多職種連携で患者中心の医療を実現する鍵! 病院におけるカンファレンスを徹底解説

「カンファレンス」はビジネスでも使われる用語ですが、医療や看護、介護の現場における「カンファレンス」とは、意義や実施する目的が異なります。具体的にどんな違いがあるのか、また、医療現場における「カンファレンス」ではどんなことがおこなわれるのかを詳しく説明していきます。

目次
  1. カンファレンスとは?
  2. カンファレンスの目的は ?
    1. 医療・介護・看護の質向上
    2. 情報共有
    3. チームワーク向上およびチームとしてのスキルアップ
  3. カンファレンスの主な参加者の職種と役割は ?
    1. 医師(主治医・担当医)
    2. 看護師
    3. 薬剤師
    4. リハビリスタッフ(PT・OT・STなど)
    5. 医療ソーシャルワーカー(MSW)
    6. 退院調整看護師(退院支援看護師)
    7. 患者およびその家族
    8. その他
  4. カンファレンスの主な種類
    1. ケアカンファレンス
    2. 入院カンファレンス
    3. 退院前カンファレンス
    4. 多職種カンファレンス 、チームカンファレンス
    5. 術前カンファレンス、術後カンファレンス
    6. デスカンファレンス
    7. ストラテジーカンファレンス
    8. 看護学生カンファレンス
    9. 症例カンファレンス(ケースカンファレンス)
    10. オープンカンファレンス
  5. カンファレンスの流れ
    1. 参加者の役割を決める
    2. 話し合うテーマを決める
    3. 必要に応じて事前に準備する
    4. カンファレンスを実施する
  6. カンファレンス実施時の注意点は?
    1. 時間管理を徹底する
    2. お互いを尊重することを大切にする
    3. 全員が積極的に参加する
    4. ファシリテーターは適任者を選出する
    5. フィードバックを大切にする
  7. カンファレンスのメリット・デメリットは?
    1. カンファレンスを実施するメリットは?
      1. 医療・看護の質が向上する
      2. 多職種の連携が強化される
      3. 医療ミスや医療事故の防止に役立つ
      4. 教育・研修効果が期待できる
      5. 医療・看護の課題が浮き彫りになる
      6. 実施することで診療報酬点数を算定できる場合がある
    2. カンファレンスを実施するデメリットは?
      1. 参加者全員の予定を合わせるのが難しい
      2. 残業の原因となることがある
      3. 意見が対立した際、調整が難しい場合がある
      4. 非効率・形骸化のリスクがある
      5. 情報共有の漏れや認識のずれが生じる場合がある
      6. 参加者によって理解度に差が出る場合がある
  8. クリニックで定期的にカンファレンスを実施するケースとは ?
  9. 病院で開催されるカンファレンスの今後の展望は ?
    1. オンラインカンファレンスやハイブリッド形式カンファレンスの普及
    2. AI分析結果の共有などによるより正確な意思決定
    3. カンファレンスそのものを教育や学習に活用
    4. 共同意思決定(SMD:Shared Decision Making)の促進
    5. 「多職種連携」から「地域包括ケア」へと拡張
    6. 医療の複雑化に対応するための議論の場として機能
  10. カンファレンスの質向上や効率化を考えることで患者満足度もスタッフの定着率も上がっていく

カンファレンスとは?

「カンファレンス」は、さまざまな業界において使われる言葉で、基本的には「会議」や「協議」といった意味でとらえられています。たとえば、経営に関することを話し合う会議であれば、「経営カンファレンス」といったように、目的によって特定の言葉と組み合わせて使われることも多いです。

一方、医療や介護、看護の現場においては、ビジネスシーンにおけるカンファレンスと比較して、小規模な話し合いなどに対しても、「カンファレンス」という言葉が使われます。

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カンファレンスの目的は ?

