償還払い(しょうかんばらい)は、患者がいったん窓口で費用の全額を支払い、後から保険者へ請求して自己負担分を超えるぶんの払い戻しを受ける方式である。
通常の保険診療は「現物給付」で、患者は窓口で自己負担分だけを払う。償還払いはその例外にあたる。
クリニックの窓口で問題になるのは、金額そのものより「何の書類を渡すか」である。場面ごとに必要な書類が違い、渡し忘れると患者が払い戻しを受けられない。
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現物給付と償還払いの違い
| 現物給付(通常) | 償還払い | |
|---|---|---|
| 窓口で払う額 | 自己負担分のみ | 全額(10割) |
| 保険者への請求 | 医療機関が行う | 患者本人が行う |
| 患者の手元に戻る | — | 後日、自己負担分を超えたぶん |
| 医療機関の役割 | レセプト請求 | 患者が請求するための書類を出す |
償還払いになる4つの場面
① 治療用装具を作ったとき
コルセット、義肢、治療用眼鏡、弾性ストッキングなど、治療のために医師が必要と認めて作らせた装具は、いったん全額を業者へ支払い、後から療養費として請求する。
クリニックが出す書類は「医師の意見書・装着証明書」である。装具業者の領収書と一緒に保険者へ提出される。
🔴 意見書には、装具が治療のために必要である理由と、装着した日付を書く。日付が抜けると保険者から差し戻される。
② 保険証を持たずに受診したとき
保険資格はあるのに、その場で確認できなかった場合である。窓口ではいったん全額(10割)を預かる扱いになる。
- 後日、保険証を持参してもらえば医療機関で精算できる場合が多い(同一月内など、医療機関ごとに運用が決まっている)
- 精算しない場合、患者は療養費として保険者へ請求する。このとき診療内容明細書と領収書が要る
⚠️ オンライン資格確認が使える場合は、そもそも償還払いにならない。マイナ保険証や、資格確認できる手段があるかを先に聞く。
③ 海外で受診したとき
海外療養費の扱いになる。日本の保険で認められている診療に相当するぶんについて、日本国内の診療報酬に基づいて計算した額を上限に払い戻される。
患者から相談を受ける場面はあるが、書類を作るのは現地の医療機関である。帰国後に翻訳が必要になる点だけ案内できるとよい。
④ 高額療養費(限度額適用認定証を出さなかったとき)
自己負担が上限額を超えた場合、超過分が払い戻される。
🔴 限度額適用認定証やマイナ保険証での限度額情報の提供があれば、窓口負担が上限までで止まる。この場合は償還払いにならない。受付で「認定証はお持ちですか」と聞くだけで、患者の立て替えが避けられる。
窓口で渡す書類の早見
| 場面 | クリニックが出すもの |
|---|---|
| 治療用装具 | 医師の意見書・装着証明書 |
| 保険証なしで受診 | 診療内容明細書・領収書 |
| 海外受診 | (国内では発行しない。現地の書類) |
| 高額療養費 | 領収書(申請は患者と保険者の間) |
領収書はどの場面でも要る。再発行を求められることが多いので、控えの保管期間を院内で決めておく。
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患者への説明は「順番」で決まる
金額から入ると「高い」で会話が止まる。手続きの見通しから話すと納得されやすい。
「いったん全額をお支払いいただきますが、あとから健康保険へ申請すると自己負担分を超えたぶんが戻ります。申請に使う書類はこちらでお渡しします」
その上で、申請先(保険者)・必要書類・おおよその期間の3点を伝える。金額の説明はその後でよい。
⚠️ 払い戻しの時期や金額をクリニックが断定しない。保険者の審査によるため、確約すると後でトラブルになる。「保険者へご確認ください」で切る。
柔道整復・あん摩マッサージなどの取り扱い
これらは従来「受領委任」という仕組みで現物給付に近い扱いがされてきたが、適正化の観点から償還払いへ変更される場合がある。患者から質問を受けることがあるため、制度が動いている領域であることは押さえておくとよい。
よくある質問
Q. 償還払いと立替払いは同じか
A. 実質的に同じ場面を指すが、制度上の呼称は償還払いである。
Q. 全額を預かったとき、レセプトは出すか
A. 保険者へ請求しない扱いのため、通常のレセプト請求は行わない。後日精算した場合は、その月の請求に含める。運用は医療機関ごとに決めておく。
Q. 装具の意見書に文書料は取れるか
A. 取り扱いは医療機関で判断する。院内の文書料一覧に載せておくと窓口で迷わない。
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まとめ
- 償還払いはいったん全額を払い、後から保険者へ請求して払い戻しを受ける方式
- 代表は治療用装具・保険証なしの受診・海外受診・高額療養費の4つ
- クリニックの役割は患者が請求するための書類を出すこと。場面ごとに書類が違う
- 限度額適用認定証と資格確認の手段を先に聞けば、そもそも立て替えが要らない場面がある
- 払い戻しの額と時期を断定しない。保険者の審査による
参考
- 厚生労働省「療養費の支給について」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 保険医療機関及び保険医療養担当規則
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
