転職活動を成功させる第一歩が、魅力的な履歴書および職務経歴書作りです。「履歴書や職務経歴書なんて書くことが決まっているんだから、あがいたって無駄」と思う人もいるかもしれません。
しかし実際のところ、面談の前段階においての、求職者の人柄や熱意の判断材料は履歴書と職務経歴書しかないので、募集先はこれらの応募書類にしっかり目を通していますし、実際に応募書類から読み取れることは多いものです。
では、少しでも魅力的な応募書類に仕上げるには、どんな点を工夫すればいいのでしょうか? 詳しく解説していきます。
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「志望動機」と「自己PR」はどう書き分けるか?
一般的に、志望動機は履歴書、自己PRは職務経歴書に記します。
志望動機は「志望動機欄」に記入して、自己PRは、職務経歴書の職務経歴欄の下に、これまでに身に着けた知識・技術・経験、資格に続けて記入します。
志望動機に書くべき内容についてはこのあと詳しく解説しますが、「転職を希望している理由」「その職場で働きたい理由」を具体的に記します。
自己PRのポイントについても詳しくは後述しますが、「自分の長所や強み」「その長所や強みを転職先でどう活かしたいか」を端的にまとめることが必要です。
この2つを見比べたとき、「その職場で働きたい理由」が「長所を活かして働けるため」「長所にさらに磨きをかけられる職場だと考えられる」などの場合、志望動機と自己PRの内容が多少なりとも被ることになります。そのこと自体には問題はありませんが、まったく同じ内容になってしまうと、せっかく“自分らしさ”を伝えられる欄が2つあるのに、それを有効活用できていないことになります。
そのため、たとえば「自分にどんな強みがあるのかは自己PR欄に落とし込み、その強みをどんなふうに活かして、どんなチャレンジをしたいのか、どんなふうに職場の役に立ちたいのかを志望動機欄に書く」など工夫するといいでしょう。
志望動機を書くときの5つのポイントは?
まずは、志望動機を書く際に気を付けるべき5つのポイントを説明します。
①転職を希望している理由を「ポジティブに」説明する
②応募先の医療機関の情報を本文に盛り込む
③長く働きたいと思っていることをアピールする
④文字数は200~300文字程度におさめる
⑤面接時に口頭でも志望動機を伝えられるよう準備しておく
転職を希望している理由を「ポジティブに」説明する
転職を希望しているということは、現状の職場に不満があるか、もしくは、なんらかの理由で今まで通りの働き方ができないということでしょう。
いずれの場合も、理由をストレートに伝えるだけでは、「不満を感じるとすぐに転職する傾向にある人なのかもしれない」「採用してもすぐまた働けなくなるかもしれない」と思われる可能性が非常に高いです。
それを避けるために、転職を希望している理由を「ポジティブに」説明することはとても大切です。
たとえば、仕事内容に不満があったとして、「これまでの経験を活かして新しい環境で成長したいと考えています」など、ポジティブな言葉に言い換えることはできます。
応募先の医療機関の情報を本文に盛り込む
「なぜその医療機関で働きたいと思ったか」を記すことは必須ですが、「条件がよかったから」では、「自院に魅力を感じてくれているわけではないのだな」と思われてしまいます。
一方、志望先の理念や方針にしっかり目を通し、「こういうところに惹かれました」を盛り込んでおけば、「自院についてきちんと調べてくれたのだな」と好印象を持たれやすいです。
長く働きたいと思っていることをアピールする
働いてくれる人を募集している側は基本的にどこも、「できるだけ長く働いてほしい」と思っています。なぜかというと、すぐに辞められて、また採用活動を繰り返さなければならないとなると、時間的にも金銭的にも負担がかかるからです。
そのため、長く働きたいと思っていることをアピールすると、採用側に選ばれやすくなります。
逆に言うと、無意識であっても、志望先を「看護師としての目標を達成するための通過点」ととらえた表現を使うと敬遠されます。
たとえば、将来の大きな目標を掲げ、「そのためにいろんな現場で経験を積みたい」などと記すと、「ひとつの経験の場ととらえているということは、短期間で辞められるのでは?」と思われる可能性があります。
そう思われることを避けるためにも、長く働きたい意思を具体的な文章にして志望動機欄に落とし込むといいでしょう。
たとえば、「前職場は異動が多く、一つの診療科にじっくりと腰を据えて患者と向き合えないことにジレンマを感じていましたが、御社であれば、患者一人ひとりと時間をかけて信頼関係を築いていけると考えております」などが考えられます。
文字数は200~300文字程度におさめる
志望動機の適切な文字数は200~300文字といわれています。
必要な要素をすべて盛り込もうとするとどうしても長くなりがちですが、長過ぎると、読む側にとっては負担となります。しかも、履歴書の志望動機欄はそこまで大きいわけではないので、枠内に長文を入れ込もうとすると必然的に文字が小さくなります。
