どんな仕事でもそうですが、職場に恵まれなければ辞めたくなって当然です。とはいえ、辞めたい気持ちがあってもなかなか踏ん切りをつけられない人も多いでしょう。
しかし、ストレスを抱えたまま働き続けて心身を壊してからでは遅いですし、辞めることで新たな道が開けてくることだってたくさんあります。
では、先輩医師たちはどんなことがあったときに仕事を辞めたいと感じ、実際に辞めているのでしょうか?今回は、ターゲットを精神科医に絞ってみていきます。
「医師を辞めたい」と思ったことのある医師は多い
『株式会社メディウェル』が2019年に現役医師に対して実施したアンケートの結果、半数以上の医師が「医師を辞めたい」と思ったことがあることがわかっています。
【Q:これまでに「医師を辞めたい」と思ったことはありますか?】
よくある | 15.6% |
時々ある | 19.4% |
ごくたまにある | 23.6% |
思ったことはほとんどない | 41.4% |
また、「よくある」「時々ある」「よくたまにある」の選択肢を選んだ医師にその理由を尋ねた結果、上位にランクインした理由は以下の通りです。
1位 | 休日・プライベートの時間が少ない |
2位 | 長時間労働である |
3位 | 身体的・精神的不調 |
4位 | 当直・オンコールが多い |
4位 | 患者や患者家族との人間関係が辛い |
5位 | 家庭と仕事の両立が難しい |
6位 | 職場の人間関係が辛い |
7位 | 業務量や勤務時間に対して収入が少なすぎる |
ランクインした理由のうち、1位の「休日・プライベートの時間が少ない」や2位の「長時間労働である」は、医師の働き方改革によって今後改善されていく可能性は高いといえますが、人間関係や給料に起因するストレスを感じている場合は、環境を変えることが大きな改善策となり得るでしょう。
精神科医が「辞めたい」と思う原因とは?
続いては、上記アンケート結果も視野に入れながら、精神科医が「医師を辞めたい」と思うきっかけとしてはどんなことが考えられるのかを考察していきましょう。
患者や患者家族とのトラブルが多い
大阪府の精神科クリニックに通っていた患者が起こした放火殺人事件は記憶に新しいですし、事件性のないレベルのトラブルであれば多くの精神科医が経験しているのではないでしょうか。たとえば、認知症の患者や妄想の症状がある患者も診療しているなら、「言った・言わない」で患者が激昂してくることなどもあり得ます。
もちろん、精神科医はそうした症状のある患者を診る仕事ですし、それを承知のうえで精神科医を目指しているわけですが、勤務先のサポート状況によっては、日々、一人で闘っているように感じられてもおかしくありません。
業務内容に給料が見合わない
患者および患者家族とのトラブルをはじめ、精神科医ならではの辛い側面があったとしても、それに見合う給料をもらっていれば、「しんどいこともあるけどがんばろう!」と思えるケースがあります。
しかし、どれだけがんばっても数字として評価されないとなると、「これ以上は続けられない」と感じて当然です。
患者からの訴訟・患者の自殺
患者からの訴訟や患者の自殺も、精神科は他の診療科と比べて多いといえます。患者本人の精神疾患が原因のこともあれば、患者の家庭環境や職場・学校での人間関係に悩んでいたことから、医療の力では救いきれなかったということだって十分あり得ます。
しかしそうとはわかっていても、責任を問われて訴訟を起こされるなどした暁には医師だって参ってしまいますし、そうした場合にしっかりとサポートしてくれる職場でなければ、状況に耐え切れずに医師自身が心を病んでしまうことだって考えられます。
精神科医が転職活動時にチェックすべきポイントは?
「医師を辞めたい」と思ったときにとるべき行動としては、「休業する」という選択肢もありますが、生きていくためには無期限で休業するわけにはいきません。では、おすすめの方法はというと、転職または独立開業することで環境を変えることです。
ただし、独立開業するとなると開業資金も必要となりますし、準備にそれなりに時間がかかります。そのため、将来的に開業を希望しているとしても、一度転職して、しっかりと準備に時間をとってからのほうがうまくいきやすいといえるでしょう。
そこで続いては、「医師を辞めたい」と考えている精神科医は、どんな職場に転職すれば、再び働く意欲が感じられやすいかを考察していきましょう。
年収がアップするかどうか
シンプルな条件として、まずは年収アップが挙げられます。仕事の大変さは変わらないとしても、もらえる給料の額が増えれば、それだけでモチベーションを高く保てる可能性は高いです。
福利厚生が充実している
給与の額ばかりを重視していると、福利厚生について見落としがちですが、気持ちよく働くためには福利厚生が充実していることが必須です。特に、心身ともに疲れていて、「仕事を辞めたい」「休みたい」と感じているときであれば、休業制度が整っていることのありがたさはよくわかるはずです。
心理士が一定数勤務している
心理士が複数名勤務している病院であれば、そのぶん精神科医の負担が少なくなります。
ワークライフバランスを保てるか
週4日勤務可能な病院を選べば、ワークライフバランスを保ちやすいのが大きなメリットです。そのほか、当直回数の相談に応じてくれるところなどもあります。子育て中であれば、当直免除可能かどうかなども確認するといいでしょう。また、なかには完全オンライン診療で募集している病院もあります。
認知症患者をメインターゲットとしている
高齢の認知症患者がメインターゲットの病院であれば、比較的ゆったりした気持ちで勤務を続けやすいといえるでしょう。高齢の認知症患者が多い場合は、終末期の患者は内科医が対応しているのかなども確認しましょう。
大学派閥がない
大学派閥・学閥がないこと、特定の大学との強いつながりがないことを募集要項などで公言している病院は、人間関係のトラブルが起きにくいと考えられます。
外来は完全予約制である
一日のスケジュールを予め把握して仕事できるというだけでも、ストレスが減る場合があります。
まずはどんな募集があるのか確認してみよう!
今すぐ転職活動を始めるかどうかはさておき、他院は実際にどんな条件で精神科医を募集しているのかを確認してみることはとても大きなメリットをもたらしてくれます。
「これだけ好条件で働かせてもらえるなら、いつだって転職すればいい」と思える可能性が高いので、気持ちの立て直しにもつながるのではないでしょうか。
特徴
対応業務
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診療科目
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この記事は、2024年2月時点の情報を元に作成しています。