【開業医にインタビュー:齋藤幹医師】医療機器はどっちが安い?メーカーと直接orコンサルに依頼

開業時には、どのような業者や機器を選定すればいいのか悩むものです。
今回は、「患者さんを理解し、私のことも知ってもらう双方のコミュニケーションを大事にしたい」との思いを胸に、ホームページのコンテンツを積極的に更新しながら診療を行う、さいとう内科・循環器クリニック(東京)の齋藤 幹 医師にインタビュー。

齋藤 医師は、情報収集をもとに新しいものを積極的に取り入れる姿勢を持っています。電子カルテや予約システム、オンライン診療システムも導入した経験から、診療支援システムの選定基準や、さまざまな業者とのやり取りでわかった「開業前の思い込み」等もお話しいただきました。
これから開業を考えている医師のみなさまは、参考としてご覧いただけますと幸いです。

SEOで上位をとった秘訣がわかる!齋藤 医師の別記事はこちらから
>>> https://clius.jp/mag/2021/02/10/hpseo_interview/

※以下は、質問に対する齋藤医師の回答です。

目次
  1. 開業のきっかけを教えてください
  2. 開業セミナーには参加しましたか?
  3. 開業コンサルはどのように探しましたか?
  4. クリニックの場所を選定した経緯を教えてください
  5. 内装業者は比較しましたか?業者の決め手は?
  6. 電子カルテ、Web問診、オンライン診療システムはどのように選びましたか?
    1. 電子カルテ:自身でリサーチしながらコスト面を検討し選定
    2. WEB問診:自身で項目をカスタマイズできる点が決定打に
    3. オンライン診療:利用率が不明確なため「低料金」を最優先
  7. ご自身主導で決定したものは他にどのようなものがありますか?
  8. 検査機器の選定はどのように進めましたか?
  9. 開業される医師、予定している医師へのアドバイスを教えてください

開業のきっかけを教えてください

勤務医時代に、専門分野のみで患者さんを診ることに疑問を感じていたからです。
患者さんと関係性ができたり生活習慣等を理解しても、私の専門は循環器科でしたので、その患者さんに糖尿病の疑いがあると糖尿病は専門の先生が診ることになり、不整脈が起きたら不整脈の先生にお願いして…となります。

このような、部分的な診療の関わり方を変えたいと思い、開業すれば患者さんと総合的に向き合えると思うようになりました。

とはいえ開業への踏ん切りがつかず、家族からも反対されていたのでしばらくは勤務医として働いていました。すると2018年に、勤めていた医療機関での方針転換をきっかけに、次のステップを私なりに検討した時にようやく開業の意志が固まり、2019年6月に無事開院へと至りました。

開業セミナーには参加しましたか?

最初は何も知識がなかったので、本を読んだりセミナーに参加したりしました。

セミナーで全ての情報が分かるわけではないですが、クリニック開業に関する相場や感覚が分かるようになります。土地や物件、内装、機器、人事・労務、経営などのプロから話を聞き感覚を掴むことで、その知識をもとに自分がどういう選択をするか冷静に見られるようになりました。

もちろん参加してみると、自分が開業する場所や科目と関係がない内容ばかりのセミナーも多いですが、ある程度は仕方ないと思います。

開業コンサルはどのように探しましたか?

どうやって進めればいいか分からないので、業者の方に聞いたり、知り合いの開業医から紹介してもらったりしました。最終的には仕事をしていくうえで波長があった方にお願いしました。とてもいい方で、今でも色々と相談することもありますし、その方とやることができて本当に良かったと思っています。

クリニックの場所を選定した経緯を教えてください

過去の職場周辺や通勤しやすい場所を中心に検討しようと、江東区、中央区、文京区、台東区等を視野に、コンサルタントに診療圏調査を依頼していました。

合わせて物件も自力で検索していました。メインで使っていたサイトは「M3(エムスリー)」です。医療系の物件とは関係なく事務所の空室を探し、より本気度の高い物件はコンサルの方に、クリニックとして利用可能かどうか調べてもらいました。

