
薬の用法や用量などに関して、薬剤師が患者に指導をおこなう「服薬指導」。これをオンライン上でおこなうことを「オンライン服薬指導」といいますが、オンライン服薬をおこなうためにはどんな準備が必要なのでしょうか? また、「オンライン服薬指導システム」を導入すればどんなことができるのでしょうか? 詳しくみていきましょう。
- オンライン服薬指導の流れは?
- オンライン服薬指導に必要なものは?
- 「オンライン服薬指導システム」を導入するとどんなことができる?
- オンライン服薬指導システム8選
- 経営データの見える化やLINEでの患者フォローがうれしい「Musubi(ムスビ)」
- 友だち登録者数80万人超えの調剤薬局向けLINE公式アカウント「つながる薬局」
- オンライン診療や服薬フォローアップなど機能充実「Pharms(ファームス)」
- 自薬局専用アプリとして患者の“かかりつけ化”を実現する「kakari(かかり)」
- 薬局ではなくクリニック向けだからわかりやすい! 「SOKUYAKU For クリニック版」
- EPARK会員数4,300万人、加盟薬局店20,000店舗「くすりの窓口オンライン服薬指導」
- 定期的な訪問で導入後も手厚くサポートしてくれる「CARADAオンライン診療」
- アプリ不要で簡単に利用できる「curon(クロン)お薬サポート」
- 患者にとってのメリットも考えてシステムを選ぼう
オンライン服薬指導の流れは?
まずは、オンライン服薬指導の流れを説明します。
自院を受診した患者がオンライン服薬指導を希望した場合、オンライン服薬指導を受けたい薬局を確認する
対面またはオンラインで、患者が医療機関を受診します。この際、患者からオンライン服薬指導を希望する旨を伝えられたら、医師は患者の希望する薬局を確認します。
オンライン服薬指導を受けるには、希望する薬局がオンライン服薬指導を導入していること、患者がそのシステムを利用する方法を心得ていることも必須です。オンライン服薬指導システムは薬局によって異なり、LINEや専用アプリなどでオンライン服薬指導を受ける日時を予約する必要があるので、システムを登録しているかどうか、支払い用のクレジットカードを登録済であるかなども念のため確認しましょう。
患者に、処方箋発行から4日以内にオンライン服薬指導を受けるよう伝える
オンライン服薬指導は、通常の服薬指導同様、処方箋発行日を含めて4日以内に受ける必要があります。そのことを知らない患者も多いので、期日を過ぎて患者が再び受診しなければならないといった事態を避けるためにも、処方箋の有効期限について患者に伝えてあげると親切です。
処方箋の原本を薬局に送付
診察が終わったら、処方箋情報をファックスやメールで速やかに薬局に送付します。また、オンライン服薬指導に間に合う必要はありませんが、原本も薬局に送付する必要があります。受け取った薬局には、先に送付されたデータとともに原本も保管することが義務付けられています。
また、クリニックが院内処方をおこなっている場合は、診察完了後に原本を速やかに院内薬局に提出します。
オンライン服薬指導
薬局でオンライン服薬指導をおこないます。
決済および薬の送付・受け取り
オンライン服薬指導が完了したら、患者は決済をおこない、薬の到着を待ちます。院外薬局の場合、オンライン服薬指導後の決済や薬の配送はクリニックの関与するところではありませんが、院内薬局の場合は、配送まで含めてすべてクリニックの業務となります。
オンライン服薬指導に必要なものは?
続いて、オンライン服薬指導をおこなうためには、何を準備する必要があるのかをみていきます。オンライン服薬指導をおこなうために必要な準備は、主に下記の3つです。
ビデオチャット機能がついたシステムやツールの導入
オンライン服薬指導をおこなうために、ビデオチャット機能がついたシステムまたはツールが不可欠です。コロナ禍で院内感染防止対策のために非常時のオンライン診療・服薬指導のニーズが高まったことを受け、2020年4月には、厚生労働省より「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」が交付され、電話での服薬指導が特例として認められていましたが、この特例措置は2023年7月31日をもって終了となっています。
参照:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」
薬剤師に必要な知識および技能の確保
オンライン服薬指導をおこなうにあたって、薬剤師は、薬学的知識に加えて、情報通信機器の使用や情報セキュリティなどに関する知識を身に着けることが必要です。
参照:厚生労働省「オンライン服薬指導の実施要領について」p.3より一部抜粋
患者への周知
オンライン服薬指導を開始しても、そのことを患者が知らなければ利用されることがありません。そのため、オンライン服薬指導を開始する旨をホームページに掲載するなどして患者に周知する必要があります。オンライン服薬指導を開始する旨とあわせて、下記についても明記しておきましょう。
「オンライン服薬指導システム」を導入するとどんなことができる?