採用側が老眼の可能性を考えると、目を通してもらえない場合もあるでしょう。
面接時に口頭でも志望動機を伝えられるよう準備しておく
志望動機は、履歴書に書いていても、面接で再度聞かれることが多いです。
その際、履歴書に書いた文章をまるっとそのまま暗記して答えると、先方からは「ただ単に暗記しているだけで、本心をしゃべっているようには思えない」と思われてしまいます。
ネガティブな言い回しを避けることなどを意識しながら、書いた文章を何度か声に出して読むことで、自然なしゃべり言葉として相手に伝えられるようにしておきましょう。
看護師の転職における、パターン別の志望動機例文
続いては、転職理由や転職先などのパターン別に志望動機の例文を紹介していきます。
職場への不満やトラブルが原因の場合、「さらに成長できる環境」を求めての転職であることをアピールする
「看護師として3年働いてきたなかで、看護師としてのスキルをさらに高めて、成長していきたいとの思いが徐々に強くなっていきました。しかし、自分のスキルがどの程度であるのかを客観的な目線を持って判断することは簡単ではありません。
そのため、貴院のスタッフ評価制度には大きな魅力を感じました。また、教育制度に関しても充実していることから、適切な指導を受けながら、着実に成長していける職場であることを確信しています。高いモチベーションを維持して働くことで、地域のみなさんにも貢献できたらと考えています」
前の職場への不満やトラブルに辟易としていたとしても、転職希望先を前の職場と比較して持ち上げるような表現はご法度。シンプルに、転職希望先のいいと思ったところを伝えるメッセージにすることを心がけましょう。
ただし、面接の際には、「その点に関して前の職場では満足していなかったのですか?」と問われる可能性があるので、前の職場に対する批判とならない答え方を考えておきましょう。
出産や育児などのブランクを経て転職する場合、出産・育児の経験を看護に活かしたいことをアピールする
「以前は、○○科に勤務しておりましたが、出産および育児のために4年ほど休職していました。そのため、復職にあたって、ともに働くみなさんにご迷惑をおかけすることのないよう、現在は書籍などで学び直しをしているところです。
復職後は、出産や育児を通して学んだことも活かしながら、患者さまの心に寄り添う看護を心がけていきたいと考えているため、【患者さんの話に真摯に耳を傾けるあたたかい医療を心がけています】という貴院の方針に共感を覚えました」
ブランクのある看護師を雇う側は、「数年ぶりでも問題なく業務につけるだろうか」と懸念することがありますが、「休職期間に得た学びを今後の看護に活かしていきたい」という前向きな気持ちと伝えることで、好感を抱かれやすくなります。
クリニックから病院へ転職する場合、さまざまな症例の患者に対応できるようになりたいことを伝える
「〇〇科クリニックで看護師としての経験を積んできましたが、患者様の疾患が限定的であることから、より幅広い疾患に対応できる知識と技術を身に着けたいとの思いが強くなっていきました。
その点、貴院はさまざまな症例の患者様を受け入れているため、看護師として研鑽を積むことができると確信しています。もちろん、そのぶん厳しい業務になることも覚悟のうえです。
また、地域密着型のクリニックで働いてきた経験もしっかり活かして、患者様の心に寄り添った看護を実践していけたらと考えております」
クリニックから病院へ転職を希望している場合、実際のところ、「小規模な職場ならではの人間関係にうんざり」「もっと稼ぎたい」などの志望理由の場合も多いでしょう。
しかしもちろん、それをそのまま伝えるのはよくありません。では、何と書けばいいかというと、たとえば「さまざまな症例に対応できる」なら志望動機として理にかなっているので、大いに活用するといいでしょう。
病院からクリニックへ転職する場合、患者一人ひとりとじっくり関わりたいことを伝える
「5年間の病院勤務を通して、幅広い看護技術を習得できた経験は私にとって大きな財産となりました。その一方で、一人ひとりの患者様とより深く、じっくりと関わっていきたいという思いが強くなりました。
そしてその実現のためには、地域に根差した診療に取り組んでいる診療所に勤務することが一番だという考えに至りました。
そんな折、貴院の求人およびホームページを拝見して、患者様のことを第一に考えた数々の取り組みに強く惹かれました。同時に、私がこれまで培ってきた経験を活かして、貴院とともに成長していきたいと考えるようになった次第です」
規模の大きな病院から小規模なクリニックへの転職を希望する場合は、地域医療に貢献したい旨を前面に押し出すのが得策です。
また、そのクリニックおよび地域の特色についても調べたうえで、どんな点に魅力を感じているのかも盛り込んでいきたいところです。
病院の機能別に盛り込みたい志望動機とは?