医療や介護、看護の現場でカンファレンスを設ける目的は次の通りです。

  • 医療・介護・看護の質向上
  • 情報共有
  • チームワーク向上およびチームとしてのスキルアップ
  • 詳しく解説していきます。

    医療・介護・看護の質向上

    医療や介護、看護を提供するにあたっては、患者一人ひとりの状態や希望などを理解したうえで、チームとして何ができるかを考えることが大切です。そのため、話し合いの場を設けてチームとして共通の認識を持ち、意見交換することは非常に有意義であるといえます。そうすることによって、医療・介護・看護の質向上が期待できるだけでなく、医療ミスや患者とのトラブルを極力回避することができるため、患者満足度向上にもつながりやすくなります。

    情報共有

    患者に関する情報や、チームメンバーの意見や考え方を事前にシェアしておけば、認識の違いによる齟齬が生まれることを防ぐことができます。また、お互いにできること、もしくはできないことがわかれば、お互いにサポートもしやすくなるため、業務効率向上にもつながります。

    チームワーク向上およびチームとしてのスキルアップ

    定期的にカンファレンスを設ければ、多職種間のコミュニケーションが活性化されて、チームワークが向上することが期待できます。また、若手や新人のメンバーは、カンファレンスを通じて先輩たちから多くを学ぶことができるため、チーム全体としてのスキル向上にもつながります。

    カンファレンスの主な参加者の職種と役割は ?

    続いては、カンファレンスの主な参加者の職種と役割を解説していきます。

    医師(主治医・担当医)

    診断・治療方針の説明や、今後の医療的な見通しの提示などをおこないます。また、カンファレンスにおいて進行や司会といった役割を担うことがもっとも多いのは医師だといえるでしょう。

    看護師

    日常生活における援助内容や患者の様子を報告します。また、患者やその家族の不安やニーズに関して把握していることを共有したり、退院後の支援の必要性を提案したりすることもあります。患者およびその家族の心理面に寄り添ったケアは看護師の大切な役目です。

    薬剤師

    処方薬の適正使用や相互作用の確認、服薬アドヒアランスの課題共有などをおこないます。また、退院時の薬剤調整や指導内容の説明などもおこないます。

    リハビリスタッフ(PT・OT・STなど)

    機能回復の進捗や日常動作の評価結果を報告します。また、退院が可能であるかどうかの判断材料を提供したり、在宅に移行する患者に対して、住環境整備を提案したりすることもあります。

    医療ソーシャルワーカー(MSW)

    退院支援および社会資源や福祉サービスの調整・紹介をおこない、患者やその家族の経済的な問題や心理的サポートにも対応します。

    退院調整看護師(退院支援看護師)

    病棟で患者を担当している看護師のほかに、退院に向けた関係機関との調整のために、退院調整看護師(退院支援看護師)も参加することがあります。必要に応じて、訪問看護や在宅医療への橋渡し的な役割を務めます。

    患者およびその家族

    患者やその家族がカンファレンスに参加することには、非常に大きな意義があります。なお、近年は「患者中心の医療」の実現のためにも、患者およびその家族の積極的な参加が推奨されています。

    患者およびその家族は、カンファレンスに参加することで、治療方針やケアの選択肢についてしっかりと理解できるため、治療方法などを納得して選ぶことができます。これにより、自分の人生・療養生活に関わる重要な選択に、当事者として関与できるということになります。

    また、医療スタッフから直接説明を受けることができるため、疑問や不安をその場で解消できます。加えて、医師や看護師と面と向かって話すことは、信頼関係の構築にもつながります。

    患者やその家族にカンファレンスに参加してもらうにあたっては、事前にカンファレンスの目的や流れを説明して、安心して発言できる場を提供することが重要です。そうすることによって、普段の生活で困っていること、医療者には伝えにくいと感じていること、退院後の生活への具体的な希望や不安など、医療記録だけでは知り得ない貴重な情報が得られやすくなります。これらの情報が共有されることで、より個々の患者に寄り添った、質の高いケアプランの立案が可能になります。

    また、患者やその家族が参加することは、医療や介護、看護を提供する側にとってもメリットが大きいといえます。なぜかというと、本人たちから、生活背景や価値観、家族での介護力などに関する情報が得られるため、より個別性の高い支援が可能になるからです。さらに、患者本人の希望や人生観に基づいた、その人らしい医療やケアの実現にもつながります。終末期や、患者本人が意思決定できない場合のサポートに関しては、患者の家族が参加することによって強化することが可能です。

    その他

    その他、必要に応じて、管理栄養士、臨床心理士、放射線技師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護施設職員などが参加することもあります。

    カンファレンスの主な種類

    医療や介護、看護の現場におけるカンファレンスにはいくつかの種類があります。代表的なものは次の通りです。

      【看護やケアの内容や方針を話し合うカンファレンス】

    • ケアカンファレンス
    • 入院カンファレンス
    • 退院前カンファレンス
    • 多職種カンファレンス、チームカンファレンス
    • 術前カンファレンス、術後カンファレンス
      【故人の看護について話し合うカンファレンス】

