
企業看護師とは、読んで字のごとく、一般企業で働く看護師のことです。
この記事では、企業看護師の仕事は、医療機関や介護・福祉関係の施設で働く看護師とは異なるのか、平均年収はどの程度であるのかなど、企業看護師について詳しく解説していきます。また、企業看護師に転職する方法についても触れていきます。
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企業看護師とは?
冒頭で述べた通り、企業看護師とは一般企業で働く看護師です。
主な仕事としては、企業で働く従業員が医療や看護を必要とした際にサポートすることが挙げられます。
基本的には従業員同様、9時~17時などの規則的な時間に勤務するケースが多く、土日祝日は休みが基本となります。
そのため、残業や夜勤・土日勤務に不満があるなど、医療機関での勤務にストレスを感じやすい看護師からすると、魅力的な働き方といえるかもしれません。
企業看護師と混同されやすい職種「産業看護師」と「企業保健師」
次に、混同されやす混同されやすい「産業看護師」と「企業保健師」についても簡単に解説していきます。
産業看護師とは
企業看護師と混同されやすい職種「産業看護師」。
Web上には「企業看護師(産業看護師)」としている記事もありますが、正確にいうと、産業看護師は企業看護師の一種です。
企業看護師に含まれる職種は、(広義には)産業看護師を含めると下記の7通りです。
産業看護師
一般企業の医務室や健康管理室に勤めます。主な仕事内容は、社員の健康管理や健康相談、労働環境の整備です。また、定期的な保健指導などもおこないます。
治験コーディネーター(CRC)
民間会社の治験施設支援機関(SMO)または医療機関勤務となります。医療機関勤務の場合は、「一般企業で働いている」とはいえませんが、SMOで働くケースがあるため、産業看護師の一種だと定義されます。主な仕事内容は、治験の準備・調整・運営の支援となります。
臨床開発モニター(CRA)
製薬会社や医療品開発業務受託機関に勤務します。主な仕事内容は、治験の準備、モニタリング、報告書の作成となります。CRCと仕事内容が被っているように思われるかもしれませんが、CACは医療機関サイドである一方、CRAは製薬会社サイドであるという違いがあります。
品質管理者(QC)
医薬品メーカーや医療機器メーカーに勤務します。新薬の質を確保させたり向上させたりして、品質を管理するのが主な仕事です。
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)
医療機器メーカーに勤務します。主な仕事内容は、営業職の支援・自社製品のデモンストレーションです。
コールセンターのオペレーター
医薬品メーカー、医療機器メーカー、健康食品メーカー、医療保険会社などのコールセンターに勤めて電話対応をおこないます。
イベントナース、ツアーナース
イベントナースやツアーナースは、派遣会社に登録して派遣されて働くケースがあるため、産業看護師の一種と定義されています。
企業保健師とは
企業保健師もまた、企業看護師と混同されやすい職業のひとつです。
企業保健師とは、企業で働く保健師のことです。企業の従業員の心身の健康管理を担い、産業医や人事労働部門と連携しながら、ケガや病気およびメンタルヘルスの予防に努めます。
企業保健師になるためには、保健師の国家資格が必要です。企業看護師になるために必要な資格は看護師の国家資格のみなので、看護師が企業保健師を目指そうと思ったら、まずは保健師の資格を取得する必要があります。
企業看護師の勤務形態は?
企業看護師と一口にいっても、前述の通り、細かくわけると勤務先も働き方もさまざまであるため、勤務形態は仕事の内容によっても個々の職場によって異なります。
ただし、医療機関勤務の場合と異なり、夜勤がないことはすべての職種に共通しています。また、イベントナースやツアーナースなどの一部職種をのぞいては、基本的に土日祝日休みとなります。
雇用形態に関しては、パートとしての雇用形態を希望するなら、コールセンターのオペレーターがもっとも募集が見つかりやすいでしょう。派遣社員として、都度、自分の都合に合わせて働きたいなら、イベントナースやツアーナースを目指すといいでしょう。
なお、正社員以外の働き方に興味があり、どんな働き方が自分に向いているのかを知りたい場合は、以下の記事などが参考になるでしょう。
参照: 看護師の働き方はこんなに多様化している!職場ごとの働き方にどんな違いがある?
企業看護師の主な仕事内容は?
企業看護師の主な仕事内容に関しても、小分類の職種によって大きく異なりますが、「企業看護師」としての大きな括りでみたときに中核となる業務は、従業員の健康管理であるといえます。具体的には、健康診断の実施および管理、保健指導、健康相談、メンタルヘルスケアなどを担います。企業内で働く従業員がケガをしたり体調不良に陥ったりした場合、応急処置をおこなうこともあります。
また、業務を遂行するにあたって、産業医や人事部との連携が必要となるシーンが多いのも大きな特徴です。EAP(従業員支援プログラム)やストレスチェック制度を導入している企業で働く場合などは、産業医との連携の機会が多くなります。
企業看護師の年収は?
