在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件|クリニックが薬局と連携する際に押さえておきたいポイント

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、保険薬局が算定する調剤報酬である。クリニック側が直接算定する点数ではない。

ただし、算定の起点は医師の指示にある。指示が無ければ薬局はこの点数を算定できず、在宅医療の薬学的サポートも始まらない。クリニックが在宅医療を行うなら、この点数の仕組みを知っておく必要がある。

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目次
  1. この点数は薬局が算定する。ではクリニックは何をするか
  2. 算定要件(4つの条件)
  3. 点数と算定回数の上限
  4. 医師の指示はどう出すか
  5. 薬局からの報告書をどう扱うか
  6. 訪問薬剤管理指導料が算定できない代表的なケース
  7. 電子カルテで管理しておきたい項目
  8. よくある質問
    1. この点数はクリニックが算定するのですか。
    2. 医師の指示は毎回の訪問ごとに必要ですか。
    3. 訪問診療をしていない患者でも対象になりますか。
    4. 末期がん患者の上限回数はいつから変わりましたか。
  9. まとめ
  10. 参考

この点数は薬局が算定する。ではクリニックは何をするか

在宅患者訪問薬剤管理指導料は、通院が困難な在宅患者に対し、保険薬剤師が患家を訪問して薬学的管理・指導を行ったことを評価する調剤報酬の項目である。

算定するのは薬局だが、成立には次の2つがクリニック側に必要になる。

  • 医師が訪問薬剤管理指導の指示を出すこと
  • 薬局からの訪問結果の報告を受け取り、診療に反映すること

「薬局の点数だから関係ない」と扱うと、指示の出し忘れや報告書の見落としが起きる。在宅患者を診るクリニックでは、院内の運用に組み込んでおいたほうがよい。

算定要件(4つの条件)

薬局側が算定するための要件は次の4つで構成される。

  1. 在宅で療養を行っている、通院困難な患者であること
  2. 医師の指示に基づき、薬剤師が薬学的管理指導計画を策定していること
  3. 薬剤師が患家を訪問し、薬学的管理・指導を実施していること
  4. 訪問結果を文書で医師に報告していること

4つとも揃って初めて算定できる。どれか1つが欠けると、薬局側は算定できない。

  • 保険医療機関や介護老人保健施設に入院・入所中の患者は対象外
  • 訪問できるのは、あらかじめ地方厚生局に届け出た保険薬局に限る

点数と算定回数の上限

点数は、同一建物に住む対象患者の人数(単一建物診療患者数)で区分される。

区分 点数
単一建物診療患者が1人 650点
単一建物診療患者が2人以上9人以下 320点
上記以外(10人以上等) 290点

算定回数の上限は次のとおり。

  • 原則:患者1人につき月4回まで
  • 末期の悪性腫瘍の患者、注射による医療用麻薬の投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者:週2回かつ月8回まで
  • 保険薬剤師1人につき週40回の上限がある

末期がん患者などの上限緩和は令和6年度改定で変更された部分。以前の運用のまま「月4回まで」と案内すると、薬局側の算定と食い違う。

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医師の指示はどう出すか

薬局が薬学的管理指導計画を立てるには、医師からの訪問薬剤管理指導の指示が前提になる。口頭のみで済ませず、記録に残る形にしておく。

  • 訪問薬剤管理指導指示書、または処方箋・診療情報提供書への指示の明記
  • 対象患者の状態、注意してほしい点(服薬アドヒアランス、副作用歴など)を添える
  • 指示の日付・内容を診療録にも記載しておく

指示が曖昧だと、薬局側の計画策定が遅れ、訪問開始まで時間がかかる。在宅移行のタイミングで指示を出すフローを決めておくと、連携がスムーズになる。

薬局からの報告書をどう扱うか

訪問後、薬剤師は訪問結果を文書で医師に報告する義務を負う。クリニック側はこの報告書を受け取って終わりにせず、診療に反映する運用が要る。

  • 服薬状況、副作用の有無、生活状況の変化を次回診察前に確認する
  • 処方内容の見直しが必要な情報があれば、次回処方に反映する
  • 報告書は診療録に紐づけて保管し、後から経過を追えるようにする

報告書が届いても診療録に反映されなければ、連携している意味が薄れる。電子カルテ上で「薬局報告」のタグや専用の記載欄を用意しておくと、見落としを防げる。

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訪問薬剤管理指導料が算定できない代表的なケース

次のようなケースでは、薬局側が算定できない。指示を出す前に確認しておく。

  • 保険医療機関や介護老人保健施設に入院・入所中の患者
  • 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える場合(特殊な事情がない限り不可)
  • 通院可能な患者に対する訪問(通院困難であることが前提)

16キロメートルの距離要件は見落とされやすい。在宅医療の連携先薬局を選ぶ段階で、距離の確認をしておくと後のトラブルを避けられる。

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電子カルテで管理しておきたい項目

  • 在宅患者の一覧と、訪問薬剤管理指導の指示状況を紐づけて管理する
  • 指示書・診療情報提供書のテンプレートを用意し、記載漏れを防ぐ
  • 薬局からの報告書を保管・参照できる欄を診療録に設ける
  • 服薬状況の変化を次回処方の判断材料として参照できるようにする

紙の指示書とカルテの記載が別々になっていると、指示の有無が後から確認しにくい。在宅医療の件数が増えるほど、一元管理の有無が運用の負担を左右する。

よくある質問

この点数はクリニックが算定するのですか。

しない。在宅患者訪問薬剤管理指導料は保険薬局が算定する調剤報酬である。クリニックが関わるのは、算定の前提となる医師の指示と、報告を受けた後の診療への反映の部分になる。

医師の指示は毎回の訪問ごとに必要ですか。

薬学的管理指導計画の策定時に必要。その後は計画に基づいて訪問が継続されるが、患者の状態変化があれば指示の見直しが必要になる。詳細な運用は連携先の薬局とすり合わせておく。

訪問診療をしていない患者でも対象になりますか。

通院が困難であれば、訪問診療の有無を問わず対象になり得る。ただし入院・入所中の患者は対象外であり、実際の適用可否は個々の状態と当該年度の告示・留意事項通知で確認する。

末期がん患者の上限回数はいつから変わりましたか。

令和6年度調剤報酬改定で見直された。末期の悪性腫瘍患者、注射による医療用麻薬投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者について、上限が「週2回かつ月8回まで」に変更されている。

まとめ

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料は薬局が算定する点数だが、起点は医師の指示にある
  • 算定要件は在宅・通院困難/医師の指示に基づく計画/訪問実施/文書報告の4条件
  • 点数は単一建物診療患者数で650点・320点・290点に区分される
  • 算定回数は原則月4回、末期がん患者等は週2回かつ月8回まで(令和6年度改定で変更)
  • 16キロメートルの距離要件など、算定できないケースを事前に確認しておく
  • 薬局からの報告書を診療録に反映する運用を電子カルテ上で用意しておく

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参考

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