1診体制から2診へ。本当に役立つ医師の採用方法は?〜梅華会・梅岡比俊先生の「クリニック開業・経営ベストプラクティス」#2〜

開業後、患者の増加や、それに伴う待ち時間の削減等を目的に、医師の増員を検討するクリニックは少なくないでしょう。兵庫県や東京都に計8クリニックを経営する、医療法人 梅華会の理事長である梅岡比俊医師による「クリニック開業・経営ベストプラクティス」第2弾は、これまでの経験をもとに、“本当に役立った採用方法”を紹介していただきます。

今後、診療体制の強化を視野に入れている、分院展開を計画している方はぜひ参考にしてみてください。

なお、以降は梅岡医師によるアドバイスとなります。

周囲のドクターとの関係性作りが、採用のきっかけに

医師採用について、確率論的に良かったなと思うことをお伝えするので、あくまで私の主観をお話しします。

まず一番良かったと思うのは知り合いからの紹介です。 


自身の医局の先輩後輩、友人知人など昔から知っている人からの紹介は一番良いと思います。現に、今梅華会で非常勤として働いてくれているドクターは、奈良県立医科大学時代の先輩です。今はもう開業して梅華会からは離れていますが、当時分院長を務めてくれていたドクターは奈良県立医科大学附属病院時代の後輩でした。

しかし実際のところ、紹介から採用に繋がるケースがそれほど多くないため、多くのドクターが悩んでいるのだと思います。とはいえ、日頃からドクター仲間との関係性を作っておくことは大切です。そうすることで、紹介のお話が入ってくるかもしれません。

また、コロナが流行してからは中断していますが、以前は、奈良県立医科大学のテニス部(私が大学時代にテニス部に所属していたため)6回生の皆さんと食事の機会を設けるようにしていました。その目的は医学生とのコネクションを持ち、将来的に採用に繋げるためです。今すぐの話ではありませんが、このように先のことを考え早いうちから種を蒔いておくのも必要だと思っています。

院長としての想いや意図を明記したオウンドメディア/自社サイトも有効

二番目はオウンドメディア=自社サイトです。 

皆さんはどのような先生と一緒に働きたいですか?そして、皆さんのクリニックの強みは何でしょうか?

まずはそのあたりを考えていただき、自社の採用サイトに自分の想いや、一緒に仕事をしたい先生のイメージ像などを思いのままに書きましょう。カスタマイズして、どのようなドクターでも最大限フィットさせることが大切です。
お金を重視したい方、家族との時間や自分の自由な時間を重視したい方、最終的には開業を目指している方、いろいろな価値観のドクターがいらっしゃいます。その辺も含めて最大限調整してフィットさせるのが一番だと思っています。 

参考として、梅華会ドクターの採用ページを見てください。( https://umeoka-cl.com/doctor-recruit/ )梅華会のドクター採用ページでは、以下の3つにページを分けています。

  • 1.分院長向け
  • 2.勤務医向け
  • 3.開業医向け
出典:医療法人梅華会 医師採用サイトのスクリーンショット

梅華会の一番の強みは、医師は医師の仕事だけに注力できることです。クリニックを円滑に運営するシステムは既に確立しているので、お金の計算、スタッフの採用・教育、カルテ入力などをドクターにしていただく必要はありません。

このメリットを明示することも、応募のきっかけになっているようです。

外部業者の手を借りる方法も

MRや医療メーカーからの紹介は、その医師の前職の様子も分かるのでおすすめです。日頃からコネクションを作っておいて損はないと思います。
診療時間外などにコミュニケーションをとりながら、情報交換できる関係性を築いておいて損はないでしょう。

最後が、人材紹介会社の活用です。
最後と言いながら、結構お世話になることが多い手法です。人材紹介会社に登録しているドクターのコミュニケーション能力等含めた印象は、昔より良くなっている所感があります。

とはいえこちらができる工夫点もあります。人材紹介会社の活用を無駄にしないためには、二番目のオウンドメディア同様、一緒に働きたい先生のイメージ像を紹介会社の方にしっかりとお伝えすることが大切です。 優秀な人材を採用するのであれば、紹介料のお支払いは必要ですが、採用してからのミスマッチを防ぐためにも、面接時にしっかりと相手のドクターの人柄やコミュニケーション能力を理解できるような会話を行いましょう。

例えば私の場合、医局を聞き、共通の知り合いのドクターのお話をしたり、出身地を聞いて、将来はどこで働きたいかなど展望も聞くようにしています。

また、事前に梅華会のHPを見てもらうよう伝えておき、面接時に「HPを見ていただけましたか?共感する点はありましたか?」といった質問もするようにしています。目指す方向性が違うまま入職しても後々ひずみが生じてしまうので、早い段階で確認した方が双方のためだからです。もちろん、応募したドクターにもこちらのことを深く理解してもらうため、分院長も交えて食事に行ったり、クリニックに来ていただき実際の診療風景を見学していただいたりしています。

(編集:CLIUSクリニック開業マガジン)

執筆 医療法人 梅華会 理事長 梅岡比俊

1973年生。
2008年、「梅岡耳鼻咽喉科クリニック」を開設。
2011年に医療法人梅華会理事長に就任し、分院開設。
以降は2021年までに分院・フランチャイズなど合わせて9つの施設を開設する。
『卓越したクリニック運営が日本に普及浸透し、関わる人々を幸せにする』をミッションに掲げた開業医コミュニティ「M.A.F ( https://maf-j.com/ ) 」も主催する。
トライアスロンやマラソンに挑戦するアスリートの一面や、野菜ソムリエ、歴史能力検定。ファスティングマイスターなどの各種資格も併せ持つ。


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