「病院・クリニック以外」で看護師資格を活かせる職場とは? 転職先の可能性を広げるヒント 

「毎日の夜勤と残業でヘトヘト……」「院内の派閥、人間関係に疲れた……」。

仕事や人間関係の悩みが尽きない看護師はたくさんいますが、疲労や悩みが増していくにつれ、“病院以外の働き方”が気になる人も多いのではないでしょうか。一方で、「給料は下がる?」「自分に合うのかな?」との不安から、転職活動には踏み切れずにいる方も。

そこで今回は、看護師に人気の“病院以外の”職場について、メリット・デメリットかた、転職のコツまでお伝えしていきます。

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目次
  1. 病院以外で働く看護師の割合は?
  2. 病院以外で働く看護師が増えているワケ
  3. 病院以外の働き先いろいろ
  4. 病院以外の働き先は、それぞれどんな人に向いている?ざっくり診断
    1. 夜勤・残業を避けたい場合
    2. キャリアアップ、スキルアップを目指したい場合
    3. 年収UPを狙いたい場合
    4. 人間関係に悩みたくない場合
  5. 病院以外で働くメリット&デメリット
  6. 病院以外の職場への転職で失敗しないためのチェックリスト
    1. 給料・福利厚生
    2. 教育・研修制度の有無
    3. 残業やオンコールの有無
    4. 職場の雰囲気(人間関係)
    5. 将来のキャリアパス
  7. 病院以外に転職した体験談
    1. 体調がよくなった
    2. 家族と向き合う時間ができた 
    3. 患者と向かう時間ができた
  8. 病院以外の働き方を選んでみると…

病院以外で働く看護師の割合は?

厚生労働省が公表している「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2024(令和6)年末時点の「就業場所別にみた就業看護師」の割合は次の表の通りです。

実人員(%)常勤換算人数(%)
総数100.0100.0
病院65.768.9
診療所12.712.7
助産所0.00.0
訪問看護ステーション6.76.4
介護保険施設など(介護老人保健施設、介護医療院、指定介護老人福祉施設、居宅サービス事業所、居宅介護支援事業所など)7.97.1
社会福祉施設2.11.9
保健所0.10.1
都道府県0.10.1
市区町村0.60.4
事業所0.40.4
看護師等学校養成所または研究機関1.21.3
その他0.90.8
参照: 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」

 

つまり、病院もしくは診療所(クリニック)以外で働く看護師の割合は、全体の約2割ということになります。

なお、上記概況では、割合の推移については言及されていません。

たとえば常勤換算で6.4%、実人員で6.7%の看護師が勤務する訪問看護ステーションに関していうと、訪問看護ステーションの誕生が1992年なので、病院以外にシフトする看護師が増えているということになります。

