オンライン診療における処方箋の取り扱い方法は?

対面診療の場合、誰もがご存知の通り、処方箋は診療後に患者に直接渡します。では、オンライン診療の場合、処方箋はどのように発行されて、患者は薬をどうやって受け取るのでしょうか? 詳しく解説していきます。

目次
  1. オンライン診療後、患者が薬を受け取る方法は?
    1. 院内処方をベースとする方法
    2. 院外処方をベースとする方法
  2. 【医療機関向け】オンライン診療後に発行する処方箋の取り扱いにおける注意点は?
    1. 処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載することが必要
    2. 診療ガイドラインを十分に参照することが必要
    3. 麻薬および向精神薬の取り扱いの制限
    4. 8日以上の処方が禁止されている
  3. 【薬局向け】オンライン診療後に発行される処方箋の取り扱いにおける注意点は?
  4. オンライン診療のニーズは今後ますます高まる見込み

オンライン診療後、患者が薬を受け取る方法は?

オンライン診療後、患者が薬を受け取る方法は大きく2つにわけられます。

院内処方をベースとする方法

ひとつは、院内処方をベースとする方法で、診察から処方まで院内でおこなうことになりますが、対面診療後の院内処方と異なる点としては、処方した薬をクリニックから患者宛てに配送しなくてはならない点です。

流れとしては、オンライン診療が終わった後に、院内薬局の薬剤師がオンライン服薬指導を行い、院内薬局から患者宛てに配送するということになります。

院外処方をベースとする方法

もうひとつは院外処方をベースとする方法です。この方法は、オンライン診療をおこなって処方箋を発行するまではクリニックの役割となり、処方箋をもとに患者に薬を出すのは薬局の役割となります。

この方法の場合、患者が薬剤を受け取る方法は2パターンに分けられます。

ひとつは、患者が薬局に出向き、薬局で薬剤を受け取るという方法です。そしてもうひとつは、薬局から患者宛てに薬剤を配送するという方法です。いずれの場合も、医師は診察を終えた後、患者が希望する薬局宛てにFAXやメールで処方箋“情報”を送ります。FAXやメールで処方箋“情報”を受け取った薬局は、患者が処方箋を持参したときと同様に、処方箋をもとに薬を用意して患者に処方します。また、処方箋の原本は、別途、郵送で薬局に送る必要があります。

ちなみに、厚生労働省医薬局に確認したところ、医師が患者宛てに処方箋の原本を送り、患者が薬局まで処方箋を持参してオンライン服薬指導を申し込むのもOKとのことですが、薬局まで処方箋を持参した場合はそのまま対面服薬指導を受けたほうが手っ取り早いので、このようなケースはほとんどないでしょう。

【医療機関向け】オンライン診療後に発行する処方箋の取り扱いにおける注意点は?

続いては、オンライン診療後に発行する処方箋の取り扱いにおける注意点を説明します。

処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載することが必要

令和4年9月30日に交付および施工された「オンライン服薬指導の実施要領について」には、オンライン診療後に処方箋を発行する際の注意点が以下のように記されています。

【医療機関における処方箋の取扱いについて】

患者がオンライン服薬指導を希望する場合は、処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載して、当該患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ、eメールなどにより処方箋情報を送付すること。その際、医師は診療録に送付先の薬局を記載すること。また、医療機関は、対面診療およびオンライン診療のいずれの場合にも患者に処方箋原本を渡さずに、処方箋情報を送付した薬局に当該処方箋原本を送付すること。
なお、対面診療やオンライン診療の実施後、薬剤師の判断もしくは患者の希望によりオンライン服薬指導から対面での服薬指導に切り替えた場合またはオンライン診療のために患者に対して処方箋を即時に手交できず、その後対面の服薬指導をおこなう場合も、本取扱いが可能であること

参照:厚生労働省「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」の改定について

説明の通り、処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載することを忘れないようにしましょう。

診療ガイドラインを十分に参照することが必要

オンライン診療をおこなうにあたっては、関係学会が定めている「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」などの診療ガイドラインを入念にチェックして慎重に処方することが求められます。

オンライン診療で初診をおこなうのがふさわしくないとされる主な症状は下記の通りです。

呼吸器系 ・急性または亜急性に生じた呼吸困難や息苦しさ、安静時の呼吸困難
・喀血や多量の血痰
・急性の激しい咳嗽
・喘鳴
・急性または亜急性に生じた嗄声
循環器系 ・強い、あるいは悪化する胸痛や胸部圧迫感
・突然の動悸
・何らかの症状を伴う血圧上昇
消化器系 ・強い腹痛
・悪心や嘔吐
・吐血
・血便・下血
腎尿路系 発熱を伴う腰痛や排便障害、下肢の症状を伴う腰痛
その他 強い疼痛

そのほか、糖尿病や心疾患などの既往歴や、高齢などの悪化因子がある患者に対してのオンライン診療は理想的ではないとされています。

麻薬および向精神薬の取り扱いの制限

厚生労働省が公表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、オンライン診療の初診では、麻薬および向精神薬の処方はおこなわないようにと呼びかけられています。また、日本医学会連合が公表している「オンライン診療の初診での投与について⼗分な検討が必要な薬剤」では、初診の処方において麻薬や向精神薬、ほかにもハイリスク剤として扱われる抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤の処方について、柔軟な対応は必要であるものの、原則控えるべきとされています。

参照:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」

参照:日本医学会連合 オンライン診療の初診に関する提言

8日以上の処方が禁止されている

厚生労働省が公表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」には、基礎疾患などの情報を把握しきれていない患者に対しては、8日以上の処方を禁止する旨も記されています。

これはなぜかというと一度に大量の処方をおこなうことで、違法に転売されてしまうことや、高齢者や精神疾患の患者の多受診による重複処方がもととなる過剰摂取などを防ぐためです。

【薬局向け】オンライン診療後に発行される処方箋の取り扱いにおける注意点は?

オンライン診療に伴う処方箋発行に関しての取扱注意点は、薬局側に対しても注意喚起されています。

【薬局における処方箋の取扱いについて】

医療機関から処方箋情報の送付を受けた薬局は、医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ、メールなどにより送付された処方箋を薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 23 条から第 27 条までおよび医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保などに関する法律(昭和 35 年法律第145 号)第 49 条における処方箋とみなして調剤等をおこなうこと。薬局は、医療機関から処方箋原本を入手して、以前にファクシミリ、メールなどで送付された処方箋情報とともに保管すること

参照:厚生労働省「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」の改定について

つまり、処方箋が送られてきた薬局側は、その処方箋を元に薬剤を処方することに加えて、処方後に、処方箋を保管しておくことも忘れてはならないということです。

オンライン診療のニーズは今後ますます高まる見込み

少子高齢化が進んでいる昨今、オンライン診療のニーズはますます高まっています。しかも、コロナ禍を通してオンライン診療の整備が進んだことで、オンライン診療を導入するクリニックも増えています。今はまだ開業していないという人も、この波に乗り遅れないよう、開業した暁にはよきタイミングでオンライン診療を導入できるよう、ノウハウを知っておくことはとても大切。処方箋の正しい取扱いについても今のうちに知っておくことで、いざというときにタイミングを逃さないようにしてくださいね。

参照:オンライン診療のオプションも無料で使える! 電子カルテCLIUS

参照:「オンライン診療」概要ブック ※お申込みフォームにご入力いただくとWPをDLできます

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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、