病院の機能によって志望動機を書き分けることも、転職の成功率を高めることにつながります。たとえば、急性期、慢性期、回復期で書き分けるとしたら、次のような例文となります。
急性期
「急性期医療における高度な判断力と技術を身につけたいとの考えから、貴院を志望いたしました。
前職では内科病棟で急変対応や医療処置を担当していましたが、そのなかで、より専門性の高い看護に携わりたいという思いが強くなりました。
貴院は教育体制が整い、多職種連携にも力を入れている点に魅力を感じています。急性期ならではのスピード感と責任をもって、患者様の早期回復に貢献したいと考えております」
「前職で急変対応を経験したことをきっかけに、より専門的に急性期看護に携わりたいと考えるようになりました。
貴院は救急体制が充実しており、幅広い症例を経験できる点に大きな魅力を感じています。急性期ならではの迅速な状況判断やチーム医療を学びながら、患者様の命を守る看護に主体的に取り組みたいと考えています」
慢性期
「患者様一人ひとりとじっくり関わる看護を実践したいという思いから、慢性期看護に興味を持ちました。前職では急性期病棟に勤務しておりましたが、業務に求められるスピードが早く、患者様と向き合える時間が限られることに課題を感じていました。
その点、貴院では生活に寄り添う継続的な看護ができる点に魅力を感じております。患者様の生活の質の向上を目指し、丁寧なケアを提供していきたいと考えています」
「患者様の人生に寄り添う看護に魅力を感じ、慢性期医療に携わりたいと考え志望いたしました。特に、貴院が力を入れている退院支援や在宅復帰支援の取り組みに共感しています。
私自身、前職で高齢者看護を担当していた経験から、慢性疾患と付き合う患者様が安心して生活できるよう、継続的にサポートできる看護を実践したいと考えております」
回復期
「急性期病院で勤務するなかで、患者様が再びその人らしい生活を取り戻すための回復期医療の重要性を感じ、貴院を志望いたしました。
リハビリ専門スタッフと密に連携して、長期的な目標に向かってチームで支援していく貴院の体制に魅力を感じています。患者様の回復過程に寄り添い、意欲を引き出しながら、その方の生活再建に貢献したいと考えております」
「前職の急性期病棟で退院後の患者様の生活に関わる機会が少なかったことから、回復期での継続的な看護に興味を持ちました。
貴院は回復期リハビリテーションの実績が豊富で、患者様の生活機能の改善に向けて長期間関わることができる点に魅力を感じております。患者様の小さな変化を見逃さず、日々の成長を共に喜べる看護を実践したいと考えております」
自己PRに盛り込むべき3つの要素とは?
