既往歴とは? 既往症、現病歴、持病との違いや健康診断・保険の告知書の書き方を徹底解説

「既往歴」は、患者として医療機関を受診した際にも確認されるものなので、多くの人は言葉の意味を大まかに理解しています。しかし、似た言葉との意味の違いや、保険の告知書への正しい記載方法などについては正確に把握していない人も多いかもしれません。そこで今回は、「既往歴」について詳しく掘り下げていきます。

目次
  1. 既往歴とは? 似た言葉との意味の違いも解説
    1. 既往症との違い
    2. 現病歴との違い
    3. 持病との違い
      1. 「基礎疾患」の大半 も「持病」に含まれる
  2. 健康診断・保険の告知書、履歴書での既往歴の書き方
    1. 履歴書への書き方
    2. 生命保険の告知書への書き方
    3. 健康診断の問診票への書き方
    4. 慢性疾患や服薬状況を必ず確認する
    5. 既往歴が現在の症状に影響を与える可能性を考える
    6. 後遺症や合併症の有無を確認する
    7. リスクに直結する情報は確実に把握する
  3. 医療DX、電子カルテの標準化によって既往歴確認はどう変わる?
  4. 医療DXが既往歴確認にもたらす変化
    1. 問診時間の短縮
    2. 医療事故の未然防止
    3. 予防医療への活用
  5. 医療機関は、既往歴確認に対する意識を高めていくことが大切

既往歴とは? 似た言葉との意味の違いも解説

既往歴とは、生まれてから現在までにかかった病気やケガのうち、既に完治しているものの履歴のことです。ただし、風邪や腹下しなどのように、多くの人が高い頻度でかかる病気で、かつ後遺症がないものは既往歴には含まれません。

なお、現在、発症している症状との関連や薬の処方可否などを確認・判断するために、患者に対して、出産経験やアレルギーの有無に関しても、既往歴欄に記載を求める場合があります。

既往症との違い

既往歴と既往症はいずれも、これまでにかかった病気やケガを指す言葉です。そのため、履歴書などのひな型で、同じ意味で使われていることもあります。ただし、保険加入時に提出が必要な書類などでは、「既往歴=これまでかかった病気やケガの履歴」「既往症=これまでかかった病気やケガそのもの」と言葉が使い分けられるのが一般的です。

現病歴との違い

「既往歴」が、過去に発症して現在では完治している病気やケガを指す言葉であるのに対して、「現病歴」は、現在も症状が続いている病気やケガの、発症から現在に至るまでの経緯を指します。主に、医師が診療録(カルテ)を作成する際に用いる医学用語です。

持病との違い

「持病」とは、今現在も治療中で完治していない病気のことを指す、より一般的な言葉です。長期間にわたって継続的な治療や経過観察が必要なケースが多く、多くの場合、症状を抑えるための投薬や通院を必要とします。糖尿病、高血圧、喘息などの慢性疾患がこれに当たります。「現病歴」と概ね同義となりますが、持病にはケガは含まれません 。

「基礎疾患」の大半 も「持病」に含まれる

「持病」とほぼ同じ意味でつかわれることが多い言葉に「基礎疾患」があります。「基礎疾患」とは、糖尿病や心臓病、呼吸器疾患、肝硬変などの肝臓病、重い精神疾患など、長期的に健康に影響を及ぼす慢性的な病気などを指します。

ただし、厚生労働省は、上記のような病気で通院・入院している人のほかに、「BMI30以上の肥満の人」も、生活習慣病リスクや病気にかかったときの重症化リスクが高いことから、「基礎疾患を有する者」と定義しており、これに関しては「持病」とは異なると考えられます 。

参照:厚生労働省「基礎疾患を有する者」

健康診断・保険の告知書、履歴書での既往歴の書き方

既往歴の確認が必要な主なシーンは以下の4つです。それぞれのシーンでの具体的な書き方について解説します。

  • 履歴書の提出時
  • 生命保険の加入時
  • 健康診断受診時
  • 初診患者の医療機関受診時
  • 履歴書への書き方

    就職・転職活動で提出する履歴書には、「健康状態欄」が設けられている場合があります。既往歴や持病がない場合は、「良好」と記載するのが一般的です。

    既往歴がある場合は、業務に影響がないと判断できる場合でも、現在の健康状態は良好であることを付け加えて記載すると良いでしょう。たとえば、「2020年に虫垂炎を患い手術歴あり。現在は完治しており、健康状態は良好」のように記載します。

    生命保険の告知書への書き方

    保険会社は、加入希望者の健康状態を把握するために、告知書の提出を求めます。告知書には、告知義務違反とならないよう、正確に既往歴や持病を記載する必要があります。

    一般的に、告知書で問われるのは「過去5年以内」や「過去2年以内」の病歴や手術・入院歴です。風邪やインフルエンザなど、数日で完治する病気は告知不要なことがほとんどですが、下記のような病気は基本的に告知が必要です。