私は自分で動きたいタイプなので、気になった物件はほとんど直接見に行きました。見に行かないと、街の雰囲気、来院される患者さんのイメージがつきにくいと考えているからです。

今の物件は自分で見つけ、決定する前にやはり何度も足を運びました。
当院は馬喰横山駅から徒歩2分ではありますが、大通りから一本入った通りなので、場所として「とても良い」とは言い切れません。
ただ、周辺を見て回っているときに、割とマンションが多いことに気づきました。隣も、斜向かいの建物もマンションですし、周辺の建物がどんどんマンションに建て替わっていることから、今後もマンションが増えるだろうと思い、将来的なファミリー層の需要を見込んでいます。

今は、会社員の方が昼休みや夜に訪れる割合が高いのですが、徐々に近所のみなさんにも足を運んでいただける存在になりたいと思いながら診療にあたっています。

内装業者は比較しましたか?業者の決め手は?

内装業者はコンサルタント経由で3社に提案をお願いして、その中で価格が安くプレゼンも気に入った業者を選定しました。
選んだ業者は、提案資料の提出などの仕事が早く、レスポンスが早かったところも好印象でした。他の内装業者より魅力的な点が多かったので、迷いはなかったです。

電子カルテ、Web問診、オンライン診療システムはどのように選びましたか?

電子カルテ:自身でリサーチしながらコスト面を検討し選定

電子カルテは自分でリサーチし、体験会やデモを申し込みました。コンサルの方には、興味があるカルテメーカーの説明に同行してもらったこともあります。
そして、最終的にはエムスリーデジカルに決めました。
多くの電子機器はクラウド管理となってきていますので、今後の連携を考えるとクラウドの電子カルテがベストと考え、検討を進めました。もちろんコスト面のメリットもありました。

また、クラウドの電子カルテ業者はたくさんありますが、使い勝手や事業の継続性も重要です。何年かやって事業から撤退してしまっては困りますので、そういった点からも電子カルテを選びました。

WEB問診:自身で項目をカスタマイズできる点が決定打に

WEB問診については、コロナによる緊急事態宣言を受けて、2020年4〜5月頃にメルプを導入しました。
メルプにした理由は、自分で項目を作ったりしてカスタマイズできるところです。開業準備にしても、人に任せて全部してもらうよりも、自分で調べたり、作業できるものを優先して選んできたため「カスタマイズ性」は私にとって魅力的でした。

WEB問診システムを導入して感じるメリットは、来る人の情報が分かることで事前準備できる点です。名前も分かるのでカルテの準備ができますし、例えば熱が出ていると分かれば、コロナの可能性も考えて動線を確保できます。

参考記事
メルプ/Symview:WEB問診システムの選び方・導入メリットを各メーカー担当者に取材

オンライン診療:利用率が不明確なため「低料金」を最優先

私はcuron(クロン)を利用しています。選定理由は、初期費用がかからないからです。何人の患者さんがオンライン診療を利用するのか読めなかったので、コストパフォーマンスが不明瞭なものに多くの費用はかけられないと思い、選びました。

参考記事
オンライン診療の基礎知識 メーカー担当者に聞くメリット・デメリット、選定のポイント

ご自身主導で決定したものは他にどのようなものがありますか?

