在宅医療の算定でよく混乱するのが、看取り加算・在宅ターミナルケア加算・死亡診断加算の3つである。名前が近く、どれも「最期」に関わるため、まとめて1つと思われやすい。
実際には、算定できる条件も、算定できる場面も別々である。先に分岐を押さえると、レセプト返戻が減る。
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3つの加算の位置づけ
| 加算 | 何に対する評価か | 算定の起点 |
|---|---|---|
| 看取り加算 | 死亡に立ち会い、看取ったことへの評価 | 在宅で死亡した患者に対し、往診または訪問診療を行い、その際に看取ったとき |
| 在宅ターミナルケア加算 | 最期の期間に継続して診たことへの評価 | 死亡日および死亡日前14日以内に、一定回数の往診・訪問診療を行ったとき |
| 死亡診断加算 | 死亡診断を行ったことへの評価 | 在宅で死亡した患者に往診等を行い、死亡診断のみを行ったとき |
看取り加算と死亡診断加算は併算定できない。看取りを行った場合は看取り加算を算定し、死亡診断のみであれば死亡診断加算になる。
在宅ターミナルケア加算は、看取り加算とあわせて算定できる。最期の期間を診たことと、看取ったことは別の評価だからである。
看取り加算の要件
- 在宅で死亡した患者であること(医療機関で死亡した場合は算定しない)
- 往診または訪問診療を行った際に看取ったこと
- 事前に療養上の不安等を解消するために十分な説明と同意を行っていること
- 診療内容の要点等を診療録に記載すること
「死亡の場に居合わせたか」が分岐になる。駆けつけたときに既に死亡していて死亡診断のみを行った場合は、死亡診断加算のほうになる。
説明と同意の記録が抜けやすい
看取り加算は、急変時の対応方針を本人・家族と事前に共有していることが前提になっている。
- 急変時にどこへ連絡するか
- 救急搬送を希望するかどうか
- 在宅での看取りを希望していること
この記録が診療録に無いと、要件を満たしていることを示せない。ACP(人生会議)の記録をそのまま使える形にしておく。
在宅ターミナルケア加算の要件
- 死亡日および死亡日前14日以内に、2回以上の往診または訪問診療を行っていること
- そのうえで在宅で死亡した(またはそれに準じる状態で医療機関へ搬送され24時間以内に死亡した)こと
- 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン等を踏まえた対応を行っていること
「死亡日を含む15日間」で数える。死亡日前14日以内に1回しか訪問していないと算定できない。
施設基準による上乗せがある
在宅医療の体制に関する施設基準を届け出ている医療機関では、在宅ターミナルケア加算に上乗せが行われる。2026年度改定では、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算が再編され、在宅医療の体制を評価する加算へ移行した。
上乗せの区分と点数は改定のたびに動く。算定前に当該年度の診療報酬点数表と施設基準の告示で確認する。
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死亡診断書と死体検案書の分岐
在宅看取りで最も判断を誤りやすいのが、どちらの書類を書くかである。
| 死亡診断書 | 死体検案書 | |
|---|---|---|
| 書く場面 | 診療継続中の患者が、診療に係る傷病で死亡したと判断できるとき | それ以外(診療していない傷病での死亡、死因が判然としない、異状があるとき) |
| 警察への届出 | 不要 | 異状を認めたときは24時間以内に所轄警察署へ届出(医師法第21条) |
24時間以内に診察していなくても、死亡診断書を書ける場合がある。診療中の患者が、その傷病に関連して死亡したと判定できるときは、改めて死後に診察したうえで死亡診断書を交付できる(医師法第20条ただし書きの解釈)。
「最終診察から24時間を超えたら必ず検案」ではない。ここは誤解が根強く残っている。
看取りに向けた体制で、事前に決めておくこと
- 夜間・休日の連絡先を1本にする。家族が迷う時間が最も混乱を生む
- 訪問看護ステーションとの情報共有の形を決める。死亡時の連絡順を紙で渡す
- 救急搬送を希望しない方針が共有されているかを、家族全員に確認する
- 死亡診断書の様式を院内に用意しておく
看取りの直後に家族が救急要請してしまう例が実際にある。方針を共有していても、その場にいる家族が別の人だと起こる。関係者全員に紙で渡してあるかが分かれ目になる。
記録に残すこと
- 事前の説明内容と、本人・家族の意向(日付と相手を明記)
- 死亡日前14日以内の訪問の実施日と内容
- 看取り時の状況(到着時刻、死亡確認時刻、立ち会った家族)
- 死亡診断書の交付日
返戻の多くは、要件そのものではなく記録の不足による。算定要件に「診療録に記載すること」と書かれている項目は、様式化してしまうほうが早い。
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よくある質問
医療機関に搬送されて亡くなった場合はどうなりますか。
在宅で療養していた患者が、死亡前24時間以内に往診等を受けたうえで搬送され、搬送先で死亡した場合、在宅ターミナルケア加算の対象になる扱いがある。細かい条件は点数表の留意事項通知で確認する。看取り加算は在宅での看取りが前提になる。
看取り加算と死亡診断加算はどう使い分けますか。
看取ったか、死亡診断のみを行ったかで分かれる。両方を同時に算定することはできない。到着時に既に死亡していた場合は死亡診断加算になる。
在宅ターミナルケア加算は訪問回数が何回必要ですか。
死亡日および死亡日前14日以内に2回以上の往診または訪問診療が必要になる。1回のみでは算定できない。訪問看護の訪問回数はこれに算入しない。
老人ホームで亡くなった場合も在宅扱いですか。
施設の類型によって扱いが分かれる。特定施設や認知症グループホーム等では、在宅患者訪問診療料の算定区分が異なり、加算の可否もこれに連動する。入居している施設の種類を先に確認する。
まとめ
- 看取り加算は「看取ったこと」、在宅ターミナルケア加算は「最期の期間を継続して診たこと」への評価で、併算定できる
- 看取り加算と死亡診断加算は併算定できない。死亡の場に居合わせたかで分かれる
- 在宅ターミナルケア加算は死亡日を含む15日間で2回以上の往診・訪問診療が要る
- 事前の説明と同意の記録が診療録に無いと、要件を満たしたことを示せない
- 最終診察から24時間を超えても死亡診断書を書ける場合がある。「超えたら必ず検案」は誤り
- 点数と施設基準は改定のたびに動く。算定前に当該年度の告示で確認する
参考
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