続いて、自己PRに盛り込むべき3つの要素を説明します。
自己PRは、次の3つの要素に、①②③の順番で触れていくことでうまくまとめることができます。
①自分の長所や強みをしっかり伝える
②自分の長所や強みを活かすことができたエピソードに触れる
③転職先で、自分の長所や強みをどう活かしたいかを述べる
また、前職場が「クリニカルラダー」などの評価制度を導入していて、客観的に評価された数値を示すことができる場合は、①の後に「クリニカルラダーでもこういう評価をいただいています」などと盛り込むことができます。※クリニカルラダーについては後述します。
また、職場がクリニカルラダーを導入していなかった場合に、客観的に自分の評価を示す方法についても後述します。
なお、自己PRの文字数は、志望動機と同程度が妥当だと考えていいでしょう。では、具体的にどのようなことを書けばいいのかを説明します。
自分の長所や強みをしっかり伝える
自己PRにおいて大切なことは、「最初に結論を持ってくること」です。つまり、自分がPRできること=自分の長所や強みを冒頭に持ってきます。
たとえば、「コミュニケーション力の高さには自信があります」「体力には自信があります」など、自分で自分の長所や強みだと自覚していて、なおかつそれに結び付くエピソードを挙げられる長所や強みを伝えます。
自分の長所や強みを活かしたエピソードに触れる
冒頭で挙げた長所や強みに関連するエピソードを1つ、または複数拾い上げます。
たとえば、コミュニケーションスキルの高さをアピールするのであれば、看護師を含めたスタッフ全員のなかでムードメーカー的存在として職場の雰囲気作りに貢献していることや、患者との信頼関係構築を大切にしていることなどを、具体例を挙げながら示すといいでしょう。
転職先で、自分の長所や強みをどう活かしたいかを述べる
これまでの経験や、経験から得た強みなどを活かして、転職志望先にどう貢献していきたいと考えているのかをまとめます。
たとえば、体力や行動力を強みとしていて、転職志望先が訪問看護にも力を入れていこうとしている状況なら、オンコールにも積極的に対応したいと考えていることなどを伝えるのもいいでしょう。
客観的評価の指標となる「クリニカルラダー」とは?
クリニカルラダーとは、臨床の場で必要な看護師の能力を段階的に示したシステムです。1980年代にアメリカで導入が始まり、日本では2016年に「日本看護協会」によって公表されて以降、導入する医療機関が増えつつあります。
また、日本看護協会が公表したクリニカルラダーではなく、クリニックオリジナルの評価制度を導入している医療機関も多いですが、オリジナルの評価制度によって評価された結果に関しても同様に、転職先へのアピール材料として活用できます。
看護師が履歴書・職務経歴書で自分の客観的評価を示す方法は?
クリニカルラダーがない職場で働いていた看護師が、転職時に、自分の評価を客観的に示す方法としては次のような方法が挙げられます。
担当していた患者の重症度・疾患・処置内容を具体的に示す
“どのレベルの患者を看て、どんな処置ができたか” を客観的指標として示すことができます。
例:
受け持ち患者:急性心不全、肺炎、DVT、術後管理(消化器外科・整形外科)など
看取り経験の件数
担当した処置:
- 中心静脈カテーテル管理
- 血糖測定・インスリン調整
- 酸素療法(HFNCの管理など)
- モニタリング(心電図・SPO2・バイタル変動の観察)
これらは「客観的な経験値」として、採用側に伝わりやすいです。
担当できる業務の範囲・習熟度をリスト化する(スキルチェックリスト方式)
この方法は、自分で簡易クリニカルラダーを作成するイメージです。
例(実際の転職でよく使われる項目)
- 採血:独力で可能
- ルート確保:夜勤帯でも対応可能
- 吸引:独力で実施
- 12誘導心電図:読める(基礎レベル)
- 急変対応:ファーストコール経験あり
など
こうしたスキルチェックリストは、見た目にもわかりやすく整理されているため、面接でとても伝わりやすい“客観データ”になります。
実績(数字)を示す
数字は最も客観性が高いです。
例:
- 夜勤回数:月〇回
- 受け持ち人数:日勤平均 6~7名
- 急変対応件数:年間〇件
- リーダー業務:年間〇回
- プリセプター経験:〇名担当
- 新人教育の担当回数:〇回
特に 「リーダー」「プリセプター」「指導者」経験 は、ラダーでいう“中級以上”の裏付けになります。
外部研修・院内研修の受講歴(修了証・受講一覧)をまとめる
学部研修や院内研修の受講歴は、「学習意欲の証拠」として非常に評価されます。
例:
- BLS / ACLS
- 呼吸・循環・救急に関する研修
- 認知症ケア研修
- 退院支援・地域連携研修
- 感染対策研修の受講状況
など
修了証明書があれば、応募書類に添付または記載できます。
上司の評価コメント・師長からの推薦(可能なら)
可能であれば、勤務証明書に「勤務態度・スキル」について一言コメントを記載してもらうのも一手です。
例:
「患者・家族対応が丁寧で、急性期の看護技術も安定している。
プリセプターとして後輩育成に貢献した」などのコメントをもらう
※勤務証明書などを出してもらえない場合、「推薦文」を別紙でもらうこともあります。
具体的なエピソード(STAR法)で能力を説明する
「再現性のあるエピソード」で力量を示す方法 です。
【STAR法】
S(Situation)状況
T(Task)自分の役割
A(Action)行動
R(Result)結果
例:
(S)心不全で呼吸状態が悪化している患者様を担当した際、
(T)早期に呼吸困難の悪化を察知して医師へ即時報告。
(A)酸素投与量の調整と体位管理を実施したことで、
(R)患者様の安定化につながりました。
などと記します。
これは、STAR法を有効に使うことができるということのアピールにもなります。
自己PRのNG事項とは?