クリニックのロゴです。これは自分でLancers(ランサーズ)から依頼し、作成しました。

画像提供:さいとう内科・循環器クリニック

知り合いの開業医に教えてもらうまでは「Lancersって何?」というくらいでしたが、試しに依頼してみたら面白かったです。

Lancers(ランサーズ)
個人間や個人法人間で請負業務のマッチングサービスを提供している。 ネットで最短即日に仕事を受発注できる、フリーランスプラットフォーム。

例:(発)自身で動画を撮影→(受)動画を編集
  (発)企業用ロゴデザインのイメージを伝える→(受)イメージをもとにデザイン作成

依頼時は、参考となるロゴやデザインは送付せず、患者さんに感じてほしい印象や、自分が考えるイメージを言葉で伝えてデザインをしていただきました。すでに存在するロゴを参考として送ると、参考のロゴのイメージに引っ張られる可能性があると思ったためです。

Lancersでは、不特定多数のデザイナーからロゴのラフ案を提案してもらって、その中から選ぶコンペ形式で進めましたが、あがってきた案の中には、同じようなロゴや、他のクリニックのロゴと酷似しているものもありました。トラブルを避けるために、類似するものがないかを注意深く調べた上で、クリニックのコンセプトに合致した、今のロゴが完成しました。

ちなみに、今のロゴを作成してくださったのは、広島県にある「greenpoint design.」というデザイン事務所です。その方のホームページで、これまで携わったデザインを見て素敵だと思いました。
何度かやり取りをした際も、フットワークが軽くとてもいい人だという印象です。お願いしてよかったと今でも思っています。

検査機器の選定はどのように進めましたか?

正直今でも悩んでいますが、心電計、ホルター心電計は私が専門としている分野なので、あまり予算をケチらずに大手会社のものを選ぶようにしました。
また、エコー、レントゲンなども診療でよく使うので、費用を意識しながら導入済みです。ただ、当院での採血検査は基本的に大手の検査会社さんに外注しています。自前で検査機器がなくても、ほぼ翌日には結果が出るので不便さは感じていません。

このように、導入の必要性や専門分野を踏まえて、検査機器にかける予算全体のメリハリは意識しました。

開業される医師、予定している医師へのアドバイスを教えてください

アドバイスできるほどのことはしていませんが……。
実は開業前の私は「例えば検査機器を導入する場合、開業コンサルタントを通すと直販よりも高い値段を提示される」と、コンサルタントに対する警戒心を持っていました。しかし、自身の開業を通して、思い違いをしている部分もあると分かりました。

実際にエコーの機械を導入するため、大手メーカーから見積もりをもらった際に、メーカーの担当者に「コンサルタントを通さない方が安くなりますよね」という話をしたんです。
すると、メーカーの担当者からは「コンサルタントを通さない方が高額になることもある」と言われました。特に私がコンサルをお願いしていたのは、医療機器の会社だったので、その会社が大量発注することで安く案内してもらえるようです。このことは複数のメーカーから同じように言われましたので、私の中では、ある程度信憑性が高いのではないかと思っています。

このように、コンサルによっては、比較的低コストでの機器導入ができるケースもあることは知っておいていただければと思います。

もちろん、世の中の全てのケースに当てはまるわけではありませんし、中には料金をふっかけてくる悪徳コンサルもいるのでしょう。
しかし、私の場合は開業コンサルタントを通した方がスケジュール等の調整も負担が少なくなり、費用面でも問題なかったため、安心して開業を進めることができました。

とはいえ、トラブルがゼロの状態で開業できたわけではありません。私もIT機器の導入や、テナントとのやりとり等で齟齬が起きてしまったことが何度かあります。
その度に心が折れそうになりましたが、開業にあたってはコンサルタントや他人に任せすぎるのではなく、自分もしっかりと加わって確認することを怠らないように努めました。

今の経営が100%成功かはわかりませんが、このような状況を乗り越えながら、毎日患者さんと診療以外のお話もしながらコミュニケーションをとれる今の環境はとても幸せです。
今回のお話が、これから開業される医師のみなさんの参考になれば幸いです。

齋藤 幹

取材協力 さいとう内科・循環器クリニック 院長 | 齋藤 幹

大学卒業後、循環器科・循環器内科を専門に勤務。大学病院や専門病院での経験を経て、2019年に「さいとう内科・循環器クリニック」を開業。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、循環器専門医・指導医、臨床研修指導医。


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執筆 CLIUS(クリアス )