    • デスカンファレンス
      【経営戦略について話し合うカンファレンス】

    • ストラテジーカンファレンス
      【知識の共有などを主な目的としたカンファレンス】

    • 看護学生カンファレンス
    • 症例カンファレンス(ケースカンファレンス)
    • オープンカンファレンス

    ケアカンファレンス

    看護現場における患者のケアについて話し合うカンファレンスを「ケアカンファレンス」といいます。医師や看護師、薬剤師をはじめとする多職種および患者とその家族が参加します。

    入院中に実施予定の治療や処置の内容に加えて、介護施設での生活について話し合うケースもあります。

    入院カンファレンス

    入院カンファレンスとは、患者が入院してからの治療方針から退院までの目標を話し合う、入院にフォーカスしたカンファレンスです。入院中の患者に関わることになる医師や看護師などが参加します。

    入院カンファレンスでしっかり話し合って細かなケアの内容などまで詰めることで、患者が安心して入院生活を送れる可能性が高くなるため、患者満足度向上につながるカンファレンスであるといえます。

    退院前カンファレンス

    退院前カンファレンスでは、退院を控えた患者が、退院後、社会や家庭にスムーズに復帰できるよう話し合います。入院時に患者を担当してきた医師や看護師に加えて、患者やその家族、場合によってはケアマネジャーや保健師、行政のサービス担当者なども参加します。

    多職種カンファレンス 、チームカンファレンス

    多職種カンファレンスとは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士などのさまざまな専門職が集まって、患者の治療やケア、支援の方針について話し合うカンファレンスのことです。チームの連携を強化して、チーム医療を円滑に進めることを目的としています。多職種からなるチームで話し合うことから、「チームカンファレンス」と呼ばれることもあります。

    また、病棟単位でおこなわれる多職種カンファレンスは「病棟カンファレンス」、栄養を主なテーマとして取り上げる場合、「栄養カンファレンス」などと呼ばれることもあります。同じ理屈で、たとえば「褥瘡カンファレンス」など、話し合うテーマによって呼び名が変わる場合があります。

    術前カンファレンス、術後カンファレンス

    手術の前後に実施するカンファレンスをそれぞれ「術前カンファレンス」「術後カンファレンス」といいます。術前には、患者の病態や既往歴、アレルギーなどの情報をもとに、手術を担当する医師や看護師、薬剤師などが集まって話し合いします。術前カンファレンスは、手術を安全に成功させることを目的に開かれるもので、手術の流れや安全面に関する注意点、合併症のリスク、看護計画などを話し合います。

    一方の術後カンファレンス は、術後の患者の状態や経過を関係者で共有して、今後のケアに活かすためのものです。術後の合併症の有無、回復状況などを確認して、今後の治療方針や看護計画を立てていきます。

    デスカンファレンス

    今後の看護ケアを充実させる目的で、亡くなった患者の看護を振り返るカンファレンスを「デスカンファレンス」といいます。亡くなった患者が入院してからの経過を整理して、何ができて、何ができていなかったのかを話し合います。

    看護ケアにおける課題点を見つけるために、看護師のみで実施することもありますが、多職種と合同で実施すると、職種間での考え方の違いなどが見えてくるため、そこをすり合わせることによって、より精度の高い医療および看護を提供できる可能性が高くなります。

    ストラテジーカンファレンス

    管理職や経営層など、一部の役職に就いている人が参加するカンファレンスのことです。「ストラテジー(strategy)」は日本語にすると「戦略」で、人材戦略やマネジメント戦略など、経営戦略の立案を主目的として開催します。

    看護学生カンファレンス

    看護学生を集めておこなうカンファレンスです。看護学生カンファレンスにおいては、実習や患者との関わりを通して得た気づきなどを共有することで、看護に対する学びを深めます。看護学生カンファレンスには、指導者や現場の看護師も参加して、学生の学びをサポートします。

    症例カンファレンス(ケースカンファレンス)

    症例カンファレンス(ケースカンファレンス)とは、医療や介護の現場で、患者のケアや支援などについて検討するために話し合うカンファレンスを指します。症例カンファレンスは、患者のケア改善目的に開かれることもあれば、症例を通して学んで、医療従事者の知識を向上させることを目的に開かれることもあります 。