参照: 東京財団「なるほど訪問看護~訪問看護の成り立ちと訪問看護でできること~」

病院以外で働く看護師が増えているワケ

上記の表の勤務先一覧からも、病院の職場が選ばれる条件として第一は「夜勤なし」であることが挙げられます。

また残業に関しても「基本的に残業なし」または「残業少なめ」と考えられるため、自分の理想のライフスタイルを守ることを重視している人が増えていると考えられます。

昨今は、国を挙げて働き方改革に取り組んでいることもあり、「より自分らしく生きていくには?」を大事に、勤務先や働き方を決めている人が増えているのです。

病院以外の働き先いろいろ

看護師資格を活かせる働き先として、病院や診療所以外には以下のような職場が選ばれています。

それぞれのメリット・デメリットも併せてご紹介します。

働き先特徴メリットデメリット
訪問看護ステーション・患者一人ひとりとじっくり向き合える・やりがいが大きい・夜勤なし・残業少なめ・オンコール対応がある場合がある・一日に複数箇所まわるため移動が大変
各種介護施設・医療処置が少なめ・夜勤なしの場合が多い・残業少なめ・他職種との関係性に悩まされる場合がある・医療処置のスキルを発揮できる場面が少ない
保健所・利用者の健康管理や疾病予防、健康相談などに従事・看護師免許以外に保健師免許もあれば、できる仕事が増える・残業なし・夜勤なし・土日祝休み・病院勤務と比べると給与が低くなる場合がある
美容クリニック・レーザーなどの専用機器を使って患者の施術を行うことがある・ケガや病気の患者はほとんどいない・美容について詳しくなれる・夜勤なし・医療処置のスキルを発揮できる場面が少ない
保育園・子どもたちの健康管理が主な仕事となる・夜勤なし・残業少なめ・土日祝休み・募集が多くはない
医療機器メーカー「クリニカルスペシャリスト(別名:フィールドナース、クリニカルエデュケーター)」として自社の営業担当者の販売活動をサポート・夜勤なし・土日祝休み・医療行為に関わることがないため、看護師としてのスキルアップは望めない・営業自体を任せられる場合がある
一般企業・産業看護師として一般企業の医務室・健康管理地酢に勤務・夜勤なし・残業少なめ・土日祝休み・医療処置のスキルを発揮できる場面が少ない・労働安全衛生法の理解やPCスキルなど、看護以外の知識やスキルが不可欠である
治験支援を行う機関・「治験コーディネーター(CRC)」として被験者のケアや医師のサポートなどを行う・夜勤なし・残業少なめ・医療処置のスキルを発揮できる場面はない
健診・検診センター、献血ルーム・健診・検診・献血に訪れた人に対応するルーティンワークが中心・夜勤なし・残業ほとんどなし・基本的にルーティンワークであるため、看護師としてのスキルアップは望めない
助産所・看護師免許のほかに助産師免許が必要・助産師免許があれば、自分で助産所を開設できる・命の誕生に関われるためやりがいが大きい・医療訴訟のリスクがあるため責任が重い
産後ケアセンター・主な業務は出産後の育児支援・母子の健康をサポートできるためやりがいが大きい・24時間体制の産後ケアセンターの場合、夜勤あり
テーマパーク・パーク内の救護室で、ケガをした人や具合が悪くなった人に看護を提供する・ケガ人や急病人が出ない限り忙しくない・応急処置がメインとなるため、看護師としてのスキルアップは望めない・雇用形態が派遣などのケースが多い
ホテル・ホテルの医務室に勤務してケガ人や急病人に応急処置を施す・ケガ人や急病人が出ない限り忙しくない・正社員の募集は少なく、非常勤やアルバイトとしてしか働けない可能性がある
(フリーランス)・特定の企業や組織、団体などに所属せず、案件ごとに施設や企業などと業務委託契約を結んで働く・自分の裁量で仕事できる・自分を売り込む能力が不可欠

 

病院以外の働き先は、それぞれどんな人に向いている?ざっくり診断

上記の働き先のうち、どれが自分に向いているかの判断が難しい場合は、「病院以外の職場に転職したい理由」をもとに選択肢を絞るといいでしょう。

夜勤・残業を避けたい場合

夜勤や残業と無縁の職場で働くことによって生活リズムを整えたいなら、次の職場がおすすめです。

  • 健診・検診センター、献血ルーム
  • 保健所
  • 保育園
  • 一般企業

健診・検診センターや献血ルームなどのようにルーティンワークが中心の職場や、看護師以外の職員と同じ時間帯で働くのが基本の職場だと夜勤や残業はほぼありません。そのため、ワークライフバランスを保ちやすいといえます。

キャリアアップ、スキルアップを目指したい場合

病院や診療所ではできない経験を積むことで、看護師としての知識やスキルに磨きをかけていきたいなら、次の職場がおすすめです。

  • 訪問看護ステーション
  • 一般企業
  • 治験支援を行う機関
  • 助産所
  • 産後ケアセンター

ただし上記に列挙した職場では、看護師の知識やスキルを活かしてできることの幅が広がったり、特定のフィールドについて詳しくなれたりする一方、病院や診療所のように「どんな医療処置もある程度できる」必要がなくなります。

そのため病院や診療所勤務に戻ろうと思っても、以前のように基本的な処置が行えるようになるまでに時間がかかるかもしれません。

将来的に病院や診療所勤務に戻るつもりはなく、それぞれの分野で専門性を極めていきたいということであれば、たとえば訪問看護ステーション勤務の経験を活かして、看護師が訪問看護ステーションを立ち上げることもできますし、可能性の幅が広がります。

年収UPを狙いたい場合

現状、給与に不満があって高年収を狙いたいと考えているなら、次のような職場がおすすめです。

  • 美容クリニック
  • 医療機器メーカー

美容クリニックは、自由診療であることと、指名料が給与に加算される場合があることから、高収入を狙うことが十分可能です。人気の美容クリニックであれば、病棟勤務と勤務時間は同等でありながら、同じだけの高収入を実現することもできるでしょう。

クリニカルスペシャリストは、特に外資系企業の場合、高収入が期待できるとされています。ただし、英語力が応募要件であるケースも多いため、採用されるためにはそれなりに勉強して知識を蓄えておく必要があります。

人間関係に悩みたくない場合

人間関係の悩みから転職を考えている場合、次のような職場がおすすめです。

  • 訪問看護ステーション
  • テーマパーク
  • ホテル
  • フリーランス

訪問看護師は、基本的に一日中一人で仕事をするため、看護師同士のトラブルなどは少なくなるでしょう。テーマパークやホテルも、訪問看護師と同様に、基本的には他の看護師はいない環境です。