自己PRには、盛り込むべきではないこともあります。具体的には下記の4つです。
①具体的なエピソードがなく、証明できないこと
②真実ではないこと
③ネガティブな表現
④自分で考えて行動していないととられる表現
具体的なエピソードがなく、証明できないこと
前述の通り、強みや長所を述べたあとは、それを証明することが必須です。単に、「私はコミュニケーション力が高いです。コミュニケーション力の高さを貴院でも活かして仕事していきたいです」だけだと、本当にコミュニケーション力が高いのかがわからないうえ、自分を客観視できていないととらえられかねません。
真実ではないこと
本当だけど証明できないことだけでなく、本当ではないことももちろんNGです。嘘の自己PRについて面接時に突っ込まれると、必ずぼろが出るものです。仮に先方が嘘を信じて採用されたとしても、働き始めてから嘘だとバレるとがっかりされたり、場合によっては訴えられたりすることもあるかもしれません。
ネガティブな表現
謙虚な性格で、自己PRが一番苦手という人は一定数います。しかし、苦手だからといって自己PR欄を空欄にすることはNGですし、「PRできることはありませんが、そのぶん、なんでもがんばります」なども絶対にダメ。どうしてもずばり言い切ることができないなら、せめて、「自慢できる取り柄がない分、何事に対しても人一倍努力することを心がけてきたので、努力し続けることだけは誰にも負けません」などと言い換えるようにしましょう。
自分で考えて行動していないととられる表現
「誰とも対立することなく、うまくやっていくことができます」などの表現は、本人としては協調性をアピールしたつもりであっても、「周りに合わせているだけで自発的に行動できないだけでは?」ととらえられる可能性が高いので、避けた方が無難です。
看護師の転職における、パターン別の自己PR例文
続いては、看護師の転職における自己PRの例文をパターン別に紹介していきます。
行動力をアピールする場合
「私の強みは、常によりよい看護について考え、理想を形にするために行動できることです。
前職は、内科クリニックに5年間勤めていましたが、その間には、“インフルエンザの予防接種がはじまるタイミングをできるだけ早く知りたい”という患者の声をきっかけに、XやInstagramで随時お知らせを発信することを提案して、自らクリニックのアカウントを作成・運営させていただきました。
貴院では、訪問看護にも携わっていきたいと考えていますが、患者様のご自宅では基本的にひとりで接することになるので、そこで気づいたことをスピーディーに共有できるよう、コミュニケーションツール選びなどに関しても思いついたことをどんどんシェアしていきたいです」
アイディアを思いついたり、患者のニーズに気づいたりした際、どうすればそれを実現できるのかを考えて行動できることは大きな売りになりやすいといえます。
「言われたことだけやってくれたらそれでいい」というクリニックもなかにはあるかもしれませんが、そうしたクリニックはそもそも、このタイプの人には合わないでしょう。
傾聴力をアピールする場合
「私が看護を提供するうえでもっとも大切にしていることは、患者様の言葉に真摯に耳を傾け、患者様の心に寄り添い続けることです。
前職で多くのガン患者様と接してきたなかで、患者のみなさんがどれだけ不安な気持ちを抱えているのかを知ることができました。
なかには、“あなたがいつも親身になって寄り添ってくれるから、気持ちが軽くなります”とお礼の言葉をくださる患者様もいらっしゃいますが、寧ろ私のほうが、多くの大切なことを学ばせていただき感謝の気持ちでいっぱいです。
貴院でも、前職での学びを大切に、一人ひとりの患者様の心にしっかりと寄り添い、不安な気持ちを少しでも和らげてあげられるような看護を心がけていきたいです」
地域密着型のクリニック、または子どもや高齢の患者が多いクリニックでは、傾聴力の高い看護師は歓迎されやすいでしょう。