    オープンカンファレンス

    講演会や学会のように、最先端の医療技術や最新の機器の使い方などの発表をおこなう場のこと、もしくは発表をおこなうことを「オープンカンファレンス」といいます。オープンカンファレンスには、基本的に、医療業界の人、もしくは医療業界を目指す人などであれば、病院外からも参加できます。

    カンファレンスの流れ

    続いては、カンファレンスの流れを解説していきます。カンファレンスを実施する場合、先に紹介したどのカンファレンスの場合も、基本的には次の流れで実施していきます。

    ① 参加者の役割を決める
    ② 話し合うテーマを決める
    ③ 必要に応じて事前に準備する
    ④ カンファレンスを実施する

    それぞれ詳しくみていきましょう。

    参加者の役割を決める

    カンファレンスを実施する際は、最低限、進行を担当する人と議事録を作成する人を決める必要があります。ただし、議事録に関しては、最近はAI議事録作成ツールなどを使えば簡単にベースが作成できるため、そのデータをもとに必要なことをまとめればいいため、以前と比べて作成に時間がかかることはないでしょう。

    話し合うテーマを決める

    カンファレンスの実施を確定した時点で、メインテーマについては決まっていることが多いですが、細かなテーマとしてはどのようなことを話し合って決めていけばいいのかを、事前にしっかり考えておくことが大切です。

    必要に応じて事前に準備する

    術前カンファレンスなど、カンファレンスによってなにかを決めなければならないタイミングが迫っている場合は、事前準備の時間を確保するよりも、みんなで集まって必要なことを話し合うことが先決と考えられますが、そうではない場合、与えられた議題に対しての自分の考えをしっかりまとめておくことがとても大切です。また、ストラテジーカンファレンスなどであれば、アイディアを出すことそのものに時間がかかる場合もありますし、症例カンファレンスやオープンカンファレンスなどは、カンファレンスを通して未来の医療に貢献することを視野にいれなければならないこともあるため、より入念な準備を必要とすると考えられます。

    カンファレンスを実施する

    事前準備が整ったら、いざカンファレンスを実施します。カンファレンス開催時には、参加者は全員積極的に意見を出すことが大切です。

    カンファレンス実施時の注意点は?

    続いては、カンファレンス実施時の注意点を解説します。カンファレンス実施時には、主に次の3点を注意することが大切です。

  • 時間管理を徹底する
  • お互いを尊重することを大切にする
  • 全員が積極的に参加する
  • ファシリテーターは適任者を選出する
  • フィードバックを大切にする
  • 時間管理を徹底する

    議論が白熱すると、カンファレンスの時間が長引いてしまう可能性が考えられるうえ、話し合いが平行線となり、カンファレンスの目的を達成できない可能性も考えられます。それを防ぐためにも、「1回の発言は1分まで」などとルールを決めて、全員にそれを守ってもらうことを徹底する必要があります。

    お互いを尊重することを大切にする

    医療や看護、介護の理想は医療従事者同士であっても異なることがあるため、議題に対しての意見が対立してしまうことがあります。そうした場合に、お互いがお互いを尊重する気持ちを持たずに自分の考えを通そうとすると、話し合いがスムーズに進まなくなります。その結果、治療方針などを確定することができなければ、患者にとっていい医療・いい看護を提供できなくなってしまう可能性もあります。そうした状況を防ぐためにも、自分とは異なる価値観や考えを持つ相手の意見も尊重することはとても大切です。

    全員が積極的に参加する

    前述した通り、カンファレンスでは参加者全員が積極的に発言することが大切です。同様に、自分以外の人が発言しているときに傾聴することもとても大切です。相手の発言に対して興味がないような態度をとることももちろんNG! チームのモチベーションが下がるような行為は避けて、全員でチームワークを向上させていくことを考えましょう。

    ファシリテーターは適任者を選出する

    ファシリテーターはカンファレンスにおいて、「建設的な議論を促す」という重要な役目を担っています。そのため、意見が対立した際に調整したり、時間を管理したりといった能力に長けていることが不可欠です。とはいえ、最初は誰もが未経験ですし、初めてファシリテーターを務めたときからうまくいくということはありません。そのため、経験者が少ない現場では、参加者全員でサポートしながら、実践で学びながらファシリテーションのスキルを磨いていってもらうことも考えるといいでしょう。

    フィードバックを大切にする

    カンファレンスを開催できたことに満足してしまっていては、何も発展性がなく、次回からのカンファレンスでも同じことの繰り返しになってしまいます。それを防ぐためにも、カンファレンス後には、議事録を活用してフィードバックすることが大切です。その際、足りなかったことやうまくいかなかったことを客観視できたのであれば、どうすればよりよいカンファレンスになるのかを考えることが肝となります。

    カンファレンスのメリット・デメリットは?