企業看護師の年収も、小分類の職種によって大きく異なりますが、相場としては350~500万円と考えられます。
ツアーナースやイベントナースは、週または月ごとの勤務日数が決まっておらず、旅行やイベントがあまり開催されないシーズンなどもあるため、もっとも不安定だといえます。一方、CRCやCRAは比較的年収が高いとされているので、日勤のみの働き方で高収入を目指したいなら、CRCやCRAを目指すといいかもしれません。
企業看護師として働くメリット・デメリットは?
続いては、企業看護師として働くメリット・デメリットをみていきましょう。
企業看護師として働くメリット
まず、メリットとしては以下が考えられます。
- ワークライフバランスをとりやすい
- 医療行為をおこなうことに対するプレッシャーが少ない
- 体力的な負担が極めて少ない
- 自分とは異なる業界の人と関わることができる
- さまざまなスキルが身に着く
- 福利厚生が充実している
- 人間関係の悩みを抱えにくい
- 定年後も活躍できる職場が多い
それぞれ詳しくみていきましょう。
ワークライフバランスをとりやすい
企業看護師の仕事は夜勤がありません。また、土日祝日休みの職場や、残業がない職場も多いことから、ワークライフバランスをとりやすいといえます。派遣やパートの雇用形態であれば、出勤日の希望を出すこともできるため、さらにワークライフバランスをとりやすくなります。
医療行為をおこなうことに対するプレッシャーが少ない
従業員の健康管理が主な仕事で、医療行為をおこなう機会が少ないことから、医療行為に関するプレッシャーはほとんど感じずに済むといえるでしょう。
体力的な負担が極めて少ない
有床の病院勤務の場合、患者の身体を支えたり、場合によっては患者の入浴をサポートしたりといった業務もこなす必要があります。
しかし、企業看護師として仕事するうえでは、自力で歩けない人に処置や看護を提供することはほとんどないため、体力的な負担が少ないといえます。また、重たい医療機器を運ぶなどの重労働もほぼありません。
自分とは異なる業界の人と関わることができる
企業に勤める従業員の健康相談に乗ることなどを通して、自分とは異なる業界についてさまざまな情報を得ることができます。それによって、新たな価値観や考え方が身に着く場合も多いでしょう。
さまざまなスキルが身に着く
企業で働く従業員にとって必要なビジネスマナー、パソコンスキルなど、医療機関で働いていた時代には求められることのなかったスキルが身に着くため、社会人としての自信にもつながりやすいといえます。
福利厚生が充実している
企業看護師を採用している企業は大手であることが多いため、各種手当や休暇制度が手厚い傾向にあります。そのため、病院勤務と比べて基本給には差がない場合も、収入がプラスになるケースが多いと考えられます。
人間関係の悩みを抱えにくい
企業看護師の働く職場では、看護師1~2名体制であることが多いため、人間関係の悩みは生じにくいと考えられます。医師や人事部の人間とはうまくコミュニケーションをとっていく必要があるとはいえ、常時、傍にいるわけではないぶん、共に過ごす時間が精神的負担にはなりにくいでしょう。
定年後も活躍できる職場が多い
非常勤で働けるコールセンターのオペレーターなどは、定年後の働き方としては最適であると考えられます。看護師資格が必要な仕事であることから、一般的な、定年後にできる仕事と比べて時給が高い傾向にあります。
企業看護師として働くデメリットは?