    【告知が必要な病気・症状の例】

  • 喘息、高血圧、糖尿病、心臓病、肝炎などの慢性疾患
  • 精神疾患(うつ病、パニック障害など)
  • がん、脳卒中、心筋梗塞
  • 椎間板ヘルニア、関節リウマチなどの持病
  • 健康診断で「要精密検査」や「要治療」と診断された場合
  • 健康診断の問診票への書き方

    健康診断の問診票も、既往歴を正確に記載することが重要です。特に、「要経過観察」や「要精密検査」と診断を受けた場合、きちんと問診表に落とし込むことが大切です。

    【医療従事者向け】既往歴確認で注意すべきポイント

    日頃の診療や健康診断を通して、患者の既往歴確認に慣れている医師や看護師も多いでしょう。しかし、患者の自己申告だけでは情報が不足する場合があるため、以下の点に注意することで、より正確な情報を得られます。

  • 慢性疾患や服薬状況を必ず確認する
  • 既往歴が現在の症状に影響を与える可能性を考える
  • 後遺症が合併症の有無を確認する
  • リスクに直結する情報は確実に把握する
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    慢性疾患や服薬状況を必ず確認する

    患者は、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を既往歴と認識していないことがあります。

    「現在、定期的に服用しているお薬はありますか?」と尋ねることで、患者が自覚していない病気を発見できる場合があります。

    既往歴が現在の症状に影響を与える可能性を考える

    一見無関係に見える既往歴でも、現在の症状の根本原因である可能性があります。

    患者自身が「完治している」と申告しても、潜在的なリスクや再発の可能性を念頭に診療を進めることが重要です。

    後遺症や合併症の有無を確認する

    特に手術や放射線治療の既往がある場合、後遺症や合併症がないか確認しましょう。

    降圧薬や抗凝固薬、免疫抑制薬などを服用している場合は、治療における出血リスクや免疫抑制状態に十分注意が必要です。

    リスクに直結する情報は確実に把握する

    患者に、アレルギーやB型・C型肝炎ウイルス(HBV/HCV)、HIV感染症の有無を確認することは極めて重要です。

    これらの情報が欠けていると、予期せぬアレルギー反応や院内感染を引き起こすリスクがあります。

    医療DX、電子カルテの標準化によって既往歴確認はどう変わる?

    ご存じの通り、現在、医療DXの一環として、電子カルテの標準化が国を挙げて進められています。電子カルテの標準化が進み、医療機関間で患者の情報を共有できるようになると、患者自身が病名や薬剤名を覚えていなくても、医師は患者の情報について正確に把握することができるようになります。

    そのため、患者から既往歴について聴取する時間が短縮されることから、そのぶんの時間を対話を深めることに活用することができます。

    加えて、既往歴に応じてアラートが自動表示されるようになることで、医療事故を未然に防ぐことができるようになります。たとえば、抗凝固薬を内服中であれば、出血リスク注意のアラートが表示されて、COPD(慢性閉館性肺疾患)既往があるなら、麻酔リスクのアラートが表示されます。

    また、複数医療機関で確認できた既往歴データが統合されることによって、研究や予防医療にも活用されていくことが予測されます。さらに、AIが既往歴データから重症化リスクを予測して、診療にフィードバックされるようになることも大きな変化といえるでしょう。

    医療DXが既往歴確認にもたらす変化

    現在、医療DXの一環として、電子カルテの標準化が国を挙げて進められています。将来的には、医療機関間で患者の情報を共有できるようになり、既往歴確認がよりスムーズになります。具体的には、次のような変化が期待できます。

  • 問診時間の短縮
  • 医療事故の未然防止
  • 予防医療への活用
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    問診時間の短縮

    患者自身が病名や薬剤名を正確に覚えていなくても、医師は正確な情報を得ることができます。これにより、問診にかかる時間が短縮され、患者との対話を深めることに時間を充てることができます。

    医療事故の未然防止

    電子カルテには、薬剤の相互作用やアレルギー歴に基づいた警告機能が既に備わっています。電子カルテの標準化が進めば、既往歴やアレルギー情報が自動で表示され、医療事故を未然に防ぐことにつながります。

    予防医療への活用

    複数の医療機関で確認された既往歴データが統合されることで、地域全体での予防医療や研究に活用されることが期待されます。

    医療機関は、既往歴確認に対する意識を高めていくことが大切

    日ごろの診療や健康診断を通して、ほとんどの意思は、患者の既往歴を確認することに慣れていますが、慣れているからこそ、今一度、既往歴確認の精度を上げることを意識することが、医療の質向上に大いに役立つといっても過言ではありません。電子カルテの標準化に対応していくことも、既往歴確認方法を見直すために有効な対策なので、現状、まだ対応できていない医療機関は、早い段階で対応することを検討できるといいですね。

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    対象規模

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