    続いては、カンファレンスを実施するメリット・デメリットを考えていきましょう。

    カンファレンスを実施するメリットは?

    まず、カンファレンスを実施するメリットに関しては次のようなことが考えられます。

  • 医療・看護の質が向上する
  • 多職種の連携が強化される
  • 医療ミスや医療事故の防止に役立つ
  • 教育・研修効果が期待できる
  • 医療・看護の課題が浮き彫りになる
  • 実施することで診療報酬点数を算定できる場合がある
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    医療・看護の質が向上する

    医師や看護師、薬剤師、リハビリ職に至るまでの多職種の知見が集約されることによって、医療・看護の質が向上して、患者に最適なケアを提供できるようになります。

    多職種の連携が強化される

    異なる職種同士がお互いの役割を理解する機会となるため、連携強化につながります。

    医療ミスや医療事故の防止に役立つ

    他職種間での情報共有がスムーズになることから、認識の違いや情報伝達不足が原因の医療ミスや医療事故を防ぐことができます。

    教育・研修効果が期待できる

    若手や新人にとっては、実際の症例から学ぶ機会となるため、教育・研修効果が期待できます。また、ガイドラインの共有や最新の医療知識共有は、全参加メンバーのスキルアップにもつながります。

    医療・看護の課題が浮き彫りになる

    一人ひとりが、話し合う議題にしっかりと目を向けることで、日常の診療では見落とされてきた課題が浮き彫りになる場合があります。また、その課題を解決するためにはどうすればいいかを考えることによって、業務効率改善や医療安全対策を実現できる可能性が高くなります。

    実施することで診療報酬点数を算定できる場合がある

    入院医療機関が介護支援専門員などと連携してカンファレンスを実施した場合、介護支援等連携指導料として400点 を算定できるほか、入院医療機関が退院前に多職種と連携して指導をおこなった場合に400点を算定可能な「退院時指導料II 」など、カンファレンスと関連している診療報酬点数がいくつかあります。

    カンファレンスを実施するデメリットは?

    デメリットとしては次のようなことが考えられます。

  • 参加者全員の予定を合わせるのが難しい
  • 残業の原因となることがある
  • 意見が対立した際、調整が難しい場合がある
  • 非効率・形骸化のリスクがある
  • 情報共有の漏れや認識のずれが生じる場合がある
  • 参加者によって理解度に差が出る場合がある
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    参加者全員の予定を合わせるのが難しい

    多職種が参加する場合は特に、全員の予定を合わせるのが難しく、調整に時間がかかることがあります。

    残業の原因となることがある

    カンファレンスは勤務時間外に開催されることもあるため、スタッフの疲労や残業の原因となる場合があります。議論が白熱して長引く可能性がある場合などはなおさらです。

    意見が対立した際、調整が難しい場合がある

    個人間や職種間で意見が対立してしまい、建設的な議論とならない場合があります。また、この際、対等なコミュニケーションが確保されないと、チームの不協和音の原因となることも考えられます。

    非効率・形骸化のリスクがある

    目的が曖昧なまま実施すると、単なる報告会や形式的な会議になってしまう可能性が否めません。また、実施する必要性の低いカンファレンスを実施すると、時間帯効果が低くなるどころか、「なぜこんなことに時間を割かなければならないのだろう?」と参加者の不満が募ることもあるでしょう。

    情報共有の漏れや認識のずれが生じる場合がある

    せっかくカンファレンスを実施したのに、共有が必要な情報を共有できなかったり、参加者の認識を一致させるための説明が不足していたりすると、カンファレンスを実施した意義が薄れてしまう可能性があります。

    参加者によって理解度に差が出る場合がある

    参加者のなかには若手医師や新人看護師がいる場合もあり、経験者と比べると、理解に時間がかかる場合があります。そのため、進行を務める人は、全員がしっかり理解できているかを確認しながらカンファレンスを進めていくことが大切です。

    クリニックで定期的にカンファレンスを実施するケースとは ?