デメリットとしては以下が考えられます。
- 求人数が少ない・倍率が高い
- 医療現場に復帰したくなった場合、看護のスキルが衰えている可能性がある
- 看護師が一人しかいない場合が多い
- 医療機関では必要がなかったビジネスマナーなどを求められる
- 夜勤がないぶん、年収が下がる可能性がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
求人数が少ない・倍率が高い
産業看護師の仕事は求人数が少ないため、転職しようと思っても募集が見つからないケースがあると考えられます。もし見つかったとしても、応募が殺到して倍率が高くなるケースが多いでしょう。
医療現場に復帰したくなった場合、看護のスキルが衰えている可能性がある
企業看護師は、看護や処置を行うことがほとんどありません。
産業看護師、またはツアーナース、イベントナースは、従業員や、ツアー・イベント参加者がケガをした際や急な体調不良を起こした際にケアに当たることもありますが、毎日というわけではありません。
そのため、臨床現場で働くことにブランクが生じるため、再度、医療機関で働きたいと思っても、看護のスキルが衰えていて難しい場合があります。
看護師が一人しかいない場合が多い
看護師が一人しかいないことは、「他の看護師に気を遣わなくていいぶんリラックスして働ける」というメリットをもたらす一方、「わからないことや不安なことがあったときに頼れる人がいない」というデメリットも生みます。
医療機関では必要がなかったビジネスマナーなどを求められる
人事部の社員などと接点を持つ機会が多いことから、最初のうちは、適切なビジネスマナーがわからず、悩んでしまうこともあるでしょう。また、CRCやCRAは業務でパソコンを使うことが多いため、これらの職種を目指したいなら、パソコンスキルを磨いておくことも大切です。
夜勤がないぶん、年収が下がる可能性がある
夜勤がないと、ワークライフバランスを保ちやすいというメリットを享受できる反面、そのぶん収入が下がるのが懸念点となり得ます。
企業看護師に向いている人の特徴
続いて、企業看護師に向いている人の特徴を確認していきます。
企業看護師は、主に次のような特性があると向いていると考えられます。
- コミュニケーション能力が高い
- 予防・健康管理に興味がある
- チームでの連携が得意
- 自分で考えて仕事できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
コミュニケーション能力が高い
従業員の健康相談に乗ったり、社内外の人間にプレゼンしたり、もしくは被験者に対して治験の内容を説明したりといった業務と切っても切り離せない職業であるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。
予防・健康管理に興味がある
企業看護師の仕事は、医療機関勤務の看護師とは異なり、ケガや病気の予防や健康相談であるため、「どうすれば健康を維持して毎日活き活きと過ごせるか」ということに興味がある人は、高いやりがいを感じられるでしょう。
チームでの連携が得意
企業内の人間や産業医と連携する機会が多いことから、多職種との連携が得意なタイプに向いているといえます。
自分で考えて仕事できる
看護師1~2人体制の職場が多く、自分ひとりで物事を決めなければならないシーンもあることを考えると、与えられた仕事をこなすだけでなく、自分で考えて仕事できる人に向いているといえるでしょう。
企業看護師へのキャリアチェンジを実現するには?
続いては、企業看護師になる方法を解説していきます。
前述の通り、企業看護師として働くために必要な資格は看護師免許のみなので、現在、看護師として働いている人は、基本的にすぐにでも企業看護師になるために転職活動をスタートできると考えられます。
ただし、企業によっては、「経験年数X年以上」を応募条件としているところもあるので、まずは求人情報をよく読むことが大切です。
また、企業によっては、産業看護師より産業保健師を優先的に採用していることがあるので、より有利な状態で転職活動を進めていきたいのであれば、先に保健師の資格を取得するのも一手です。
保健師の資格は国家資格であるため、資格取得のためにクリアしなければならないことも多く、取得にはそれなりにお金と時間がかかりますが、「夜勤なしで安定的に長く働ける職場に就職したい」という目標を叶えるためには、まず保健師の資格取得を目指すことは賢い選択であるといえるでしょう。
もちろん、保健師の資格がなくても産業看護師を目指すことはできるので、転職サイトや転職エージェントを利用して、よい条件で働ける職場があるかどうか探ることからスタートするのも一手です。
なお、企業看護師の求人は非公開の場合が多いので、転職サイトを利用する場合も転職エージェントを活用する場合も、非公開求人を確認できるようにしておくことがおすすめです。
転職サイトや転職エージェントは、複数登録しても問題ないので、より多くのチャンスを得るためにも、複数社に登録しておくのがおすすめです。
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企業看護師として採用されるためのコツ
非公開求人がほとんどであれば、そこに応募が殺到することは間違いありません。そのため、書類選考や面接をパスするためには、他の応募者との差別化を意識することが大切です。
とりわけ、募集先の企業についてよく研究して、その企業に対して自分がどんなふうに貢献できるかをアピールすることは大切ですし、クリニックや病棟で働く看護師と企業看護師との違いをよく理解したうえで、これまでの自分の経験をどんなふうに役立てられるかを先方に伝えることも大切です。
企業看護師の仕事には、一般の看護師の仕事とは違った魅力がある
ここまで解説してきた通り、企業看護師の仕事は、病院やクリニックで働く看護師の仕事とは大きな違いがありますが、それぞれに異なる魅力があります。
医療機関勤務の看護師とは異なり、ケガや病気の患者を看護して、症状が改善していくようサポートする機会はほとんどありませんが、医療機関勤務の看護師にはできない経験もたくさんできます。
そのため、どちらの働き方が自分に向いているのかをよく考えて、今後のキャリアを決めていくことがとても大切です。
なお、一度、企業看護師として働いたら、その後、病院看護師に戻れないということはないので、万が一、転職してみて自分には向いていないと感じた場合も後悔する必要はありません。さまざまな経験を重ねながら、より自分らしいキャリアを築いていけるといいですね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年7月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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