続いては、事前に必要な準備のひとつめに挙げた「ビデオチャット機能がついたシステムやツール」について詳しくみていきます。
「ビデオチャット機能がついたシステムやツール」には、オンライン服薬指導専用のものもあれば、ZOOMやgoogle meetなどの誰でも無料で利用できるものもあります。ただし、前者はビデオチャット機能以外のさまざまな機能を有しているのに対して、後者はビデオチャット機能のみしか有していません。
オンライン服薬指導専用のシステムは、下記の機能を搭載しています。
予約機能
患者から予約を受け付けたら、ビデオ通話の日時を設定する機能です。患者に対して、ビデオ通話のURLや開始日時、メッセージなどを送信します。
ビデオチャット機能
ビデオチャット機能を利用するために、患者に専用アプリをインストールしてもらう必要があるものもあります。
クレジット決済機能
オンライン服薬指導を受けた患者が、オンライン上で会計するための機能です。
宛名印刷機能・配送機能
患者への薬剤の配送および宛名印刷も、専用システムを使えば手間いらずです。運送会社のクラウドサービスと連携することによって、これらが可能となっています。
【サポート機能】
そのほか、服薬指導前に患者にオンライン上で記入してもらうことで事前に患者の状態を把握できる「オンライン問診」、薬の重複や相互作用を考えて処方するために活用できる「電子お薬手帳機能」「薬歴共有機能」、処方薬を服薬中の患者にメッセージや質問を送れる「服薬フォローアップ機能」、SOAP形式で薬歴入力をサポートする「薬歴入力支援機能」などが使えるものもあります。
オンライン服薬指導システム8選
続いては、現在主に使われているオンライン服薬指導システムを紹介します。
経営データの見える化やLINEでの患者フォローがうれしい「Musubi(ムスビ)」
経営に必要な情報をタイムリーに可視化できたり、LINEで患者をフォローできたりといった便利な機能が満載。服薬期間中のフォローはもちろん、LINEでの処方箋送信や薬歴連携もおこなえるので、患者にとってもメリットが大きいシステムであるといえます。また、AIによる需要予測を駆使して、在庫管理の精度を高めることができます。
友だち登録者数80万人超えの調剤薬局向けLINE公式アカウント「つながる薬局」
ビデオチャットやクレジット決済などすべてLINEを介して完結できるのが大きな特徴。患者が薬について相談したいときももちろんLINEを使うことができるので、LINEを使い慣れている患者になじみやすいといえるでしょう。患者の個人情報は、サービス提供会社が管理する国内サーバーで保管されるため、セキュリティ対策も万全です。
オンライン診療や服薬フォローアップなど機能充実「Pharms(ファームス)」
オンライン問診、電子お薬手帳機能、服薬フォローアップ機能のほか、受付業務をサポートする受付管理機能、電話通知機能などさまざまな機能が搭載されています。クラウドサービスに関する国際的な情報セキュリティ認証であるISMSクラウドセキュリティ認証「ISO/IEC 27017:2015」、ISMS認証「ISO/IEC 27001:2013」取得済で、セキュリティ面に関しても文句なしです。
自薬局専用アプリとして患者の“かかりつけ化”を実現する「kakari(かかり)」
薬局検索機能を敢えて搭載しないことで、患者の“かかりつけ化”を目指しているのが特徴。クリニックの院内薬局での服薬指導に活用するのにもぴったりです。健康相談会や子ども薬剤師体験会など、地域の住民に寄り添ったかかりつけ薬局になるうえで大切なイベントを効率よく告知できるよう、登録者に一斉にメッセージを送る機能なども有しているので、オンライン服薬指導の導入を機に再来患者を増やしていきたい、定着させていきたいと考えているクリニックには向いているでしょう。
薬局ではなくクリニック向けだからわかりやすい! 「SOKUYAKU For クリニック版」
診療予約からオンライン問診、オンライン診療、オンライン服薬指導、決済までをワンストップで提供してくれます。オンライン問診やオンライン診療もこれひとつでおこなえるため、さまざまなシステムを個別に導入する必要がありません。
参照:ジェイフロンティア株式会社「SOKUYAKU For クリニック版」
EPARK会員数4,300万人、加盟薬局店20,000店舗「くすりの窓口オンライン服薬指導」
「EPARKくすりの窓口」の運営会社が提供しているオンライン服薬指導システムで、日時予約からオンライン服薬指導、決済、配送までのフローに対応した極めてシンプルなシステムです。ビデオチャットの画面上に処方箋なども表示した状態で服薬指導をおこなうことができます。
参照:株式会社くすりの窓口「くすりの窓口オンライン服薬指導」
定期的な訪問で導入後も手厚くサポートしてくれる「CARADAオンライン診療」
シンプルな操作性、手厚いサポートがうれしい「CARADAオンライン診療」。クラウド型電子カルテや薬歴システムなどの衣装システムとの連携も予定されているので、これから導入を考えているなら、連携可能なシステムを確認してから導入するのがよさそうです。LRM株式会社発行の『3省3ガイドライン準拠証明書』取得、ISMS認証(ISO27001)取得でセキュリティ対策は万全。
アプリ不要で簡単に利用できる「curon(クロン)お薬サポート」
患者はスマホとクレジットカードさえあれば、アプリなしで簡単に利用できます。患者の電話番号にショートメッセージを送信して、簡単に利用登録できる「患者管理機能」、月ごとの患者一覧、決済総額などを一覧化したレポートを閲覧・ダウンロードできる「月次レポート機能」、「FAX処方箋受診」、「事前質問票」などの多彩な機能搭載。
参照:株式会社MICIN「curon(クロン)お薬サポート」
患者にとってのメリットも考えてシステムを選ぼう
オンライン服薬指導システムを選ぶ際は、初期費用・月額利用料、機能、サポートの充実度などさまざまな要素をもとに比較検討するものですが、その際、「患者にとって使いやすいのはどのシステムであるか」も考えるのがおすすめです。専用アプリのインストールが必要なのかそうでないのか、操作方法が簡単であるのかなどをチェックして、患者が無理なく使えるシステムを選べば、患者満足度が上がることも期待できますよ!
参照:オンライン診療のオプションも無料で使える! 電子カルテCLIUS
「オンライン診療」概要ブック ※お申込みフォームにご入力いただくとWPをDLできます
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年12月時点の情報を元に作成しています。