    続いては、病院ではなく、クリニックでカンファレンスが実施されるケースについて解説していきます。

    カンファレンスというと、病院でおこなわれるものというイメージがありますが、特に在宅医療に力を入れているクリニックに関しては、医師や看護師のほか、訪問看護ステーションなどの看護師やケアマネジャー、リハビリ職などが集まって定期的にカンファレンスを開催するのが一般的です。

    在宅医療・訪問診療に力を入れているクリニックにとっては、訪問看護ステーションや介護施設などとの連携が経営および患者への適切な医療提供の肝となるため、カンファレンスが重要な役割を果たしているのです。

    また、在宅医療・訪問診療をおこなっていないクリニックに関しても、難治症例や対応に苦慮した患者について医師・看護師間で検討したり、クレームやインシデントについて共有したりと、いわば“スタッフミーティング型カンファレンス”のような形でカンファレンスをおこなうことはあります。

    病院で開催されるカンファレンスの今後の展望は ?

    続いては、カンファレンスの今後の展望をみていきましょう。医療技術の進歩やIT、IoTの進歩、さらに少子高齢化による医療ニーズの変化に伴い、病院で開催されるカンファレンスは次のように変わっていくことが考えられます。

  • オンラインカンファレンスやハイブリッド形式カンファレンスの普及
  • AI分析結果の共有などによるより正確な意思決定
  • カンファレスそのものを教育や学習に活用
  • 共同意思決定(SMD:Shared Decision Making)の促進
  • 「多職種連携」から「地域包括」ケアへと拡張
  • 医療の複雑化に対応するための議論の場として機能
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    オンラインカンファレンスやハイブリッド形式カンファレンスの普及

    オンラインカンファレンスやハイブリッド形式のカンファレンス(対面参加できない参加者やオンラインで参加するカンファレンス)は今後ますます普及していくことが考えられます。これによって、多職種・地域間連携が円滑になり、時間と場所の制約が軽減されます。

    また、オンラインカンファレンスであればより参加者のスケジュールを調整しやすいため、カンファレンスの開催がよりオープンなものとなり、他施設との合同webカンファレンスなどが増えてくることも予想されます。

    AI分析結果の共有などによるより正確な意思決定

    従来であれば、治療方針や治療および処置の方法に対する意思決定の際、判断材料が医師の説明のみであることもありましたが、AI分析結果などを活用することで、意思決定で悩むことが減ることが予想されます。

    カンファレンスそのものを教育や学習に活用

    カンファレンスの議事録作成がAIの台頭で容易になったことで、文字や録画データで可視化されたカンファレンスを、後から教育や学習に活用しやすくなります。

    共同意思決定(SMD:Shared Decision Making)の促進

    意思決定については、従来の医療者主体型から、患者やその家族も含めた「共同意思決定(SMD:Shared Decision Making)」メインに切り替わっていくことが予想されます。

    「多職種連携」から「地域包括ケア」へと拡張

    院内だけでなく、地域の診療所や訪問看護ステーション、介護事業所などとの連携を強化することが重要となり、「多職種連携」から「地域包括ケア」へと拡張されていきます。また、地域包括ケアシステムの実現に向けて、院外カンファレンスや地域合同カンファレンスが増加して、医療機関が、退院支援・地域移行支援のハブとして機能することが期待されます。

    なお、多職種連携から地域包括ケアへと拡充していく兆しとして、既に、電子カルテの標準化などが進められています。

    医療の複雑化に対応するための議論の場として機能

    少子高齢化に伴い、多疾患併存、精神疾患合併など医療の複雑性が増していくことによって、医療・福祉・心理・法律など他分野横断的な議論の場が必要となります。また、治療中止や、または反対に延命措置といった倫理的課題に対応すべく、倫理カンファレンスを拡充させていくことも必要となっていくでしょう。

    カンファレンスの質向上や効率化を考えることで患者満足度もスタッフの定着率も上がっていく

    カンファレンスを実施するたびに、議題に沿った話し合いができてはいるものの、毎回、同じようなことを決めるだけにとどまっているなら、せっかくのカンファレンスの機会を有効に活用できているとはいえません。カンファレンスの質向上や効率化に目を向けて、改善を試みることで、患者満足度やスタッフの定着率が上がっていくことが期待できるので、試してみない手はありませんよ。

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    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、