また、クリニックのホームページで、院長自身が傾聴することを大切にしているとしたためている場合は、それに対して共感の姿勢を示すこともおすすめです。
向上心をアピールする場合
「私は、向上心を持って仕事することを大切にしています。医療は常に進歩しているものなので、昨日までと同じやり方を続けているのでは、患者様にベストな看護を提供することができないと思うからです。
そのため、前職の職場でも、先輩看護士や院長にも積極的に質問させていただきながら学びを深めてきましたし、休日には、新しい知識を習得できるチャンスを逃さないよう、セミナーやオンライン講習に参加してきました。
また、その過程で、貴院が導入されている免疫療法に興味を抱いた次第ですが、これからも、看護師としてその治療にどう貢献できるかを深く考えて実践していきたいと思っています」
職務経歴書のフォーマットの選び方は?
前述の通り、志望動機欄は「職務経歴書」の職務経歴欄の下に設けてあるのが一般的ですが、職務経歴書を紙で用意するのではなくダウンロードして作成する場合、自分のキャリアに合わせてカスタマイズもできます。
なお、職務経歴書のフォーマットは大きくわけて3種類あるので、「志望動機欄に何を書くか」と合わせて、「どのフォーマットが自分にもっとも適しているか」についても考えてみるといいでしょう。
3種類とは具体的にはどのようなものであるかというと次の通りです。
逆編年体形式
現在から過去にさかのぼる形で、新しいキャリアから順番に、業務内容や実績を記載する形式です。これは、もっとも一般的な形式です。
なぜかというと、転職活動においては、応募者の直近のスキルや能力が重視される傾向にあり、もっとも最近の業務内容や成果が目につきやすいことが有利に働くと考えられるためです。
編年体形式
逆年体形式とは反対に、古い経歴から順番に、業務内容や実績を記載していく形式です。編年体形式のメリットは、キャリアにおいてステップアップしている過程を効果的に採用担当者に伝えられる点にあります。
ただし、転職回数が多い場合などは、直近の業務・実績に辿り着くまでに採用担当者の興味が薄れる可能性も無きにしも非ずです。
キャリア形式
キャリア形式とは、業務内容やプロジェクトごとに分類して、職務経歴を記載する形式です。どんな職場にいたかではなく、自分がどんなふうに仕事をしてきたのかに注目してほしい場合などは、この形式は向いているといえます。
キャリア形式の主なメリットは、現時点で見についているスキルを視覚的にわかりやすく伝えることができる点にあります。ただし、分類した項目ごとにざっくりとまとめるのではなく、各項目内に列挙した一つひとつの業務について、“どの企業で・どの程度の期間業務に携わり・どういう業績を上げたのか”をきちんと記すことが大切です。
履歴書・職務経歴書はパソコン、手書きのどちらがいい?
履歴書や職務経歴書を作成するにあたって、パソコンと手書きのどちらがいいか悩んだことがある人は多いでしょう。
結論からいうと、どちらで作成しても問題はありませんが、「先方が見やすい」という点においてはパソコンに軍配が上がります。また、パソコンで作成した履歴書や職務経歴書は簡単に上書きできるため、何度も遂行を重ねてよりよいものに仕上げることができるため、結果的に、精度の高い履歴書・職務経歴書に仕上がる可能性が高いといえます。
また、転職先がパソコンを使う仕事も業務内容としてピックアップしている場合、「パソコンを使って見やすい書類を作成することができる」というアピールにもなります。
一方、手書きには手書きのよさがあります。特に、文字の美しさに自信がある人であれば、ぱっと見でキレイな履歴書・職務経歴書を作成できるため、それだけでも先方から好感を抱いてもらえる可能性が高いといえます。
自己PR、志望動機に注目してもらうコツは?
