枚配布した際には、約300人の来院がありました。これは、クリニック開業時の内覧会としてはかなり多い方なのかなと思います。
特にご年配の方はチラシを手にして来院してくださることも多いので、チラシは先程申し上げたようなポイントを抑えて作成いただくのが良いかなと思います。
ポスティング業者を選ぶときのポイントについて
弊社でも依頼する業者はそう多くないんです。と言いますのも、やはり「信用できる」ところでないと依頼したくないので。中には依頼した部数をすべて配り切らない悪質な業者もいないとは言い切れませんから。
先生がご自身で依頼をする場合、見分けるポイントの1つとしては「あまりに安価なところ」は避けた方がいいと思います。安価、の基準としては、1部当たり1~2円と謳っているところは少し心配ですね。
ですので、先程もお伝えしたように、ポスティング業者を選ぶ際には「1部当たり5円程度」を目安にしてもらえるといいのかなと思います。
看板作成のポイント
いかに目立つか?が重要です。
基本的にはクリニックのロゴマークや先生の好きな色をベースに作成しますが、その際には例えば青が好きな先生なら、目立つように反対色の黄色も入れるなどの提案をしています。
おしゃれなデザインよりも、原色などを使用してとにかく目につきやすくするのが大事です。
看板の大きさについては、畳一畳分以上あるといいと思います。制作費としては、おおよそ20万円ほどだと考えていただければいいかなと思いますが、場合によっては媒体料やコンクリートの施工なども必要になるケースがありますので、その際にはより費用がかかります。
ただ、看板はその費用対効果がわかりづらいところもあると思うので、先生方によりけりですね。
看板のデザインのポイントについて
高額な治療…例えば歯科のインプラントなどの場合は、先生自身のお顔を看板にしているケースが多いですね。そのほうが患者さんに安心感を与えられると言いますか。
かける値段相応の安心や納得感がないといけませんから、その点で「この先生になら任せてもいいかな」と思ってもらうためにも、お顔を出されるケースが多いです。
チラシ・看板の今後、未来について
確かに近年、オンライン診療などのニーズの増加もあり、中には「チラシはいいかな…」と考える先生方もいらっしゃいます。
ただ、チラシが必要かどうか?については、内覧会をやるかどうかでも違うと思います。
ただし、内覧会をやる場合は、チラシで告知をしないと集客ができないものだと思います。
内覧会自体は1回しかできないものですし、チラシを撒く機会もほとんどのクリニックはその1回のみです。特に年配の方をメインの患者層にしていたり、郊外で開業したりする場合には、内覧会をしたほうがいいと思いますし、チラシも撒いたほうがいいかなと思います。
看板については、どうしても「店構え」として必要なところはあるかとは思います。でも、そこまでお金を最初かけなくてもいいのかな、と個人的には思います。
もし気になるようであれば、経営が安定してある程度の利益が出てきてからでもいいのかなと思います。
いずれにしても、場所やニーズ次第では、今後もチラシや看板は有効な集患の1つだと思います。
ーーありがとうございました。
取材協力: 株式会社ディーエー印刷 川﨑 英生 様
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年7月時点の情報を元に作成しています。
取材協力 株式会社 ディーエー印刷 | 代表取締役 川﨑 英生
1966(昭和41)年、広島県生まれ。
1989(平成元)年、大学卒業後に印刷会社に入社。
2013(平成25)年、株式会社ディーエー印刷を設立。35年間印刷業に携わっている。
近年では、クリニック様の開院に携わり、開院に先駆け看板制作・チラシの制作や配布の提案・内覧会のサポートを行っている。
デジタル全盛のこの時代だからこそ「デジタルとアナログと人々が融合」による相乗効果を会社理念としている。
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執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
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