「安全衛生委員会を設置しなければいけないと聞いたが、うちの規模でも必要なのか」
——クリニックの院長から出やすい疑問です。
結論から書くと、多くのクリニックは安全衛生委員会の設置義務がありません。
ただし「何もしなくてよい」という意味ではなく、規模に応じて別の義務が発生します。
線を引いているのは常時使用する労働者の人数です。
この記事では、人数ごとに何をすべきかを整理し、
自院がどこに当てはまるかをその場で判定できる形にまとめます。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
まず結論:3つのどれに当てはまるかで決まる
| 常時使用する労働者数 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 50人以上 | 衛生委員会の設置、衛生管理者の選任、産業医の選任、ストレスチェック | 労働安全衛生法第18条ほか |
| 10〜49人 | 衛生推進者の選任(委員会は不要) | 労働安全衛生法第12条の2 |
| 9人以下 | 法律上の選任義務はなし | — |
医療業は労働安全衛生法上の「その他の業種」に分類され、
安全委員会(安全管理者を含む)の設置義務がある業種には含まれていません。
そのため、クリニックで論点になるのは衛生委員会のほうです。
安全委員会と衛生委員会の両方の設置義務がある事業場では、
両者を統合した「安全衛生委員会」として設置できます。
検索でよく使われる「安全衛生委員会」という言葉は、この統合形のことです。
クリニックの場合、実際に検討すべきなのは衛生委員会、と読み替えてください。
判定の分かれ目は「常時使用する労働者」の数え方
人数の数え方でつまずくことが多いので、先に押さえます。
- 雇用形態は問わない。 パート・アルバイトも含めて数えます
- 常態として使用しているかで見ます。繁忙期だけの一時的な増員は別扱いです
- 週の所定労働時間が短いパートも、常態的に雇用していれば人数に入ります
- 事業場単位で数えます。分院がある場合、法人全体ではなく各院ごとに判定します
分院を3つ持ち、各院20人・法人合計60人というクリニックは、
どの事業場も50人未満なので衛生委員会の設置義務はありません(衛生推進者は各院で必要です)。
逆に、1か所に50人が集まっていれば、その事業場だけで義務が発生します。
50人以上の事業場がやること
衛生委員会の設置(労働安全衛生法第18条)
毎月1回以上開催し、議事の概要を労働者に周知し、
記録を3年間保存する必要があります。
委員の構成は次のとおりです。
- 議長(総括安全衛生管理者、またはそれに準ずる者。院長が務めることが多い)
- 衛生管理者
- 産業医
- 衛生に関する経験を有する労働者
議長を除く委員の半数は、労働者の過半数代表者の推薦に基づいて指名します。
経営側だけで固めることはできません。
衛生管理者・産業医の選任
いずれも選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、
所轄の労働基準監督署へ報告します。
医療機関の場合、第一種衛生管理者免許のほか、
医師・歯科医師は衛生管理者になれる(労働安全衛生規則第10条)ため、
院長自身が要件を満たしているケースがあります。ただし議長と兼ねる場合の運用は整理が必要です。
ストレスチェック
常時50人以上の事業場では年1回の実施と、労働基準監督署への報告が義務です。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
10〜49人の事業場がやること
ここが最も見落とされやすい層です。委員会は不要ですが、
衛生推進者を選任する義務があります(労働安全衛生法第12条の2)。
- 選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任する
- 労働基準監督署への届出は不要。ただし、氏名を事業場内に掲示するなどして周知する
- 資格要件は、学歴に応じた実務経験、または厚生労働省が定める講習の修了など
「届出が不要」であることが、そのまま「やらなくてよい」と誤解されやすい部分です。
選任していなくても書類上は表面化しませんが、義務は発生しています。
9人以下でも、実質的に必要になるもの
選任義務はありませんが、人数に関係なく発生する義務は残ります。
- 健康診断の実施(雇入時・定期)— 人数を問わず義務
- ハラスメント防止の措置— 2022年4月から中小企業を含む全事業主が対象
- 労働時間の把握
- 安全配慮義務(労働契約法第5条)
つまり、「委員会は不要」と「安全衛生の管理が不要」は別の話です。
委員会を「作るかどうか」ではなく「何を議題にするか」
50人に満たないクリニックが自主的に衛生委員会に相当する場を持つこと自体は自由です。
ただ、形だけ作っても月1回の開催が負担になって形骸化しやすいのが実情です。
自主的に設けるなら、次のようなすでに困っている論点を議題に据えると続きます。
- 針刺し・切創のヒヤリハットの共有と、器材・手順の見直し
- 感染対策(曝露後対応の手順、ワクチンの接種方針)
- 腰痛対策(移乗介助の方法、レイアウト)
- 長時間労働の状況
- 健康診断の受診率と有所見者へのフォロー
既存の朝礼やスタッフミーティングに10分だけ枠を作り、
議事の記録を残す形にすれば、新しい会議を増やさずに実質を確保できます。
記録が残ることは、安全配慮義務を果たしている証跡としても機能します。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
よくある質問
Q. 常時50人を一時的に超えた場合、すぐに設置が必要ですか。
「常時」使用しているかで判断します。
繁忙期の一時的な増員で一時的に超えただけであれば直ちに義務が生じるとは限りませんが、
その状態が継続する見込みなら準備を始めるべきです。判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。
Q. 分院を合算した人数で判定しますか。
しません。事業場単位で判定します。ただし各事業場でそれぞれ判定が必要です。
Q. 衛生委員会と安全委員会の違いは何ですか。
安全委員会は労働災害の防止(機械・作業方法など)を扱い、設置義務があるのは製造業・建設業など
政令で定められた業種です。衛生委員会は健康障害の防止を扱い、業種を問わず50人以上で設置義務があります。
医療業は前者の対象業種ではないため、クリニックで問題になるのは衛生委員会です。
Q. 委員会の記録はどれくらい保存しますか。
議事の概要を労働者に周知したうえで、記録を3年間保存します。
まとめ
- 50人以上:衛生委員会の設置、衛生管理者・産業医の選任、ストレスチェック
- 10〜49人:衛生推進者の選任(14日以内・届出不要だが義務はある)
- 9人以下:選任義務なし。ただし健康診断・ハラスメント防止・労働時間把握は人数を問わず必要
- 判定は事業場単位。分院がある場合は各院ごとに数える
自院の該当区分がグレーな場合は、まず「常時使用する労働者」の人数を
パート・アルバイトを含めて数え直すところから始めてください。
そこが確定しないと、どの義務が発生しているかも決まりません。
参考
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