また、テーマパークやホテルに関しては派遣やアルバイト・パートといった雇用形態になる場合が多数です。

正社員と比べると短期間の勤務となるため、人間関係の悩みは大きくなりにくいでしょう。

フリーランスの場合は自分で仕事を選べるため、もっとも人間関係に悩まされにくいといえます。

ただし、仕事を選り好みし過ぎると「十分な収入を得られない」などの問題も生じる可能性もあり、注意が必要です。

病院以外で働くメリット&デメリット

看護師が病院以外の職場で働くのは、メリットもあればデメリットもあります。

メリットに関しては、病院以外の職場例一覧にも記した通り、残業や夜勤がない、もしくは少ないことが一番です。

必然的に自由に使える時間も増えるため、家族と一緒に過ごす時間の予定を立てるなど、これまで以上にプライベートも充実できます。

ただし、残業や夜勤が減ればそのぶん給与の額が落ちるため、そこはデメリットと言えるのではないでしょうか。

また、専門性が高い仕事や、基本的に毎日同じことを繰り返すルーティンワークなどを続けていると、総合的な医療スキルが落ちる可能性が高くなります。

そのほか、人気が高い職種などは、求人数が少ないというデメリットも考えられます。

メリット:夜勤なし/残業少ない/自分のペースで働ける/プライベート充実

デメリット:医療スキルが落ちる不安/給与が下がる場合あり/求人数が少なめ

病院以外の職場への転職で失敗しないためのチェックリスト

看護師が病院以外の職場への転職活動を行う場合、転職に失敗しないために、次の項目について事前によく確認することが大切です。

  • 給料・福利厚生
  • 教育・研修制度の有無
  • 残業やオンコールの有無
  • 職場の雰囲気(人間関係)
  • 将来のキャリアパス

給料・福利厚生

給料や福利厚生に関しては、基本的には求人票に記されていますが、手取りの額なのかどうかなどが定かではない場合、面接時に必ず確認するようにしましょう。

教育・研修制度の有無

未経験歓迎の職場の場合、経験がなくても安心してチャレンジできるというメリットがある一方、教育や研修制度が整っていなければ、働き始めてから四苦八苦する可能性が高くなります。

残業やオンコールの有無

残業やオンコールの有無は事前に必ず確認したいポイントです。「残業少なめ」という言葉に惹かれて応募した結果、表現が曖昧であるために、自分が思っていたより残業が多かったということもありえます。そうした事態を防ぐためにも、面接時に詳しく確認することが大切です。

職場の雰囲気(人間関係)

職場の雰囲気は、求人票だけでは十分に読み取れない場合が多く、各種口コミサイトやSNSの書き込みをチェックすることに加え、応募検討時に職場を見学させてもらうなどして、自分の目で実情を確かめることをおすすめします。

将来のキャリアパス

その職場で働いた先に、どんなキャリアパスの可能性があるのかについても、事前に確認しておくことが大切です。

たとえば、訪問看護ステーションに勤務して経験を積めば、将来、訪問看護ステーションを立ち上げるために必要な知識を吸収できますし、フリーランスとして働く道を選択して、医療系の記事の仕事を積極的に請け負えば、将来的には医療系ライターの仕事一本で食べていける可能性もあるでしょう。

病院以外に転職した体験談

続いては、『株式会社Donuts』が独自に実施したアンケートより、病院以外に転職した看護師の体験談を紹介します。

体調がよくなった

「結婚をきっかけに夜勤を避けたいと考え、病院からクリニックに転職。夜寝て朝起きる生活に戻ったことで、体調がよくなったことを実感しました」

家族と向き合う時間ができた 

「親の闘病と子どもの不登校があり、家族と向き合う時間を作るために、夜勤のある総合病院の正社員から、小規模多機能ホームのパート勤務へとシフトしました。結果、子どもの不登校が解消されて、親は在宅で看取ることができたのでよかったです」

「オンコールありの正社員から訪問看護ステーションに転職しました。以前は、土日の休みがとりづらかったですが、転職後は土日が休みなので、子どもたちと過ごす時間が増えました」

「出産後の復帰先には、日勤のみ勤務で子育てと仕事を両立できる、高齢者通所サービスを選びました。日勤のみなのでフルで勤務しても20万円程度であることから、独身の方はほぼいません。扶養内で働く人がほとんどです」

患者と向かう時間ができた

「超急性期に勤務していたころは、患者としっかり向き合えないことに申し訳なさを感じていました。同時に、急性期のその後に興味が沸いてきたことから、介護老人保健施設に転職。急性期の目まぐるしさから解放されたとともに、利用者としっかり向き合えるようになり、日々、やりがいを感じています」 

看護師専門転職サービス「CLIUS看護」

看護師専門転職サービス「CLIUS看護」は、電子カルテ「CLIUS」を手掛ける株式会社Donutsだからこそのネットワークを通じて、希望に応じた非公開求人をご紹介しています。「シフトに融通が欲しい」「給与はこれぐらいほしい」など、まずはお気軽にご希望をお聞かせください。

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病院以外の働き方を選んでみると…

前半でも解説した通り、2024年時点において、病院または診療所以外で働く看護師は全体の約2割にも上ることから、医療機関以外での働き方も一般的になりつつあります。

しかも、職場によっては、医療機関勤務より稼げることもあれば、自分の「好き」を追求できることも。

医療機関にこだわって働くことは、ある意味、“もったいない”ともいえます。そうとはわかっていても、どんな職場を選べばいいのかわからない、何が自分に向いているのかわからないという人は、まず、転職エージェントや転職サイトに登録して、相談することからスタートするのもおすすめですよ!

執筆 CLIUS(クリアス )

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