クリニックスタッフが辞めないよう、労務で工夫すべきことは?

人手が少ない医療業界においては、スタッフの急な離職は死活問題です。では、スタッフができるだけ辞めることのないよう、クリニックが労務においてとれる対策としてはどんなことが考えられるのでしょうか? 早速みていきます。

目次
  1. 労務とは
  2. 就業規則作成
  3. 福利厚生
  4. 社会保険の手続き
  5. 給与計算
  6. 勤怠管理
  7. 安全衛生管理
  8. 労使関係管理(=労使間のトラブル防止、トラブル対応など)
  9. 労務について正しく理解することが大切

労務とは

労務とは、企業における労働に付随する関連業務全般を指します。具体的には、勤務時間の管理や給与計算、保険の手続きをはじめ、従業員のサポートを行います。

つまり、スタッフ一人ひとりが働きやすいようにしっかりとサポートすることこそ、労務において大事にすべきことで、サポートが手厚ければ手厚いほど、スタッフの離職率が低くなるとも考えられます。

続いては、具体的にどんな点を考慮しながらサポートしていくことが理想的であるのかをみていきます。

就業規則作成

まず、開業時のスタッフ募集の段階で完成していることが理想的なのは就業規則です。労働基準法第89条によって、常時10人以上の労働者を使用している事業所では、就業規則では以下の項目について必ず定める必要があるとされています。

  1. 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、終業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算および支払方法、賃金の締切および支払時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項

従業員が10人に満たないクリニックなどでは就業規則作成は義務ではありません。ただし、就業規則を作成しておけば、スタッフ採用時に、応募者からの就業に関する質問に的確に答えるため、応募者から「きちんとしているクリニックだ」とい思われやすいほか、以下のメリットも得られます。

  • 助成金の対象となるケースが多い
  • 社内秩序を維持しやすい
  • 労使間のトラブル防止になる

就業規定作成後は、労働基準監督署へ届け出る必要があります。ただし、一度届け出たら改正できないということはなく、経営状況によっては変更せざるを得ないことがありますし、そのほか、法改正時などにも変更が必要になることがあります。

ちなみに、経営状況悪化などにより給与を減額する場合などは、スタッフにとって不利益な変更となるため、全従業員の合意をとることが必要です。また、就業規則の作成・変更後は、書面やコミュニケーションツールなどで全員に通知すると同時に、院内において、スタッフの目につきやすい箇所に変更内容を掲示することも必要です。

福利厚生

福利厚生は、スタッフとその家族を対象とした、生活福祉向上策の総称です。

法律で加入や費用負担が義務付けられた「法定福利」と、法的義務のない「法定外福利」にわけられ、前者には社会保険や雇用保険、後者には住宅手当や慶弔時の見舞金などが該当します。また、スタッフのスキルアップを目的に、講演会やセミナーなどへの参加費用を法定外福利に取り入れているクリニックもあります。

福利厚生が充実していると、求職者から応募されやすくなるだけでなく、離職率を下げることや、モチベーションの維持・向上も期待できます。また、その結果としてクリニックの維持成長にもつながっていきます。

つまり、開業時のスタッフ募集の段階で内容を確定させておく必要がありますが、定期的に見直しして改善することも大切です。

社会保険の手続き

スタッフおよびその家族の生活をサポートするために、社会保険、労働保険に加入することが必要です。万が一、保険の手続きに不備があると、スタッフが病気やケガをしたときなどに不利益を被ることになり、離職の原因ともなり得ます。

加入すべき社会保険は以下の通りです。

  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険(40歳以上)

給与計算

給与計算時には、働いた日数・時間のほか、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税なども計算する必要があるほか、各種手当や控除項目の算出もおこないます。

給与計算において、スタッフの離職を防ぐために意識すべきことは、当たり前ですが「計算ミスをしないこと」「支給遅れとならないこと」です。

意図せず支給が遅れてしまうことなどもあるかもしれませんが、支払われるべき日に支払われるはずの金額が支払われなかったとなると、スタッフにとってはかなり大きなストレスになってしまいます。また、支給遅れがたびたびあるようでは、離職を視野に入れられて当然です。

勤怠管理

スタッフの出退勤時刻や休憩時間、時間外労働などを正確に把握して、さらに有給休暇や休日出勤の管理も行うのが勤怠管理です。

勤怠管理において、スタッフの離職を防ぐために大切にすべきことは、過重労働などのリスクが発生していないかをきちんと確認することです。

また、法定労働時間を超えてはいない場合でも、スタッフから、健康面に不安があるなどの理由で労働時間を短くしてほしい申し出などがあった場合は、クリニックとスタッフとで話し合いの機会を持つなどして、ベストな対処法を考えていきたいものです。

安全衛生管理

労働安全衛生法に基づき、スタッフの健康面・精神面の衛生管理を実施することはとても大切です。年1回以上の健康診断を行い、結果の記録や従業員への通知、必要なスタッフへの保健指導などを行います。

また、メンタルヘルスの状態を確認するために、定期的にストレスチェックを行うことも検討するといいでしょう。ストレスチェックは、webで提供されているストレスチェックテストなどでも可能ですが、より正確な結果を求めるのであれば、外部の業者に委託してもいいかもしれません。

スタッフが心身ともに健康でなければ長く働き続けてもらうことはできないので、万が一、過労が原因で心身に異常をきたしていることなどがわかった場合は、改善方法についても考える必要があります。

労使関係管理(=労使間のトラブル防止、トラブル対応など)

スタッフ一人ひとりが働きやすいよう、勤務条件や福利厚生に気を配っていても、絶対にトラブルが起きないわけではありません。ある日突然、クリニックに対しての不満が爆発して、離職届が出されることもあれば、最悪、労働基準監督署に駆け込まれることもあるので、労使間のトラブルは未然に防ぐのが一番です。

どうすればスタッフとのトラブルを未然に防ぐことができるかというと、まずは、スタッフ一人ひとりの意見や考えに耳を傾けることです。院長とスタッフが直接話せる1on1を定期的に設けることや、オンラインで気軽に話せるコミュニケーションツールを導入しておくことなども一手です。

スタッフから意見や要望があがった場合は、それに応えるにしろそうでないにしろ、まずは一度、スタッフがどう考えていて、どうしてほしいと思っているのかをしっかりと傾聴します。そこから、お互いが納得いくまで話し合いを重ねることが大切です。

万が一、折り合いがつかず退職を申し出られた場合も、最後まで揉めることのないよう、退職金などの条件を一緒に確認していきましょう。

労務について正しく理解することが大切

勤務医時代は、医師の業務は基本的に「患者の診察・診療」がほとんどなので、経営や労務について詳しく学ぶことは少ないでしょう。

しかし、開業医となった暁には、経営者としてクリニックを成長させていくことや、スタッフが働きやすい環境をつくっていくこともしっかりと考えていかなければなりません。それを踏まえて、まずは労務についての知識を深めることを意識してみてくださいね!

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内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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