せっかく書いた自己PR、志望動機をしっかりと採用担当者に確認してもらえるよう、履歴書・職務経歴書作成時には次の点を意識しましょう。
「冒頭数行で心をつかむこと」を大事にする
最初の1行を読んだだけで“応募理由が伝わる”状態を作ることがとても大切です。
たとえば、最初の一行が「貴院の回復期看護におけるチーム医療の体制に強く魅力を感じ、患者様の生活再建に関わりたいと考え志望しました」だと読む側がすんなり理解できます。
反対に、「私はこれまで急性期病棟で勤務して、多くの経験を積むことができました。そのなかで~」などのはじまりだと、結論に辿り着くまでに時間がかかって、読み手の興味が薄れてしまいます。
志望動機は「相手→自分」の順で書く
「相手(病院の魅力)→自分(経験・活かせる点)」の順番で書かれた文章だと、採用側が気持ちよく読み進めることができます。
①貴院の○○に魅力を感じて志望
②それに対して自分の経験がどう活かせるか
③入職後の貢献イメージ
で文章を作成するといいでしょう。
例:
「貴院が取り組んでいる地域連携と在宅復帰支援の体制に魅力を感じ志望しました。前職では退院支援に関わり、他職種との連携を経験して参りました。この経験を活かして、患者様とご家族が安心して退院できるようサポートしていきたいと考えています」
自己PRは「強み(結論)→根拠(エピソード)→成果(入職後の活かし方)」で書く
読み手に「この人は使えそう」と判断してもらうためには、強みを“事実で支える”ことが大切です。
例:
「(強み)私の強みは、急変時の冷静な判断と行動力です。
(根拠)前職の内科病棟では、年間10件以上の急変対応を経験して、初期対応や医師への報告・家族対応も担当しました。
(成果)急性期病棟においても、この経験を活かし安全管理と迅速な対応に貢献できると考えています」
“数字”を入れると一気に目を引く
数字は文章の中で視認性が高く、読み手の目が止まります。
例:
夜勤回数:月6回
受け持ち:日勤 6~7名
急変対応:年間10件
リーダー業務:月2回
プリセプター3名担当
数字が入るだけで信頼性が上がり、専門性が伝わります。
文章は“短く区切る”:長文よりも読みやすさ重視
採用者は1人に長く時間をかけないため、文章は長くて3行以内が最も読まれやすいです。
なお、箇条書きも有効です。
病院の特徴や理念を“1つだけ”引用する
転職先の特徴や理念を盛り込むと、採用側から「ちゃんと調べてるな」と思ってもらえて、好印象を抱かれやすいです。ただし、2つ以上引用するとテンプレ感が出るので1つだけで十分です。
志望動機と自己PRの重複は避ける
両方で同じ話を書くと、「引き出しが少ない」と見られます。また、「書き分ける意思がない」と判断されることもあります。
そのため、先にも解説した通り、志望動機と自己PRは書き分けることが大切です。
志望動機、自己PRの作成に大事な2つのポイント
志望動機、自己PRの両方の作成に大切なポイントは2つあります。まず1つめは、自分を客観的に見つめ直すこと。
自分は看護師としてどんなふうに働いていきたいのか、そのためにいま必要なことは何なのか、自分の強みはどこにあり、どう活かすことができるのかを、じっくりと時間をかけて考えることが大切です。
そして2つめは、転職志望先についてよく調べることです。どんな方針の医療機関なのか、どんな患者をターゲットとして、どんな医療を提供しているのかを知ることなしには、そこで働きたいと思った志望動機も、そこにどう貢献できるかという自己PRもまとめることができません。
この2つはどちらも転職活動するうえで欠かせないことなので、転職志望先がまだみつかっていないけど転職したいと考えているなら、まずは1つめの「自分を客観的に見つめ直すこと」から始めてみてもいいかもしれませんよ!
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
